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コクゾウムシを寄せ付けない対策と発生した場合の簡単な駆除方法

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監修者:岩田泰幸

監修者:岩田泰幸

公益財団法人文化財虫菌害研究所・研究員。仕事では文化財害虫や食品害虫の生態を調べるとともに防除対策などの助言等を行っているが、ライフワークとしては水生昆虫の生息環境や生活史を研究している。コクゾウムシについては、高温や低温への耐性などを調べている。

コクゾウムシは漢字で「穀象虫」と書く、体長3mmほどの黒い甲虫です。遠目にはオスのカブトムシのように見えるかもしれませんが、その名のとおり穀類が大好きで、お米やトウモロコシなど乾燥したでんぷん質を多く含む種子を主に食害します。どこからともなくやって来て、気がつくと米びつや米袋の中に住み着いている厄介な害虫です。

そこでこの記事では、コクゾウムシの特徴や生態にフォーカスしたうえで、発生を防ぐ予防と対策を詳しく解説します。一度住み着かれると駆除するほかないため、コクゾウムシを効率的にやっつける方法についてもまとめました。ぜひ最後までお読みいただき、大切な食品を守る際の参考にしてください。

コクゾウムシってどんな虫?

コクゾウムシってどんな虫?

分類 コウチュウ目(鞘翅目)・オサゾウムシ科
学名 Sitophilus zeamais Motschulsky [Dryophthoridae]
分布 日本を含む世界各国
外見の特徴 ・赤褐色や黒褐色の体色
・上翅に2対の赤色紋がある
・口吻が突出している
食性 米、麦、トウモロコシなどの穀類(加工食品を含む)
寿命 成虫で約100日(成虫で越冬すると200日以上になることもある)

コクゾウムシはオサゾウムシ科に属するゾウムシの一種です。日本を含む世界中に生息しており、発生場所周辺の野外や麦畑などでも確認されることがあります。

外見の特徴

甲虫特有の硬い上翅を持ち、一見すると小さなオスのカブトムシのようですが、角のように伸びているのは「口」です。イネ科穀類の大害虫であり、多くの人にとって厄介な存在でしょう。

外見上の最大の特徴は、角のように突き出た口吻(口先)です。鋭くて硬く、鳥のクチバシのような器用さも備えており、穀物に穴を開けて食害します。

体長が約3mmと非常に小さく、目視で見つけるのはなかなか大変です。幼虫は白いウジ虫状の形をしており、主に米の中(内部)にいるので特に見つけにくいといえます。

食性

別名「コメムシ」「ムギムシ」とも呼ばれており、特にお米を食害することで有名です。麦や豆などの穀類やトウモロコシのほか、乾麺、マカロニ、切芋といった加工食品を食べることもあります。そのため、米をはじめとする餌が大量に貯蔵されている穀物倉庫や民家は、コクゾウムシにとって楽園のような場所といえます。

ライフサイクルと寿命

コクゾウムシは越冬できるため年間を通じて見られますが、動きが活発になるのは気温が高くなる時期です。

岩田泰幸プロフィール画像

岩田さん

成虫は鋭く硬い口吻で穀物に穴を開け、食害するとともに卵を産み付けます。1年間で発生する世代の数は、九州で4~5回、東京で3~4回、北海道で1~2回といわれています。1匹のメスが生涯で産む卵の数は通常100個前後ですが、条件が良いと270~580個になるといわれています。たった数匹のコクゾウムシの侵入を許したばかりに、1年を待たずに大繁殖してしまう恐れがあります。

孵化した幼虫はそのまま穀物の中(内部)で成長し、蛹を経て成虫となります。産卵から成虫になるまでの期間は高温期で約1か月です。気温が15℃を下回る寒い時期には繁殖できません。コクゾウムシを目にするのは気温が上がってくる3~4月以降になってからが多いでしょう。

成虫になっても引き続き同じ場所で生活しますが、餌場を求めて長距離移動することもあります。成虫の寿命は約100日ですが、成虫で越冬する個体は200日以上も生きるといわれています。

コクゾウムシの近縁種と同様に注意すべき害虫

コクゾウムシの種類

日本で見られるコクゾウムシ類は主に3種類です。一つ目は「コクゾウムシ」呼ばれる体長3mmほどの種類で、もう一つは体長が少し小さいもののとてもよく似た姿をしている「ココクゾウムシ」です。また、輸入穀物から「グラナリアコクゾウムシ」がしばしば発見されます。

岩田泰幸プロフィール画像

岩田さん

コクゾウムシとココクゾウムシの生態面の違いとしては、ココクゾウムシはほとんど飛ばないという点が挙げられます。また、ココクゾウムシは、コクゾウムシよりも高温を好むとされていて、自然温度条件では冬になると成虫は死んでしまい、幼虫だけが越冬できるといわれています。そのため、主に生息できるのは穀物の貯蔵場所付近に限られます。どこからともなくやってくる大半のコクゾウムシ仲間は、ノーマル種のコクゾウムシのほうと考えられます。

飛翔能力を持たないといえば、後ろ翅が退化している「グラナリアコクゾウムシ」が挙げられます。日本では輸入米や輸入港付近の倉庫などで発見される程度で、定着はしていないといわれていますが、油断できない存在です。

お米の大敵はコクゾウムシだけではない? 

