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ウコン(ターメリック)の育て方

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小川恭弘

小川恭弘

千葉県館山市の植物園に20年勤務後、現在フリーランスとして活動、熱帯果樹の栽培等にかかわっている。NHK『趣味の園芸』にて、熱帯植物の分野で特集記事などを執筆、テレビ出演。現在は質問コーナーを主に担当している。著書『よくわかる栽培12か月ハイビスカス』

ショウガのような根茎を利用するウコンは、古くから世界で広く栽培されてきた植物です。体によい効能が豊富にあり、食用や薬用、健康食品など様々に利用されます。

ウコンは病害虫に強く、意外と栽培しやすいです。収穫した根を粉末にして、様々な料理のスパイスとして使うのも楽しいでしょう。

この記事では、ウコンの特徴と性質、栄養や利用方法、主な仲間、育て方などを詳しく解説します。

ウコンの基本情報

ウコンと粉末

  • 学名 Curcuma longa
  • 英名 Turmeric
  • 和名 ウコン(鬱金)
  • 別名 秋ウコン、ターメリック
  • 科名 ショウガ科
  • 属名 ウコン属
  • 原産 インド
  • 形態 多年草

ウコンは熱帯性の多年草で、草丈1mほどに生育します。有用植物として、アジアの広い地域で数千年にもわたって栽培されてきました。春から生育して肥大した地中の根茎を、冬前に収穫します。秋に白い花を咲かせることから、秋ウコンの名前があります。他に栽培されるウコンの仲間には、春に花が咲く春ウコンや、根茎が紫色の紫ウコンなどがあります。

ショウガのような根茎は、断面が濃い黄色からオレンジ色です。乾燥させた根茎は粉末に加工され、スパイスのターメリックとして流通します。カレー粉の主原料やたくあんの着色材料の他、様々な料理に使われます。また酔い止めの効果などがよく知られ、健康食品など薬用にも利用されます。布の染色にも使われ、染められた布は防虫効果が高いとされます。

冬に地上部は枯れ、芽がでてくるのは5月~6月です。霜が降りる地域や寒冷地では、掘り上げた根茎を暖かい室内に置いて越冬させます。暖地では冬も植えたままで根茎が枯れることはありません。

病害虫にも強く、栽培しやすいのが特徴です。適した場所では放置気味の管理でもよく育ちます。早く大きく育てたい場合は水と肥料を十分に与えますが、通常はあまり手間をかけなくても育ちます。

ウコンの利用

粉末状のウコン

葉が枯れてきたら収穫のサインです。収穫した根茎は洗浄してそのまま、または茹でた後、薄くスライスしてから乾燥させます。乾燥させたウコンは、ミキサーにかけて粉末にします。

根茎には、肝臓の機能を高めたり、コレステロール値の改善効果作用のあるクルクミンが豊富に含まれます。他には動脈硬化やガンの予防、健胃作用などの効果が期待できます。

民間療法では酔い止めなどとして、錠剤やドリンク剤が多く販売されています。ただし重大な副作用の報告があります。ウコンのサプリなどを多く服用したり、肝臓にすでに障害のある人や妊娠中などの場合は避けたほうがよいでしょう。

サフランの代用としてパエリアや、カレーと相性のよいターメリックライスなどに使います。また野菜や卵、ショウガやにんにく、乳製品などを使った料理と相性がよく、様々に使うことができます。スープにも最適です。

沖縄ではお茶としてもよく飲まれます。「うっちん茶」としてペットボトル飲料やティーバックなども販売されています。

ウコンの仲間

春ウコン(キョウオウ) Curcuma aromatica

名前は春にピンク色の花が咲くことに由来します。関東で春に植えた場合、花は初夏頃に咲きます。根茎の断面は黄色で、ワイルドターメリックの英名があります。クルクミンはウコンの10分の1程度含まれますが、カンファーやシネオールなどの精油成分とミネラルが豊富で、ウコンの約6倍含まれるといわれます。

