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八百屋歴10年のプロが指南。新鮮でおいしい産直野菜を選ぶコツ

クリエイター

青髪のテツ

青髪のテツ

スーパーマーケットの青果部に10年以上勤務した経験を活かして、ブログやTwitterで野菜や果物の保存法・選び方など消費者に役立つ情報を発信している。

「産直野菜」ってどんなイメージ?

道の駅などで売られている、いわゆる「産地直送野菜(産直野菜)」に、みなさんはどのようなイメージを持っていますか?

例えば、採れたてなので新鮮、農家から直送されるので安価、一方で規格外野菜など選び方が難しいものが含まれている——など、なんとなくのイメージはあるかもしれません。では、「スーパーの野菜(出荷規格に則ったもの)」とは具体的にどのような違いがあるのでしょうか?

「一般的に、スーパーなどで売られている野菜は『農家』→『農協(JA)』→『仲卸(市場)』などを経由するため、収穫から数日が経過していることが多いです。一方の『産直野菜』は文字通り、農家から小売店にそのまま直送されます。そのため、収穫当日や翌日のものが並び、鮮度が良いものを購入しやすいんです」

スーパーに野菜が並ぶまで

こう教えてくれたのは、青髪のテツさん(以下、テツさん)。スーパーの青果売り場で働きながら、野菜や果物に関する情報をSNSなどで発信しており、フォロワーは60万以上。それだけでなく、野菜にまつわる多数の著書も出版しています。

青髪のテツ_プロフアイコン

青髪のテツ

スーパーマーケットの青果部に10年以上勤務した経験を活かして、ブログやTwitterで野菜や果物の保存法・選び方など消費者に役立つ情報を発信している

テツさんいわく、スーパーの野菜がダメというわけではありませんし、産直野菜だからといって「100%鮮度抜群!」というわけでもありません。大事なのは、私たち買い手が味や鮮度を見分けるスキルや視点を持つこと!

とはいえ、先ほども触れた通り、産直野菜は「新鮮だけどいいものを選ぶのが難しそう……」です。そこで、今回はテツさんと一緒に産直野菜を買いに行き、選び方のポイントを教えてもらうことにしました。

ホームセンターにも産直野菜が売っている

というわけで、やってきたのは千葉県にある「カインズ幕張店」。

なぜホームセンターに来たの? と思うかもしれませんが、じつはカインズのいくつかの店舗では産直野菜を販売しています。幕張店もその一つで、店内の一角にある「CAINZ MARCHE(カインズマルシェ)」には、千葉県産の野菜や朝採れの野菜が数多く並びます。

CAINZ MARCHE(カインズマルシェ)

ホームセンターで野菜が売られている

もはやホームセンターの一角とは思えないラインアップ!(入荷状況は日によって異なります)

テツさん「そもそもホームセンターで野菜が売られていることに驚きました。品ぞろえも豊富ですね。鮮度や良し悪しは一つひとつ見てみないと分かりませんが、全体的に値段は安いし、スーパーではあまり見かけない珍しい品種もありそうです」

売り場を歩きながらテツさんも興奮しきり。では、一つひとつの野菜をチェックしてもらいつつ、味や鮮度の視点で選び方のポイントを教えていただきましょう!

野菜に迷ったらまず「重さ」と「色」で選ぶ

種類ごとの野菜の選び方も気になるところですが、野菜全般に共通するチェック方法はあるのでしょうか? まずは、産直野菜に限らない、野菜全般を選ぶ上で大切な判断基準を教えてもらいました。

テツさん「まずチェックすべきなのは『重さ』ですね。野菜は水分を多く含んでいますが、収穫から時間がたつと水分が抜けて、だんだんと軽くなっていきます。基本的にはずっしりと重たいもののほうが新鮮でみずみずしいことが多いです。

ただし、春キャベツやレタスなどをサラダで食べる場合は、逆に軽いものがオススメ。重いほうがしっかり中身が詰まっていて糖度も高いのですが、食感がややかたくなります。サラダなどライトな食感を重視したい料理の場合は、軽い春キャベツやレタスがいいと思います」

重さと用途で選ぶ

重さをチェックし、用途によって選ぼう

テツさん「また、キャベツやレタス、ホウレン草などの葉野菜は、葉の先端からしおれて傷んでいく場合が多いですから、葉野菜なら葉先がピンとしているものを選ぶといいですね。あとは色の鮮やかさ。葉野菜でいえば、黄色く変色しているものは傷んでいる証拠なので、緑色が鮮やかなものを選べば間違いないと思います。他の野菜も、基本的にはハリやツヤがあったり、色鮮やかだったりするもののほうが新鮮な場合が多いです」

葉野菜は葉先がシャキっとしているものがおすすめ

葉野菜は葉先がシャキっとしているものがおすすめ

ところで、スーパーに並ぶ野菜の場合、流通の過程で出荷規格に満たないものは除外されますが、産直野菜の中には「規格外野菜」も含まれている、というイメージがあります。

例えば、曲がり過ぎているキュウリ、二股になったニンジンやダイコンなど。こうした規格外品に出合えるのも、産直野菜ならでは。しかし、肝心の味や品質は大丈夫なのでしょうか?