お米に発生するのはコクゾウムシだけではありません。ほかにも注意すべき害虫がいます。

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コクゾウムシと並んで米の大敵として知られているのは「ノシメマダラメイガ」という蛾の幼虫です。本種の幼虫は体長10mm程度になる黄白色のイモムシで、お米に潜り込むと餌をクモの巣状に覆うため、すぐに存在に気付かず、発見が遅れることがあります。お米の外側から胚乳部分やぬか層を食べ、糸を吐いて巣を作ります。米が糸でつながったような状態になっていたら、ノシメマダラメイガの被害を疑いましょう。

また、コナナガシンクイという、コガネムシ型の甲虫も油断なりません。体長は2~3mmほど、体色は赤褐色~暗褐色をしており、細長い円筒形の体型をしているのが特徴です。コクゾウムシと同じく穀類が大好物で、でん粉を含むものならほとんどのものを食害します。

コクゾウムシがもたらす被害 

コクゾウムシがもたらす被害

コクゾウムシが発生することで受ける被害にはどのようなものがあるのか、改めて整理します。「1匹や2匹見かけた程度なので大丈夫かな……」などと甘く見ていると、米の内部で大量発生していて、予想を超える被害に見舞われるかもしれません。

貯蔵食品が食害される

コクゾウムシは幼虫・成虫ともに食欲旺盛で、お米、小麦、トウモロコシやパスタなど、多くの貯蔵食品を食害します。

成虫はクチバシのような口先で穀類の内部に穴を開けて食害するため、食べられたお米などは中がスカスカの状態になってしまいます。また、幼虫は穀類の内部で孵化・成長し、貯蔵食品を台無しにします。

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岩田さん

「コクゾウムシが発生した食品を食べても大丈夫か」という質問をされることがありますが、食べないほうがよいでしょう。コクゾウムの成虫を駆除し、取り除いたとしても、卵や幼虫は紛れ込んでいる可能性があるためです。コクゾウムシの卵や幼虫には人体に影響のある毒が含まれているわけではありませんが、アレルギーによる激しい症状が出る危険性があります。

大量発生する

コクゾウムシは繁殖能力が高く、たった数匹紛れ込んだだけで大量発生する恐れがあります。侵入防止策を講じていれば防ぐことは可能ですが、飛翔したり、歩行したり、物にくっ付いてきたりするため、外部からの侵入を完璧にシャットアウトするのは難しいといえます。

また、コクゾウムシが大量発生すると、貯蔵食品内で発熱現象が見られることがあります。温度が高くなることで寒い季節でも活発に動けます。結果、幼虫が冬の間もすくすくと育ち、繁殖のスピードも上がってしまいます。

不快である

コクゾウムシに限らず、大量発生する虫を不快に感じる人も少なくないでしょう。大切な食品に群がるうえため、虫が苦手な方はパニックになるかもしれません。

また、コクゾウムシが発生していることに気づくのは、ある程度増えた後であることが多いので、「何匹か食べてしまったのではないか」と不安に駆られることもあるでしょう。

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岩田さん

前述の通り、コクゾウムシを食べてしまっても健康被害が出ることは少ないと思われますが、不快感をもつ人も多いのではないでしょうか。

コクゾウムシが発生する原因と寄せ付けない対策 

コクゾウムシが発生する原因と寄せ付けない対策 

虫はいつの間にか沸いていることが多いですが、自然発生することはなく、最初は何らかのルートで家屋に侵入してきます。それはコクゾウムシも例外ではありません。そこで、このトピックでは、コクゾウムシが出現する原因を考察したうえで、その対策をいくつか紹介します。

発生する原因1:購入時から付着している

稲作農家の多くは、コクゾウムシをはじめとする害虫が混入しないよう対策を講じています。出荷時にも気を配っており、割れたお米、変色したお米、虫食い跡があるお米は取り除くのが基本ですが、100%排除することは難しいです。特に出荷してから保管期間が長くなったり、保管状態が悪かったりすると被害が出やすくなります。

成虫が紛れ込んでいるケースは少ないとしても、お米の内部に産み付けられた卵が残っている可能性はあるので、購入時に米の状態を確認することは大切です。

発生する原因2:貯蔵食品の保存・管理状態が悪い

コクゾウムシは自発的に移動したり、物流に伴って長距離移動したりします。体が小さいため、わずかな隙間からでも侵入できます。したがって、お米の保存状態に隙があると、コクゾウムシが入り込む危険性が高まります。

  • お米を購入した袋のまま保管している(中身を確認していない)
  • 床に散らばったお米を掃除していない(餌になる米が散乱している)
  • お米の保存容器が不衛生なまま(餌や隠れ場所が沢山ある)

