潮干狩り歴70年の超人から潮干狩りに必要な持ち物、時期、場所、注意ポイントを超伝授された
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数年前から、自室の空間に「喫茶 あまやどり」と名前をつけて、そこで珈琲を飲んだり、自分の作った食事を食べる場所として楽しんでいます。「あまやどり」と名付けた意味は、私にとって純喫茶へ行く行動がそうであるように、物質的な雨から逃げるのはもちろん、気持ちを雲が覆ってしまったときなどに、わずかな時間でも逃げ込めるような場所を常にもっておきたいという願いから。
元気なときも、そうでないときも、その場所に佇んでいたらいつの間にか気持ちが晴れていた…。純喫茶のもつそんな力にこれまでの長い間もずいぶん助けられてきました。職場や学校などのよそゆきの顔をして過ごしている場所、または自宅以外の一時的な自分だけの空間と時間を欲したとき、いつも純喫茶を目指してしまうのです。
何度か通っていてお互い顔は知っているけれど、会釈だけして会話はしない関係、または、家族や友人ではない絶妙な距離感ゆえに心のうちを聞いてほしくなるような関係。純喫茶の魅力は、昭和の時代に建てられたモダンな建築、今では同じものを作ることが難しいであろうゴージャスな内装、お手頃な価格にも関わらず作り立ての食事を味わえるありがたさ、快適な室温の中でBGMや読書を楽しめる贅沢、いつでもフラットな接客で迎えてくださるお店の方たちのお人柄……。数えきれないほどあります。
そんな風に純喫茶のことばかり考えて日々を過ごしている中、「カインズ店内で買えるものたちを使用して自宅に喫茶空間を作る」という楽しそうなご依頼をいただきました。以前からカインズでは生活に役立ついろいろな雑貨を購入して愛用していたので、今回このようなお話をいただき、わくわくしています。
「喫茶 あまやどり」をパワーアップすべくカインズ朝霞店にお邪魔して、店内をぐるりと一周し、カートに入れたのは以下のものたち。
白いお皿1枚、ガラス皿3枚、ハイボールグラス、ビアグラス、耐熱ガラス製カップ、フォーク2本セット、パフェスプーン2本、レース柄のテーブルクロス、紙ナプキン、シンプルな卓上ライト、ミルクパン、小ぶりのフライパン、果物搾り器、アイスディッシャーです。購入したものをテーブルにずらりと並べてみると圧巻です。
純喫茶の定番メニュー、といって多くの方が思い浮かべるのではないかと思ったナポリタン、クリームソーダ、プリンを作ることに。レシピは自分が監修した著書『純喫茶レシピ』(誠文堂新光社)から。ナポリタンは梅屋敷にある琵琶湖のものを、プリンは虎ノ門にあるヘッケルのレシピをなぞっていきたいと思います。
まず、プリンを焼いていきます。
<材料>
■プリン液
■カラメルソース
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まず、グラニュー糖と水を入れてレンジで熱し、そこに熱湯を注いでカラメルを作り、ガラス容器に注いでおきます
次に、ボールにグラニュー糖、バニラエッセンスを入れ、そこに卵を割り入れ、泡だて器で手早く混ぜていきます
鍋で人肌より少し熱いくらいに牛乳を熱し、卵液をたえず混ぜながら熱した牛乳を加えてさらに混ぜ……
液を裏ごしし、ガラス容器に注ぎ、ラップをぴっちりとかけます
蒸し器の下段に熱湯を注ぎ、液の入ったガラス容器を乗せます
ふたをして最初の2分は強火、弱めの中火にして10分、さらに弱火にして8分蒸して……。プリンの中心に楊枝をさして何もつかなければ出来上がり。冷蔵庫で数時間冷やします。
作るのがとても久しぶりでその大変さをすっかりと忘れていたのですが、いろいろと思い通りにならず無念。カラメルを作るもイメージした硬さや色にならずなんだか薄い。卵液はいい感じだったのに、蒸し上がってカップから出してみたところ……。
側面がスだらけ!
ヘッケルンの森マスターが「生まれたての赤ちゃんの肌みたいにつやつやプルプルになりますように」と願いながら作っている話をよく伺っていたので、私も同じように念じながら火加減に注意していたにも関わらずこの結果……。
いつも何気なく注文して味わっている一品には、長年の経験や熟練したプロの技が凝縮されているのだとあらためて実感します。ただ、本のレシピの分量を守ったことによって見た目はよくないものの美味しかったのは不幸中の幸いでした。
プリンを冷やしている間にナポリタンを作っていきます
<材料>
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まず野菜たちを切ります。
ピーマン、玉ねぎを炒めてからひき肉を投入
一般的にはハムやソーセージであると思うのですが、「梅屋敷」のレシピではひき肉(できれば挽きたてが良いそう!)を使用するところが個性的。
麺はあらかじめ茹でておき、指定の時間が過ぎたら引き上げてボールに入れ米油をまぶしてくっつかないように混ぜておきます
野菜たちとひき肉にほどよく火が通ったら、麺を入れて具材を混ぜ合わせるように炒める
そのあとにケチャップを入れてよく炒めます
家庭用の火力では限界があるのですが、なるべく強火で
ナポリタンができあがりました
<材料>
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最後に大人も子供もときめいてしまうクリームソーダ。現在、お店で提供されているソーダには様々な色のバリエーションがありますが、やはり定番のメロン味の緑色を。今回は1人前と言うことで、1回分の使い切りとして売られている七色のかき氷シロップを選びました。何人かいるならば7色作ることも可能で楽しそうですね!
