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かどのペットクリニック院長。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、特にこれらの分野は院内の診療の中でも力を入れている。
ふわふわで艶のある被毛が愛らしいチワワ。そんなチワワのカットは、体を清潔に保つために必要になる場合もあります。最近では、ライオンカットや豆柴風カットなどデザインも豊富で、チワワのカットに興味を持っている飼い主も多いでしょう。この記事では、チワワのカットスタイルやカットの頻度、注意点などについてかどのペットクリニック院長の葛野莉奈先生監修のもと詳しく解説していきます。
目次
- チワワにカットは必要?
- チワワのカットをするメリット・デメリットは?
- チワワのカットはどこでできる?
- チワワのカットの頻度は?
- チワワのカットの費用とかかる時間は?
- チワワのカットにはどんなスタイルがある?
- チワワのカットを自宅でする方法は?
チワワにカットは必要?
チワワの毛には1本1本に毛周期と呼ばれるサイクルがあり、定期的に抜け替わります。そのため必ずしもカットが必要なわけではありませんが、やわらかく長い被毛を持つロングコートチワワの場合はカットが可能です。硬く短い毛質のスムースコートチワワの場合は、カットをする必要は特にありません。
チワワのカットをするメリット・デメリットは?
チワワの被毛のカットには、見た目の愛らしさ以外にもメリットがあります。チワワのカットのメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
メリット
清潔な状態を保てる
毛量が多いとわきの下などが毛玉になりやすく、悪化すると毛がフェルト状に固まって皮膚を覆ってしまうことも。カットで全体を均一な毛量に整えれば、皮膚をより清潔に保てるようになります。
体に熱がこもりにくくなる
毛量が多い場合、夏場などは被毛の下で熱がこもり、体温が上がってしまうことがあります。全体的に被毛の量を減らしてあげれば、風通しが良くなり体温の上昇を緩和できるでしょう。
ブラッシングが楽になる
チワワの毛は細く絡まりやすいため、ブラッシングを嫌がる子も少なくありません。カットで被毛が短くなれば絡まりが減り、ブラッシングが楽になる可能性があります。
汚れがつきにくくなる
長い被毛だと、散歩のときなどに汚れを絡めとりがち。短くカットすれば汚れがつきにくくなり、もし汚れてもシャンプーしやすくなります。
蒸れや汚れが原因の皮膚病になりにくくなる
毛量が多くて定期的にシャンプーができない犬は、皮膚トラブルを起こしやすい傾向があります。被毛が短くなると蒸れが減るうえ、シャンプーなどのケアをしやすくなるため、皮膚トラブルの予防につながるでしょう。
デメリット
皮膚が紫外線や乾燥などの刺激を受けやすくなる
個体差はありますが、チワワの中には皮膚がデリケートな犬もいます。被毛に覆われていた皮膚が露出することで、紫外線や乾燥、エアコンの冷風などの刺激を受けやすくなり、皮膚炎につながってしまうかもしれません。
皮膚に傷がつくリスクが高まる
被毛には皮膚を守る働きがあります。しかし、カットによって皮膚が露出すると、寄生虫や物理的な刺激によって皮膚炎を起こしたり、傷ができたりすることも考えられるでしょう。
「寄生虫の予防薬を使っていれば心配ない」と考えがちですが、病院で処方されている駆虫薬は、血液中に薬の効果を発現させるもの。ノミやダニが一度吸血を試みて、薬の成分が含まれた血液に触れる必要があるため、ノミやダニによる吸血を完全に防ぐ方法ではありません。寄生虫に対してアレルギーのある場合などは、皮膚がむき出しになることは避けた方がよいでしょう。
季節や環境によって体が冷え過ぎてしまうことがある
被毛には体温を保ってくれる効果があります。そのため、カットで被毛を短くすると、冬場などの寒い時期は体温が下がってしまうことも。特に高齢の犬などは体温低下によって体力を消耗してしまうこともあるため、冬場のカットは控えましょう。カットをしなければならない場合は、洋服を着せるなど寒さ対策を行う必要があります。
元のような毛が生えてこなくなることがある
カットでバリカンなどの刃が皮膚に当たると、毛根に刺激が加わり、毛質が変わってしまうことがあります。特に、高齢の場合は毛周期が若い頃とは異なるため、一度切った毛が生えてこない可能性もあるでしょう。
ストレスを感じる
繊細な傾向があるチワワは、自分の体を触られることをストレスに感じる子も少なくありません。頑固な毛玉ができるなど、どうしてもカットが必要な事情がなければ、カットを控えた方がいい場合もあります。
チワワのカットはどこでできる?