このような保存状態の場合、コクゾウムシが発生する確率が高まります。

コクゾウムシ対策1:買いだめしない

コクゾウムシの餌となるお米や蕎麦などを適切に管理する方法の一つは、必要以上に買いだめしないことです。貯蔵食品が増えればその分管理の場所や手間を取るため、1か月程度で食べ切れる量など、適量の購入と保存を心がけましょう。また、保管期間が長くなる場合は、定期的に虫が発生していないかチェックすることが大切です。

コクゾウムシ対策2:密閉容器で保管する

コクゾウムシは固くて鋭い口吻でお米の袋などに穴を開けて侵入することもあります。したがって、コクゾウムシが侵入・突破できない硬い素材でできたふた付きの密閉容器で保存するとよいでしょう。少量であればペットボトルも大活躍します。なお、お米の移し替えには漏斗を使うのが便利です。

コクゾウムシ対策3:冷蔵庫に入れて保管する

お米などを冷蔵庫に入れて保管する手段も有効です。コクゾウムシの侵入をガードしやすく、万一、侵入しても低温により繁殖を防ぐことができます。

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ただし、既にコクゾウムシが発生している米を冷やしたのでは、簡単に死にきらないこともあるので注意が必要です。下記のような保冷タイプの米びつも販売されていますが、やはり管理(中の定期的な掃除と定期的なチェック)が大切です。良い道具があっても管理が不充分なために虫が発生するということがよくあります。

コクゾウムシ対策4:防虫剤を使う

コクゾウムシはお米や乾麺のにおいにつられてやってくるため、防虫剤と一緒に保管する方法も考えられます。

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ただし、防虫剤には使い方と使う量が決まっているので、使用する時には必ず説明書を読むことが大切です。誤った使い方をすると健康被害を生じる場合や、効果が得られないこともあります。

コクゾウムシを駆除する方法

コクゾウムシを駆除する方法 

コクゾウムシは注意していても発生・繁殖してしまう場合があります。発生してしまった場合は駆除するほかありませんが、効果的にやっつけるのにはいくつかの方法があります。

殺虫剤を使う

もっともスムーズで手間がかからないのは、ピレスロイド系の殺虫剤を使うことです。ピレスロイドとは、除虫菊に含まれる天然殺虫成分「ピレトリン」とよく似た化学構造を持つ合成化合物のことで、一般的な家庭用殺虫剤として販売されています。

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当然、殺虫剤をかけた米は食べることはできませんし、米びつに噴射すればきれいに洗浄や拭き取りなどをしなければ米が保存できなくなります。殺虫剤は効果的ですが、使う場面をよく考えて、安全性(特に健康影響のないよう)に配慮した上で使用しましょう。

くん煙剤を使い、そのほかの不快害虫とまとめて退治する方法も考えられますが、食べる予定の穀物自体やその保存容器などには薬の成分が付着してしまうので使い方に注意が必要です。

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また、くん煙剤の成分は米の内部までほとんど入り込まないので、見えるところ(米の外)にいる成虫は死んでも、米の中にいる卵や幼虫は生き残っています。薬を使うときは、その特徴と効果をよく調べてから使用するかどうかを決めましょう。

日光に当てる

米びつなどにコクゾウムシを発見したら、ベランダなど日当たりの良い場所に清潔な紙を敷き、お米を広げましょう。コクゾウムシは太陽光が苦手なため、ゴソゴソと逃げ回る個体が出てくるはずです。それをピンセットなどで取り除いてください。

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この方法で取り除けるのは成虫だけなので、卵や幼虫は米の中に残ったままとなります。駆除方法というよりは、コクゾウムシが米に混じっていないかを調べる際の簡単な判別方法の一つといえます。

水でよく洗う

お米に発生したコクゾウムシは、水で洗うことで成虫は取り除けます。ただし、やはり卵や幼虫を取り除くことはできないので注意が必要です。

大量発生している場合はお米のおいしい部分を食べられている可能性が高く、生き残っているコクゾウムシの入ったお米を食べてアレルギー症状が出る恐れもあるため、発生したお米ごと早めに廃棄するのが確実な駆除方法といえます。発生源である穀物を廃棄すると、ほとんどの場合、コクゾウムシは見られなくなります。

手に負えない場合は害虫駆除業者に相談する手も

手に負えない場合は害虫駆除業者に相談する手も

「あまりにも大量発生している」「コクゾウムシが気持ち悪くて触りたくない」という方は、害虫駆除業者に依頼するのも一つの方法です。多くの害虫駆除業者はハチ・シロアリ・ゴキブリ・ムカデなど幅広い害虫駆除に対応できるので、コクゾウムシの駆除を相談してみることも方法の一つです。

費用は駆除業者によってさまざまであり、発生場所や量、被害度などによって異なるケースがほとんどです。相場を知る意味でも、見積もりは複数社から取ることをおすすめします。

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岩田さん

また、お住まいの地域の保健所やその類似施設、各県のペストコントロール協会(防除企業の協会)などに相談すると最寄りの企業を紹介してくれる場合もあります。

※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります。

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