【速報】沖縄のジャングルから「ターザン」を発見! 「単身赴任先、森」の男に直撃してみた
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シュレッダーと言えば、紙屑を収納する受け箱があるために大きく、オフィスの一角に置かれた動かない機器。そんなイメージを持っている人も多いかもしれない。
個人情報保護をめぐる規制はますます厳しくなっており、ハガキ一枚、手書きのメモ一つすら疎かにできない時代。そんな情報漏洩が許されない今、さらに身近なハンドシュレッダーも欠かせないアイテムになりつつある。
2003年に公布された「個人情報の保護に関する法律」に合わせて、いち早く同年にパーソナルシュレッダー市場に参入したのが東京と大阪に本社を置くナカバヤシ株式会社だ。事業戦略部広報IR室リーダーの大西優歩さんは、主力の「ハンディシュレッダ クルッキル」の特長についてこう話す。
「まずコンパクトな本体サイズであることが一番の特長になるかと思います。使わないときは机の上や隙間に立てて置いたり、引き出しの中に収納できたりします。手回し式で簡単かつラクに操作できる点も評価をいただけています」
このアイテムがリリースされたのは2010年。ターゲットは「若手の社会人」に絞ったという。
大阪市中央区にあるナカバヤシ株式会社の本社入口
開発時の2009年当時は、SNSが流行する前だったこともあってダイレクトメールが大量に個人宛に届いた。また、携帯電話等の明細も紙で受け取る人が多く、細かい書類を日常的に裁断する必要に迫られていた。文字を隠すスタンプやシュレッダーハサミはあったが、さらに広い面を手軽に処理したいというニーズはあるとナカバヤシは踏んだ。
「この開発時に意見が割れたのが、細断屑を溜めておくダストボックスを付けるかどうか、でした。社内の一部は付けるのが当たり前という考えでしたが、若手はそうでもない。そこで、30台ほどの試作機を実際に若手社員に渡して、使ってもらうことにしたんです」
実際の業務のなかでモニターしてもらってわかったのが、ターゲット層である若手社員が圧倒的にダストボックスなしのコンパクト型を支持したことだった。その声が思いのほか多く集まったこともあって、躊躇わずに商品化することが決まったという。
安全性を追求しながらスマートな外観を実現
「従来のシュレッダーは武骨なデザインが多く、機械を操作するイメージを持つ人が多い傾向にありました。そうではなく、スマートなデザインで日常生活でも手軽に使える文房具のような存在としてハンディシュレッダ クルッキルは発売されました」
「ハンディシュレッダ クルッキル」は発売されるや、狙い通りに多くのユーザーの心を掴んだ。ナカバヤシにも「収納場所に困らない」「デザインがスッキリしていて良い」という声が多数届いたという。そして、意外な反応も多く寄せられた。使い心地に関する好反応だ。
「切れ味の感触が気持ちいい、スイスイ切れるのが楽しい、クルクル回してストレスが発散できる。そんな使用時の感触に対して高評価をいただけました。紙を細断するという目的だけを考えると、備え付けのシュレッダーの方がパワーもあって効率はいいかもしれません。でも、気持ちよさや楽しさを感じたり、ストレスの解消にまでつながったりすることで愛着を持つ方が出るのは予期せぬことでしたね」
手応えの軽重と紙が進む速度のバランスなどの細かな最適化。歯車のてこの原理を操ったこの構造の追求が情緒的な価値まで生んでいた。そしてこの価値が口コミとなり、さらなるヒットになったという。