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兵庫ペット医療センター東灘、獣医皮膚科学会、VET DERM TOKYO 皮膚科第1期研修医
たくましい体つきと背中の逆毛が特徴のローデシアン・リッジバックですが、日本ではまだまだなじみが薄いため「どんな犬種なの?」「特徴や飼育のポイントは?」など、気になっている人も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、ローデシアン・リッジバックの特徴や性格、飼育のポイントなどを紹介します。ローデシアン・リッジバックをお迎えする方法も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
- ローデシアン・リッジバックの歴史やルーツは?
- ローデシアン・リッジバックの特徴は?
- ローデシアン・リッジバックの性格は?
- ローデシアン・リッジバックの飼育ポイント
- ローデシアン・リッジバックがかかりやすい病気
- ローデシアン・リッジバックをお迎えする方法や費用
- まとめ
ローデシアン・リッジバックの歴史やルーツは?
ローデシアン・リッジバックは、アフリカ南部を原産とする唯一の公認犬種です。ローデシアン・リッジバックの祖先は、南アフリカの開拓者が飼育していた犬と南アフリカの遊牧民の狩猟犬を交配して誕生したとされています。
ローデシアン・リッジバックは、運動能力や俊敏性が高い犬種です。そのため、2~3頭で集団となり、ライオンなどの大型動物を追う狩猟犬として活躍していたため「ライオンドッグ」とも呼ばれていました。
名前にあるローデシアとは現在のジンバブエ共和国地域のことであり、リッジバックは「背中の逆毛」を意味しています。家庭犬として飼育されているほか、現在でも多くの国で狩猟犬や警備犬として活躍しています。
日本では非常に珍しい犬種であり、一般社団法人ジャパン ケネル クラブの犬種別犬籍登録頭数を見てみても、2019年時点で10頭となっています。
ローデシアン・リッジバックの特徴は?
たくましい体躯と背中にある「リッジ」と呼ばれる逆毛が魅力のローデシアン・リッジバッグですが、その特徴を詳しく見ていきましょう。
体高と体重
ローデシアン・リッジバックは、大型犬に分類される犬種です。
【オス】
体高: 63~69cm
体重: 36.5kg
【メス】
体高: 61~66cm
体重: 32kg
筋肉質でバランスの取れた体格
ローデシアン・リッジバッグは、大型犬の中でも筋肉質でたくましい体躯が特徴です。優雅な風貌で足が長く、引き締まった印象からは、狩猟犬をルーツにもつローデシアン・リッジバックの威厳を感じます。
毛色の種類と被毛の特徴
ローデシアン・リッジバックは短毛の犬種です。毛色は、明るい小麦色であるライト・ウィートンから赤みがかったレッド・ウィートンとよばれる毛色まで幅広く見られます。鼻は黒や薄い茶色が一般的です。
ローデシアン・リッジバックの最大の特徴は、背中に見られる「リッジ」と呼ばれる一筋の逆毛です。逆毛といってもライオンのたてがみのような長い逆毛ではなく、短い被毛が逆方向に伸びることで生じたもので、ビロードの生地を毛流れに逆らってなでたような、一部分だけ色味が違って見える逆毛です。
ローデシアン・リッジバックの逆毛は、肩の後ろから股関節のあたりまでライン状に続いています。逆毛の横幅は5cm前後が平均的で、股関節に近づくにつれて、横幅が細くなります。また、肩付近の逆毛には「クラウン」とよばれるつむじが2つあるのが特徴です。
平均寿命
ローデシアン・リッジバックの平均寿命は、10~12年前後とされています。大型犬であるローデシアン・リッジバックは、小型犬よりも寿命が短いとされています。
犬の寿命は、中・大型犬で13.52歳、小型犬で14.05歳、超小型犬で15.3歳が平均です。
ローデシアン・リッジバックの性格は?
