車の下から飛び出し選手権 全国大会2023
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目次/ INDEX
冬に大活躍するブーツですが、「しまいこんでいたブーツを久しぶりに出してみたらカビが生えていた!」なんてこともありますよね。 しかしカビが生えてしまったブーツや革靴も、正しい方法でカビを取ればピカピカになるんです。
そこで、革製品のカビ取りや予防方法について、プロに教えていただきました!
教えてくれたのは株式会社コロンブスの三橋さん。1919年に創業した株式会社コロンブスは、靴磨きに使う保湿保革クリームや靴ブラシ、インソールなどの靴用品を製造・販売する会社です。 今回、編集部は履き古したブーツと革靴を持参。プロはいったいどのようにして、履き古した靴を甦らせるのでしょうか?
株式会社コロンブス シューカラリストの三橋弘明さん
三橋さん
カビは、温度が20℃~30℃、湿度が70~80%以上だと発生しやすいです。また、埃はカビのエサになるので、埃が多い場所はカビが繁殖しやすいですね。
編集部
夏場の玄関だ……!
ブーツに付着した白カビを見せていただきました
編集部
靴にカビが生えるのはもちろん嫌なんですが、カビの具体的なデメリットを教えてください。
三橋さん
1番のデメリットは健康被害です。カビを吸いこんでしまうことによって、アレルギーや肺炎、喘息など、気管支系に影響が出てしまいます。
編集部
それは困る……!
三橋さん
あとは、たとえば水虫などの影響もありますね。足の爪が白くなってしまうのもカビが原因です。
編集部
靴のカビ取りにおいて、やってしまいがちなNG行動はありますか?
三橋さん
カビがついた状態でブラッシングしてしまうことですね。そうするとカビの胞子が舞って、吸い込んでしまう原因になります。まずは靴ブラシではなく、布で拭き取りましょう。
編集部
なるほど。たとえば、水洗いはしても大丈夫なんでしょうか……?
三橋さん
水洗いは、一般の方は避けたほうが無難です。よっぽど上手くやらないと、靴に使われている接着剤が水に溶けて黄ばみが出てしまったり、形が崩れてしまったりするので。
編集部
キッチン用のアルコール除菌スプレーをカビ取りに使用する方法も聞いたことがありますが、それはどうでしょうか?
三橋さん
おすすめできません。革の表面はカゼインという薄い膜で覆われています。カゼインはアルコールで溶けてしまうので、必ず革専用のものを使ってください。
編集部
アルコールで溶けてしまうんですね……。革専用のものを使用します!
それでは、三橋さんにカビ取りの手順を実演していただきます。 まずは編集部が持ち込んだこちらの革靴から。一見カビはないように見えますが……。
三橋さん
写真だと見えづらいかもしれませんが、肉眼で見るとうっすらと白カビの胞子が付着しています。革の裁断面をコバと言いますが、こういったところにはカビが付着しやすいんです。
三橋さん
木製のヒールも、地面と接していて風通しが良くないため、カビが付着しやすい部分です。
編集部
コバやヒールを中心に確認すればいいんですね。
今回使用するアイテムはこちらです。
カビに直接触れないよう、必ずビニール手袋をつけて行いましょう。カビを吸い込まないようにマスクもつけます
まずは、カビ用ミストかクリーニングシートのどちらかで表面のカビを拭き取ります。
三橋さん
この「レザーキュアカビ用ミストプラチナ」と「レザーキュアカビ用クリーニングシート」は、カビの胞子を壊し、カビの元を根こそぎ除去できる優れものです。もちろん本革にも合皮にも使えますよ。
カビ用ミストの場合から見ていきましょう。 人差し指と中指に布をくるっと巻き付けます。そして、布にカビ用ミストを2~3プッシュほどスプレーします。
※撮影のために換気をした屋内で行いましたが、カビ用ミストは屋外でご使用ください
優しくなでるように表面のカビを拭き取ります。このとき、力を入れてゴシゴシ擦らないように注意!
