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2015年からヘルスキーパーとして勤務する一方で、著書や講演会、SNS、暗闇サロンの経営を通じて超ポジティブな全盲の世界や盲導犬との暮らしについて発信している。
全盲の浅井純子さんは、Youtube番組や講演会、SNSを通して盲導犬ヴィヴィッドとのリアルな暮らしを発信しています。盲導犬ヴィヴィッドと暮らすことの喜びや盲導犬に対する想いとは?
目次
- 盲導犬とのリアルな暮らしを発信する、浅井純子さん
- かつて「盲導犬はかわいそう」と思っていた浅井さんが、盲導犬とコンビ結成
- 盲導犬・ヴィヴィッドと大都会へ電車出勤する毎日
- 全盲生活が始まり、盲導犬・ヴィヴィッドを信じられなくなってしまった…
- 「白杖よりも“見守り”が増えた」盲導犬を連れるメリット
- 盲導犬は機械ではない。間違えることがあっても当たり前
- まだまだ知られていない身体障害者補助犬法のこと
- 犬がコミュニケーションを取り合うことの喜びを教えてくれた
盲導犬とのリアルな暮らしを発信する、浅井純子さん
皆さんは、盲導犬に対してどんなイメージを持っていますか?
「ストレスが多く寿命が短いらしい」
「ペットのワンちゃんのように、自由に遊べずかわいそう」
そんなイメージを持たれる人もいるのではないでしょうか。
「ヴィヴィッドを見ていると、到底ストレスが溜まっているようには見えないんですよ(笑)」
ハツラツとした笑顔でそう話してくれたのは、盲導犬との暮らしを発信している浅井純子さん。
浅井さんのYoutube番組やSNSでは、盲導犬ヴィヴィッドのお仕事中の様子や、リビングでくつろぐ姿、尻尾を振って遊ぶ姿など、盲導犬と盲導犬使用者のリアルな日常を覗くことができます。
普段見られない盲導犬の茶目っ気あふれる姿に、新鮮さを感じる人もいるかもしれません。
浅井さんが全盲となったのは、ヴィヴィッドが来てから半年が経った頃。一時期、不安で歩けなくなってしまった経験のある浅井さんですが、それでも盲導犬と歩くことを諦めませんでした。
「一度、盲導犬と暮らしてしまったら、もう離れられません」──。そうはっきりと話してくれた浅井さんに、盲導犬と歩くことの楽しさやヴィヴィッドが教えてくれた生きる喜びについて聞きました。
かつて「盲導犬はかわいそう」と思っていた浅井さんが、盲導犬とコンビ結成
浅井さんに目の障害が出はじめたのは、30歳のころ。いくどの角膜移植を繰り返すなか、盲導犬と暮らす選択肢を知り、すぐに情報収集に踏み切ります。盲導犬の食事や排泄、ブラッシングなど、細やかなことも含めて盲導犬使用者や盲導犬協会に直接話を聞きに行きました。
「盲導犬に対して、“かわいそう”“大変そう”と思っていたのは、実はかつての私自身なんです」と浅井さん。
しかし、移動する前には必ず排泄をさせることや、いつも一定の場所でお水をあげるなど、必要なケアをきちんと習慣化している様子を知り、盲導犬に付いた「我慢」というイメージは浅井さんの中で消えていきました。
「むしろペットの子たちよりもちゃんとケアされているんじゃないか」と感じた浅井さんは、それなら大丈夫!という気持ちで、盲導犬を申請しました。
その後、「ヴィヴィッドに決まりました」という連絡が盲導犬協会から届きます。盲導犬の訓練士さんは、視覚障害を持つ方と盲導犬のそれぞれの特性を見てペアを決めていきますが、浅井さんとヴィヴィッドのペアは満場一致の結果だったそう。
「長年の経験を積んだ訓練士さんだけがわかる、相性の良さがきっとあったんでしょうね」と浅井さん。
ヴィヴィッドの兄弟で同じく盲導犬の子が他にいたにもかかわらず、「浅井さんはヴィヴィッドだよね!」と訓練士さん全員に言われ、浅井さんとヴィヴィッドのコンビが誕生しました。
ペアが決まったら、早速盲導犬と暮らすための訓練がはじまります。なんと1ヶ月間、訓練所での寝泊まりです。訓練開始から3日後から、ヴィヴィッドと暮らす日々がスタートしました。
「1日で集中して歩行訓練ができるのってせいぜい1〜2時間程度なんですよ。だから暇で暇で(笑)」
訓練士さんから教わったブラッシングの練習をしたり、初めての歯磨きにチャレンジしたり、ヴィヴィッドとたくさんコミュニケーションをとる日々を過ごします。そして訓練を終えたら、いよいよヴィヴィッドがいる日常が始まりました。