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愛猫の血液型を知っていますか? 調べ方や輸血について、猫種による血液型の違いもあわせて解説

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古江 加奈子

古江 加奈子

パーク動物医療センター副院長。福岡県獣医師会、福岡市獣医師会、日本獣医がん学会に所属。言葉の話せない動物を治療するうえで、動物たちに聞く代わりに飼い主から沢山のことを聞き、飼い主とのコミュニケーションを最重視するドクター。

猫の血液型は3種類

猫の血液型には「A型」「B型」「AB型」の3種類があります。人間の血液型が、血液中の赤血球の表面にあるタンパク質の違いによってABO式で4つに分けられるように、猫の血液型は「猫AB式」と呼ばれる方法で3つに分けられているのです。

猫の血液型は3種類

猫の種類と血液型

世界的に見ると人間の場合はO型が40%以上と最も多く、日本人ではA型が全体の40%で最多となっていますが、猫の血液型の割合はどうなっているのでしょうか。また、猫種による血液型の違いはあるのでしょうか。

A型の猫

日本にいる猫の80%ほどがA型です。B型の割合は10%にも満たず、AB型の猫は1%未満であると言われています。

A型であることの多い猫の種類は雑種のほかに、アメリカンショートヘアーやペルシャ、ロシアンブルー、シャム、ソマリ、ノルウェージャン、アビシニアンなどです。

B型の猫

B型の猫の数は全体の10%未満で、かなり少ないと言えるでしょう。少ないながらも比較的、B型であることの多い猫は、ブリティッシュショートヘアーやスコティッシュフォールド、デボンレックスなどです。

ただし、中国やイスラエルの猫にはB型の猫が多いという調査結果があるようです。

猫の血液型を調べるメリット

猫の血液型を調べておくメリットは3つあります。

輸血を素早く受けられる

急な事故や病気の際に輸血が必要になることがあります。輸血の際には必ず型の合った血液が必要です。血液型が前もってわかっていれば、輸血開始までの時間が短縮できるでしょう。

輸血を素早く受けられる

後述のとおり血液型は血液型判定キットで15〜20分ほどで判明しますが、緊急の際には少しでも早く輸血や治療がスタートできるに超したことはありません。また、病気のときには血液型の正確な判断が難しいケースもあります。

献血に貢献できる

血液型を知っておくと、輸血が必要になった猫への献血に貢献できます。複数の猫を飼っている方はもちろん、お友達や知り合い、お世話になっている動物病院で突然、猫の輸血が必要になる可能性は否定できません。

人間の場合とは異なり、日本では猫の血液バンクの仕組みが整っているわけではありません。万が一のときに献血の協力ができるのはメリットと考えることもできるのではないでしょうか。

献血に貢献できる

*ただし輸血のドナーになるためには年齢制限や飼育環境、予防接種の状況、猫エイズなどのキャリアではないことなどの条件があります。

不適切な交配が避けられる

B型の母猫がA型やAB型の子猫に初乳を与えると、子猫の赤血球が壊される「新生児溶血」が起こることがあります。これはB型の持つA型やAB型への抗体が非常に強いためです。

妊娠の可能性のある猫の血液型を調べておくことで、「新生児溶血」が起こる不適切な交配を避けられます。

猫の血液型の調べ方

次に、猫の血液型の調べ方をご紹介します。猫の血液型を調べる方法は2つあります。

血液型検査キットを使う

血液型検査キットを使って調べる方法では、判定までかかる時間は15〜20分ほどです。

血液型判定キットは国際的に承認されているキットで、猫赤血球抗原で血液型を判定します。

実際に輸血を行う際には、血液型判定キットに加えてクロスマッチテストが用いられます。クロスマッチテストは、輸血を受ける側と提供する側の血液の相性を確認するためのもので、輸血をしても拒否反応が起こらないことを確認するためのものです。

検査センターに依頼する

動物病院に血液型検査キットがない場合には、専門の検査センターに血液を送って検査を依頼します。検査センターに依頼する場合には、結果が出るまでに数日から2週間ほどかかる場合があります。

血液型は検査センターでも検査可能

輸血が必要な場面は?

輸血が必要な場面としては、どのような状況が考えられるでしょうか。

ケガをしたとき

何らかのアクシデントによってケガをして大量に出血するような状況では、輸血が必要になります。また手術を受ける際にも手術の内容によって大量に出血するようであれば、輸血が必要になるでしょう。

大量出血時は輸血が必要

病気のとき

以下のような病気にかかった場合にも輸血が必要になります。

  • 貧血
  • 血液を作る機能がうまく働かない
  • 血小板が少なくなる
  • 血液を固める機能が働かない
  • 血液の中のタンパク質が少なくなってしまう
  • 血管が大きく損傷する
  • お腹や胸、細胞に水分がたまる

供血猫と献血のこと

人間が輸血を必要とする際には、血液バンクの血液を使えますが、猫の血液を常に保管する血液バンクのようなシステムは整っていません。

このため動物病院には、輸血が必要な猫のために献血をする供血猫が飼育されているケースがあります。供血猫がいない場合や供血猫がいても供給量以上に大量の輸血が必要な場合には、動物病院に登録しているドナー猫や友達、知り合いの猫に依頼することになるでしょう。

ドナー登録という選択肢も

猫の身体の大きさは猫種によってそれほど変わりませんし、1匹の猫が供給できる血液の量には限りがあります。万が一の事態に陥った猫を助けるために、ドナー登録という選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。

なお、人と猫の間での輸血はできません。

副反応について

輸血をする際には、血液型が適合した猫同士であることが前提です。血液型の違う猫の間で輸血が行われた場合は、輸血された猫の身体が副反応を起こします。

血液型が適合した猫同士なら輸血可能

A型の猫

A型の血液には、B型の血液に含まれるB抗原を攻撃するB抗体が含まれているため、B型の血液は輸血できません。

B型の猫

B型の血液には、A型の血液に含まれるA抗原を攻撃するA抗体が含まれているため、A型の血液は輸血できません。B型に含まれるA抗体は拒絶反応が強いため、A型の血液を輸血してしまうと非常に危険です。

AB型の猫

AB型の血液には、A型の血液に含まれるA抗原もB型の血液に含まれるB抗原も含まないため、A型・B型どちらの輸血にも使えます。ただ、AB型の猫はとても少ないため、あまり現実的な選択肢ではないでしょう。

反対に、AB型の猫への輸血ができるのは、AB型の猫からだけです。この理由は、AB型の血液にはABどちらの抗原も含まれるためです。

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