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目次/ INDEX
有名ブランドとのコラボなどでレアモデルの争奪戦がますます加熱している、スニーカー市場。
全国に3店舗展開する『スニーカーアトランダム』は、お客さんが持ち込んだスニーカーの修理やクリーニングを請け負っています。スニーカーにペイントを施し、自分好みのデザインに仕上げてくれるカスタムペイントのサービスも行う、いわばスニーカー周りのプロ。
スニーカーアトランダム 高円寺店 店長・山口 晋さん
高円寺店で店長を務める山口さんは、特にカスタムペイントが得意。山口さんは、現在50足ほどのスニーカーを愛用中です。
同店のスタッフは、もれなく全員スニーカーマニア。一時は、400足ほどスニーカーを所有していたほど、大量収集している方も。「僕たちのお客さんの中には、400足くらい持っている方は珍しくないですよ」と笑顔で語る山口さん。マニアの世界に驚愕です……!
とはいえ、マニアでもそうマニアでなくても、お気に入りのスニーカーはできるだけ長く愛用したいと思うのは当然のこと。「長持ちさせるために大切なことは、正しいケアと保存方法です」と山口さん。
今回は、普段からできるお手入れ方法や長期保存の仕方、収納場所について徹底的に教えてもらいます。まずは、スニーカー好きなら一度は聞いたことがあるこの現象から、お話をお聞きしました。
皆さんは、収納の中に長らく入れっぱなしだったスニーカーを久しぶりに履こうと思ったとき、ソール部分がベトベトしていたり、靴底がボロボロと剥がれたりしてしまった経験はありませんか?
加水分解で乾燥してしまい、ソールがボロボロに……。
この現象の正体は「加水分解」。湿気など空気中の水分と化学物質が結びついて起こす分解反応のことで、この現象がスニーカーマニアを悩ませている大きな問題です。
加水分解をわかりやすく例えるなら、輪ゴム。長らく放置して使っていない輪ゴムがベタベタしていたり、ものに巻きっぱなしの輪ゴムが突然ちぎれてしまう……。これも加水分解から起こります。
乾燥で白い線が出てしまっている輪ゴム
スニーカーの加水分解が最も起こりやすいのは、ソール。ミッドソールには、クッション性を高めた履き心地の良いソールを形成するため、主にウレタン素材が使われています。このウレタン素材は水分を吸収しやすく、加水分解が起こりやすくなるのです。アッパーやシュータンでも同様の現象が起こることがあります。
スニーカーの各部の名称
スニーカーは製造後、出荷の状態から空気中の水分を吸っているので、実は加水分解はすでに始まっています。加水分解は、履き方や保存状態が悪いから起こるわけではなく、経年劣化なので、基本的にこの現象を止めることはできません。私たちができることは、言うならば“延命処置”。
ベトベトしていたり、剥がれていたりするなど、目に見えて異変や状態が悪くなっているものは残念ながら修復は不可能。一方、接着剤が劣化(これも加水分解による現象です)しているだけの場合は、スニーカー修理の専門店で再接着での修理が可能です。オリジナルのソールを一度きれいにしてから、しっかりと接着してもらえれば回復しますよ。
湿気が多いところに保管していると、水分を吸収しやすくなり加水分解が加速します。逆に除湿剤や乾燥剤を使いすぎてしまうと乾燥してカラカラになってしまうので、これも加水分解の原因になります。
加水分解を防ぐために大切なことは、程よい水分量を保って保管すること。お気に入りの1足を長持ちさせるために、正しい保存方法を山口さんに教えていただきます。
ここでは、履く頻度が少ないレアスニーカーや季節をまたいで半年以上の長期にわたり収納するスニーカーの正しい保存方法を教えていただきます。
山口さん
マニアの方は、イベントの日に1日だけ履いてそのあと長期保存するということも多いと思います。そういった方にもおすすめの保存方法です。
手順1:シューキーパーをスニーカーの中に入れる。
木製のシューキーパーをスニーカーの中に入れていきます。つま先や踵部分をぴったり合わせましょう。
手順2:かかと部分に乾燥剤を入れる。
乾燥剤は再生紙製のものもあり、再生紙がアッパーなどにつくと、黄ばみの原因になるので注意しましょう。もしものときに、より目立たない靴の中やアウトソール下に入れるのがおすすめです。
手順3:ビニール袋の底に、黄ばみ防止剤とスニーカーを入れる。
ジップ付きビニール袋の中に、アウトソール下にくるように黄ばみ防止剤を入れ、そのあとスニーカーを入れていきます。靴底がアッパーにあたらないよう、かかと部分を対にしてください。
山口さん
スニーカーを買った時の箱に直接スニーカーを入れるのはNGです! 箱は再生紙製のため、直接触れると黄ばみの原因になるので、ビニール袋に必ず入れてくださいね。
手順4:ビニール袋の空気をできるだけ抜いて密閉する。
掃除機で吸って、しっかり密閉してください。
手順5:スニーカーを買った箱やクリアボックスに入れて保管。
