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明石むかい動物病院院長。獣医麻酔外科学会、獣医がん学会。
トイ・プードルの毛色のひとつがレッドです。レッドのトイ・プードルを飼いたいと考えている人も多いでしょう。
この記事では、トイ・プードルのレッドについて、毛色の特徴や退色の原因と対策などについて紹介します。また、トイ・プードルがかかりやすい病気や、飼い方でのポイントについてもまとめました。トイ・プードルを飼うにあたっての参考としてお役立てください。
目次
- トイ・プードルのレッドとは?
- トイ・プードルの毛色の種類
- トイ・プードルのレッドの性格
- トイ・プードルがかかりやすい病気
- トイ・プードルのレッドを飼うポイント
- トイ・プードルのレッドの費用目安
- まとめ
トイ・プードルのレッドとは?
つぶらな瞳と愛くるしい表情で高い人気を誇るのが、トイ・プードルです。トイ・プードルの「レッド」とは、濃くて赤みを帯びた、チョコレートのような毛色を意味します。
特に人気の毛色であり、飼育している人も多いため、トイ・プードルと聞いてレッドを思い浮かべる人も多いでしょう。
同じレッドでも、個体によって色の濃さには違いがあります。ホワイトやアプリコットなどの毛色と比較すると、レッドは汚れが目立ちません。レッドの場合、血統書には「レッド・フォーン」と記載されます。
レッドとアプリコットの違い
トイ・プードルのレッドおよびアプリコットは、どちらも「フォーン」に分類される毛色です。アプリコットは「オレンジ・フォーン」とも呼ばれます。
レッドに次いで人気となっているのがアプリコットで、杏のようにオレンジがかった薄い茶色です。アプリコットの毛質は他の毛色より細く、柔らかいという特徴があります。
トイ・プードルのレッドの退色
トイ・プードルのレッドを飼うにあたって、退色を気にする人も多いのではないでしょうか。ホワイト以外は色の変化がわかりやすいため、退色が気になるかもしれません。レッドの場合は、退色するとアプリコットに近い毛色になります。
退色する代表的な原因は次のようなものです。
1. 加齢
2. ストレス
3. 栄養不足
トイ・プードルの毛色は、生まれた直後がもっとも濃く、成長にともなって色が薄くなっていきます。加齢によって退色するのは、メラニン色素を合成する酵素の働きが弱まるためです。
酵素の働きが弱まると、人間の白髪のように被毛の色素が抜けていき、毛色が薄くなります。ただし加齢による退色は自然なことであるため、気にしすぎる必要はありません。
気をつけてあげたいのは、ストレスや栄養不足が原因となって生じる退色です。人間もストレスが多い状態が続くと白髪が増えてしまいます。そしてトイ・プードルも、人間と同じようにストレスによって退色してしまう可能性があります。
またメラニン色素を合成する「チロシン」と「フェニルアラニン」というアミノ酸の不足も、退色につながる原因です。アミノ酸の不足は、食事に原因があると考えられます。
「なるべく退色を防ぎたい」と考えているのなら、ストレスや栄養不足に注意してあげましょう。
トイ・プードルの毛色の種類
トイ・プードルの毛色は、基本的に単色です。原種カラーは、ブラック、ホワイト、ブラウンの3色でしたが、交配によって毛色が増えました。
ジャパンケネルクラブによる公認の毛色は、次の5種類となっています。
1. ブラック
2. ホワイト
3. ブラウン
4. グレー
5. フォーン
ただし、上記の公認カラー以外の毛色も存在します。代表的な毛色について、どのようなものか概要を見ていきましょう。
ブラック
原種カラーのひとつが「ブラック」です。気品あるブラックも、トイ・プードルの毛色として人気があります。ブラックのトイ・プードルは、被毛だけでなく目、鼻、爪、肌も黒いのが特徴です。同じブラックでも、色合いには個体差が見られます。
ホワイト
「ホワイト」も原種カラーのひとつです。子犬時代は、白というよりはクリームがかった毛色をしています。ホワイトは、他の色と違って退色が目立ちにくいのが大きなメリットです。
もちろん真っ白であるため、被毛に汚れがつくとどうしても目立ちます。しかし汚れがわかりやすく手入れが必要になるぶん、綺麗な被毛を保ちやすくなるでしょう。
グレー
トイ・プードルの毛色でも、珍しく見かける機会も少ないのが「グレー」です。血統書では、グレーではなく「シルバー」と表記されていることもあります。他の毛色よりも珍しいのは、グレーは交配が難しいためです。
グレーのトイ・プードルは、子犬時代にはブラックと見分けがつかないほど、濃い毛色をしています。その被毛がグレーへと美しく変わっていくのは、生後2か月ごろです。成犬になっても部分的に濃い色が残る場合もあります。
ブラウン
ブラウンも、トイ・プードルの原種カラーです。被毛の色は均等で、深みのあるダークな色合いとなります。ブラウンの場合、鼻や肌は赤褐色です。グレーと同様に、ブラウンも交配が難しい毛色だとされています。そのため珍しい毛色で、見かける機会は多くありません。
