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PEACE Lab代表。目標は、ペット業界を「人とペットの暮らしを全力で応援できる場所」にすること。保護猫10匹と暮らしているが、実は猫アレルギー。
犬が誤飲をしてしまったかもしれない!誤飲の可能性がある場合、うんちで出ることはあるのでしょうか。犬が誤飲してもうんちで出やすいパターンや、誤飲をしやすい危険物、症状や対処法について詳しく解説します。誤飲は急を要することもあるため、自己判断は避け、早急に動物病院を受診して手遅れのないようにしましょう。
目次
- 犬が誤飲しやすい物や症状とは
- 犬が誤飲したらうんちで出る?
- 犬が誤飲をした時の対処法
- 犬の誤飲誤食を避けるために
- まとめ
犬が誤飲しやすい物や症状とは
少し目を離した隙に犬が誤飲してしまった!そんなヒヤッとした経験がある飼い主は多いのではないでしょうか。ここでは犬が誤飲しやすい物の例と、誤飲した際に現れる症状について解説します。
犬が誤飲しやすい物と危険物
犬が口にしやすく、誤飲につながりやすい物にはどのような例があるのでしょうか?家の中だけでなく散歩中にも気を付けたい物も紹介します。
- 犬や子どものおもちゃ
犬がおもちゃで遊んでいる際に誤って飲み込んでしまうケースがあります。特に大型犬は小さなボールを飲み込みやすいため注意が必要です。最悪の場合、誤飲物が気道を塞いで窒息を招き、小腸に詰まって腸閉塞を引き起こすなど命に関わる恐れがあります。
- ビニールやラップ、ヘアゴム、ボタン
食べ物を包んでいるビニールやラップを一緒に飲み込んでしまう、ガサガサ音に興味を持って遊んでいるうちに誤飲するケースがあります。また、ヘアゴムやボタンは床に落ちたことに飼い主が気付きにくく、犬が誤飲してもわからない場合も多くあります。飲み込んだ大きさによっては腸閉塞を招く恐れがあります。
- 竹串や骨、爪楊枝、ヘアピン、ネジ、クギ、画びょうのような尖った物
先端が尖った物を飲み込んでしまうと、食道や胃、腸を傷つける恐れがあります。激しい痛みを伴い、命の危険があります。
- 布、綿、ひも、糸
布や綿は犬のおもちゃによく使われる素材ですが、遊んでいるうちに壊して飲み込んでしまい、喉に詰まらせてしまうリスクがあります。とくにひもや糸は長いほど腸に絡まりやすく、腸をたぐってしまうため、裂傷を引き起こしたり、よじれた状態で閉塞させたりする恐れがあります。
- 人間の薬
人間用の薬を犬が誤飲すると、重篤な中毒症状を引き起こす恐れがあります。動物病院で処方される薬には人間用の薬もありますが、獣医師は犬の状態なども踏まえて与えるべき薬の量を計算して処方しています。また、人間用の薬のなかには、イブプロフェンやアセトアミノフェンのように犬にとって非常に危険な成分が含まれているため、薬を飲んだ後は出したままにしないよう飼い主が注意しましょう。
- たばこ
たばこに含まれるニコチンは中毒を引き起こし、呼吸困難や嘔吐、下痢、よだれ、痙攣(けいれん)などさまざまな症状が生じます。ニコチン中毒は死亡する可能性のある恐ろしい中毒です。
- 玉ねぎやブドウ、チョコレート、キシリトール
人間にとって身近な食べ物でも、犬が食べると中毒を引き起こし、命に関わる物が多く存在します。代表的な例としては玉ねぎ、ブドウ、チョコレート、キシリトールが挙げられ、少量でも中毒症状を引き起こしやすいといわれています。調理中や食事中に落としたことに気付かず、犬が食べてしまうケースが多くあります。
- ボタン電池、乾燥剤、洗剤、保冷剤