三橋さん
革は表面に無数の毛穴があり、濡れると毛穴が広がります。カビ用ミストをつけてゴシゴシ擦ると毛穴を傷めてしまうので、軽く拭き取るくらいの力加減にしましょう。
編集部
カビ用ミストが付着した部分の色が濃くなりますね。
三橋さん
乾燥した革を水分(カビ用ミスト)を含んだ布で拭くと、濡れた部分の革の色が濃くなります。それをシミになったと勘違いしてゴシゴシ擦ると革を傷める原因になるので、色が濃くなっても慌てず、乾くのを待ってください。
ヒールのカビもしっかり拭き取ります。
カビとともに古いクリームも落ちて、このように色が付きます
三橋さん
一度で拭ききれないときは、布の同じ面ではなく、新しい面にカビ用ミストを吹き付けて拭いてください。同じ面を使うと、拭き取ったカビがまた靴に付着してしまいます。
拭き取りに使った布は、カビの胞子が飛び散る原因になるのですぐに捨てましょう
カビを拭き取ったら今度は、カビ用ミストを直接スプレーして乾かします。こうしておけば、たとえ胞子が付着したとしてもカビの繁殖を予防できます。
ここまで解説したカビ用ミストの工程は、こちらのカビ用クリーニングシートでも代替可能です。もう片方の靴は、こちらのシートで拭いていただきました。
三橋さん
カビ用クリーニングシートは布を用意しなくても、これ一つで済むから手軽です。持ち運びがしやすいですし、勤務先のロッカーなどに常備しておくと便利かもしれません。
さて、これで表面のカビと汚れは取れました。
ここからは、カビ用ミストやカビ用クリーニングシートで取り切れなかった汚れを専用のクリーナーで落とす方法を紹介していきます。
三橋さん
撮影に使用している靴についていた程度の汚れなら、カビ用ミストやカビ用クリーニングシートだけでも十分汚れが落ちていますので、実際にはクリーナーの工程は省いてしまっても大丈夫です。
編集部
クリーナーの量はどのくらいでしょうか?
三橋さん
コーヒー豆1粒分くらいです。クリーナーは過剰に塗ると逆に光沢が出ません。少ない量を何回かに分けて薄く塗り伸ばしましょう。
三橋さん
カビ用ミストやカビ用クリーニングシート、クリーナーがシャンプーだとしたら、この後に塗る保湿保革クリームはリンスのような役割。クリーナーで毛穴の奥の汚れを落とさないと、クリームがちゃんと浸透してくれません。
チューブタイプのクリーナーは靴の穴やミシン目に残りやすいので、残ったクリーナーを靴ブラシで取り除きます。
三橋さん
ゴシゴシ擦ると汚れが中に入ってしまうので、汚れを掻きだすように靴ブラシを動かすのがコツです。縫い目など細かいところは角を使います。
保湿保革クリームを塗り、革を保湿します。不要な布や新聞紙の上でポンポンしてから塗ると液が出てきやすいのだとか。
三橋さん
革も人の肌と同じで、乾燥していると傷がつきやすくなります。汚れを落としたらしっかり保湿してください。
編集部
新品みたいにピカピカ! このクリームはソールにも塗るんですか?
三橋さん
いえ、塗るのは革の部分だけです。ワックスが入っているので、ソールに塗るとツルツル滑ってしまいますよ。
編集部
ちなみに茶色いブーツの場合はどうしたら……?
三橋さん
もちろん無色や茶色の保湿保革クリームもありますよ。弊社では40~50色ほどの保湿保革クリームを製造しています。
編集部
そんなにあるんですね!
三橋さん
保湿保革クリームには固めのクリームや柔らかいクリーム、リキッドなどさまざまな種類がありますが、今回使用したリキッドタイプは誰でも均一に塗れてムラになりません。
靴クリームを塗ったら5分~10分ほど乾かし、布で拭きます。三橋さんは専用のグローブを使用していますが、要らない布で代用しても大丈夫です。
三橋さん
財布や鞄はよく触れるから手の油分が移りますが、靴は毎日触るわけじゃないので革がカサカサしてくるんです。だけど、きちんと保湿するとしっとりした手触りになりますよ。
※撮影のために換気をした屋内で行いましたが、防水スプレーは屋外でご使用ください
仕上げに防水スプレーをかけます。
三橋さん
靴を履いたままスプレーするというお客様の声も聞きます。弊社の防水スプレーはズボンなど衣類にかかっても大丈夫。撥水効果でズボンの裾も汚れから守ってくれます。
防水スプレーの「アメダス」。左は抗菌剤入りで、撥水効果に加えて、傘やレインウェアの生乾きの臭いを防ぐ効果もある
三橋さん
弊社の防水スプレーは水と同時に油も防ぎます。そのため、仮に靴に汚れがついてしまっても、簡単に落とせるようになるんです。
次は、ブーツに生えたカビの取り方を教わります。
編集部
ロングブーツは長さがあるぶん、カビ取りの方法も変わるのでしょうか?