ブラウンが退色すると、カフェオレに近い色になります。
フォーン
トイ・プードルには「フォーン」という毛色もあります。小鹿の毛皮のような、黄金味のある明るい茶色がフォーンです。フォーンには、ペール、レッド、アプリコット(オレンジ)などの種類があります。
「クリーム」とも呼ばれるのが、ペール・フォーンです。ペール・フォーンも珍しい毛色で、アプリコットとホワイトの中間のような色をしています。
その他
トイ・プードルには、ジャパンケネルクラブでの公認カラー以外の毛色もあります。公認カラー以外で多い毛色は以下のとおりです。
<パーティー>
ホワイトベースで、部分的に色の濃い場所がある
<ブラック&タン>
ブラックベースで、眉毛、口まわり、肩、足に茶色の毛がある
<ブルー>
シルバーとブラックの中間のような色をしている
また、胸元や首に白い毛がある「ミスカラー」と呼ばれる毛色もあります。
トイ・プードルのレッドの性格
トイ・プードルに、毛色での性格の違いがあるのか、気になっている人も多いのではないでしょうか。
毛色による違いがあるとの説もあり、「レッドは明るくて活発な性格をしている」ともいわれます。実際に、明るくて活発なレッドのトイ・プードルも多いでしょう。
ただし毛色の違いではなく、個体によって性格が違うとの説もあります。全体的に、トイ・プードルは明るく温厚な性格で賢く、吠え癖や噛み癖などをトレーニングしやすい犬種です。
そのため住宅が密集する都市部であっても飼育しやすいでしょう。
トイ・プードルがかかりやすい病気
飼育にあたっての参考として、トイ・プードルがかかりやすい病気も覚えておきましょう。事前に知っておくと、異変があったときに見つけやすくなります。
トイ・プードルでは、レッドのみがかかりやすいといった病気はありません。トイ・プードル全体で見ると、次のような病気にかかりやすい傾向があります。
1. 外耳炎
2. 膝蓋骨脱臼
3. レッグ・ペルテス病(大腿骨頭壊死病)
4. 水頭症
5. 免疫介在性多発性関節炎
6. 気管虚脱
7. 停留精巣
耳が垂れているトイ・プードルは、耳垢に細菌が繁殖して外耳炎を起こしやすい傾向があります。しきりに耳をかく仕草が見られるようであれば、耳のなかをチェックしてみましょう。
膝蓋骨脱臼とは、後ろ足にある膝の皿がずれ、脱臼を起こしてしまう病気です。足を触ると鳴いたり、散歩を嫌がったりするといった症状が見られます。
レッグ・ペルテス病は、1歳未満での発症が多く、大腿骨の付け根にある大腿骨頭と言われる部位が血行障害により、壊死してしまう病気です。
免疫介在性多発性関節炎は小型犬に多い病気のひとつで、関節リウマチとも呼ばれます。
気管虚脱とは、肺に空気を送る気管が潰れる病気です。また、トイ・プードルは、精巣が下降しない停留精巣になる可能性もあります。
いずれの病気も、大丈夫だろうと素人判断をするのは危険です。手術が必要になる病気もありますので、異変に気づいたら早めに動物病院を受診しましょう。
トイ・プードルのレッドを飼うポイント
トイ・プードルは、全犬種のなかでもボーダーコリーに次いで賢いとされる犬種です。家族以外の人間や他の犬に対してもフレンドリーに接することができるため、飼育しやすいでしょう。
トイ・プードルは飼い主が大好きで、甘えん坊な性格の子もたくさんいます。留守番の時間が多いとストレスが溜まってしまい、いたずらをしてしまうかもしれません。
しかし、いたずらや無駄吠えのたびに相手をしていると「飼い主が構ってくれる」と勘違いして、ますますひどくなる可能性があります。いたずらや無駄吠えをしているときは、相手をせずに落ち着くまで待ちましょう。
退色の原因にもつながるため、ストレスを溜めないようにするのも飼うときに気をつけたい大切なポイントです。トイ・プードルには高い運動能力もあります。ストレスが溜まらないよう散歩を行い、毎日しっかりと触れ合う時間を作りましょう。
トイ・プードルのレッドの費用目安
トイ・プードルのレッドは人気の毛色であるため、販売されている数が多めです。そのためシルバーやブラウンなど、他の毛色と比べると手に入れやすい毛色だといえます。
価格は時期にもよりますが、トイ・プードルのレッドは平均27万円ほどとなります。性別で見ると、オス24万円、メス28万円が一般的な目安です。ただし生体には定価がないため、100万円を超えるような個体も存在します。
ブリーダーやペットショップによっても違いますので、いろいろチェックしてみるのがおすすめです。
まとめ
トイ・プードルのなかでも特に人気のある毛色がレッドです。トイ・プードルは明るくて活発な犬が多い傾向にあります。ストレスを溜めないよう、毎日の散歩をしっかり行うのが大切です。
レッドは人気が高い毛色であるため、取り扱うブリーダーやペットショップは多い傾向にあります。汚れが目立ちにくいものの、レッドの毛色は退色によってアプリコットに近い色になる場合もあるでしょう。そこでレッドのトイ・プードルを飼うなら、退色につながる栄養不足やストレスには配慮してあげてください。