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愛犬と暮らすメンバーで構成された、犬愛の強いメディア編集部です。 「犬想い」を軸に、ワンちゃんと飼い主さんの暮らしが上向く情報をお届けします。
病院には、小児がんや重い病気で長期の入院をしている子どもたちがいます。ファシリティドッグとは、病院などの施設に所属し、スタッフの一員として「心のケア」を担って活動する犬のことです。トレーニングを受け、高い専門性をもって、入院する患者さんの治療を支えています。
沢山のファシリティドッグが活動するアメリカに比べ、日本国内で活動する犬はこれまで引退犬を含め4頭のみでした。今回、ファシリティドッグの育成事業を進めるNPO法人シャイン・オン・キッズが、新たに2組のファシリティドッグ・チームを誕生させ、ファシリティドッグによるプログラムが導入される病院が4病院に増えました。
目次
- 病院で子供たちを支えるファシリティドッグの役割とは?
- ファシリティドッグの具体的な活動内容は?
- シャイン・オン・キッズが進めるファシリティドッグ・チームの育成
- ファシリティドッグとハンドラーになるには?
病院で子供たちを支えるファシリティドッグの役割とは?
重い病気で入院している子どもたちは日々、様々な不安やときに恐怖と闘っています。そんな患者さんにそっと寄りそい、癒しと勇気を与えてくれる存在がファシリティドッグです。施設にファシリティドッグが来るのを心待ちにする子どもも多く、子どもたちのストレスを軽減する効果は、研究でも少しずつ明らかにされているそうです。
ファシリティドッグの大きな特徴は、施設に時々訪問して触れ合うというものではなく、一職員として毎日同じ施設に勤務し、患者さんと多くの時間を一緒に過ごすという点です。その際、ファシリティドッグとペアとなって病院に勤務するのがハンドラーという役割です。必ず看護師経験を持つ方が活動しますが、やはり日本には数名しかいませんでした。
ファシリティドッグの具体的な活動内容は?
ファシリティドッグの具体的な活動としては、子どもたちの部屋を訪問し、体をさわってもらったり、撫でてもらったり、ボール遊びをしたりします。ベッドで一緒に添い寝をすることもあります。また、つらい検査や処置の時には傍について応援したり、手術室まで一緒に行くこともあります。
ファシリティドッグを見つけた時の子どもたちは表情も変わり、「検査を頑張れる」「手術に行ける」といった声がたくさん聞こえてくるそうです。また、子どもたちだけではなく、ご家族にとっても大きな支えとなっています。
シャイン・オン・キッズが進めるファシリティドッグ・チームの育成
シャイン・オン・キッズでは、 “ハンドラー”になるための研修を修了した看護師を、ファシリティドッグとペアで病院に派遣する事業を展開しています。
重い病気がある子どもたちの治療は、身体的にも精神的にも負担がかかる検査や処置を必要とし、また長期に入院生活を送っている子も少なくありません。子どもたちとご家族のサポートをするファシリティドッグとハンドラー双方には、感染対策のみならず、高度な専門性が求められます。
シャイン・オン・キッズでは、候補犬を2頭育て、並行して、それぞれの候補犬にペアリングする看護師を2名、新たに採用しました。そして、候補犬とハンドラー候補の看護師を対象に、米国アシスタンス・ドッグス・インターナショナル(Assistance Dogs International: ADI)の制度に則って、研修と適性審査を実施しました。
タイ(左:ゴールデン・レトリバー種オス、2019年2月23日うまれ)
マサ(右:ラブラドール・レトリバー種オス、2019年3月7日うまれ)
ファシリティドッグとハンドラーになるには?
ファシリティドッグとハンドラーそれぞれに研修と適正試験が実施されました。
1. ハンドラー研修概要
アシスタンス・ドッグス・インターナショナル(ADI)の標準カリキュラムに沿って、1ヶ月に渡り約80時間の過程(実技、座学、テスト、他)が実施されました。
2. 適性審査
ハンドラーの適性審査は従来通り、アシスタンス・ドッグス・オブ・ハワイの方法に準じて行われました。
ファシリティドッグの適性試験
【方法】Assistance Dogs International “Public Access Test”
ファシリティドッグが、様々な医療機器が往来する廊下でもコントロールされた状態が保てるか、など14項目が評価されました。
ハンドラーの適性試験
【方法】Assistance Dogs of Hawaii ”Working Final Exam – HOSPITAL FACILITY DOG”
病棟入る前の清拭手順、安全に配慮した歩行、患者対応は適切か、など約30項目を評価されました。
まだまだ認知の高くないファシリティドッグ。病院で働く犬たちのことをもっと知り、その活動を応援したいですね。