三橋さん
いえ、基本的に手順は革靴と同じですよ。まずはカビ用ミストやカビ用クリーニングシートで汚れを落とします。
カビ用ミストで湿らせた布で、ブーツ全体を拭いていきます
三橋さん
ブーツは足首の部分にシワができやすいので、内側から手を入れて、シワを伸ばしながら磨いてあげましょう。そうしないとシワに入った汚れが落ちません。
ファスナーの内側はカビが付着しやすいので念入りに
革靴と同じ要領で、カビ用ミストで表面の汚れを拭き取り、それでも落ちない汚れがあればクリーナーで磨きます。その後、保湿保革クリームを全体に塗っていきます。
三橋さん
ブーツの場合もシワに入っていきやすいリキッドタイプの保湿保革クリームがおすすめです。スポンジの角の部分を使って、シワにもちゃんと入れてあげる感じで塗りこみます。
保湿保革クリームを塗ったらブラシがけをし、仕上げに防水スプレーをかけたらできあがり! 写真だとわかりにくいかもしれませんが、磨く前よりも格段にツヤが出ています。
今回は革靴のカビ取り方法を実演していただきましたが、スエード靴の場合も教えていただきました。
1. カビ用ミストorシートで表面のカビを拭き取る。
2. スエードは起毛革なので、毛が起きるようにしっかりとブラッシング。
3. スエード用の栄養ミストをかける。 靴の素材によって使うものや手順も変わってくるので注意しましょう。
ヌバック・スエード用の栄養ミスト
綺麗にカビを取っていただいた革靴とブーツ、どのように保管すればカビを予防できるのでしょうか? 保管のポイントを教えていただきました!
三橋さん
靴専用の除湿剤が売っているので、必ず専用のものを使用してください。乾かせば何回でも使えるので経済的です。雨で濡れた靴をこの除湿剤で乾燥させることもできますよ。
三橋さん
ロングブーツは筒の重さで足首部分がシワになり、ひび割れやすくなります。そのため、保管時はブーツキーパーを入れて、筒をしっかり伸ばした状態を保ってあげることが大切です。
三橋さん
靴を箱に入れてしまうときは、埃から守るために通気性のいい不織布に包むといいでしょう。ダメなのはビニール袋に入れること。ビニールは中に湿気がこもってしまいます。
三橋さん
箱にしまうとき、シリカゲルなどの除湿剤も一緒に入れましょう。除湿剤はa型とb型がありますが、湿気を吸収した後に乾燥させれば繰り返し使えるb型のほうが革製品にはおすすめです。
編集部
除湿剤にも種類があるんですね。
三橋さん
さらに、カビ予防剤を入れておけばより安心です。
三橋さん
下駄箱にせよ押入にせよ、埃が溜まらない場所で保管することが大切です。収納場所はアルコール除菌スプレーなどでマメに拭き掃除し、置き型の除湿剤を置きましょう。
三橋さん
カビは紫外線に弱いので、しまいっぱなしにせず、たまに日光に当ててあげましょう。革は日光で変色しますが、30分〜1時間くらいであれば大丈夫です。
編集部
革製品って日光に弱いイメージだったので意外です……!
三橋さん
合皮は、しまいこんでいていざ使おうとしたらバリっと破れちゃう……みたいなこともあります。それを防ぐためにも、天気のいい日に外に出してあげてください。
(おまけ)三橋さんがペイントした革靴
身近なものなのに意外と知らない革靴やブーツのケア方法。
「自己流のケアをして逆に靴を傷めてしまったらどうしよう」とお悩みの方も、正しい方法を知っていれば怖がらずにお手入れができるはず。
お気に入りの一足を丁寧にお手入れして、カビさせずに長く付き合いましょう!
※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります。
※効果は使用環境や使用状況により異なります。
編集部
さっそくですが、ブーツや革靴にカビが生えやすい条件を教えてください。