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上京どうぶつ病院院長。北里大学出身。日本獣医生命科学大学付属動物病院にて研修後現職。
犬を飼いたいものの、「鳴き声が近所迷惑にならないか不安」「攻撃的だったらどうしよう」と悩んでいる方も多いかもしれません。その際、なるべく人間社会になじみやすいおとなしい犬種を選ぶことで、安心してお迎えできるでしょう。また、お迎えしたあとの育て方次第でも、性格の落ち着いたおとなしい犬に育ってくれます。
そこで今回は、おとなしい犬種10選をサイズや特徴とあわせて紹介します。加えて、おとなしい犬に育てるためのポイントも解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
- おとなしい犬種とは?
- おとなしい犬に育てるためのポイント
- まとめ
おとなしい犬種とは?
おとなしい犬種とは、友好的で人間社会になじみやすい犬種のことを言います。具体的には、「神経質すぎない」「人間に対して強い警戒心を抱かない」「攻撃的な態度を示さない」といった特徴を持つ犬種です。おとなしい犬種を家庭犬としてお迎えすることで、子どもやご年配の方がいる家でも比較的安心して育てられるでしょう。
ただし、性質には個体差があり、必ずしも「犬種=その性質」とは限りません。おとなしい犬種といわれている犬のなかには、神経質で攻撃的な性格の個体もいます。また、普段の飼育環境によっても、犬の性格は変わってくるものです。飼い主が神経質であれば、犬も警戒心が強く吠えやすい性質になってしまうことがあります。おとなしい犬に育てるためには、家にお迎えした後の関わり方やトレーニング方法などを工夫することも大切です。
おとなしい犬種10選【サイズ別】
ここでは、おとなしい性格が人気の犬種10選を、特徴や飼い方のポイントとあわせて紹介します。小型犬、中型犬、大型犬というサイズにわけて紹介しますので、ぜひ家にお迎えするときの参考にしてみてください。
【小型犬】トイ・プードル
トイ・プードルは、人懐っこくて性格の明るい小型犬です。飼い主やそれ以外の人とも穏やかに接することができ、吠えることが少ないという特徴があります。そのため、マンションやアパートのような集合住宅でも比較的飼いやすいでしょう。賢くて物覚えも良いのでしつけをしやすく、ペットを初めて飼う人にも安心な犬種です。
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【小型犬】ボストン・テリア
ボストン・テリアは、祖先がアメリカで闘犬として活躍し、その後愛玩犬として親しまれるようになった小型犬です。チャーミングな見た目通り、フレンドリーな性格なので、飼い主やそれ以外の人にもなつきやすいでしょう。子犬の頃に十分トレーニングすれば、吠える頻度を少なくできるので、初心者にも安心な犬種といえます。
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【小型犬】シー・ズー
シー・ズーは、中国で宮廷犬として親しまれてきた小型犬です。ぬいぐるみのような愛らしい丸い目と美しい長毛がチャームポイントといえます。穏やかで友好的な性格なので、子どもやご年配の方がいる家庭でも安心して飼える犬種です。また、ストレス耐性が強く、環境の変化に柔軟に対応できるのも飼いやすさのひとつでしょう。
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【小型犬】シェットランド・シープドッグ
シェットランド・シープドッグは“シェルティ”という愛称で親しまれ、ゴージャスな毛並みが特徴の小型犬です。元牧羊犬ということもあり、運動能力が高く、訓練競技会でもよく活躍しています。辛抱強く温和な性格で、おとなしいのも特徴です。賢いのでトレーニングに困ることもなく、犬を飼うのが初めての方も安心でしょう。
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【中型犬】フレンチ・ブルドッグ
フレンチ・ブルドッグは、コウモリ耳とクシャっとした顔が特徴で、多くのファンから愛される中型犬です。友好的で愛情深い性格なので、飼い主やそれ以外の人、他の犬種とも温和に接することができます。祖先が番犬として飼われてきたため、警戒心が強い一面もありますが、子犬のうちにトレーニングをすれば問題ありません。
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【中型犬】バセット・ハウンド
バセット・ハウンドは、長い垂れ耳とゆっくりとした歩きぶりが特徴で、アニメやマンガのキャラクターとして登場することも多い中型犬です。非常に温厚でマイペースなので、家庭犬として人気を集めています。ただし、嗅覚と探求心が強く、食べ物をすぐに見つけ出してしまうので、育てる際には収納や仕切りを有効に活用しましょう。
【中型犬】ボーダー・コリー
ボーダー・コリーは、白と黒の美しい毛並みが特徴で、牧羊犬として長年親しまれている中型犬です。羊飼いの指示に従える素直さと賢さを持っているので、飼い主にも従順に接してくれます。トレーニングも身につきやすく、環境にも順応しやすいでしょう。そのため、しつけ次第で老若男女問わず安心して飼える犬種といえます。