スニーカーを買ったときの箱や、クリアボックスの中に入れて保管。靴箱や押入れの中など暗室がおすすめです。
山口さん
加水分解のためではありませんが、直射日光に当たると焼けて変色してしまう可能性があるので、クリアボックスに入れる場合は、遮光した部屋や日に当たらない場所で保管してください。UVカット機能がついているボックスも売っていますよ。
足裏は体の中でも汗をかきやすく、1日に両足で約コップ1杯(200mL)もの汗をかくと言われているので、1日履いたスニーカーはその分の足汗も吸っています。もし履く頻度が少なく、長期保存する場合は、水洗いしてよく乾かしてからジップロックに入れて保管すると間違いありません。
山口さん
洗ったり、クリーニングに出しても、匂いが取れない場合、匂いの原因は中敷。長期保存する前に中敷を変えてみて。
マニアの方で、加水分解でダメになってしまう人の多くが、「大切にしすぎて全く履いていない」という状況がダントツに多いそう。山口さんは長く愛用するために、毎日違うスニーカーをローテーションで履いているのだとか。
山口さん
頻度は少なくても、定期的に履くことが大切。なぜなら、履いたときにソールのスポンジが潰れて、外に水分が逃げて飛ばすことができるので、よい状態を保てるからです。私の場合は、1足のスニーカーを月に2回履けば多いくらいです。
山口さんが毎日レギュラーで履いているスニーカーの保管方法は、先ほど紹介した長期保存よりも手軽な方法です。
手順1:スニーカーを丸1日玄関で乾燥させ、木製のシューキーパーを入れる。
手順2:クリアボックスに入れて暗室で保管。
クリアボックスを使う理由は、紙製だと直接スニーカーに触れると黄ばみが出てしまう恐れがあるため
さらにクリアボックスを保管する空間には、使い捨ての除湿剤を入れて、収納内の水分量を適度に保って保管しましょう。炭入りなら消臭効果もあります。
山口さん
前の日に履いたスニーカーをこの方法で保管するのが、帰宅後のルーティンです。
コスト&手間がかかるなどの理由から、普段履き用にはおすすめではないそうですが、「もう履くことはないけれど、捨てたくない・捨てられない」といった観賞用のスニーカーを保管したいときは、真空状態に近いシューラップ(シュリンクフィルム)で包んで保管するのがおすすめです。
中で加水分解はどんどん進んでしまいますが、形状を保っているので崩れにくく、中身もよく見えるので、見て楽しむ観賞用にぴったりの方法です。
山口さん
収集欲があるマニアの方に、おすすめの保管方法です。
手順1:プラスチック製シューキーパーを入れて、シリカゲルの乾燥剤・黄ばみ防止剤を入れる。
山口さん
木製だと水分が出てしまうため、プラスチック製のシューキーパーを使います。
手順2:専門店などで発売している専用のシューラップの中に入れて、ヘアードライヤーなど熱を加える。
山口さん
熱をあてすぎるとシューラップが溶けてしまうので要注意!
普段履いているスニーカーを長持ちさせるために、履いた後のケア方法や汚れてしまったときの対処法を、ハイテクスニーカーやローテクスニーカー、主な素材の特徴とともにご紹介します。
ハイテクスニーカーは、主に『ナイキ』や『ニューバランス』のものが有名です。
一般的に、ソール部分に窒素ガスが入った「エアー」が搭載・内蔵されていたら、全てハイテク扱いになります。『ナイキ』は名称にも「エア」が入っており、見た目にもわかりやすいものが多いですが、一部のスニーカーでは、中に内蔵されていて見えないものもあります。
エアーがあることで抜群のクッション性を叶えてくれる
『ニューバランス』は、ミッドソールには加水分解するポリウレタン素材の中に、加水分解しないEVA素材を封入した独自の「ENCAP(エンキャップ)」と呼ばれる素材を採用。露出しているスポンジ部分など、一部だけ加水分解する可能性があります。
ローテクとは、わかりやすいもので『バンズ』や『コンバース』などのスニーカーのことで、ソールが全面ゴムになっています。その内部に加水分解しにくいスポンジが積み重なっている構造です。
山口さん
テクノロジーの「テク」。違いはエアーがあるかどうかですが、普段のケア方法はどちらも同じです!
履いた日に付着したホコリ汚れを定着させないために、シューズブラシで磨きます。また、すぐに靴箱にしまわずに、玄関で1晩置いて水分を飛ばしてから収納しましょう。
スニーカーアトランダムのオリジナルのワイプスを使用
ソール部分を掃除するなら、スニーカー用のクリーニングシート通称「ワイプス」がおすすめ。ソール部分だけならば、スニーカー専用のウエットティッシュでもOK。
アルコール除菌シートで拭いてしまうと、ハイテクスニーカーのソールの塗装が剥がれることがあるので使用を避けてください。『コンバース』などのゴム製のソールは、色落ちしないので使用できます。
山口さん
ソールの汚れは消しゴムで落としてもいいか?とよく聞かれますが、アルコールシート同様、コンバースなどのソールがゴム製のものや、ソールが塗装されてないものは大丈夫です。ハイテクには使用を避けてください!