テツさん「多少の傷があったり、曲がっていたりするからといって、味や品質が落ちることはないはずです。例えば、ナスのヘタの下に白い部分があると、見慣れないばかりに敬遠してしまいがちではないでしょうか。でも、あれは朝採れの証で、むしろ新鮮さのサインといえます。ですから、見た目が普通のものと多少違っていてもあまり気にせず、先ほどお伝えした基本的なチェックポイントを押さえて選べばいいと思います」

大きく曲がった「キズきゅうり」

大きく曲がった「キズきゅうり」は5本で150円。かなり安く、味も普通のものと大差ない

ではここからは、いま食べたい旬の夏野菜に絞って具体的なポイントをテツさんに解説していただきます!

【夏野菜の選び方1】トウモロコシは皮つきのほうが鮮度がいい

取材当日の「カインズマルシェ」は、トウモロコシやトマト、ナス、ゴーヤ、カボチャといった夏野菜が「主役」でした。テツさんと話している最中に、千葉県内の生産者たちから収穫したての野菜をピックアップしてきた業者さんが棚に野菜をゴロゴロと並べ始めました。

テツさん「どこからいきましょうか……あ、見てください、この朝採れのトウモロコシ。まず、皮がついたままなのがいいですね。トウモロコシの皮は、剥いでしまうと鮮度が落ちやすくなってしまいますから。それに、レンジで加熱する時も皮ごとチンしたほうが風味と甘味が増して、おいしくなります。値段も4本で400円は安いと思います。さすがは産直野菜」

皮付きのトウモロコシ

どれもずっしりと大きく、可食部は30cmくらいあります

テツさん「朝採れのとうもろこしだけあって、鮮度も良さそうです。皮の上から軽く触ってみてください」

実が詰まった感触が伝わる

皮の上からでもぎっしりと詰まった実の感触が伝わってきました

テツさん「上のほうまで実が詰まっていますよね。 これは鮮度が良い証。時間がたつと、ここが萎んでいきます。『ひげ』の量が多く、茶褐色になっているのもいいですね。ひげが白いものより熟れている証拠で、とても甘いと思いますよ」

「茶褐色」のひげは食べ頃のサイン

ひげは白いほうが新鮮っぽく思えるが、じつは「茶褐色」が食べ頃

【夏野菜の選び方2】ナスは「身のハリ」と「ヘタの下の色」で鮮度を判断

テツさん「そうだ、夏野菜といえばここにあるナスも忘れてはいけません。ナスはチェックポイントが複数あって、まずは実のハリ具合ですね。パンッと張ったものほど新鮮です」

パンッとハリのあるナス

この日並んでいたナスはどれもまるまるとしていてハリがある

テツさん「それから、案外知られていないのですが、ヘタの下あたりの皮の部分の色が薄く、白っぽくなっているほうが新鮮です。ここに並んでいるものは張りもいいし、白っぽい部分も残っているので、良いナスですね。ちなみにこのナス、ヘタのトゲが鋭いですよね。ヘタの部分にトゲがある品種は、トゲが鋭いほど鮮度がいいとされています。指に刺さるくらい固くてとがっているほど、新鮮なんですよ」

トゲが鋭いほど鮮度がいい

ビニール越しでもトゲが鋭くヘタの下が白っぽいことが確認できる

【夏野菜の選び方3】濃厚な味のトマトは、白い筋の「スターマーク」 が目印

トマト

テツさん「トマトの売り方も産直野菜らしく豪快ですね! いいトマトを選ぶのは実は簡単です。ほら、このトマト、ヘタの反対側の部分に、白い筋が放射線状に伸びて星のように見えるでしょう。これは通称『スターマーク』といって、筋の数が多くハッキリしているトマトほど濃厚な味なんです。あとは、ヘタがピンと立っているもののほうがいいですね」

よく見ると白い線が放射線状に伸びている

よく見ると白い線が放射線状に伸びている

テツさん「ミニトマトの場合もヘタと実の張り具合をチェックしてください。スーパーだと時間がたって実が柔らかくなっていることが多いのですが、ここに売られているものはしっかり張りがあるので、鮮度がいいでしょうね」

張り具合も要チェック

パック越しでもヘタがピンと立っているのが見える(ミニトマトでも同様)