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【大型犬】ゴールデン・レトリーバー
ゴールデン・レトリーバーは、光沢のある滑らかな被毛が特徴の大型犬です。人懐っこい性格が世界中で愛され、日本でも飼育頭数はトップクラスを誇ります。もともと狩猟のサポート役を務めてきた犬種なので、飼い主に素直に従ってくれるのも特徴です。賢く穏やかな性格なため、幼い子どものいるファミリーも安心でしょう。ただし、3歳ごろまではかなりやんちゃな傾向にあるため、たくさん遊んで体力を発散させてあげることがポイントです。
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【大型犬】セント・バーナード
セント・バーナードは、寒い雪国で生まれ、筋肉質でがっしりとした骨格が特徴の大型犬です。包み込んでくれるような優しげな表情が、人気を博しています。辛抱強くおっとりとした性格で、飼い主に従順なのでトレーニングしやすいのも特徴です。ただし、暑さに弱い一面もあるので、温度調節のしやすい場所で飼育しましょう。
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【大型犬】バーニーズ・マウンテン・ドッグ
バーニーズ・マウンテン・ドッグは、古代ローマ帝国に起源を持つといわれる由緒ある大型犬です。人懐っこく温和で、人間との触れ合いに喜びを感じる性格が特徴といえます。とても従順で注意深い一面もあるので、小さな子どもがいても安心して飼えるでしょう。非常に活動的なので、十分なお散歩時間を確保することが大切です。
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おとなしい犬に育てるためのポイント
犬は家にお迎えしたあとの接し方やトレーニング次第でも、十分おとなしい性格に育ってくれます。ここでは、家庭犬をおとなしい性格に育てるために効果的な方法・ポイントについて見てみましょう。
子犬期はたくさん遊ばせる
どの犬種も、子犬の時期は一概におとなしいとは言いきれません。たとえ温厚な性格と知られている犬種であっても、子犬期には元気でやんちゃな傾向にあります。そのため、めいっぱい遊ばせて、ありあまるエネルギーを発散させることが大切です。運動不足を解消してあげることで、いたずらを避ける効果も期待できるでしょう。
社会化トレーニングを入念にする
おとなしい犬に育てるには、子犬期に社会化トレーニングをしておく必要があります。社会化トレーニングとは、犬を人間社会に慣れさせ、順応させることです。例えば、掃除機やドライヤーなどの機械音、チャイムやクラクションの音に慣れさせたり、老若男女さまざまな人と触れ合わせたりする練習が挙げられます。社会化トレーニングを入念にしておけば、成犬になってから過度な警戒心を抱きにくくなるので、穏やかな性格になるでしょう。
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しつけで無駄吠えを防ぐ
おとなしい犬に育てるには、子犬の頃に“無駄吠え”をしないようトレーニングしておくことも重要です。例えば、子犬が散歩をしたくて要求吠えをしている際は、あえて無視をして、犬が静かになってからお散歩へ連れていきます。犬に「今は吠えても意味がない」と認識させてあげることで、無駄吠えを抑えやすくなるでしょう。
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ストレスを取り除いてあげる
好奇心や警戒心が強い犬は、周囲に反応して騒いでしまう場合もあります。その際は、無理に叱るのではなく、ストレスを取り除いてあげることが大切です。例えば、犬が外に向かって吠えている場合はカーテンで隠してあげたり、インターフォンの音に反応する場合は音量を下げたりします。また、散歩やスキンシップを通じてたっぷり遊ばせてあげることも重要です。ストレスから解放されれば、自然と温和で友好的な性格になってくれます。
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まとめ
犬を飼うときにはおとなしい犬種を選ぶことで、子どもやご年配の方がいる家庭でも安心してお迎えできます。ぜひ抱っこしたときの反応や周囲への警戒心などもチェックして、おとなしい犬種を選ぶようにしましょう。
ただし、犬にも個体差や性質があり、一概におとなしいとは言いきれません。どの犬種でも、子犬の時期には少なからずやんちゃな面があります。幼い子どもが犬のそばにいるときは、思わぬアクシデントも考えられるため、必ず保護者がそばで見ていることが大切です。また、どの犬も必要な運動量を満たし、ストレスを解消しないと問題行動に出ることがあります。十分な運動量を確保することも、おとなしい性格に育てるポイントです。
加えて、犬はお迎えしたあとの育て方次第で、穏やかでおとなしい性格に育ってくれます。十分な社会化トレーニングやしつけをして、警戒心をほぐしてあげることも重要です。ぜひ普段からたっぷりと愛情を注いで、愛犬にとってストレスのない環境づくりをしてあげてください。そして、犬を飼うときには、想像と違う一面があったとしても、それも犬の“個性”だと受け入れて、最後まで愛情を持って育てる覚悟を持つようにしましょう。