極力雨の日にはスニーカーを履かない方がいいですが、もし雨で濡れてしまった場合、帰宅後はいらないタオルで、外側と内側の水分を吸収し、風通しのよい場所で1日陰干ししてから収納してください。
マイクロファイバークロスは吸水性があるのでおすすめ
変形や色落ちの原因になるため、雨の日にレザーやスウェード素材のスニーカーもできれば使用を避けてください。万が一濡れてしまったときの対処法はこちら。
レザー製:一度濡れてそのまま乾くと形が変わってしまうので、中にタオルを詰め込んで、形を保った状態で乾かす。
タオルを詰めておくと、型崩れ防止になる
スウェード製:色落ちの原因になるので、もし濡れてしまったらタオルで水分をよく拭き取る。
山口さん
雨の日は、防水透湿素材で雨に強いゴアテックス製のスニーカーがベスト! 最近は種類豊富なので、1足は持っていてもいいかもしれません。
普段使いしているスニーカーは、必ず1〜2か月に1度水洗いしてリセットをしてください。ハイテクスニーカーやローテクスニーカーに関わらず水洗いできます。アッパーのスポンジ部分に汗が入ってしまっているので、水洗いすることでキレイに保てます。しっかり乾かすのが重要です。
手順1:靴紐・中敷を外して、ブラッシングで外側のほこりを落とす。
中敷は、一度ガムテープや毛玉取りなどでホコリや髪の毛などを取り除くと洗いやすくなります。
ガムテープを丸めてペタペタと汚れを落とす。
手順2:プラスチック製のシューキーパーを入れて形を整える。
形が整うので、洗いやすくなる。
手順3:スニーカー用洗剤を使い、汚れを落とす。
スニーカー用洗剤をぬるま湯でうすめて、ブラシを使ってスニーカー全体をこすります。
ソール部分の汚れは、メラミンスポンジでこするとすぐに落ちます。
最後に、洗剤を入れた容器の中で靴紐をもみ洗いします。
手順4:全体をよく水洗いして、洗剤を落とす。
クッションメッシュの洗濯ネットに入れて、洗濯機でタオルと一緒に「脱水」にかける。一緒に入れたタオルが余分な水分を吸ってくれます。
手順5:風通しの良い場所で陰干しして、しっかり乾燥させる。
かかとが下に来るようにして斜めに立てかけて乾かします。中にプラスチック製のシューキーパーを入れたままにすると、形が崩れないのでおすすめです。
スニーカー用の防水スプレー
ブラッシングでホコリを落とした後や水洗いをした後、スニーカー全体に吹きかけてください。結び目だけ解けば靴紐は通したままで吹きかけてしまってOK。吹きかけた直後が一番効果を発揮し、2週間かけて徐々に効果が落ちていくので、2週間に1度のルーティン化するのがおすすめです。
山口さん
ただし、防水スプレーをしすぎると、靴の中に籠った汗が逃げていかなくなって、変色や汗じみ、いやな匂いの原因になるのでやりすぎは要注意。また、ハイテクスニーカーの「エアー」には、防水スプレーを吹きかけると曇ってしまうため、使用を避けましょう。
スウェードやヌバック製は専用の防水スプレーを使用してください。
ヌバック製のスニーカーとヌバック用の防水スプレー
脱ぎ履きするときには、毎回靴べらを使い、靴紐を解くようにすると型崩れを防止し、長持ちに繋がります。
かかとを踏んでしまうとかかと部分にあるカウンターというプラスチックが折れて、中から出てきてしまうと履けなくなってしまいます。
山口さん
スニーカーを買うときには、自分の足のサイズに合っているものを選ぶことも長持ちさせるコツです。サイズが自分の足に合っていないと、アウトソールがすり減りやすいので、スニーカーへのダメージが大きく、傷みやすくなります。
最後に、レザーや合皮、エナメル、そして混合素材など、素材ごとにスニーカーの取り扱いの注意点を説明します。
レザー(本革):ハイブランドの本革スニーカーなどは自分の汗でも色落ちするほど、濡れには弱いので雨には履かないようにする。メッシュ×本革など混合素材も多く、メッシュ部分に色が移ってしまう原因にもなるので、お手入れはプロの業者に頼むのがおすすめ。
ヌバック:ヌバックは、スウェードに似ている柔らかい素材感。スウェードはレザーの裏側で、ヌバックは、レザーをヤスリがけして滑された素材。ヌバックの方が水濡れで色落ちしやすいので注意。
エナメル:エナメル独特の輝きが剥がれて曇ってしまうため、アルコール、消しゴムの使用はNG。
ナイロン:水通しをしても黒ずみ汚れが落ちない。漂白剤を使えば落ちるケースも。ただ、漂白剤を使うと中のスポンジまで色落ちしてしまう危険性もあるので注意。
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ひどい色落ちや変形は修復が難しい場合もあります。ケア方法に悩んでいる場合は、スニーカー業者に相談してみるのもいいでしょう。今回ご紹介した正しいお手入れと保存方法でスニーカーを長持ちさせて、スニーカーライフを一緒に楽しみましょう!
山口さん
普段はほとんど履かずに保管しているもの、ローテーションしながら履いているもの、仕事用など、細かくシチュエーションを分けて履いています。