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片手だけで取りたいというニーズは確かに存在する
トイレに入って用を足した後、トイレットペーパーを取る。
多くの人にとっては意識もしないようなあまりに日常的な動作だが、実はこのとき多くの人が両手を器用に使って事を成している。もし片手だけでトイレットペーパーを取ろうとすると、紙を出したりちぎったりする際に意外と手こずることがわかるに違いない。
愛媛県西条市にある株式会社クリンペット・ジャパンは、片手で取れるトイレットペーパー(ワンカット)と紙を入れる容器(トイレホルダー)を製造・販売。一般家庭をはじめ、介護施設や病院、商業施設などで展開している。代表取締役社長の井川 真一さんにこの商品について話を聞いた。
「片手で取れるトイレットペーパーを便利と感じる世代は、主に高齢者や幼児です。これらの世代の人にとって便利な商品であることは、それ以外の世代にとっても便利ということ。すなわち、ワンカットトイレットペーパーは、お年寄りから幼児まですべての人に使いやすく優しい商品であると考えています」
2011年に発売されたワンカットトイレットペーパー。開発のきっかけは井川社長のお父様の病気だった。そして、セールスの際に意外な需要に気付いたという。
ホルダーは途方もない試行錯誤の末にようやく誕生した(JANコード:4964402400928)
「ある日、私の父が脳梗塞を患ってしまい、片手に麻痺が出ました。色々と日常生活に支障が出てくるなか、トイレでも問題が発生しました。片手だと思うようにトイレットペーパーを取り出すことができないのです。ロールのトイレットペーパーだと両手ではないとカットが難しい。片手で使えるトイレットペーパーがあれば使いやすいのに、と考えて開発することにしました」
早速、井川社長は紙とホルダーの開発に着手。紙は「流せるティッシュペーパー」のようなロールではないカット紙でいいと考えて困らなかったが、ホルダーの開発には難儀したという。
「1枚1枚スムーズに紙が出てくるよう、紙の出口などを何度も修正しながら開発しました。とにかく失敗を繰り返しましたね。容器に引っかかって破れたり、紙の残り枚数が少なくなると一気に出てきてしまったり。ある程度問題解決したので発売しましたが、まだ現状で完璧とは思っていません」
開発時、選択肢は無数にあった。どれくらい紙の枚数が収納できたらよいか、紙質はどういったものがよいか、ホルダーの強度や色など様々な選択の末に商品化されることになった。当時、日本には片手で取れるトイレットペーパーがなかったため、少しだけ存在した海外の商品も参考に作ったという。
製紙産業が盛んな愛媛県西条市に本社を構えている
自身のお父様の病気がきっかけで誕生したワンカットトイレットペーパーとホルダー。当初は当然、介護向けに販売をしていたが、思わぬ世代に大きなニーズがあることが何気ない会話から発覚した。このときのことを井川社長はこう振り返る。
「寿司屋で女将さんと会話をしていたとき、“うちは孫がロールのトイレットペーパーを使えなくて”と話してくれたんです。そこでリサーチをしてみると、幼児が実際にロールのトイレットペーパーを上手に使うことができず、必要以上に紙を出して流してしまうためトイレ詰まりが頻発していることがわかりました。ある幼稚園ではトイレ詰まりで実に年間50万円以上の修理費用がかかっていました」
介護施設向けに加えて、新しい販売先を見つけた井川社長は幼稚園や保育園を対象にした商品作りや営業をするようになった。
「実際に営業をしてみると、介護向けよりも幼稚園や保育園の方が反響が大きかったほどです。50万円の修理費用がかかっていた幼稚園に導入してもらったところ、トイレ詰まりが解消したそうで大変感謝されました。私としても大きな自信を得ることができました」