まず、グラスにシロップを入れてその上からロックアイスをグラスの八分目くらいの高さまで入れます
アイスクリームとディッシャーを準備しておき、開けたての炭酸水を勢いよくから注ぎます
ここで混ぜるときれいな緑色になりますが、今回は色のグラデーションを楽しむためあえて混ぜずにそのままにしています。
アイスクリームは溶けないうちに掬って、まるい形になったら素早く静かに炭酸と氷の上をめがけて落とします
最後に缶詰の赤いさくらんぼでおめかし
ぱっと色合いが華やかになったら完成です。
同時に運んだプリンも生クリームとさくらんぼで飾ります。
今回はハイボールグラスを使用しました。グラス下部の装飾がどこか純喫茶で見たことのあるグラスのように見えたのでした。
今回はこんな3品をご用意。これぞ「純喫茶の定番メニュー」です。
たった3品ですが、自分で作ってみるとなかなかの大変さ。調理の手順、出来上がるタイミング、アイスクリームを乗せるスピードなど、自分で食べる分には多少のことには目をつむってしまえば良いですが、誰かに提供するとなるとそうもいきません。純喫茶では、日々正確にたくさんのお客さまに素早く提供していることのすごさを改めて実感したのでした。
さて、まずはナポリタンを一口。ひき肉のボリュームによって食べ応えがあり、シャキッと炒められた野菜たちもケチャップに馴染んでいい感じです。
次にクリームソーダ。アイスクリームをいつ食べるか問題は、誰かと純喫茶に行ったときたまに出る話題です。私は先に食べてしまって、しゃりしゃりした部分を楽しんでからソーダを飲みます。かき混ぜるごとに色合いが変わっていくのも美しいですね。
最後にプリン。まずはそのまま。卵の味わいがしっかりしていて甘さもちょうど良いです。今回は蒸して作りましたが、焼いたらどのようになるか、その違いも気になるのでまた今度試してみようと思います。
とても楽しかったので、後日に別の組み合わせとして純喫茶でよく食べるメニューを作ってみました。ドライカレーと言われる炒めたカレーピラフと出会えると嬉しいオレンジの輪切りがグラスの縁に飾られたオレンジジュースという、自分でも好きなメニュー。
こちらでもナポリタンのときに使用した白い皿を使用します。オレンジは輪切り部分をあらかじめ切ってよけておいて、残りを購入した搾り器を使って新鮮な果汁を取り出します。まだ氷は入れず、適当なグラスに入れて冷蔵庫で冷やしておきます。
ドライカレーの具材はベーコンとアスパラ。適当な大きさに切ってバターで炒め、そこに白米と調味料(塩、コンソメ)を入れて味付けをして、最後にカレー粉を加えてよく炒めます。付け合わせのスープは時間短縮のためお湯を注ぐだけの既製品のもずくスープを利用しました。
前回はアイスクリームなど溶ける可能性のものがあり、時間とのたたかいで撮影を行ったため、せっかく購入したテーブルクロスを敷くのをうっかり忘れてしまいました。
ですので、今回はあらかじめ敷いておいてから作ったメニューを配置します。テーブルクロスを敷くと、純喫茶と言うよりはどこかレトロな洋食店のようにも見えますが、これはこれで好きな感じです。
今回使用したテーブルや椅子、紙ナプキン入れやシュガーポットは、かつてお邪魔してお世話になった純喫茶が悲しくも閉店してしまうときに譲り受けたものたちです。テーブルと椅子は元住吉 「らんぷ」のもの、シュガーポットと紙ナプキン入れは神田 「カスタム」のもの。そちらにカインズで購入した卓上ライトを置いてみると、どこか懐かしい喫茶店らしい雰囲気が出ます。
撮影したのは日中の明るい時間だったため、卓上ライトをつけると明るすぎてしまったので撮影時は消しましたが、夕方にこの部屋で珈琲を飲むときに灯してみたらとても良い雰囲気で癒されました。
このような感じで、カインズ店内をぐるりと回って見つけたものたちを使用するだけで、いつもの自宅ごはんがどこかの純喫茶にいるような雰囲気になります。
もちろん、出かけられるときにはその場所で出会ったいろいろな純喫茶をめぐることをお薦めします。そこでしか食べられない味を堪能し、内装や雰囲気、お店の方たちとの会話などを楽しむことは自宅ではできない体験ですから。そして、そのときの記憶を思い浮かべて、自分なりになぞって再現してみるのも素敵ですね。
皆さまもご自分の部屋に架空の名前をつけて、喫茶空間を作って愛でてみるのはいかがでしょうか?