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PEACE Lab代表。目標は、ペット業界を「人とペットの暮らしを全力で応援できる場所」にすること。保護猫10匹と暮らしているが、実は猫アレルギー。
犬は高齢になるほどに、お腹の調子が優れないことが増えてきます。特に夏場は下痢をしやすい子が多くなります。
そこで今回は、「老犬の下痢」について解説していきます。毎日の排泄は、愛犬の健康状態を知るための大切な手掛かりになりますが、どのようなうんちだと健康状態が良くないのか、またどうして高齢になると下痢になりやすいのか、病院へ行った方が良いケースや自宅でのケアの方法、予防策などを紹介していきます。
目次
- 愛犬が下痢!?まずは便の状態をチェックして
- 老犬が下痢になりやすい理由と対策
- 下痢をした犬のケア方法、下痢をしないように対策は?
- 犬の下痢、人間の薬やヨーグルトはあげていい?
- 繰り返す老犬の下痢は、自己判断しないで動物病院へ
- まとめ
愛犬が下痢!?まずは便の状態をチェックして
うんちは愛犬の健康を映すバロメーターです。そのため日頃から、愛犬のうんちの形や硬さ、色、臭い、量や回数をチェックするのが習慣になっている飼い主さんがほとんどではないでしょうか。もし、いつものうんちと様子が違う場合は、次に紹介する内容が当てはまらないか、注意深く観察してみてください。
うんちの形と色
いつもとうんちの形(硬さ)と色が違う場合、次のケースは注意が必要です。
▶いつもの形(硬さ)よりゆるかったら注意
一般的に、うんちの硬さは拾い上げるときに形が崩れないくらいが理想的だといわれています。日頃から少しゆるいという犬もいるかもしれませんが、拾い上げるときに形が崩れてしまう硬さだと「下痢便」です。
下痢便は3段階に分けられています。形は保たれていても水分量が多く、拾い上げようとすると崩れてしまうのが「軟便」、形がなく泥のような状態の便は「泥状便」、水のようにシャバシャバした状態が「水様便」といわれます。下痢をしたら、繰り返し下痢をしないか、他に体調の異変はないかなど、注意深く観察してください。
▶いつもの色じゃなかったら注意
うんちの色は通常は黄土色~こげ茶色をしていますが、下記の色の便は、何らかの疾患の疑いがあるため、動物病院で診察を受けましょう。
- グレーの白色便
- 黒色のタール便(血便)
- 赤い便(血便)
- 粘血便(血便)
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排泄の様子と量、回数
いつもと食事量は変わらないのに、1回あたりの排便量が多くなった、という場合は小腸に問題があるかもしれません。小腸で栄養分や水分をうまく吸収できずに、便が水分を多く含んだ状態になるため、便の量が増加します。
排便は回数は1日2回前後が正常と言われています。排便の回数が増えた場合は、大腸に問題があり、便をとどめておくことができずに排泄されてしまっている状態かもしれません。うんちをしたがっている仕草をしているのに、なかなか排便ができない様子(しぶり)も大腸の疾患を疑います。
いつもと排泄の様子や量、回数に異変があった場合も、一過性のものなのか繰り返すのか、他に症状はないかなど注意深く観察します。少しでも心配な点があれば、獣医師へ相談しましょう。
老犬が下痢になりやすい理由と対策
犬は高齢になるほどにお腹の健康を崩しやすくなります。その理由と対策を見ていきましょう。
悪玉菌が増殖!?腸内環境の変化
犬の腸内には、1,000種類以上、数百兆個もの腸内細菌がいて、健康や免疫と密接な関わりをもっています。腸内細菌には、乳酸菌やビフィズス菌など腸内にいるとよい菌「善玉菌」と、ウェルシュ菌や病原性大腸菌など体調不良の原因になる「悪玉菌」などがあります。
健康な状態のときは、腸内でこの善玉菌と悪玉菌のバランスが保たれています。しかし、加齢とともに善玉菌が減少すると悪玉菌が増殖しやすくなり、犬の腸内環境は乱れやすくなっていきます。
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消化機能の低下
加齢とともに犬の内臓機能は低下していき、消化吸収を担う臓器も働きが悪くなっていきます。さらに、消化器系の内臓はストレスの影響を受けやすい傾向があります。
加齢による目や耳などの感覚器官の衰えによって、些細なことに動揺して不安を感じるようになる犬は多いものです。ストレスが増大することで自律神経の働きが弱くなり、消化機能の働きが鈍くなってしまうことがあります。
体温調節機能が衰える
犬は加齢とともに熱を産生する筋肉量が減ります。さらに運動量が減少することで体温保持が難しくなるため、身体が冷えやすくなります。そのため、クーラーの効いた室内に長時間いると夏場でもお腹が冷えて、軟便や下痢になってしまうことがあります。
下痢をした犬のケア方法、下痢をしないように対策は?
