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目次/ INDEX
キッチンや浴室、玄関など、家のあちこちで金属に発生する「サビ」。普段どおりの掃除ではなかなか落ちないしつこいサビに、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、家庭で簡単にできるサビ取りの方法をご紹介します。住宅洗剤の開発やクリーニングを手掛ける、株式会社允・セサミの代表取締役・山口崇翅さんに、身近な物を使ってできるサビ取りの方法から、サビ取り専用剤の使い方、サビの予防法まで、プロの技を伝授していただきました。
金属にサビが発生すると、見た目が悪くなる上、使いにくくなったり壊れやすくなったりすることもあります。そもそも、鉄をはじめとする金属は、なぜサビるのでしょうか。
サビが発生するのは、金属が酸素や水に反応する「酸化」が原因。一般的には、サビる前の金属が「元の状態」で、そこにサビが発生すると「不自然な状態」になったと思われがちです。しかし、山口さんによれば、「鉄がサビるのは、金属としての元の状態に戻ろうとしているから」だと言います。
サビが発生する金属は、鉄だけではありません。日常生活の中で目にするサビには、主に下記のような種類があります。
サビの中でも、目にする機会が多いと思われるのは赤サビです。鉄が酸素や水にふれて酸化することで発生します。
銅が酸化すると、緑青(ろくしょう)と呼ばれる青緑色のサビが発生します。お寺の屋根や10円玉などでよく見られます。
アルミニウムには、空気中で酸化被膜を作る性質があります。酸化被膜を生成する過程で発生する、白色のサビのようなものが白サビと呼ばれます。
ステンレスなどのサビにくい金属や金属ではない素材でも、空き缶やヘアピンなどの金属を放置したり、鉄粉などが付着したりすると、そこからサビが発生することがあります。このようなサビを、もらいサビといいます。
家の中のサビは、毎日の掃除で簡単に除去することができるため、専用のサビ取り剤を使用する前に、まずは家庭にある物でサビを落としてみましょう。身近にある物を使ったサビ取りの方法を、山口さんに教えていただきました。
使い終わった歯ブラシか布に歯磨き粉をつけて、サビのある部分をこすります。歯磨き粉に含まれている研磨剤が、サビを削り落としてくれます。
重曹をサビにそのままかけるか、少量の水を足してペースト状にしたものをサビにつけ、食器用スポンジなどでこすります。二層構造のスポンジの、ざらざらした目の粗いほうでこすりましょう。
クエン酸も重曹と同様、サビにそのままかけるかペースト状にしたものをサビにつけて使います。食器用スポンジなどでこすってサビを落とします。
山口さん
「家にあるものでサビ取りをするときは、つけ置きをしても効果はありません」
ご紹介したサビ取りの方法は、いずれも金属の表面を研磨してサビを削り落とすものです。普段、口に入れる歯磨き粉や、食品添加物にも使われる重曹、クエン酸は、化学反応を起こすほどの強い洗浄力は期待できません。ですから、サビに塗ってしばらく置いても、すぐにこすっても、サビ取り効果はあまり変わらないんですよ。
家にある物では落とせないサビや、発生してから時間が経ってしまった頑固なサビには、専用のサビ取り剤を使いましょう。
家庭用のサビ取り専用剤にはさまざまな製品があり、大きく「研磨」タイプと「還元」タイプの2種類に分けられます。それぞれの特徴を山口さんに伺いました。
サビを研磨剤で削り落とすタイプのサビ取り専用剤は、歯磨き粉や重曹などと仕組みは同じです。しかし、研磨剤の作用が強い分、サビ取り効果は高くなります。
<研磨タイプの主なサビ取り専用剤>
サビが発生する原因は、金属の酸化です。還元タイプのサビ取り専用剤は、酸化した金属を金属と酸素に分解するため、たわしやスポンジでこすったり、水で流したりするだけでサビが落ちやすくなります。
還元タイプのサビ取り専用剤は「還元剤」とも呼ばれ、多くは液体状になっており、サビに直接かけてサビを落とします。
<還元タイプの主なサビ取り専用剤>
山口さん
「還元剤と潤滑剤は違います」
スプレータイプの製品の中には、還元剤ではなく潤滑剤で滑りを良くする物があります。そのような製品では、化学反応によってサビを除去することはできないので注意しましょう。
サビ取り専用材は強力な洗剤のため、使用方法を誤ると事故につながることもあります。使用する際には保護具をつけたり、換気をしたりするほか、使用上の注意をよく読んでから使用してください。
山口さん
「サビ取り専用剤を使うときは手の保護、換気に気をつけましょう」
サビ取り専用剤を使用するときは、必ずビニール手袋などの保護具をつけましょう。また、化学反応を起こす還元剤は、どうしてもにおいが出ます。サビ取り専用剤の使用中は換気をし、使用後は水でしっかりと洗い流してください。