【夏野菜の選び方4】ゴーヤの苦味の強さは「イボの大きさ」と「色の濃さ」で判断

テツさん「ゴーヤもツヤツヤですね! ちなみにゴーヤは苦いものか苦くないもの、どちらがお好きですか?」

筆者はあまり考えたことがありませんでしたが、どちらかというとゴーヤらしい、青臭くて苦いものが好きかもしれません。

テツさん「イボが小さく色が濃いものほど未熟で、苦みも強くなるんですよ。苦みの強いゴーヤを避けたい場合はイボが大きくて色が薄いものを選びましょう」

イボが小さく色が濃いものほど苦みも強い

これはイボが小さくて色が濃いので苦そうですが、苦いのがお好みの方にはいいですね

テツさん「また、先端部分にあまり傷がなく、白っぽくなっているものほど鮮度がいいです。その点、ここにあるゴーヤはすごく状態がいいですね」

先端が白っぽくて傷が少ない、状態のいいゴーヤ

先端が白っぽくて傷が少ない、状態のいいゴーヤ

【夏野菜の選び方5】カボチャの皮のオレンジ色は大事なチェックポイント

テツさん「カボチャはカットじゃなく丸々一個で売られていて面白いですね。スーパーだとこういう売り方はなかなかできないかも。カット野菜のほうが調理しやすく手に取ってもらいやすいので、そちらが主流になることが多いんです」

丸ごと売られているカボチャ

収穫したて、という雰囲気があり、畑の風景すら頭に浮かんでくる気がします。

テツさん「カボチャの皮のこのオレンジ色の部分、畑で地面に接していて太陽の当たらない部分なのですが、中の実の色と同じなんです。つまり、皮のオレンジ色が濃いほうが熟れていて、おいしいカボチャの目印です」

側面がオレンジのカボチャ

このカボチャは側面がオレンジになっている

テツさん「あとは、ヘタの部分を触ってみて、しっかり乾いてコルク質(非常に小さな穴がいくつか見られる状態)になっているかどうか。ここにあるものはヘタも乾いていますし色もいいので、熟れたおいしいカボチャなんじゃないかと思います」

ヘタがしっかりと乾いている

ヘタがしっかりと乾いている

【おまけ:定番野菜の選び方】タマネギは「かたいもの」ほど新鮮! 根っこの伸びもチェック

夏野菜だけでなく、定番野菜の選び方も聞いてみたいと思います。そう思っていたら、大ぶりのタマネギが目に留まりました。

テツさん「タマネギはまず頭の部分を軽く押して、かたさをチェックしましょう。かたいものほど新鮮で、逆にあまりにやわらかいと傷んでいたり、腐っていたりする可能性もあります」

頭の部分のかたさをチェック

売り物なのであまり強く押さないよう注意

テツさん「あとは、根っこは伸び過ぎていないほうがいいです。根が育ち過ぎていると栄養をそこに使ってしまうので、実が痛みやすくなったり味が落ちたりしてしまいます。ここにあるタマネギはかたく、根も育ち過ぎていないので新鮮ですね」

根の状態をチェック

ひげのように伸びている根の状態をチェック

産直コーナーには、宝探し感覚で珍しい野菜を見つける楽しみも

鮮度が高い野菜の見分け方を学ぶことができ、新鮮な野菜を安く買えることも分かりました。それ以外に、産直コーナーに足を運ぶ理由はあるのでしょうか?

テツさん「一般的なスーパーと比べると、珍しいものに出合える可能性は高いと思います。例えば、こだわりの強い農家さんが少量しか生産しない変わった野菜や、希少な品種などですね」

白くて大きなエリンギ

テツさん「これほど白くて大きなエリンギは普段なかなか見かけませんね」。鮮度が落ちると軸が茶色っぽくなるそう

テツさん「そういったレアな品種って、普通のスーパーだと仕入れる量も少ない上に、売れるかどうかも分からないので仕入れづらいんですよ。入荷状況によって品ぞろえは大きく変わるので必ず出合えるとは限りませんが、宝探しみたいな感覚で産直野菜コーナーを訪れてみるのも楽しそうです」

カインズマルシェ

カインズマルシェには、テツさんも初めて見るという品種もあった

テツさん「あとは、『推しの生産者』を見つけるのも、産直野菜コーナーの楽しさかもしれません。僕がスーパーで地元生産者の野菜を販売するコーナーを担当していたときにも、その地域で有名な農家さんの名前を出して『○○さんの野菜が欲しいんですけど』と尋ねてくるお客さんがかなりいました。産直コーナーでも生産者の名前が書いてあることが多いと思うので、『推しの生産者』がつくった野菜を探しに行くのもいいんじゃないでしょうか」

解説していただいたポイントを思い出して、野菜選びを楽しんでくださいね。

取材・文:榎並紀行(やじろべえ)
写真:小野奈那子

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