【2023年お正月プレゼント】自宅で簡単! キノコの栽培キットを使った育て方
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アフリカ原産のウリ科の植物です。源氏物語にも夕顔の名を取った登場人物と巻があることから、古くから日本で親しまれている植物と考えられています。
梅雨ごろに開花し結実、夏に収穫期を迎えますが、生の野菜としてはそれほど流通しません。収穫されたユウガオの多くは細い帯状に加工された後に乾燥させ、カンピョウが作られます。
実はユウガオはヒョウタンと同じ種です。果実がくびれて果皮が硬いも変種がヒョウタン、食用に適した変種がユウガオとして分類されています。ヒョウタンは人類が最も古くから栽培している植物で、穀物などを入れて貯蔵したり、運んだりするために紀元前1万3000年ごろから栽培されているとされます。
起源地のアフリカから世界中に伝播するうちに、果皮や果肉が柔らかく、食用に適したものがユウガオとして栽培されるようになり、日本にも伝わったのではないかと言われています。
ちなみにユウガオの変種名である「hispida」は「毛深い」という意味で、果実にたくさんのうぶ毛が生えていることにちなんでつけられた名前のようです。
ユウガオは生の果実があまり流通していないので、食べるためには自分で育てるのがよいでしょう。ここではユウガオの育て方をご紹介します。
ユウガオはつる性の植物で果実も大きく、鉢植えよりは庭植え、畑栽培向きです。終日よく日が当たる水はけのよい場所を選び、1m×1mほどの植え場所を作ります。
ツルはさらに広い範囲に伸びるので、できれば畑の方がよいでしょう。植え場所は10〜15cmほど地面より高くし、堆肥5ℓ、苦土石灰1カップ、化成肥料半カップを土にすき込んでおきます。肥料が多いと実がつきにくくなるので、肥料をたくさんすき込まないように気をつけましょう。
ユウガオの苗はあまり流通していないので、タネを購入して自分で苗を作りましょう。発芽適温は25〜30℃なので、加温をしないのであれば4月下旬〜5月上旬にタネをまきます。タネまき用土を入れた直径9cmのポリポットに2〜3粒ほどのタネをまき、発芽までは土を乾かさないように管理しましょう。
発芽して本葉が開いてきたら、元気がいいものを残してほかは間引き、1ポットに1株にします。本葉が開いたら水やり代わりに2000倍に薄めた液体肥料を与えて株を充実させ、本葉が4〜5枚になったら植えつけましょう。
あらかじめ作っておいた植え場所に、ポリポットと同じくらいの深さの植え穴を掘り、植えつけます。植え付けの際にはできるだけ根鉢をくずさないように気をつけましょう。
根鉢の扱い方などをもっと詳しく知りたい方は、こちらを参考にしてください。
摘芯(てきしん)とは枝やツルの先端を摘み取ることをいいます。先端がなくなるとわき芽がたくさん出てくるので、これを育て、果実をたくさんつけさせます。ユウガオの摘芯は苗の葉が6〜7枚になった時に行います。
1〜2週間ほどすると葉のつけ根からわき芽が出てくるので、わき芽を2〜3本「子ヅル」として育てます。子ヅルのわき芽から、さらに「孫ヅル」が出てきますが、孫ヅルは一番最初に咲いた花より先のツルは切り取りましょう。ツルはどんどん出てきますが、基本的に元気のいい子ヅル2〜3本だけを育てていきます。
放っておいても昆虫が雄花の花粉を雌花に受粉してくれますが、人工的に授粉した方が確実に結実します。
ユウガオの花はその名の通り夕方に咲きます。花が咲き始めたら花粉が出る雄花を摘み取り、雌花に花をこすりつけていきます。雌花は花の下にふくらみ(子房)があるので見分けることができます。人工授粉は晴れた日に行うと、成功率が上がります。
ユウガオはあまりたくさん肥料を与えてしまうとツルばかり伸びて実がなりませんが、実がつき始めたら栄養分が必要になるので、追加の肥料を与えます。果実がついたツルの先端の地面に1/3カップの即効性化成肥料をばらまいて与えます。
果実が大きくなり、柔らかくなってきたら収穫しましょう。花が咲いてから、大体2〜3週間ほどで収穫できるようになります。
ユウガオは強い味がないのでどんな料理にしても美味しく食べることができます。味噌汁や野菜炒めにしたりと、日常的な料理にもよく合う野菜です。薄味のスープに入れた利、あんかけの具にすると、ユウガオのやさしい味や食感がよく生きるかもしれません。
煮たような野菜に冬瓜(トウガン)があり、冬瓜もまた似たような料理に用いられます。レシピ検索サイトなどで、美味しそうな調理法を探して見てください。
ユウガオとヒョウタンは分類上は同じ種ですが、ヒョウタンは硬いだけではなく、下痢や嘔吐の原因となる苦み成分ククルビタシンを含んでいるために食用に適しません。
ユウガオもごく稀にククルビタシンを含む果実ができることがあるので、口に入れて苦みを感じるようであれば食べるのをやめましょう。
つる性の作物では、ツルばかりが旺盛に伸びて、全然実がつかない「つるボケ」という現象が起こります。これは土に肥料分がありすぎるのが原因で、特にチッ素が多すぎるとつるボケしやすくなります。
肥料がたくさんあると植物は自分の体を大きくする「栄養成長」の状態になってしまい、果実をつけて子孫を残す「生殖成長」の状態になりにくいため、こうしたことが起こります。なので、ユウガオを育てる時には、肥料をあまり多く与えすぎないよう、控えめに少しずつ与えていくようにしましょう。
また、気をつけようがないかもしれませんが、前の年に同じ場所でほかの作物を作った時に与えた肥料が土に残っていると、やはりつるボケになってしまいます。
ウリ科の作物は同じ場所で続けて栽培すると生育が思わしくなかったり、最悪株が枯れてしまう「連作障害」が起きてしまいます。
これは、栽培しているうちにウリ科の植物から栄養を吸い取ろうとする微生物が土の中に増えてしまい、次もウリ科の植物を植えると、すでに最初から点滴のように害をなす微生物がたくさん土の中にいるようになってしまうためです。こうしたことを避けるために、同じ場所で続けてウリ科の植物を育てるのはやめましょう。できれば、2年ほど間を開けるのがおすすめです。
同じウリ科だと連作障害が出てしまうので、ユウガオの後にメロン、スイカ、キュウリなど種類が違うウリ科の作物を植えても連作障害が出てしまうので気をつけてください。同じように連作障害が起きやすいのはナス科、アブラナ科、マメ科の作物です。
夕方に白い花を咲かせ、やさしいあじわいの実をつけてくれるユウガオ。連作障害に気をつければ、育てるのはそれほど難しくありません。ユウガオの実はなかなかスーパーマーケットなどには出回らないので、食べるためには自分で育てるのが一番。
あなたもぜひ、自分で育てたユウガオを味わってみてください。