私たちは「正しい消毒」ができていなかった? 研究歴30年超えサラヤ所長「手を振って乾燥はNG」
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絵の具は特に小学校・中学校では必須と言っていいほどの画材です。
絵の具は一度付いてしまうと汚れを落とすのに苦労します。ほーむずさんちでは小学1・3年生の子どもたちが居るのですが、絵の具が袖口に付いていて気づかず時間が経過してしまった経験も……。
そこで今回は知っておくと必ず役に立つ、水性・アクリル・油絵の具の落とし方を検証します。
絵の具の種類によって落とし方が異なるので、最後まで読んで適切な方法で落としてくださいね。
絵の具は主に3種類に分かれます。
洗濯石けんは水彩絵の具の汚れに、洗濯洗剤や酸素系漂白剤はアクリル絵の具の汚れを落とす際に使用します。油絵の具は絵の具が乾いてないうちであれば洗濯石けんである程度落とせます。
水溶性の樹脂で練り合わせて作られています。半透明水彩絵の具が小学校でよく使われる理由のひとつとして、水の量を少なくして濃く塗り重ねることで簡単に修正できる点があります。そのため子どもたちが失敗を恐れることなくのびのび描けるんですね。
乾燥が早く接着力が強いため、さまざまな素材に彩色ができます。顔料とアクリル樹脂エマルション・補助剤からなり、油絵の具にはない鮮やかな色も選べます。
水で薄めて描くこともできますが、乾燥すると水に溶けないようになる“耐水性”があるのが特徴。樹脂を含んでいるため描いた画用紙を丸めても、塗った部分がひび割れません。
油絵具は水分を含んでいないため、乾燥による絵の具の“やせ”はなく、ツヤや色の変化が少ない非常に優秀な絵の具です。
油彩画は光が油の層を屈折しながら進むので、絵の具の色を何層も重ねると透明感と深みが生まれます。さらに、油の量の調整をして描き上げることで、数十年~百年を超える高い耐久性を持ちます。
水彩絵の具は洗濯石けんを使用して落とします。使用する水の量や使い方は、水彩絵の具が付いている素材によって変えることで応用できます。
水彩絵の具が付いてから1週間経過した綿100%の服を用意しました。
絵の具が溶けて色が出るため、お風呂場など汚れても良い場所で行います。
バケツなどを使用してもOKです。
落としたい絵の具汚れを40〜50℃程度のお湯に浸します。
絵の具が付いた部分へ洗濯石けんをこすりつけます。まんべんなく塗り広げ、綺麗に塗る必要はありません。
使い古した歯ブラシでこすり、汚れへアタックします。洗濯石けんを使用しているため摩擦力は小さくなっていますが、ゴシゴシし過ぎは布を痛めるため禁物です。
こちらは30秒程度こすってサッと洗濯石けんを落とした状態。まだ水彩絵の具の赤色が残っている部分があるため、1~2を繰り返します。
3回ほど繰り返したところで肉眼では絵の具が確認できないようになりました。バケツに溜まったお湯を見るとピンク色に染まっていました……!
すっきり落とせました! 1週間経過後に落としたため取れるか心配でしたが、跡形もなくなりとても嬉しいです。
水彩絵の具がついてから数日たった壁紙を用意しました。水彩絵の具は水に溶ける性質を持ちますが、壁紙についてから時間が経ったものは染まってしまうため完璧には落ちません。気づいたら乾かないうちに落としてしまいましょう。
古くなった歯ブシに水を少量つけ、優しくかき出すように動かします。
歯ブラシを大きく動かすと浮いた汚れが広がってしまうため、なるべくコンパクトに動かしましょう。
ある程度落ちたらから拭きをします。実際壁紙での作業では、ほとんどが垂直に貼られた状態での作業になるため、水が垂れない程度に少しずつ作業を行うと失敗が少ないです。広範囲を一気に行うと水が垂れて汚れが広がってしまいます。
頑固な汚れには、服と同じように洗濯石けんを使用して落としていきます。水だけよりも洗濯石けんをつけたティッシュや歯ブラシでこする方が汚れが落ちやすくなります。時間が経ったものについては完璧には落ちないためご注意ください。
斜めから見た壁紙です。ご覧の通り乾いて染みついてしまった汚れについては、薄くはなるものの染み込んだ汚れまでは取れませんでした。
完璧には落ちませんが、赤色の目立つ色でここまで薄くできました。やはり”乾かない内に”がポイントですね。
アクリル絵の具は乾くと落としにくい耐水性があります。しかしアプローチ方法はあり、下記方法であれば目立たない程度まで落とせます。
水彩絵の具がついてから1週間経過した綿100%の服を用意しました。
洗浄力の高い洗濯洗剤を直接汚れた部分にかけます。高濃度のタイプであればより効果が発揮しやすいですが、通常の洗濯洗剤(粉・液体問わず)でもOKです。
汚れ部分を揉み洗いします。洗剤で手荒れする方は手袋を使用してくださいね。
揉み洗いしていると、アクリル絵の具が溶けだして泡ピンク色になりました。素材によってはこすりすぎると伸びてしまったり痛める可能性があるので気を付けましょう。
バケツの中でグッと絞ってみると水彩絵の具よりも濃いピンク色の液体に。
溶けだした洗剤を流し、新しいお湯に替えます。
繰り返し揉み洗いをしていくうちに、ほとんど汚れが落ちました。アクリル絵の具は取れないものだと諦めていたので手ごたえを感じて嬉しい!