ローデシアン・リッジバックは、知的で威厳のある落ち着いた性格の犬種です。狩猟犬ではありますが、見知らぬ人やものに対して、過剰に攻撃的になることは少ないとされています。
たくましい見た目や「ライオンドッグ」という名前から、攻撃的なイメージを持つ方もいるかもしれませんが、ローデシアン・リッジバッグは穏やかな性格で、家庭犬としても適しています。
ただし、自立心や独立心も強いため、賢さと同時に頑固な一面を感じることもあるでしょう。リーダーと認めた相手にしか従わないこともあるので、適切なトレーニングで信頼関係を築くことが大切です。
ローデシアン・リッジバックの飼育ポイント
賢さと落ち着きを兼ね備えた性格のローデシアン・リッジバックですが、飼育の際は事前に理解しておくべきポイントがあります。ここからは、ローデシアン・リッジバッグの飼育のポイントや注意点を紹介します。
十分な運動量を確保する
筋肉質で大型のローデシアン・リッジバックは、豊富な運動量が必要になります。運動不足になるとストレスがたまり、落ち着きがなくなる、攻撃的になるなどの問題行動を起こすこともあります。
毎日朝晩30分以上の散歩を行い、定期的に開放的なドッグランなどで十分に走らせてあげましょう。
ただし、体重が30kgを超える大型犬であるローデシアン・リッジバックを、毎日朝晩30分以上散歩させるのは、飼い主さんにも大きな負担がかかります。
そのため、ローデシアン・リッジバックを飼育する際は、飼い主さんの体力も重要なポイントとなります。
毅然とした姿勢で適切なトレーニングを行う
知的で独立心の強いローデシアン・リッジバックは、相手によって態度を変えることがあります。
また、力の強い大型犬なので、トラブルを避けるためにも、十分なトレーニングで飼い主さんとの信頼関係を築くことが重要です。トレーニングの際は毅然とした姿勢で臨み、飼い主さんがリーダーシップを取るように意識しましょう。
適切なトレーニングで良好な関係を築くことができれば、本来の賢さと忠実さを発揮できる良い家庭犬となります。
週に1回のブラッシングでお手入れを
スムースコートのローデシアン・リッジバックの被毛のお手入れは、週1回程度のブラッシングが基本です。抜け毛はありますが、短毛のためお手入れにはそれほど手間はかかりません。
短毛のため体臭は強くありませんが、ブラッシングにプラスして、定期的にぬれタオルで体を軽く拭いてあげると、清潔な状態を保ちやすくなります。
またローデシアン・リッジバックのような垂れ耳の犬種は、耳の中に汚れがたまるとニオイが発生することもあります。ブラッシングのタイミングで耳の中も掃除してあげましょう。
食事は総合栄養食(ドッグフード)を与える
ローデシアン・リッジバックの食事は、一般的な家庭犬と同じように「総合栄養食」と記載されているドッグフードを主食として与えましょう。
総合栄養食には、犬の年齢に合わせて「子犬用」「成犬用」「シニア用」などに分かれています。年齢に応じて適切な総合栄養食を選んでください。
また、肥満が気になる場合は「体重管理用」の総合栄養食を与えるのもいいでしょう。ローデシアン・リッジバックのような大型犬は、肥満になると関節の疾患を発症するリスクがあるため、食事でも体重管理を意識することが大切です。
ローデシアン・リッジバックがかかりやすい病気
ローデシアン・リッジバックは、特徴的な逆毛付近で発生しやすい先天性疾患や大型犬ならではの関節疾患への注意が必要です。ここでは、ローデシアン・リッジバックがかかりやすい2つの病気について解説します。
類皮腫洞
類皮腫洞は、神経管と皮膚が正しく分離しなかったことに起因する先天的な病気です。ローデシアン・リッジバックは、類皮腫洞の発生頻度が高く、背中の逆毛部分もこの先天的な疾患に関係しているとされています。
類皮腫洞を発症すると、背骨に沿って1つまたは複数のこぶが発生します。さらに、感染症に発展すると痛みや熱が生じることもあるため、気になる症状が見られたら早めに獣医に相談しましょう。
股関節形成不全
股関節形成不全は、体重の重い大型犬がなりやすい疾患のひとつです。成長過程で起こる場合と遺伝的な理由で発症する場合があります。
股関節形成不全になると、痛みを感じるようになり歩くのが困難になるケースも見られます。股関節形成不全の予防のためには、肥満にならないように日ごろから体重管理をしておくことが重要です。
また、運動量が必要になるローデシアン・リッジバックですが、過度な運動も股関節形成不全の原因のひとつのため、適切な運動量を意識しましょう。
室内のフローリングが滑りやすいと、股関節に負担がかかり発症のリスクが高まります。滑りにくい床材に変更したり、足の裏の被毛をカットしたりして、滑りにくい環境を整えてあげましょう。
ローデシアン・リッジバックをお迎えする方法や費用
ローデシアン・リッジバックは、一般的なペットショップでの取り扱いがほとんどありません。そのため、お迎えする際は、専門のブリーダーに相談したり、里親制度を利用したりするのがおすすめです。
また、国内にはローデシアン・リッジバック専門のブリーダーが少ないため、海外のブリーダーから輸入する方法もあります。
ローデシアン・リッジバックの子犬の価格は、10万円~30万円前後が目安です。しかし、海外のブリーダーから購入する場合は、輸入のための諸手続きが発生するため、別途20万円前後の費用がかかるのが一般的です。
そのため、お迎えするための費用は30万円~50万円前後と考えておくといいでしょう。
まとめ
南アフリカ原産のローデシアン・リッジバックは、狩猟犬をルーツにもつ大型犬で、「リッジ」と呼ばれる背中の逆毛とたくましい体つきが魅力です。
賢く落ち着きのある性格ですが、筋肉質で体格のいい大型犬であるため、十分な運動量を確保して、適切なトレーニングを行います。
また、類皮腫洞や股関節形成不全といった疾患を発症する可能性もあるため、気になることがあれば早めに獣医に相談しましょう。
ローデシアン・リッジバックの取り扱いは、一般的なペットショップではほとんどないため、お迎えする場合は専門のブリーダーや里親制度を利用するのがおすすめです。