チワワのカットはトリミングサロンや動物病院内のトリミング施設など、犬のトリミングの技術を持ったトリマーがいる場所でお願いしましょう。事前予約が必要なことも多いため、カットを希望する場合は、金額や予約システムなどについてあらかじめ電話で問い合わせておくと安心です。
チワワのカットの頻度は?
チワワの被毛をカットする頻度は子犬、成犬、シニア犬のいずれかによって異なります。年齢別のカットの頻度の目安をそれぞれ見ていきましょう。
子犬の場合
チワワの子犬は毛質がやわらかく、被毛のボリュームもないため、まだカットをする必要はありません。1歳くらいで全身の毛質が成犬のものに変われば、毛量を見ながらトリマーとカットが必要かどうかを相談し始めてもよいでしょう。
成犬の場合
毛量が少なければ頻繁なカットは不要ですが、毛量の多い子であれば、数ヶ月に1度は毛の長さを整えたり、バリカンをかけたりする必要があるかもしれません。
デザインカットをしている場合、前回のカットから1ヶ月が経つ頃には、被毛の生え替わりのバランスで綺麗な形がキープできなくなっている可能性があります。その際は、トリマーと相談しながらカットの頻度を決めましょう。
シニア犬の場合
加齢によって栄養吸収や代謝に変化が起こる老犬は、若い頃とは被毛の毛周期が変わることも。毛を一度カットすると、それ以降はあまり伸びたり生え替わったりしなくなることがあります。あえてカットの頻度を決めず、長い毛が目立ってきたときにカットすることをおすすめします。
トリマーは犬の皮膚や被毛の専門家のため、いつも同じトリマーにカットをお願いしている場合は、毛周期を把握してくれているかもしれません。愛犬の体に負担がかからないトリミングの頻度を相談してみるとよいでしょう。
チワワのカットの費用とかかる時間は?
愛犬をカットに連れて行く前に料金とカットにかかる時間を確認しておきましょう。
料金
トリミングサロンによって異なりますが、チワワのカットにかかる料金は4,000~5,000円程度と言われています。デザインカットの場合は施術により時間がかかるため、価格も高くなるでしょう。愛犬をカットに連れていきたい場合は、施術を受けさせたいトリミングサロンに問い合わせてあらかじめ金額を確認しておくと安心ですよ。
かかる時間
チワワは毛量がそれほど多くない犬種のため、カット自体は長時間にはなりません。しかし、ほとんどのトリミングサロンではカットとシャンプーがセットになっているため、1時間以上はかかる可能性が高いでしょう。愛犬がカットを嫌がる場合はさらに時間がかかることもありますし、担当するトリマーの技術によっても所要時間は前後します。
所要時間が気になる場合は、愛犬を預ける際にかかる時間の目安を確認しておきましょう。愛犬が高齢などの事情があり、短時間で済ませてほしい場合は、事前に要望を伝えておくことをおすすめします。
チワワのカットにはどんなスタイルがある?