ボタン電池や乾燥剤などは、誤飲によって死に至る可能性があるほど、犬にとっては危険なものです。熱中症対策として保冷剤をタオルなどで巻いて、犬の首につける飼い主もいますが、目を離した際に誤飲する恐れがあります。特に、保冷剤の中身によく使われるエチレングリコールは犬が好む甘味があるため使用中は目を離さないようにしましょう。
- 観葉植物や花
ユリや水仙、アジサイ、チューリップなど、犬が食べると、嘔吐や下痢、痙攣(けいれん)など中毒症状を招く花は身近に多くあります。花だけでなく、茎や葉でも中毒症状が現れるケースがあるため、散歩中や庭での誤飲も注意が必要です。
- 農薬や除草剤、殺鼠剤やゴキブリ駆除などの殺虫剤
農薬や除草剤を食べる、または皮膚に付着して体内に入ることで中毒症状を引き起こすリスクがあります。また殺鼠剤や殺虫剤はより危険なため、農地だけでなく住宅地を散歩する際も注意しましょう。
- マスク
コロナ渦で誤飲するケースが増えているのが、マスクです。特にウレタンマスクは誤飲するケースが多いので、使用後は犬の手の届かないところに保管するか、早めに処分しましょう。
犬の誤飲についてもっと詳しく知りたい方はこちらもおすすめ!
>人の薬や電池を飲み込んだら?犬が誤飲・誤食すると命に関わる異物5選
>犬が食べると危険な花とは?誤食した時の対処法や散歩中の注意点を解説【獣医師監修】
犬が誤飲した時の症状
犬が誤飲しても無症状の場合もあり、飼い主が誤飲に気付きにくいケースもあります。留守番をさせた後に、様子に異変を感じたときや、散歩で拾い食いをした際は以下のような症状がないか、すぐにチェックしましょう。
- 嘔吐
- 食欲減退
- うんちが出なくなる
- 腹痛、お腹まわりを触ろうとすると嫌がる
- 呼吸の異常(呼吸が荒い、呼吸困難)
- 咳が出る
- 震える
- よだれが多く出る
なお、誤飲した内容によってはすぐに症状が現れないケースがあるので、数時間だけでなく数日かけて様子を見ることも重要です。
犬が誤飲・誤食した時の対処法についてもっと詳しく知りたい方はこちらもおすすめ!
犬が誤飲したらうんちで出る?
犬が誤飲した内容によっては、すぐさま吐かせる必要がある物と、うんちとして出る物があります。
誤飲が疑われるときはまず病院へ
誤飲した内容や犬の症状によっては、早急な処置が必要です。場合によっては手術が必要な場合もあるためすぐに動物病院を受診してください。特に食道や胃、腸の閉塞、中毒症状が考えられる場合は要注意です。
中毒症状は即時現れるものもあれば、誤飲から数日かかる場合までさまざまです。なかには、無症状を経て数日後に突然死亡するケースもあるため、自己判断は避け、誤飲が疑われる際は迅速な対応が非常に重要です。
インターネット上には、塩や食塩水を摂取させて吐かせる方法を紹介しているサイトがありますが、高ナトリウム血症を引き起こし、死亡する恐れがあるなど大変危険なため、決して行ってはいけません。
なお、誤飲した内容によっては吐かせるよりも排泄を待つ方が安全なケースもあります。必ず獣医師の判断に基づいて適切に対応しましょう。
小さく鋭利ではない物ならうんちで出る場合も
犬の体に対して、ごく小さなサイズで、鋭い形をしていなければ内臓に引っかからず、うんちと一緒に排出される可能性が高いです。ただし、誤飲物のサイズが大きければうんちとして出にくく、胃や腸にとどまって内臓を傷つけたり閉塞を起こしたりする恐れがあります。
うんちで出るまでの時間
