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獣医師資格取得後、小動物臨床経験6年。主に犬猫の臨床に携わる。現在は子育てをしながら、愛猫と暮らしている。
腎臓病は犬の死因のトップ3に入る病気です。症状が出にくいままひっそりと進行するため、気がついた頃には重症化しているおそれも。愛犬のちょっとした異変を見逃さないためにも、腎臓病について学び早期発見できるようにしましょう。
目次
- 犬の3大死因のひとつ「腎臓病」はどんな病気?
- 腎臓病には2つのタイプがある
- 腎臓病の早期発見のコツ
犬の3大死因のひとつ「腎臓病」はどんな病気?
犬の死因のトップ3は、がん、心臓病、そして腎臓病です。
腎臓病とは、オシッコをつくる臓器である腎臓が、何らかの原因で正常に働かなくなった状態を総称した呼び方です。症状が出にくいため、はやい段階で発見するのが難しいといわれています。
腎臓病が起こるのは、腎臓の「ネフロン」が傷ついたり、壊れたりすることが原因とされています。もしネフロンが半分以上壊れてしまっていても、残ったネフロンがその分も補おうと働くために、症状や検査数値が出にくくなるのです。
腎臓病には2つのタイプがある
腎臓病は「急性腎障害(きゅうせいじんしょうがい)」と「慢性腎臓病(まんせいじんぞうびょう)」の2つのタイプに分類されます。
「急性腎障害」は、急激に腎機能が低下するタイプ。原因が生じてからはやくて2時間、遅くても1週間以内に発症し、症状も急に悪化します。
突然嘔吐する、食欲がない、オシッコが出ないなどの症状が見られ、病気がさらに進行すると「急性腎不全」になるおそれもあり、死亡率の高い病気です。
「慢性腎臓病」は、何年もかけて腎機能が衰えるタイプです。一時的な機能不全である急性腎不全とは異なり、慢性腎臓病は炎症が徐々に広がって慢性的にダメージを受けるため、完治することはありません。
腎臓病の早期発見のコツ
腎臓病を予防することは残念ながらできません。しかし、早期発見することではやめに対処することができます。慢性腎臓病であれば進行を遅らせることができます。そのためには、定期的に健康診断を受けることが重要です。腎臓のろ過機能が低下すると尿中にたんぱくが出るため、血液検査だけでなく尿検査も受けることで、異常を発見しやすくなるでしょう。
また、水分を十分に摂取することで老廃物を排出しやすくなります。常に新鮮な水を用意し、愛犬がたっぷり飲めるようにしてください。食事にも気をつけましょう。人の食べ物などの塩分の高いものは腎臓へ負担をかけてしまうおそれがあります。
日頃から排尿時の様子を気にかけておくことも大切。オシッコの色が薄い、量がいつもと違うなどの場合ははやめに動物病院で受診しましょう。