料理研究家・リュウジの簡単やばうまレシピ「手羽元と大根の塩煮込み」
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「関東地方を中心に展開中のホームセンター、“カインズ”と、“サメ映画”をうまく絡めて、なんでもいいからなにか記事を執筆してほしい」──そんなご依頼を先日いただいた。ひどい無茶振りだと思った。
私だって映画ライターのはしくれとして普段お仕事をいただいている手前、ここで「カインズは実質サメ映画」みたいな大ボラを吹くわけにはいかないし、そもそもウチの近所にカインズがないのだ。
が、これは同時にサメ映画をより多くの人々へと布教するチャンスでもある。というわけで今回は、カインズの存在にかこつけて、サメ映画をいろいろ紹介していきたいと思う。
さっそくカインズの敷地に足を踏み入れる。まず目に入ったのは、屋外・店舗出入り口周辺に設けられた園芸コーナーである。
わあ、お花がこんなにたくさん!
園芸用品もいっぱい!
どう園芸とサメ映画をかこつけろってんだよ
しかしこの世は広いもので、『キラーシャーク 殺人鮫』(2005年、廃盤)というサメ映画にはなんと、“謎のツル植物”が若い女の子を襲うシーンがちょっとだけ存在する。よし、耐えたぞ。
この『キラーシャーク 殺人鮫』に登場するサメは、シュモクザメの頭とニンゲンの体を兼ね備えた新人類“シャークマン”と呼ばれる。水陸両用の特性を持ち、草木生い茂る森の中を高速移動しては獲物に食らいつく、恐るべきサメ人間である。
あまりにシャカシャカ動き過ぎるあまり、その全身がなかなかカメラに収まらず、サメ人間の勇姿をガッツリ見られるシーンはかなり少なめ。モンスター・パニック映画としては困ったものだ。
一方で、人間同士のドンパチアクションシーン(主人公VSサメ人間を作った科学者お抱えの戦闘集団)は豊富かつ結構見応えがあるため、サメ人間よりもそっち目当てで鑑賞するのがよいだろう。
あえてすぐには店内に入らず、外壁に沿うようにしてこのまま屋外を進んでみよう。園芸コーナーを少し行った先はホムセンお決まりの資材スペース。
まるで倉庫。こちらははしごが並んでいるところ
材木やらなにやらがドカッと倉庫のように並べられており、そうしたモノのスキマをかいくぐった奥の出入り口からようやっと入店すると、眼前に広がるのは工具コーナーである。
ああっ! チェーンソーがある!
ホームセンターでやれ工具を使ってDIYだなんていうのは、どっちかというとゾンビ映画の領分だが、サメ映画でも工具は大活躍する。
大津波と人食いザメの同時襲来により人々が絶体絶命の危機に陥るサメ映画、『ジョーズ・イン・ツナミ』(2009年)のクライマックスでは、主人公らがその辺の工具で武装しサメとの最終決戦に臨む。
そこらへんの工具で武装、なんて「物騒」なんだ
『ジョーズ・イン・ツナミ』DVD発売中。3,800円(税抜)
インターフィルム/日活 株式会社ハピネット・メディアマーケティング
(C)2009 MARIBE SHARK PRODUCTIONS INC. and LIMELIGHT INTERNATIONAL ENTERTAINMENT PYT LTD.ALL RIGHTS RESERVED.
「竜巻に巻き込まれたサメの群れが、雨のごとく空から降ってくる」奇抜なアイデアで話題となった『シャークネード』(2013年)では、主人公がチェーンソーを携え、空飛ぶサメとの一騎打ちに出る。
特にシャークネードシリーズ(全6作・完結済み)において、“チェーンソー”はサメ殺し用のスゲー武器としてアイコン化しており、話が進むにつれ黄金のチェーンソーやビームチェーンソー、聖なるチェーンソーなどのバリエーションまで登場する始末。シリーズ最終作の邦題は『シャークネード6 ラスト・チェーンソー』とタイトルにまで抜擢されているほどだ。このシャークネードシリーズ、中でも二作目の『シャークネード カテゴリー2』が傑作として名高いため、未見の方には「最悪いきなり2から入ってもいいので」とオススメしておきたい。
最悪いきなり「カテゴリー2」から入ってもよし。「ラスト・チェーンソー」とタイトルにチェーンソーが採用される最終作もぜひ見てほしい
販売:アルバトロス
なお言うまでもなく現実世界においては、工具を本来の使用目的以外のことに使用してはならない。
さて工具コーナーから歩き出し、ぐるっと大回りするように店内を物色すると、左手に見えるのは家具コーナーほか住まいと暮らしの彩りスペース。ベッドや戸棚に椅子、カーテンなどの品々が視界に入る。
ふわふわの座椅子も、見方によってはサメ映画とこじつけられる……?
一見サメ映画とは縁もゆかりもなさそうな場所だが、驚くなかれサメ映画の中には陸上の民家に住み着き居住者を襲う“家ザメ”、『ハウスシャーク』(2018年)なる怪物が存在する。
また劇中劇の“サメ映画”から現実世界に飛び出し、狭いオフィスにまで空中浮遊で乗り込んでくる『BAD CGI SHARK 電脳鮫』(2020年)や、水から水へとワープ移動してトイレやウォーターサーバーにすら侵入してくる『ゴーストシャーク』(2013年)など、サメの現れる場に死角はない。もちろん、死角の有無と作品のおもしろさにはまったく関係がないのだが。
とはいえ上記3本の中では、特に『ゴーストシャーク』がサメの出現ギミックのアイデア・ホラー風味のパニック演出・超シンプルがゆえに入り込みやすいストーリーといった面で優れており、ずば抜けてクオリティーが高い。
『BAD CGI SHARK 電脳鮫』も、絵面はとんでもなくチープかつギャグが上滑り気味にせよ、ストーリーはなかなか熱く、主人公兄弟の創作活動に対する思いとその創作から生まれ出でたサメとの対決はなかなか見られるもの。
『ハウスシャーク』は……内容の割に、尺が2時間弱と長い。
そして直進した突き当りがペットコーナー。さすがにドデカいサメの姿は見当たらないが、そんなものホームセンターにいたって困る。
ところで、サメ映画でペットが題材の作品といえば『ピラニアシャーク』(2014年)。「人体に“感染”して内部から対象を食い荒らす生物兵器“ナノザメ”を、お手頃サイズの新ペット“ピラニアシャーク”に改良してご家庭に売り出すも、当然各地で大騒動が勃発する」頭のイカれた物語である。大量繁殖したピラニアシャークの群れが人々を襲うシーンは、さながらサメ映画というよりもピラニア映画に近い雰囲気。ちなみに、クリスマスシーズンを舞台にした珍しいサメ映画でもある。
とまあざっくりカインズを一周してきたが、こんなものだろうか。
当然店内にはほかにも様々な商品が取り揃えられているし、この世にはほかにも様々なサメ映画が出回っているのだが、そのすべてをこの場で紹介することはなかなか難しい。
というわけで宣伝だが、私は『サメ映画大全』という映画評論本をちょうど昨年出している。この記事を見てサメ映画に興味を抱かれた方は、紹介タイトルをチェックするついでにそれも買っといていただけると、誰よりも私が喜ぶ。