また、還元作用によって酸素が抜けるのは一時的なものなので、サビ取り専用剤をかけた後に放置すると、再び酸素と結合してサビてしまいます。還元剤の中には金属から酸素が抜けると変色するものもあるので、色が変わっているあいだにこすり洗いをして、サビを落としましょう。
ここでは、実際にサビ取り専用剤の使用方法の手順について、写真つきでわかりやすく説明していきます。
キッチンのシンクにできたもらいサビに、還元剤を直接スプレーします
サビと還元剤が化学反応を起こして、紫色に変化します
サビの色が変化しているあいだに水で流します。必要であれば歯ブラシやたわしなどでこすり洗いを
ここからは、家庭でよく発生するサビへの具体的な対処法を見ていきましょう。効果的なサビ取り方法とサビの予防策について、山口さんにアドバイスをしていただきました。
シンクやガス台のサビ取りにおすすめなのが、還元タイプのサビ取り専用剤とこすり洗いの合わせ技です。サビ取り専用剤をかけて還元が始まったら、ナイロンスポンジやメラニンスポンジなどでこすってサビを落としましょう。
還元剤でサビを落として水で洗った後に、歯磨き粉やサビ取りクリームなどで仕上げ磨きをすると、サビがつきにくくなります。
山口さん
「キッチンを乾きやすい状態にしておくとサビが発生しにくくなります」
キッチンのサビを予防するには、シンクはこまめな掃除を心掛けて、普段から乾きやすい状態にしておいてください。また、ガス台は、脚のビス(小さいネジ)からサビが広がってしまうことも。脚の下に珪藻土のコースターなどを敷いておくと、サビの予防に役立ちます。
浴室のサビはほとんどが、もらいサビです。多いのは、ヘアピンや化粧品の缶、シェービングフォームの缶などの跡が、茶色いサビとして残ってしまうケース。サビが軽ければ歯磨き粉でこするだけでも取れますが、落ちない場合は専用のサビ取り剤を使いましょう。
また、浴室にある意外なサビが、銅製の追い炊き配管のサビです。浴槽の内側に茶色っぽい跡ができている場合、配管内のサビが流れ出て付着している可能性があります。そんなサビも、浴槽に還元剤をかけてこすればきれいに除去できます。
山口さん
「浴室には金属を置かないように注意しましょう」
浴室のサビ予防に大切なのは、もらいサビの元になるものを置かないことです。浴槽のふちや洗面台に化粧品やスプレーの缶などを置いている人は、別の場所に移動させましょう。
傘立てや自転車の空気入れ、工具入れなどを玄関に置いていると、気づかないうちにサビがタイルなどに移っていることがあります。また、屋外では、雨どいの蛇腹部分にもサビが多く見られます。
玄関周りのサビは、ペースト状のサビ取り専用剤を使うとぬぐい取るのが大変なので、液体タイプの還元剤がおすすめです。サビが発生しているところにサビ取り液をかけてから水で洗い流し、最後に水気を拭き取りましょう。
山口さん
「玄関周りの水分を拭き取ってサビを予防しましょう」
玄関周りのサビを予防するには、まず、サビの原因になる水分をしっかりと拭き取ることが重要です。その上で、コーティング剤を塗るとサビを防いでくれます。コーティング剤にはシリコン系とガラス系の大きく2種類がありますが、べたつきを避けたい場合はガラス系の物がおすすめです。
自転車のサビに悩まされている人は多いのではないでしょうか。屋外に保管されることが多く、風雨にさらされる自転車のサビは、キッチンや浴室に比べて落としにくいものです。特に、チェーン周辺はスプレーして滑りを良くするだけでは、根本的な解決にはなりません。
サビている部分に合ったサビ取り専用剤を使って、しっかりサビを取りましょう。
山口さん
「自転車はサビをしっかり取った後、グリスなどを塗ると快適に動きます」
自転車のチェーンなどにサビが発生すると、動きが悪くなったり、耳障りな音が発生したりしてしまいます。そういうときは、サビている部分に還元剤をかけて、サビをしっかりとこすり取りましょう。その後にグリスを塗ると、快適に動かせるようになります。
軽いサビなら家にあるものでも簡単に落とすことができますが、放置して落ちにくくなってしまったサビは、やはりサビ取り専用剤の力に頼ったほうが安心です。
サビ取り専用剤には、サビをこすって削り落とす研磨タイプと、化学反応で酸素を分離させる還元タイプがあります。サビの程度や範囲に合わせて使い分けるといいでしょう。
山口さん
「実は鉄がサビるのは、鉄本来の状態に戻ろうとする現象です」
鉄の原料になる鉄鉱石は、元々酸素と結びついた「酸化鉄」として自然界に存在しています。それを高温で熱して酸素を取り除いて、「鉄」を作るため、実は鉄にとって、酸素とくっついているほうが自然な状態なんです。そして鉄は、常に元に戻ろうとする、つまり酸素とくっつこうとする性質があります。鉄がサビるのは、特別な何かが付着するからではなく、酸化して本来の姿に戻ったということなんです。