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インパクトドライバーとドリルドライバーの違いとは? どちらを購入するべきか木工職人が解説

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斉藤 直斗

斉藤 直斗

住宅メーカーの元現場監督で、ものづくりをやりたい想いから、木工職人に転職した現役の職人さん。仕事の合間でDIYや家づくりに関してのWebライターとしても活動しています。ここでは主にDIYに関してタメになる内容をお伝えしています。記事に使われている画像は自宅の作業部屋で撮影。作業部屋を作るほどDIYが大好きです!

電動工具の中で最初に購入を考えるのが、インパクトドライバーもしくはドリルドライバーではないでしょうか?

どちらもできる作業内容が似ており、DIY初心者にとってどちらを購入すべきか悩ましいところです。

この記事では、木工職人である僕がDIYを始めたばかりの方に向けて、インパクトドライバーとドリルドライバーの違いやどちらを最初に購入するべきかをわかりやすく解説します。

インパクトドライバーとは

インパクトドライバー

インパクトドライバーは簡単に説明すると「パワフルでスピーディーな作業」に向いています。小物というよりは大きいサイズの木材を使って家具を作るときなどに使うことが多いです。

インパクトドライバーの特徴

インパクトドライバーは打撃性能でパワフル作業が可能

インパクトドライバーで木材に穴を開ける

インパクトドライバーの一番の特徴が打撃性能があることです。打撃性能とはネジを締めるときにガッガッガッとネジを強く締め込んでくれる機能のことで、負荷が掛かりネジが締めにくくなるときでもパワフルな作業ができます。

インパクトドライバーはビットの取り付けがワンタッチ

インパクトドライバーのビット交換

もう一点の特徴がビットの取り付けがワンタッチでできるということ。インパクトドライバーはビットを差し込む先端を手前に引くだけで簡単にビットの交換ができます。ですので、ドリルビットからプラスビットへの切り替えなどがスムーズにできます。

インパクトドライバーのメリット

太い、長いネジ、ボルトをパワフルに締める

インパクトドライバーでDIY

打撃性能により、強い締め付けができるため、太くて長いネジやボルトをしっかり締めることが可能です。材料と材料をしっかりと固定したいときなど強い力が必要なときは重宝する電動工具です。

硬い、大きい木材へのネジの締め付け

インパクトドライバーを使用して硬い木材をDIY

木材は樹種によって硬さが異なります。カインズなどでも見かける桐材や杉材は木材の中でも柔らかい材種になります。一方、赤松やSPF材はより硬く、広葉樹のタモ材などはさらに硬さがあります。

穴を開ける場合やネジを締める場合でも、柔らかい木材よりも硬い木材の方が力を入れて加工する必要があります。このようなときでもインパクトドライバーが活躍します。

楽にネジを締める

打撃性能を活用することで、連続したネジ締めの作業が楽にできます。つまり、疲れにくいということです。ドリルドライバーは打撃性能がないので、ドリルドライバーをしっかり抑えておかなければ負荷の掛かるネジ締めをすることができません。

ですが、打撃性能があるインパクトドライバーはドリルドライバーほど強く抑える必要がないので、疲れにくく連続した作業に向いています。

インパクトドライバーのデメリット

細かい作業でのコントロールが難しい

インパクトドライバーはパワフルで便利な反面、細かい作業のコントロールには向いていません。

例えば、ネジを木材と平に締めたり、割れやすいアクリル板をネジで固定したり、座ぼり(穴を途中で止める)作業では、打撃性能が細かい繊細な作業に支障をきたします。

その結果、ネジを締めすぎたり、アクリルを割ってしまったり、深く穴を開けすぎてしまったりする可能性があります。

丸軸のビットを使用できない

インパクトドライバーとビット

インパクトドライバーはワンタッチでビットを交換できると説明しましたが、これは六角軸のビットに限った話になります。

ビットには六角軸と丸軸があり、インパクトドライバーには六角軸のビットしか取り付けることができません。サイズの大きいドリルなどは丸軸が多く、ビットによってはインパクトドライバーは使用できないことがあります。

​​打撃性能が初心者には扱いにくい

打撃のガッガッガッという衝撃がDIY初心者や未経験者には扱いにくいという意見もあります。打撃に慣れていない人にとって、打撃時にビットがネジからズレる原因になることもあります。

ドリルドライバーとは

ドリルドライバー

ドリルドライバーはインパクトドライバーに比べて打撃性能がなく「繊細な作業」に向いた電動工具です。先に説明したインパクトドライバーにはない特徴もあるので、双方の特徴を抑えて比較してください。

