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運動の習慣は人間にとっても大切ですが、もともと狩りをして生きる動物だった犬にとっては人間以上に大切なものです。そこで、今回は愛犬と一緒に行い、より強い信頼関係の構築や運動機能の維持に役立つ「ドッグスポーツ」について、ドッグトレーナーである荒木勇希さんにご紹介いただきました。
目次
- ドッグスポーツとは?
- ドッグスポーツをするねらいは?
- ドッグスポーツに向いている犬種は?
- 代表的なドッグスポーツ1.ディスクドッグ
- 代表的なドッグスポーツ2.アジリティ
- 代表的なドッグスポーツ3.フライボール
- 代表的なドッグスポーツ4.ドッグマラソン
- 他に人気のあるドッグスポーツは?
- ドッグスポーツの練習方法は?
- ドッグスポーツの大会にはどれくらいで出られるようになる?
ドッグスポーツとは?
一般的にドッグスポーツとは、犬が主体となって行う運動のことを指します。ハンドラー(犬とペアとなる人間)が参加するスポーツと犬だけで行うスポーツがありますが、今回は飼っている犬にチャレンジをさせたいドッグスポーツということで、ハンドラーが参加できるものを中心にご紹介します。
ドッグスポーツをするねらいは?
ドッグスポーツでは、犬本来の能力(本能)を刺激して欲求を満たしほかにも、ストレス発散をはかり、愛犬の精神面でも肉体面でも健康の増進・維持効果が期待できます。また、一緒に楽しむドッグスポーツを通じて飼い主と愛犬がコミュニケーションをとることで、犬と人間のあいだにより強い信頼関係を築くことができます。
ドッグスポーツに向いている犬種は?
種目によっても異なりますが、一般的に「ワーキンググループ」に属する犬種が向いているとされています。FCI(国際畜犬連盟)の分類では、主に1G(牧羊犬・牧畜犬)や2G(使役犬)に属する犬がそのグループに該当します。特に、今回ご紹介する4つのドッグスポーツに向いているのは以下の犬種です。
・ディスクドッグ…ボーダーコリー、ラブラドールレトリバーなど
・アジリティ…ボーダーコリー、ラブラドールレトリバー、ジャックラッセルテリア、シェットランドシープドッグなど
・フライボール…ボーダーコリー、ウィペット、グレイハウンドなど
・ドッグマラソン…スタミナのある犬
いずれの場合も、ハンドラー(飼い主)との相性や、ハンドラーが犬をコントロールを出来る様にトレーニングを十分積む必要があります。
代表的なドッグスポーツ1.ディスクドッグ
ディスクドッグとは、ハンドラーが投げたディスクを犬が空中でキャッチし、その得点を競うドッグスポーツです。ディスクの定義は「プラスチック製の円板状のもの」となっていますが、大きさや重さは競技の運営団体によって異なります。競技の種類は「フリー部門」と「ディスタンス部門」の2種類があり、それぞれ以下のような特徴があります。
フリー部門
一般的に長方形のコート内で行われ、60〜120秒の競技時間内で、音楽に合わせて踊るように行われる競技です。ハンドラーはディスクを犬がジャンプして高い位置でキャッチしたり、回転しながらキャッチしたりするように狙って投げます。フリップ系・ボルト系などさまざまな技があり、キャッチ率や技の出来栄えによって採点され、最後に得点を競います。
ディスタンス部門
ポイントエリアとスローイングエリアで分けられた専用のコートで行われ、競技時間は60〜90秒で設定されることが多いです。ポイントエリアは、スローイングエリアから遠くなるほどポイントが高くなるように区切られていて、多くは0〜10ポイントのポイントが割り当てられています。
代表的なドッグスポーツ2.アジリティ
アジリティとは、ハードルやトンネル、不安定な足場などいくつかの障害を超えてハンドラーとともにゴールを目指す、いわゆる障害物競争です。ハンドラーは犬がコースを間違えないよう併走して指示を出すので、犬とハンドラーの息がぴったり合っていることが重要になります。
