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Animal Life Partner代表。ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、製品開発など幅広く活動。
在宅勤務中に愛犬にかわいらしい目でねだられると、ついおやつを与えてしまうこと、ありませんか? また、飼い主に隠れて盗み食いをしている子もいるかもしれません。盗み食いは肥満につながるだけでなく、中毒や喉に詰まらせるものを誤食・誤飲する危険もあるんです。今回は、獣医師の丸田香緒里先生に教えていただいた、おやつのあげすぎや盗み食いのリスクと対処法について解説していきます。
目次
- 在宅勤務中のおねだりと盗み食いで愛犬が肥満に!?
- 犬がおねだりをする理由は?
- 犬のおねだりに応じ続けるとどうなるの?
- 犬におねだりされたときの正しい対処法は?
- 犬が盗み食いをする理由は?
- 犬の盗み食いにはどんなリスクがあるの?
- 犬が盗み食いをしたときの正しい対処法は?
- 犬を飼っている人が在宅勤務をする時のポイントは?
在宅勤務中のおねだりと盗み食いで愛犬が肥満に!?
在宅勤務になり飼い主が家にいることで、犬からかまってほしいとねだられることが多くなるでしょう。ですが、飼い主としては仕事をしなければならないため、おやつを与えて黙らせてしまうことも。また、飼い主が仕事をしている隙に盗み食いをしてしまう子がいます。「気がついたら愛犬が太っているような……」と思ったら要注意! これからも続くであろう在宅勤務を快適に過ごすためにも、愛犬との生活スタイルを見直しましょう。
犬がおねだりをする理由は?
犬がおねだりをするのは、自分の欲求を叶えるためです。「おやつが欲しい」「飼い主と遊びたい」「抱っこしてほしい」といった要求がある場合に、おねだりをします。
よくある犬のおねだりのしぐさと、その裏にある気持ちとは?
おねだりのしぐさは、もともとじっと見つめてくる程度のものです。犬はかしこいので、飼い主が見せる少しの動きや心の油断を見逃さないようにじっと見つめ、希望をかなえてくれそうなそぶりを見せると「それそれ!」といったように喜びます。
じっと見つめるだけではなく前足で飼い主をつついたり、ワンワン鳴いてみたりしたときに、飼い主が応じてくれると、その行動がエスカレートします。「この行動をすると希望が叶う」という学習をするようになっていくのです。
犬のおねだりに応じ続けるとどうなるの?
犬のおねだりはかわいいのですが、その要求にずっと応えているとさまざまな影響があります。どんな影響が出るのか見てみましょう。
飼い主との関係について
おねだりに応じると、犬はすごく喜び、さらにおねだりするようになるため、一見とても仲が良く、いい関係性を築けているように思えます。ですが、おねだりに応じ続けると、おねだりしても叶えてくれないときに怒る、鳴き続けるといった、わがままな子になっていく可能性があるので注意が必要です。
肥満など健康面について
犬はよくおやつが欲しいときにおねだりをします。おねだりするとおいしいおやつが出てきて欲求を叶えてくれることが習慣になると、メインの食事であるフードを食べなくなってしまったりおやつの食べ過ぎで肥満になったりするリスクがあります。
犬におねだりされたときの正しい対処法は?
愛犬がおねだりをしてきたら、その場で正しい対応を取ることが重要です。また、おねだりをしなくなるように、普段から愛犬をしつけておきましょう。
その場での対処法
おねだりをされても、それに応えてすぐにおやつをあげるのではなく、お座りなど飼い主からの指示を出します。指示をきちんと達成できたらご褒美としておやつをあげるようにしましょう。
おねだりをやめさせるために必要なしつけ
「おすわり」「待て」「おいで」など基本的なしつけをどのような状況でもできるようにします。たとえば、おやつが欲しくて飼い主の手をがりがり前足でひっかいてしまうような子には、「待て」と声をかけてやめさせます。さらに、少し場所を移動してから「おいで」と声をかけ、おやつをあげるようにすると、少しずつ命令を覚えていきます。
犬が盗み食いをする理由は?