ドリルドライバーの特徴

クラッチ機能で締めすぎ防止が可能

ドリルドライバーにはクラッチ機能がある

ドリルドライバーにはクラッチ機能があります。クラッチとは一定の負荷が掛かるとそれ以上回転しないようにしてくれる機能です。クラッチは効きの調整をすることができます。クラッチ機能によりネジの締めすぎ防止などに利用することができます。

回転速度の切り替えが可能

2段階のスピード調整がついたドリルドライバー

ドリルドライバーは多くの商品が2段階のスピード調整が可能です。これにより、回転数を調整しながら作業をすることができます。

インパクトドライバーにはスピードの切り替えがなく、トリガーの握り加減での微妙な感覚が必要となるため、ドリルドライバーの回転速度の切り替えは初心者にはありがたい機能です。

ドリルドライバーのメリット

繊細な作業ができる

ドリルドライバーは細かい作業に向いている

ドリルドライバーはインパクトドライバーの打撃性能がないため、細かい作業に向いています。また、クラッチ機能もあるので締めすぎるといった心配もかなり軽減されます。

割れやすい材料にネジを締める場合、絶対に締めすぎてはいけません。このようなときにクラッチ機能があると便利です。

チャックが回転式のため、丸軸のビットも取り付け可能

ドリルドライバーのチャックは回転式

ドリルドライバーはビットを取り付ける方法として、3つの爪を回転させてビットを抑える方式を採用しています。そのため、六角軸や丸軸に関係なく取り付けることができます。インパクトドライバーでは取り付けできなかった丸軸のビットも、ドリルドライバーでは取り付けが可能です。

クラッチを利用して材料と平にネジを締めることができる

クラッチを活用すれば、木材にネジがめり込むことを防ぐことができます。

ネジ頭が木材にめり込むときは通常より負荷が掛かります。この負荷でクラッチが掛かるように設定しておけば、締めすぎを防ぎ、木材とネジを平らに仕上げることができます。

ネジの締め方は初心者と熟練者では仕上がりが大きく変わります。DIYに慣れた方が締めたネジの仕上がりは非常に綺麗です。その一つのポイントにクラッチの活用があるんです。

ドリルドライバーのデメリット

負荷が掛かるネジ締めではパワー不足

打撃性能がないので負荷の掛かる太くて長いネジではパワー不足で締めるのが大変です。約30mm〜40mm以上のビスなら、インパクトドライバーを使用した方が適しています。

長時間の作業は疲れやすい

打撃性能に頼ることができないため、しっかり抑える必要があります。そのため、長時間の作業では手が疲れやすくなります。1本や2本の場合なら太いネジもなんとか締めることができますが、10本以上だと限界……なんてこともあります。

ネジがズレないようにしっかり抑える必要がある

ビットからネジ頭がズレることをカムアウトと言います。この現象にはさまざまな原因がありますが、ネジが締める負荷に耐えられずビットが抜けてしまうことも1つの原因になります。この現象はインパクトドライバーよりドリルドライバーの方が発生しやすいのでしっかりと抑える必要があります。

インパクトドライバーとドリルドライバーの使い分け

ここまでインパクトドライバーとドリルドライバーそれぞれの特徴を解説しましたが、次はもう少し具体的に「どんなときにどちらが適しているか」をパターン別で紹介します。

数多くネジを締めたいならインパクトドライバー

インパクトドライバーでネジ締め

インパクトドライバーは打撃性能があるため、パワフルでスピーディーな作業に向いています。作業量が多い場合はインパクトドライバーの方が適しています。

短いネジを締めるならドリルドライバー

ドリルドライバーで短いネジを締める

短いネジ程度ならドリルドライバーの方が安定して作業できます。反対にインパクトドライバーだと力が強すぎて締めすぎたり木材を貫通したりする可能性があります。

ただし、インパクトドライバーでも使い慣れればまったく問題なく使えるので、そこまで深く気にする必要はありません。

ネジを綺麗に締めたいならドリルドライバー

ドリルドライバーでネジ締め

ネジを締めた状態はDIYの完成後に結構目立ちます。ネジの締め方で作業の精度がわかると言っても過言ではありません。特に目立つ位置でのネジ締めは繊細に作業をやるべきです。

繊細な作業にはドリルドライバーの方が適しているため、目立つ位置でのネジ締めはドリルドライバーを使いましょう。

穴あけならドリルドライバー

ドリルドライバーで穴あけ

インパクトドライバーの打撃は細いドリルビットを折る可能性があるため、穴を開ける作業には適していません。また、ドリルを開ける作業は比較的繊細な作業なので、これもドリルドライバーの方が向いています。