こうした競技の性質から、テレビでも取り扱われることが多いドッグスポーツです。FCIのルールでは、犬の大きさによってスモール・ミディアム・ラージの3種類のカテゴリがあり、さらにコースの難しさによって3段階に分けられています。
代表的なドッグスポーツ3.フライボール
フライボールとは、直線のコース上に並べられた4つのハードルを超えた後、フライボールボックスという装置のステップに乗り、飛び出してきたボールをキャッチし、再び4つのハードルを超えてスタート地点まで戻る競技です。ハンドラーはスタート地点から指示を出しますが、スタートラインを超えて指示を出してはいけません。
ハンドラーと犬のペアごとに時間を競うタイムトライアルと、ハンドラー4人と犬4頭がチームを組むチーム対抗の2つの形式があります。チーム対抗の場合は上記の流れをリレーで行い、先に4頭すべてが走り終えたチームの勝ちと判定します。この勝負を3回行い、先に2勝したチームの勝利です。
代表的なドッグスポーツ4.ドッグマラソン
ドッグマラソンとは、ハンドラーと犬が一緒にマラソンを行うシンプルなドッグスポーツです。ヨーロッパの大会では21kmのハーフマラソンを走りきるようなものもありますが、日本では一般的に1〜3kmの距離を走ります。犬のペースを考えることは大前提ですが、本気で走ってタイムを測るのもよし、無理せずゆったりと走るもよし、途中から歩くもよしのそれぞれに合った進め方で行えるスポーツです。
そのため、愛犬と出かける機会がなかなかない人や、愛犬との信頼関係を深めたい人、適度な運動で自分も愛犬も健康を保ちたい人などに向いています。大会本番だけでなく、愛犬と一緒に練習することでさらに良い関係が築けたり、健康の維持に役立ったりするでしょう。
他に人気のあるドッグスポーツは?
特に海外では、しつけのレベルアップを図りながら飼い主と犬が楽しむオビディエンス(服従)競技、鼻(嗅覚)を使った仕事や遊びを指すノーズワーク、牧羊犬としての仕事に必要な能力を競うシープドッグトライアル、プールへ勢いよく飛び込んでいき、その飛距離を競うスプラッシュ、ロープ遊びやフライングディスクなど多様な使い方が出来る道具を使うプラー、ドッグダンス、足跡追求・服従・防衛の3種目からなるIGP(訓練競技)、ルアーなどの擬似餌を追いかけて走るコーシングなどが人気です。
ドッグスポーツの練習方法は?
それぞれのドッグスポーツは、以下のように練習するのがおすすめです。
・ディスク…犬のキャッチング練習と、ハンドラーのディスクを投げる練習が中心です。個人で練習することが多くなります。
・アジリティ…犬が各障害をこなす練習、ハンドラーがコースを攻略するためにハンドリングを行う練習をします。ほとんどはスクール・クラブなどに所属して練習することになります。
・フライボール…ボックスから出てくるボールをキャッチする練習や、障害をジャンプする練習、呼び戻しの練習などを行います。これもアジリティと同様、チームやスクールに所属して練習します。
・ドッグマラソン…通常の散歩と同じように行います。それぞれのプレイスタイルにもよりますが、ハンドラーが軽く走る練習をしても良いでしょう。
ドッグスポーツの大会にはどれくらいで出られるようになる?
ドッグスポーツの大会に参加するためには、基本的なトレーニング(離れて待てること、呼んだら戻ってくること)、服従訓練などが必要になります。その他、それぞれの競技や運営団体によってルールが異なりますので、各団体のホームページを確認してください。クラスによっては、ビギナークラスやノービスクラスの初心者レベルや、1〜3度クラス(昇格制度あり)などがありますので、自分に合ったクラスを選びましょう。
<ディスクドッグ>
NDA…ナショナルディスクドッグアソシエーション
JFA…日本フリスビードッグ協会
など
<アジリティ>
JKC…ジャパンケネルクラブ
OPDES(オプデス)…犬の総合教育社会科推進機構
など
<フライボール>
JKC…ジャパンケネルクラブ
JFPS…フライボール育成協会
など
<ドッグマラソン>
企業、NPO法人などさまざま。開催期間は3月〜5月が多い。
※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。