水に対して適量の酸素系漂白剤を入れます。粉状の漂白剤はお風呂の温度(30~50℃)の温水に溶かして使用することで、洗浄力と除菌力がアップします。50℃以上の温度だと分解が急激に進むため充分な効果が得られません。
酸素系漂白剤は水に溶かしてから布を入れると、粉の溶け残りを防げます。
洗濯機で洗濯をし乾かして完了です。
指の先に若干ですが色残りがあります。しかし、高濃度の洗濯洗剤と酸素系漂白剤でほとんどの汚れが落ちました。1~5を繰り返せば、汚れが気にならないくらいまでは落とせそうです。
乾く前であれば、固く絞った濡れ雑巾で落とすことができます。乾いて耐水性がついてしまったアクリル絵の具は、オイル系で落とすことができます。
※乾いて奥まで染まってしまった汚れは落とすことは難しくなります。
使い古した歯ブラシにクレンジングオイルをつけ、やさしくこすります。かき出すように動かします。
※強くこすると壁紙を傷めますので力を入れ過ぎないようにしましょう。
汚れが浮いたらティッシュなどで拭き取ります。汚れを浮かしたらその度に拭き取るようにすると他に汚れが移りません。
ティッシュに絵の具汚れが付かなくなるまで1〜2を繰り返します。
最後に残ったクレンジングオイルを濡れ雑巾などで拭きあげて完了です。
染まった汚れは落とせませんが、表面の汚れはある程度クレンジングオイルで取れました。気づいたら早めの対処が大切ですね。
油絵の具は乾燥してしまうと汚れを落とすのは難しいですが、汚してからすぐに洗濯石けんでこすり洗いをすると、ある程度まで汚れを落とすことができます。
ここまでにあるように、絵の具は時間が経てば経つほどに取りづらくなります。すぐに対処すれば簡単に取れるものが多いため、放置せずすぐに取り掛かるのが重要なポイントです。
絵の具は顔料の組成により、ついた色によって落としやすさが変わります。実際に色によって落としやすさの違いを検証してみました。
水彩絵の具5色(赤・黄・緑・青・黒)を7㎝の円に塗り1日乾かします。
絵の具1に対し水4~5の割合でのばして塗りました
洗濯機の通常モードで洗い、室内干しで乾かします。
さあ、結果は……?
洗濯機+洗剤の洗濯だと、どの色も汚れを完璧に落としきるのは難しいようです。色ごとの落ち具合でみると、黄色は落ちやすく、赤・緑・青は全体的に色が残っています。黒は絵の具の溜まりもあり、一番強く汚れが残っていました。
時間が経過した頑固な汚れは、絵の具によって使用する洗剤が変わります。
絵の具の種類によって適切な洗剤を使用しましょう。
今回、絵の具を付けた布と壁紙を実際に落としてみて感じたのは、付いてから取り掛かるまでの時間の速さと根気でした。
適切な洗剤を使用することと同じく、諦めず繰り返し落とすことでだんだんと落ちていきます。力強くこすると素材によっては伸びてしまったり傷んだりするため、タグで判断したり目立たないところで試すなどした方が良いですね。
ここで紹介した方法でどうしても取れない汚れや、お気に入りの洋服で不安なときにはクリーニングへ。その際は絵の具の種類を伝えてくださいね。