【速報】沖縄のジャングルから「ターザン」を発見! 「単身赴任先、森」の男に直撃してみた
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近年、熱い盛り上がりを見せるキャンプ。
キャンプの世界は奥が深く、雨の日でもキャンプする人、365日キャンプする人など、奇人変人が続出しているのをご存知だろうか?
今回登場してくれるのは、キャンプ好きが高じて、中古で購入した自家用バンをキャンプ仕様にDIYしてしまった逸見真央さん。
バンの荷室を丸ごと「自分の部屋」に改造したため、雨が降っても、好きなだけキャンプを楽しめるという。彼はいかにしてキャンプの魅力にハマり、バンをキャンプ仕様に改造するに至ったのか? じっくり話を聞いてみよう。
車体を利用してタープテントを立てたところ。
もともと古着が好きで、大学卒業後は1年間のフリーター生活を経て、バイト先の古着を扱うリユースショップの店員になった逸見さん。この時点でアウトドアのキャンプにハマる要素は微塵もなかった。
そんなある日、自ら手に入れた古着の写真をアップしていたInstagramで、キャンプを楽しむ人たちのサイトを見かけ、惹かれるものを感じたという。
「キャンプというと、大学の登山部とかにいた人がやっていて、わりと男臭い、体育会的なイメージがあったんですけど、インスタで見た人たちの様子は、いろんな道具を駆使して、すごくオシャレにキャンプを楽しんでいるように見えたんです。そこで、自分も道具を揃えてキャンプ場に行ってみることにしました」
初めての一人キャンプで、彼はその面白さにイッキにハマったという。
「テントを立てて、たき火をして、簡単な料理を作って食べるだけなんですけど、非現実体験というか、目の前のたき火が燃えているのをじっと見ているだけで時間がたつのを忘れてしまう感じ。それからはもう、休日はもちろん、仕事終わりでもキャンプに出かける日々が始まりました」
キャンプ道具の初期投資は10万円前後だったというが、その年のうちに100万円弱もつぎ込むほどになり、彼の生活はすっかりキャンプ三昧になっていった。
「勤めていたリユースショップは、とてもいい会社で、『そんなにキャンプが好きなら、アウトドアグッズ専門の店で働かない?』と誘ってくれたんです。お客さんはみんなキャンプ好きな人たちですから、道具とかキャンプ場などについての情報交換ができて、ますますキャンプの楽しさを極めることができました」
奥さんのために作ったドレッサー。もともとはベンチを作るための金具キットを使用した。
ところがそれから4年後、せっかく盛りあがったキャンプ熱に水を差すような出来事が起こった。新型コロナウイルスの流行にともなう緊急事態宣言により、全国のほとんどのキャンプ場が閉鎖されてしまったのだ。
「ショックでしたね。ちょっとでも暇な時間があればキャンプ場に出かけていたので、キャンプができないとなると、空白の時間が大量にできてしまいました。おまけにステイホームで家の中で過ごす時間が増えたため、家具などをDIYでリノベーションすることにしたんです」
最初に手掛けたのは、奥さんが使うドレッサー(化粧台)だったとか。それが完成すると、次はこういうものが欲しい、ああいうものが欲しいと欲が出て、テレビ台や本棚、キッチンのカウンターテーブルと作り続けていったというから、逸見さんがその作業を心から楽しんでいたことがよくわかる。
「それまでDIYは、今のマンションに越してきたときに洋服部屋を作ったくらいで、ほとんど未経験でしたから、最初は失敗もよくしていました。設計図を手書きで簡単に書いていたため、組み立ててみると寸法が合わなかったり。設計図の大切さを痛感したのは、試行錯誤する中でホームセンターのDIYに特化した『caDIY3DDIY』というCADソフトを使うようになってからです」
パソコンで正確な設計図を作ると、寸法の間違いがぐっと減ったほか、友人から「自分にも作って欲しい」とリクエストされたときに設計図を再利用できるメリットにも気づいたという。
テレビ台やキッチンのカウンターテーブル。木材の塗装は、木目を生かしたワトコオイルを使用している。
天井張りと床張りを終えたときの様子。
こうしてDIYにすっかりハマり、家の中の家具をあらかた作ってしまった逸見さんだったが、コロナ禍はまだ落ち着く様子を見せなかった。