チワワのカットにはスタンダードなものから、デザイン性の高いものまで、さまざまな種類があります。それぞれのスタイルの特徴と、オーダーする際の注意点を押さえておきましょう。
サマーカット
被毛を短くカットして風通しを良くするカットスタイルです。皮膚が露出することで涼しくはなりますが、紫外線や直射日光が直接皮膚に当たり、皮膚の温度自体が上昇する恐れがあるので注意が必要です。
飾り毛カット
耳の飾り毛を残してカットする飾り毛カット。まるでパピヨンのように耳が大きく見えるため、可愛らしい小顔を演出できます。飾り毛カットはどんな毛質の子でも可能ですが、ハサミを使って施術するため、時間がかかる可能性があるでしょう。体を触られるのが嫌な犬にとっては、負担になってしまう可能性があります。
ライオンカット
尻尾の先端と首から頭にかけてのみ毛を残し、残りをかなり短くカットしてまるでライオンのような見た目になるカットスタイルです。サマーカット同様夏の定番スタイルと言えるでしょう。ただし、こちらも皮膚に直射日光や紫外線が当たりやすいため注意してくださいね。
豆柴風カット
豆柴をイメージした短く丸みのあるカットスタイルです。理想的な丸みを出すには毛量が必要なため、毛量が少ない子には難しいかもしれません。ハサミを使ってカットするため時間がかかりやすく、体を触られるのが嫌な犬にとってはストレスになる可能性があります。
アンチエイジングカット
子犬のようにふっくらとしたフォルムに仕上げるアンチエイジングカット。比較的どんな毛量の子にも適しているカットです。ただし、こちらもハサミを使ってのカットになるため、体を触られるのを嫌がる犬の場合は避けたほうがよいかもしれません。
ミッキーマウスカット
耳の部分の毛を丸く切るカット。耳周りのみのデザインカットのため、体の毛を整えなければ短時間で施術が済むというメリットがあります。
ナチュラルカット
全体の長さを整えるカット。施術が比較的短時間で済み、負担がかかりにくい傾向があります。
チワワのカットを自宅でする方法は?
チワワは被毛があまり長くないため、バリカンなどを用いて自宅でカットできる犬種です。しかし、毛に覆われた皮膚は見えづらく、ハサミやバリカンでケガをさせてしまうリスクも。本格的なカットは、トリマーのようなプロにお任せしましょう。
ただし、長さを整える程度の最低限のお手入れは自宅でも可能です。自宅でカットしたい場合は、必要な道具や手順、注意点を知って準備しましょう。
用意するもの
- コーム
- すきバサミ
- バリカン
セルフカットの手順
体
胴体部分の毛はバリカンを使ってカットしましょう。毛の流れに沿って一方向にバリカンをかければ、表面がボコボコすることなく綺麗に仕上がります。
顔周り
耳の下など、毛の長い部分はハサミでカットします。この際、ハサミで皮膚を傷つけてしまわないよう、目で見て確認しながら慎重に整えましょう。
足裏
肉球の間に生えている毛をバリカンで剃ります。肉球の間の皮膚は柔らかいため、バリカンの刃の当て方によっては傷をつけてしまう危険性も。胴体部分のバリカンとは違った、できれば刃先が小さく、細かい部分のカットに適したバリカンを使用しましょう。
セルフカットの際の注意点
カット後に皮膚を確認する
被毛と皮膚の境目がわかりにくいため、毛をカットしたつもりが皮膚を傷つけてしまっていたということもあります。カットが終わった後は、傷ができていないか全身をよくチェックしてあげましょう。
すきバサミを使う
飼い主がトリマーのようにハサミで綺麗なカットを目指すのは至難の業です。自宅でカットする際は、毛量を調節できるすきバサミを使いましょう。
毛の流れに沿って少しずつカットする
毛の流れに沿って少しずつカットを進め、全体のバランスを調整していきましょう。トリマーは頭の中に完成予定図を思い浮かべ、大胆にハサミを入れています。素人が真似をすると大失敗することもあり、想像とまったく違うスタイルになりかねません。