うんちとして排出されるまでにかかる時間は、誤飲した物によっても差が生じます。通常の食べ物を消化するには12~24時間程度かかりますが、異物の場合はさらに時間がかかる傾向にあります。誤飲や誤食から2、3日経過しても嘔吐や下痢などの症状が出ていなければ、自然に排せつされる可能性が高いので、排せつされるまで待ちましょう。
犬にとっては危険な玉ねぎやチョコレートなどの食べ物は、誤飲をしても体内で消化されます。しかし、数日間無症状だった後に突然体調が悪化して死亡するケースもあるため、独断で排せつを待つのは避け動物病院へ相談しましょう。
犬が誤飲をした時の対処法
犬が誤飲した場合、飼い主の迅速な対応によって犬の負担を軽減できます。
誤飲誤食した物を確認
犬が何を飲み込んだかによって、病院での対処は大きく変わります。誤飲した物、または誤飲した可能性がある物をしっかり確認し、獣医師に伝えましょう。
ボタンやヘアピンなどは床に落ちて犬が食べてしまっても飼い主が気付きにくいため、犬の行動範囲内に誤飲につながりそうな物がないか、日ごろからこまめにチェックする習慣をつけましょう。
すぐに動物病院を受診
動物病院を受診する際は、診察をスムーズに進めるために、何をどれくらい誤飲したのか、誤飲からどれくらい時間が経過しているか、うんちが出ているか、嘔吐や震えなどの症状があるか伝えましょう。
また、誤飲や誤食したものの残りや同じものがあれば動物病院へ持っていき、食べたと思われるおおよその大きさや量を直接獣医師に伝えると、より診察の参考になります。
犬の誤飲誤食を避けるために
犬の誤飲・誤食による事故は、住環境の整理や犬のしつけなど、飼い主の日頃の管理によって予防できます。
住環境づくりのポイントは、犬が誤飲しそうな物を置きっぱなしにしない、すぐに異変に気づけるように片付けておくほか、犬がおもちゃで遊ぶ際は必ず飼い主の目の届く範囲に留め、留守番をさせる場合は短時間でもクレートで過ごさせるようにしましょう。
特に先述した、犬が誤飲しやすい物や植物は犬の行動範囲内に置かず、犬が簡単に取り出せないよう後ろ足で立っても届かない高さの棚や引き出し、犬が開けられない構造のフタや鍵のついたケースに収納しましょう。
また、ごみの誤飲を防ぐために、ふた付きのごみ箱やメッシュ付きのトイレトレーを使うとごみ箱やトイレシートへのいたずらを防げます。
室内では犬が入れる部屋を制限し、拾い食いをさせないようにしましょう。犬は目の前にある物を取られないよう、本能的に口の中に入れてしまう習性があります。床の上や散歩中は道の先に落ちている物に注意しつつ、もし誤って口に入れた場合を想定し、飼い主が口の中を触っても嫌がらないよう日頃から歯磨きで慣れさせておき、おやつと交換できるようトレーニングをするとよいでしょう。
上記のほか、誤飲による緊急時に備えて、下記のようなことをあらかじめ準備をしておくと安心です。
かかりつけ医の病院の電話番号をはじめ、自宅付近の数件の動物病院や、夜間診療、往診などに対応する救急病院のリストを作成して、目につきやすい冷蔵庫や玄関などに貼っておくとよいでしょう。
リストには病院名、電話番号、診察時間を記載しておくと、万が一の際も慌てずスムーズに連絡できます。
家の中でできる誤飲・誤食対策についてさらに詳しく知りたい方はこちらもおすすめ!
まとめ
犬と一緒に生活している人の多くは、犬の誤飲でヒヤッとした経験が一度はあるのではないでしょうか。
誤飲のリスクを減らすために普段から住環境を整理するほか、犬のうんちの観察や散歩時に拾い食いをしないようしつけるなど、異変に気づけるように日頃から対策することが重要です。
誤飲は迅速かつ適切な対処が非常に大切なので、異変を感じたら自己判断せず、速やかに動物病院を受診し、早期解決や早期発見につなげましょう。