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Animal Life Partner代表。ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、製品開発など幅広く活動。
日本人にとって主食となる白米(お米)ですが、犬に与えても問題ないのか疑問に思ったことはありませんか。愛犬が白米を食べたがったときにあげても良いのか、また白米を日頃の食事に取り入れることにメリットがあるのかどうかも気になるところではないでしょうか。今回は、Animal Life Partner代表で獣医師の丸田香緒里先生に教えていただいた、犬に白米を与える際の与え方や適切な量、注意点などを解説していきます。
目次
- 犬にお米(白米)を食べさせても大丈夫!
- 白米以外のお米を犬に食べさせても大丈夫?
- 持病のある犬に白米(お米)を食べさせても大丈夫?
- 子犬やシニア犬に白米(お米)を食べさせても大丈夫?
- 白米(お米)に含まれている栄養素は?
- 犬に白米(お米)を食べさせるメリットは?
- 犬に白米(お米)を食べさせる際の1日の適量は?
- 犬に白米(お米)を与える際のおすすめの方法は?
- 犬に白米(お米)を与える際の注意点は?
- 白米(お米)を食べてアレルギーや中毒症状になる犬はいる?
- 犬に白米(お米)を使用した人間用の加工品を食べさせても大丈夫?
犬にお米(白米)を食べさせても大丈夫!
犬にお米(白米)を食べさせても特に問題はありません。お米に含まれるでんぷん(糖質)やビタミン、食物繊維といった栄養素は、犬の健康維持に役立つため、それらの栄養素の供給源としてお米を与えることには意味があるといえます。ただし、生のお米は消化不良を起こすこともあるため、良く炊いたお米を与える必要があります。
白米以外のお米を犬に食べさせても大丈夫?
白米だけでなく、玄米や雑穀米も犬に食べさせてもよいのでしょうか? それぞれ解説していきます。
玄米
白米に糠や胚芽が付いた状態の玄米は、白米に比べ、マグネシウムやカルシウムが多く含まれています。それらの栄養源として与えるメリットはありますが、白米よりも消化が悪いため、胃腸の弱い犬にはおすすめできません。また、炊く際にもきちんと柔らかくなるまで十分に加熱する必要があります。
雑穀米
雑穀米には黒豆やひえ、粟、キヌアなど様々な穀類が含まれています。そうした穀類にはビタミンやミネラルといった栄養素が豊富ですが、犬が消化を苦手とする食物繊維も多く含まれているため、与えると消化が悪くなることも考えられます。玄米と同じように、胃腸の弱い犬に与える際には注意が必要です。
持病のある犬に白米(お米)を食べさせても大丈夫?
お米に対してアレルギーがある犬もいるので、症状が出てしまう犬には与えないようにしてください。また、お米は糖質を多く含んでいるため、食べ過ぎるとカロリーオーバーになり、肥満にもつながります。特に、糖尿病を患っている犬に与える場合は、少量に抑えるように注意しましょう。
子犬やシニア犬に白米(お米)を食べさせても大丈夫?
子犬や老犬の場合、お米を与えること自体は問題ありませんが、与え方には工夫が必要です。子犬や老犬の中には消化器官が弱い犬も多いため、通常の炊き方のお米では消化不良を起こすことがあります。水分を多めにしておかゆにしたり、よく炊いたお米をスープ状に煮て柔らかくして与えてあげるとよいでしょう。
白米(お米)に含まれている栄養素は?
そもそも、お米にはどのような栄養素が含まれているのでしょうか。摂取することで犬の体にどのような効果があるのかもあわせて見ていきます。
糖質(でんぷん)
お米に豊富に含まれている糖質は、エネルギー源として犬に必要な栄養素です。ただし、糖質の摂り過ぎは肥満の原因になるため、与える量には十分な注意が必要です。
たんぱく質
お米には微量ながら、植物性たんぱく質が含まれています。たんぱく質は犬の体を構成する大切な栄養素のひとつで、筋肉や被毛、皮膚、爪など、健康な体づくりに生かされます。
ビタミンB1・B2
お米にはビタミンB1・B2も含まれます。ビタミンB1には神経機能や脳を正常に保つ働きがあり、体の調子を整え、疲れた体を元気にしてくれます。ビタミンB2も体を整えつつ、皮膚の健康を保つ機能を持ち、被毛の質を高めてくれる効果もあります。
ビタミンE
お米に含まれるビタミンEは、抗酸化作用を持ち、老化が原因の病気の予防に役立つ栄養素です。ビタミンEが不足すると、ガンや皮膚病などを発症するリスクが増加します。
食物繊維
お米、特に玄米には食物繊維が多く含まれています。食物繊維は犬の腸内環境を整え、排便を促す効果がある一方、犬は食物繊維の消化が苦手なため、摂りすぎると下痢などにつながることもあります。
犬に白米(お米)を食べさせるメリットは?