素早くビットを切り替えたいならインパクトドライバー

インパクトドライバーのビット取り換え

インパクトドライバーは六角軸だけの対応ですが、その代わりにワンタッチで素早くビットの交換ができます。例えば、下穴を開けてネジを締める作業では、ドリルビットとドライバービットを素早く切り替える必要があります。

そんなときにインパクトドライバーならワンタッチでできるので作業効率が良いです。一方、ドリルドライバーは都度回転させてビットを締めるように取り付けなければいけないので時間が掛かります。

どんなDIYをやるかでどっちを買うか決めると良い

ドライバーを使って木材をDIY

ここでインパクトドライバーとドリルドライバーどちらを購入するべきか、僕からのおすすめをお伝えします。

ズバリ、どちらを購入するかは「普段よく行うDIYで決めろ!」です。

初心者の方にはドリルドライバーが良いという意見がよくありますが、僕はそうは思いません。なぜなら、インパクトドライバーに慣れてしまえば圧倒的に使いやすくて作業性も良いからです。

とは言っても、それぞれにメリット、デメリットがあります。ですので、僕は「自分自身が普段どんなDIYを行うか」に基づいて選ぶべきだと考えています。

「普段どんな作品を作りますか」

「どんな木材を使うことが多いですか? 厚みは? 樹種は?」

「頻繁にDIYをやるのか、たまにしかやらないのか」

このように自分のDIYの傾向を考えてみましょう。

たまにしかDIYを行わず、合板などの薄い木材をメインで使用する場合は、ドリルドライバーがおすすめです。

一方、毎週末にDIYを行い、机や棚などのツーバイ材や集成材といった木材をよく使うならインパクトドライバーが良いでしょう。

また、今後どんなDIYをやっていきたいかという点も忘れてはいけません。

ちなみに、僕がDIYを始めたばかりの頃は、無垢材を長さ45mm〜65mmぐらいのネジで固定する機会が多かったため、最初に購入したのはインパクトドライバーでした。

もしドリルドライバーを選んでいたら、ネジ締めに苦労していたと思います。

木工職人からのワンポイントアドバイス

最後に、インパクトドライバーでパワフルな作業をしたいけれども繊細な作業も行いたい、もしくは、ドリルドライバーを使いたいけれども、たまには厚みのある木材を使ってDIYを楽しみたいという方々に向けて、木工職人からちょっとしたアドバイスをお伝えします。

インパクトドライバーで繊細に作業をしたいなら

インパクトドライバーで繊細に作業

インパクトドライバーはクラッチ機能がないため、クラッチを利用したネジ締めをすることができません。なので、ネジを締め込みすぎる可能性があります。

そんなときは木材の直前までをインパクトドライバーで締めておき、最後に手回しドライバーで締めます。最後だけなら手の力だけでも締めることができます。そして、電動工具を使用しないため、微妙な締め加減が可能です。手回しドライバーを活用すれば、繊細な作業ができるということです。

ドリルドライバーで高負荷なネジ締めをしたいなら

穴があいた木材

自分にはドリルドライバーの方が合っていそうだけれども、たまには厚みのある木材を使用したい。そんなときは締めることができるか不安ですよね。そんな場合は下穴の大きさを大きめに開けてみましょう。

通常の下穴の大きさはネジの太さの6割〜7割と言われています。例えば、5mmのネジなら3mm〜3.5mmが適切な下穴の大きさです。ここを3.8mm〜4.0mmなど大きめに下穴を開けます。下穴が大きければそれだけネジを締める負荷が軽くなるのでネジが締めやすくなります。

「そんなに下穴を太くしても大丈夫なのか?」という心配があるかもしれませんが、長いネジなら多少大きく下穴を開けても問題はありません。長い分しっかりとネジと木材が食いつくスペースはあります。

このように打撃性能のないドリルドライバーを使用して負荷の高いネジ締めをする場合は、下穴を大きくして負荷を減らして作業をしましょう。

まとめ

インパクトドライバーとドリルドライバー

インパクトドライバーとドリルドライバーはどちらも似たような電動工具なので、どちらを買えばいいのか迷うことがあります。

インパクトドライバーは打撃性能があり、パワフルでスピーディーな作業ができる反面、細かい作業が苦手。

一方、ドリルドライバーはクラッチ機能があり、繊細な作業が可能ですが、高負荷の作業には向いていません。

どちらを購入するかは自身が普段行っているDIYや今後やりたいDIYの内容に合わせて考え、自分に合ったものを選ぶと良いでしょう。

この記事があなたの電動工具を購入する際の一助となれば幸いです。

※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります。

 

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