テーブルの上に置いてある人間用の食事を犬が食べてしまうことがあります。在宅勤務になり、そういう場面に出くわすことが多くなった飼い主もいるでしょう。どうして犬が盗み食いをするのか、その理由をご紹介します。
本能で食べてしまう
犬はもともと狩猟につかわれていた動物なので、狩猟本能があります。目の前に食べ物があるとつい狙ってしまうのです。
飼い主の不注意
盗み食いの原因は、飼い主の不注意であることが多いです。食べ物をテーブルの上など手(口)の届きやすい場所に放置していると、犬が興味を持ってしまいます。うっかり放置することがないよう、こまめに片付けましょう。
犬の盗み食いにはどんなリスクがあるの?
犬は学習能力が高い動物です。盗み食いを1回すると、その後も同じ方法でテーブルの上の物を食べたり、戸棚を開けて食べ物を探したりと、盗み食いを繰り返すようになってしまいます。また、飼い主が盗み食いに気づけていない場合は、喉に詰まらせたときに助けてあげることができません。人間にとっておいしいものでも、犬が食べると中毒を起こすものや腸閉塞を起こしてしまうような食品もあるので注意が必要です。
犬が盗み食いをしたときの正しい対処法は?
犬が盗み食いをしているのを見つけたとき、どんな対応をとればいいのでしょうか。その場での対処法と繰り返さないためのしつけをご紹介します。
その場での対処法
盗み食いの現場を見つけた場合は、大きな声をあげて一言叱ります。母犬が「ワン!」と怒るイメージです。盗み食いした後に発見したら、食べても構わないものの場合は無視してもいいでしょう。食べたものが中毒や腸閉塞などを起こす可能性がある場合には、すぐに動物病院へ行きましょう。できれば指で口から食べ物を抜き取れるといいですが、無理に抜き取ろうとすると、犬は食べ物を取られてしまうと勘違いして、逆に慌てて飲み込んでしまう場合があります。無理に取り上げようとはせず、まずは動物病院を受診しましょう。
盗み食いをやめさせるための対策
盗み食いは、犬が悪いというよりは、飼い主のミスであることが多いです。盗み食いされては困るものを手(口)が届くところに置かない、テーブルの上に置くときには椅子をテーブルにきちんとしまい、ステップのようにしてテーブルに上がれてしまう状況をつくらないよう、心がけましょう。
犬を飼っている人が在宅勤務をする時のポイントは?
在宅勤務で愛犬と一緒にいられるのは嬉しいけれど、ずっとかまってこられても困りますよね。きちんとしつけをして「おねだりをすれば欲求をかなえてもらえる」という犬の思考を変えないと、飼い主だけでなく愛犬にとっても在宅勤務がつらいものになってしまいます。そこで、おねだりや盗み食い防止のために在宅勤務をするときのポイントを以下にまとめました。
習慣をつくる
犬は決まった習慣で行動する動物ですので、毎日決まったルーティンをつくりましょう。たとえば、朝や夕方などの散歩の時間になると「早く行こう」と催促することがありますよね。あれも、「朝(夕)は散歩に行くもの」と犬が覚えているからです。在宅勤務の場合には、「いつかまう」「いつ遊ぶ」が犬にわかるよう、時間や場所、かける言葉を決めるようにしましょう。
犬専用の居場所をつくる
仕事をする部屋で犬と一緒にいるのなら、飼い主が仕事でかまってあげられないときに、犬が静かにくつろげる場所を設けてあげましょう。
おもちゃを用意してあげる
犬が退屈しないように、一人で集中して遊べるようなおもちゃを用意してあげましょう。おもちゃの中に詰めたおやつを探すものや、パズルのピースをスライドさせておやつを探すなどの知育玩具などがおすすめです。
通勤するはずだった時間をお散歩に
在宅勤務になり通勤がなくなったのなら、その時間を犬の散歩に当てて、少し長時間の散歩に出かけてみましょう。飼い主自身の運動不足の解消にもなりますし、犬としては一緒に散歩することで心身がリラックスします。また、仕事中に小休止を入れる際、少し犬と遊んであげると喜びます。
※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。