ここまで見てきたように、お米には犬の健康維持に役立つ様々な栄養素が含まれています。お米を食べることで得られる主なメリットを整理しておきましょう。
糖質がエネルギー源になる
お米に多く含まれている糖質は、体内で効率良くエネルギーに変わる栄養素です。体を動かしたり、脳を働かせたりするために必要となるエネルギーを手っ取り早く補給したいときに、お米を与えることは効果があるといえます。
皮膚や粘膜を健康的に保つ
お米に含まれるビタミンB群により、皮膚や粘膜を健康に保つ作用が期待できます。ビタミンB群は犬の健康に重要な栄養素ですので、不足しないように意識的に食事に取り入れて摂取させあげましょう。
食物繊維の便通促進
食物繊維は腸内環境を整えてくれるため、排便を促す効果があります。ただし、摂取量を誤ると下痢につながることもある点には注意が必要です。
犬に白米(お米)を食べさせる際の1日の適量は?
犬にお米を与えるときには、カロリーオーバーや消化不良を防ぐためにも、適量を守ることがとても重要です。体の大きさ別に、1日に与える目安量は次のとおりです。
※この数字はカロリーから算出したもので、あくまでも目安です。愛犬の便の状態や体重を見ながら調整し、くれぐれも与えすぎには気を付けましょう。
■超小型犬(1kgの犬):13g
■小型犬(3kgの犬):30g
■中型犬(10kgの犬):76g
■大型犬(30kgの犬):170g
犬に白米(お米)を与える際のおすすめの方法は?
犬には生米ではなく炊いたお米を与えることが大前提ですが、もう一工夫を加えたおすすめの与え方をご紹介します。
白米
水分を多くしておかゆのように柔らかく炊くとお米の甘みを感じやすくなるため、犬の食欲促進につながるでしょう。お米をジューサーでつぶして、ドックフードにかけて与えるのもおすすめです。
玄米
食物繊維が豊富な玄米は、できるだけ柔らかく炊き、消化しやすい状態にして与えるようにしてください。フードプロセッサーなどで細かく砕いて与えてもよいでしょう。
犬に白米(お米)を与える際の注意点は?
犬にお米を与えるときに気を付けるべきポイントも押さえておきましょう。
味付けはせず、そのままで
味付けをしたお米は肥満や高血圧などの病気を招くリスクがあるので、味付けしていないそのままのお米を食べさせるようにしましょう。コンビニのおにぎりなどもお米に塩で味付けしてあることがほとんどなので、犬には与えないようにしてください。
人肌程度に冷ましてから与える
炊き立てのお米をそのまま与えると、犬が火傷をしてしまうことがあるので、必ず人肌程度まで冷ましてから食べさせるようにしましょう。
食べさせる場合は少量から
犬にお米を多量に食べさせると、肥満や下痢など体調不良を起こす恐れがあるので、必ず少量ずつ与えるようにしてください。穀物アレルギーを持つ犬もいるので、初めて与えるときは少量にして、体に異変がないかどうか様子をみるようにしましょう。
お米に芯が残らないように柔らかく炊く
芯が残った硬い状態で犬がお米を口にすると、下痢など消化不良を起こすこともあるので、必ず柔らかく炊いてから与えるようにしましょう。炊いたお米をそのまま食べさせると、口の周りについてしまうことがあります。消化の面から考えても、スープ状に煮込んでから与えると安心です。
生米を与えると消化不良や下痢を起こすことも
犬に生米を与えるのはNGです。犬は生米を消化できないため、消化不良や下痢の原因になります。必ず柔らかく炊いてから与えましょう。
白米(お米)を食べてアレルギーや中毒症状になる犬はいる?
犬によっては、お米を食べることでアレルギーや中毒症状が現れる場合があります。次のような症状が出たときは、すぐに動物病院を受診するようにしてください。
下痢や軟便
下痢や軟便は代表的な犬のアレルギー症状のひとつで、放っておくと重症化する恐れもあります。
体をかきむしる
犬がお米にアレルギー反応を示すと、体が腫れたり、体をかきむしったりするような症状が見られることもあります。早めに医師の診察を受けるようにしてください。
犬に白米(お米)を使用した人間用の加工品を食べさせても大丈夫?
お米そのものではなく、お米を使った加工食品も犬に与えて問題ないのでしょうか? 代表的な加工食品について、それぞれ見ていきましょう。
お餅
犬がお餅を食べると、よく噛まずに丸呑みして喉に詰まらせて窒息してしまう危険性があります。また、消化が上手くできずに体調不良につながる恐れがあるので、与えるのはNGです。
米麹
米麹は栄養価が高く、犬の健康維持にも有効です。米麹で作った甘酒も与えて問題ありませんが、砂糖が入っていないものを選びましょう。もともと米麹は糖度が高いので、肥満のリスクを避けるためにも与え過ぎには注意が必要です。
米粉
米粉はお米と同じ成分なので、犬に摂らせることに問題はありません。ただし、与える際はそのままではなく、水分を加えて加熱させ、柔らかくしてから与えるようにしてください。
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