「そんなとき、海外のキャンパーのInstagramで、バンをキャンプ仕様に改造しているのを見て『楽しそうだな』と思ったんです。ちょうどそのころ、乗っていたクルマが故障していたこともあって、中古でバンを購入してみることにしました」
最初に手をつけたのは、車体の塗装、天井張り、それから床張り。バンはもともと運搬用に開発されたクルマなので荷室スペースが広く、改造のしがいがあった。
「楽しかったですねぇ。特にベッドができてからは、仕事を終えて『ただいま~』と家に帰ってきても、また『行ってきま~す』と言ってマンションの駐車場のDIYバンで寝るのが日課になりました。クルマの中にいると、『ここにフックをつけたらどうかな』とか、『あの道具はここに収納できそうだな』とアイデアが浮かんできて楽しいんです」
そうやって少しずつ手を入れていって、逸見さんのDIYバンは第一形態から第五形態に至るまで進化していったという。
第五形態に近づいたDIYバンの様子。右手のテーブルは開閉式になっていて、さらにスライドさせてドアの外まで張り出すことができる。
いくつもの棚が組み合わさっているのがわかる。これらは固定されていないため、車検に出すときや引っ越しの荷物運びに使うときはすべてを外に運び出すことができる。
キャンプ道具を吊す棚を土台にしたベッド仕様。キラキラの映えライト吊し、毛布とクッションの色合いにも工夫をした。
コロナ禍の緊急事態宣言が開け、閉じていたキャンプ場も少しずつ営業を始めると、逸見さんは意気揚々とキャンプに出かけるようになった。
「DIYバンを自作してよかったなぁと思うのは、テントを設営したり、片づけたりする手間が格段にラクになったこと。それまで1時間くらいかかっていた設営作業が5~10分でできちゃうんです。DIYバンそのものがひとつのテントみたいなものですから、雨の日でも普通にキャンプを楽しめるようになったことも大きいです。天候を選ばないだけに、明日が仕事でもキャンプ場から出勤するくらい、キャンプばかりしていました」
リノベーションを楽しむ「マオヘンミ・サポーターズ」の仲間たち。
2021年4月で31歳になった逸見さん。このとき彼は、「自分の能力を生かして人のために働く(おもしろいこと、スキルアップにつながることに限る)」という抱負を立てたという。DIYに目覚め、多くの友人を誘ってキャンプ三昧の日々をおくっている自分を振り返って、「今のところ、抱負通りの生活を楽しめていると思います」と自己評価している。
そんな逸見さんが、人生のターニングポイントとなるような決断をした。勤めていたリユースショップを退職し、独立することにしたのだ。
「きっかけは、地元の秩父に祖父が購入していた古い事務所を見たことでした。長い間、倉庫になっていて使われていなかったんですけど、『この家をDIYでリノベーションして住めたら最高だな』と思ったんです。『家の中にテントを立てて、キャンプ気分を味わえるようにするといいな』とか、『内装はログハウスのようなテイストにしよう』とか、アイデアが次々と浮かんできて、実行せずにはいられなくなりました」
おもしろいのはこのとき、職場の同僚や地元の友人、キャンプ仲間などを登録した「マオヘンミ・サポーターズ」と題したLINEグループを作り、DIYリノベーションの手伝いを頼んだこと。呼びかければいつでも2~3人が集まるというから、彼の人望の厚さがうかがわれる。
「環境が変わっても、自分の中で『自分の能力を生かして人のために働く』という抱負は変わっていません。今後は、地元・秩父という土地の良さを世界に向けて発信していくような活動をしていきたいと思っています。それからもちろん、DIYバンで全国を走りまわってキャンプの楽しさを多くの人に広めていきたいですね。」
逸見さんのキャンプライフはこれから、ますます充実したものになるに違いない。
さて、それでは最後に「逸見真央流 ホームセンター使いのコツ」をアドバイスしていただこう。
「ひとことで言えば、何かを購入する目的がなくても通うということ。DIYを始めたことで、ホームセンターが大好きになりました。仕事のある日でも、朝一番でホームセンターに行ってから出勤するくらい。用もない日でもホームセンターに通っていると、どの売り場にどんな商品があるかが頭に入ってきます。すると、DIYバンの中にいて『この場所に何かが足りないな』と思ったとき、『そうか、あの部品を使えばいいんだ』とアイデアが出てくるんです」