愛犬のお腹の調子が悪いとき、自宅でのケアはどのようなことに注意したらよいのでしょうか。自宅でのケア方法と、下痢をしないように気を付けたい対策も紹介していきます。
自宅でのケア方法
犬が下痢をした場合、次の項目に問題がなければ、2~3日自宅で様子を見ましょう。
✓便の色がいつもと同じ
✓下痢は一度だけで繰り返していない
✓下痢以外に他の症状はない(食欲はある、元気もある)
自宅で様子を見る際も、食事には注意しましょう。下痢のときの食事は、下痢による脱水が原因で、更に体調を崩すこともあるため食欲がある場合もあるため、ドライフードのふやかしや流動性の高い食事を少量ずつ与えて見るようにしましょう。ペット用の経口補水液も試してみましょう。
また、良かれと思って普段から食べたことないフードやおやつなどを与えると、更に悪化することもあります。食欲が落ちて来たら、早めに獣医師に相談しましょう。このように、お腹の調子を慎重に見ながら、徐々にいつもの食事に戻していってください。
お腹に優しいごはんとストレスフリーな環境で下痢予防
老犬のお腹の健康を守るために大切なのは、「食事」「ストレス」「冷え」の3点です。
前述したように、犬は加齢とともに消化機能が衰えていきます。消化機能が衰えてきた犬には、低脂肪で消化吸収のよい食事を心掛けて与えるようにしましょう。
近年のドッグフードには、「シニア用フード」、「ハイシニア用フード」、「胃腸ケア用フード」などがあるので、愛犬に合うフードを与えてください。また、1回あたりの食事量を減らして回数を増やしてあげるなど、愛犬の消化吸収能力に合った食事方法を見つけることも、下痢予防には重要です。
お腹の調子を崩しやすい犬には、胃腸を整えるサプリメントなどを活用してもよいでしょう。サプリメントの使用に関しては、含まれる成分にアレルギーがないか、服用中の薬との併用が可能かなど、かかりつけの獣医師に相談してから与えるようにしましょう。
また、シニア期の犬は神経過敏になりやすいので、苦手なものを遠ざけてあげたり、飼い主とのコミュニケーションを増やしたりするなどして、ストレスを減らす配慮をしてあげましょう。
さらに、高齢になると体温調整が苦手になるため、犬が過ごす部屋の室温管理にも、これまで以上に注意が必要です。犬にとっての適温は18〜22℃ですが、夏場でもお腹が冷えるようなら、洋服や腹巻きを活用するなど、犬にとって快適な環境をつくってあげましょう。
犬の下痢、人間の薬やヨーグルトはあげていい?
犬がお腹をこわしたときに、私たち人間用の整腸剤や乳酸菌サプリメントを犬に与えるという方もいるでしょう。しかし、犬にとって本当に必要なものなのか、またアレルギーや投薬中の薬との相性などの心配もあるため、自己判断せずに獣医師に相談してから与えた方が安心です。愛犬が下痢をした際に、犬用の下痢止めが自宅にあるからといって自己判断ですぐに与えるのはやめておきましょう。症状によっては下痢止めを使わない方がよいケースもあるため、獣医師に相談してから与えるようにしましょう。
また、下痢をしている犬の脱水症状が心配だと、人間用のスポーツ飲料を与える方がいますが、これは好ましくありません。一時的に水で希釈して与えるくらいであれば、犬に大きな危険があるわけではありませんが、人間用のスポーツ飲料は糖分が多く、犬にとっては有害なキシリトールなどを含む製品もあるため注意してください。
ヨーグルトは、乳酸菌の他にもタンパク質やカルシウム、ビタミンなど栄養が豊富で、整腸作用も期待できる食材です。しかし、牛乳よりも乳糖は少ないですが、乳糖不耐性のリスクがないわけではありません。犬が下痢をしている間は与えない方がよいでしょう。
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繰り返す老犬の下痢は、自己判断しないで動物病院へ
高齢の犬の場合は、「いつもの下痢か」と軽く考えるのは禁物です。下痢のときは、普段以上に注意深く体調を観察するようにしましょう。
特に、次のケースでは獣医師の診察を速やかに受けるようにしてください。
✓短時間に何度も下痢を繰り返す場合
✓白色便、タール便(血便)、赤い便(血便)、粘血便(血便)の場合
✓下痢症状の他にも嘔吐や震え、食欲がない、元気がないなどの症状がある場合
下痢の症状を起こす病気には、急性の腸炎や消化管腫瘍などの腸の疾患、内臓の疾患などさまざまあります。高齢の犬は、下痢で体力を消耗しやすく、容態が急変しやすいため、ぐったりしていたり、下痢の他にも強い症状が出ている場合は、夜間でも救急を受診するようにしてください。
また診察の際には、下痢便を病院へ持参すると検便の際に役立ちます。
まとめ
人間と同様に、犬も高齢になると消化吸収機能が低下します。そのため、若い頃と同じ食事内容や回数では胃腸機能が追い付かなくなっていきます。加齢によって愛犬が軟便や下痢になりやすくなっていることを理解し、消化吸収しやすい食事に見直すことも大切です。
例えば、1回に与える食事量を減らして食事回数を増やすなど、愛犬に合った対応をしていきましょう。またシニア期は、さまざまな病気が心配です。お腹の健康だけでなく体調に何らかの変化があったら、すぐに獣医師に相談するようにしましょう。