苦みや辛味があって食用に利用されません。沖縄では古くから薬用植物などとして栽培され、健康食品などに使われます。

紫ウコン(ガジュツ) Curcuma zedoaria

初夏に薄いピンク~濃いピンクの花が咲き、夏ウコンの別名があります。根茎の断面は紫がかった白色で、ホワイトターメリックの英名があります。

根茎は薬効が高く、生薬として利用されます。健胃作用のあるカンファーや、鎮痛・消炎作用などのあるシネオールなどの成分が含まれます。

インドやインドネシアでは料理のスパイスとしてよく使われ、パクチーと相性がよいです。ウコンより寒さに弱く、屋久島や沖縄などの冬も温暖な地域でよく栽培されます。

ウコンに適した環境・置き場所

半日陰の場所で育つウコン

日なたから午前中だけ日光が当たる半日陰の場所で、肥沃で湿り気がある土壌が適します。ただし雨が降った後に水が溜まるような排水の悪い場所は避けてください。

高温と湿度を好みます。夏に乾燥させなければ、暑さで弱ることはありません。鉢植えやプランターは乾燥を防ぐため、夏は半日陰に移動したほうがよいでしょう。

冬越し

霜に当たったり、凍結すると根茎が枯れます。葉が枯れてきたら根茎を掘り上げ、バーミキュライトの中などに入れて10℃以上保つようにしてください。

関東南部や都心部など霜の降りにくい地域では、屋外で植えたままよく越冬します。株の上に藁などを厚めに敷くと、寒さで傷むことが少なくなります。

ウコンの育て方・日常の手入れ

水やり

地植えした場合は、根付けばほぼ水やりしなくても育ちます。夏に土壌が乾燥した場合は、水やりすると生育がよくなります。

鉢植えで育てる場合は、春と秋は用土が乾燥したら、夏の晴れの日は毎日水やりしてください。

肥料

植え付け後、2~3か月後に1回、追肥します。3要素が等量の化成肥料をひとつまみ(3g)程度、株元周辺に与えます。同時に土寄せしてください。

病害虫

目立った病害虫の発生は、特にありません。

乾燥するとハダニが発生することがあります。排水の悪い場所では、立ち枯れが発生することがあります。発病した株や土壌は他の株への伝染源になるので注意してください。

ウコンの庭や畑への植え付け

ウコンの収穫

植え付け時期

植え付けの適期は4月~5月です。植えつける2~3週間前に、植えつける場所の土壌改良をしてください。

植え付け前の準備

1㎡当たり、腐葉土や牛糞堆肥などの有機物を2㎏、3要素が等量の緩効性化成肥料を100g混ぜておきます。

植え付け

根茎を深さ5㎝、株間15~30㎝くらいで植えつけます。植え付け後にたっぷり水を与え、その後もできるだけ乾燥させないようにしてください。土壌の乾燥を防ぐため、ビニールマルチや敷き藁をするとよいでしょう。

ウコンの鉢植え・プランター植えの植え付け

容器

鉢植えは8~10号の深型の鉢、または深型のプランターを用意します。

植え付け

用土は6割程度入れてください。生育中に用土を足すスペースをあけておきます。鉢植えは2~3個、プランターは株間10~15㎝間隔を目安に、5㎝ほどの深さで根茎を植えます。夏までに1割ずつ、用土を足してください。

秋に収穫せずにそのままにすると、容器を破壊するほど根詰まりします。必ず秋に根茎を掘り上げて収穫し、春に植えなおすようにしてください。

用土

肥沃で水はけのよい用土が適します。野菜用の培養土か、赤玉土小粒7と腐葉土3を混ぜた用土を使います。

沖縄の赤みを帯びた酸性の土壌で、最も生育がよい研究報告があります。石灰やくん炭などのアルカリ資材は必要なく、有機物を加えた土ならpHをあまり気にする必要はないでしょう。

ウコンを育てるポイント

  • 日なたから半日陰で育てる
  • 夏の乾燥に注意
  • 根茎は霜にあてない

ウコンは丈夫で病害虫の発生がほとんどなく、初心者でも育てやすいです。ウコンを育てれば、意外と簡単にオリジナルのターメリックスパイスを作ることができます。収穫したウコンを様々に利用すると楽しく、健康にもよいでしょう。牛乳とあわせたゴールデンラテは、美容や健康意識の高い人々に人気です。本やネットなどを調べると、ウコンを使ったたくさんのレシピがあるので挑戦してみてください。

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