更新 ( 公開)
ペット薬膳管理士、ペット栄養管理士(ペット栄養学会 会員)、APNAペット食育士1級をもつ。犬の手作りごはんの基本に関するお勉強や薬膳、お料理のレッスンを開催。
秋らしい気候の日も増えてきましたが、9月はとても気温の変動が激しいですよね。また、暑さや冷たいものの食べすぎなど夏の疲れで胃腸の機能が弱っていて、胃もたれや食欲不振、便秘、気温の変化による嘔吐などが起きやすい時季でもあります。
本格的な秋に突入する前に、しっかりと胃腸の調子を立て直しておきましょう。今回は、前回の『アジのとろろ蕎麦』に続き、お腹にやさしい食材で作る『かぼちゃのラタトゥイユ』をご紹介します。
目次
- お腹にやさしい食材で作る「愛犬用かぼちゃのラタトゥイユ」材料
- 《簡単20分》愛犬用かぼちゃのラタトゥイユの作り方
- 【参考】愛犬用かぼちゃのラタトゥイユの1日当たりの給与目安量
- 愛犬用ラタトゥイユで使用したかぼちゃ・なす・しいたけの効能
- 高齢犬も大喜びの愛犬用かぼちゃのラタトゥイユ!飼い主さんもシェア可能
お腹にやさしい食材で作る「愛犬用かぼちゃのラタトゥイユ」材料
<材料>
- 牛肉(レシピはもも肉を使用) 40~50g
- かぼちゃ 40g
- トマト 40g
- なす 20g
- しいたけ 1/2個
- インゲン 5g
- 白ごはん 20g~30g
- 水 50ccほど
※牛肉にアレルギーがある場合は、お好みの肉や魚をお使いください。
※トマトはトマト缶でも代用可です。
※白ごはんは雑穀米でも構いません。その場合、雑穀米は栄養豊富ですが消化しづらいので柔らかく炊いたものをお使いください。
※スープ多めのごはんにしたい場合は水の量を増やして煮込んでください。
《簡単20分》愛犬用かぼちゃのラタトゥイユの作り方
インゲンは事前にさっと茹でておきます。
しいたけはみじん切り、茹でたインゲンは輪切り、その他の食材は5ミリ角~1センチ角の食べやすいサイズにカットします。トマトの皮が気になる場合は剥いてください。
なすはカットした後、5分ほど水につけてあく抜きし、その後よく水気を拭きとっておきます。
鍋に少量の水を入れて火にかけます。
沸いてきたら牛肉を入れて軽く火を通し、かぼちゃも入れます。
かぼちゃが柔らかくなってきたら、しいたけとなすも入れます。
食材に火が通ったらトマトを入れて煮込み、軽く水分を飛ばします。
最後にインゲンを入れて軽く混ぜます。
ごはんと一緒にラタトゥイユを盛り付けて完成です。
【参考】愛犬用かぼちゃのラタトゥイユの1日当たりの給与目安量
今回の分量での完成量は約180g、カロリーは約155kcalです。
体重5キロ前後の避妊去勢済み成犬の1食分として作っています(1日2回食の場合)。
愛犬の体重別1食当たり目安給与量(避妊去勢済で、健康なわんちゃんの場合)
体重 | 成犬の給与量 |
高齢犬向けの給与量 |
1kg | 54g | 43g |
3kg | 123g | 98g |
5kg | 180g | 144g |
7kg | 232g | 185g |
9kg | 280g | 224g |
11kg | 325g | 260g |
13kg | 369g | 295g |
15kg | 410g | 328g |
※ここでは高齢犬とは小型犬は10歳前後~、大型犬は8歳前後~と考えます。
今回のレシピは1食当たりのカロリーは少なめですが、標準的な運動量のわんちゃんには十分な量です。成犬の手作りごはん1食分の摂取目安量は、頭のサイズと同じくらいの器一杯ほどです。しかし、どんなレシピでも、普段のごはんの量やわんちゃんの体調などで量を調節してください。特に高齢犬は同じ体重でも個体差が激しい為、おうちの子の状況をよく見て与えましょう。
愛犬用ラタトゥイユで使用したかぼちゃ・なす・しいたけの効能
★かぼちゃ
秋冬の野菜のイメージがありますが、旬は夏。
免疫に関わるビタミンであるビタミンA、C、Eをそれぞれ豊富に含みます。これらは活性酸素を取り除き、免疫力アップに役立ちます。特に抗酸化力の強いビタミンEは野菜の中でトップクラスの含有量と言われています。ビタミンAとEは脂溶性ビタミンの為、油と一緒に摂取することで吸収率が高まります。そのため、今回のレシピを、オリーブオイルを使って作ることもおすすめです。
皮には果肉以上のビタミンA(βカロテン)や栄養が含まれます。皮ごと火を通して一緒に食べることがおすすめです。ただし、不溶性食物繊維もとても豊富な為、おなかが弱い子には皮は剥いてあげましょう。
瓜系の野菜の中では珍しく、体を温める温性の性質を持ちます。お腹を温め、弱っている消化器系の働きを正常にしてくれます。疲れが溜まっている時や食欲不振の時にもおすすめです。
★なす
全体の約93%が水分でできている夏野菜です。食物繊維、カリウム、葉酸、ナスニン(ポリフェノールの一種アントシアニン)などの栄養素を含みます。紫の色素であるナスニンは強い抗酸化作用と抗老化作用があります。
なすに含まれるほとんどの栄養素は水溶性の為、長時間水につけておくと栄養が流出してしまいます。水につけるのは長くても5分~10分程度にしましょう。
薬膳においては、体内の余計な熱や水分を体から取り除き、のぼせやほてり、むくみをとる働きや、血流を改善する働きがあります。また、胃腸の調子を整えてくれる為、かぼちゃと同様、食欲不振や胃もたれなどを改善してくれます。
もっとも栄養があるのは皮の部分なので皮ごと食べることがおすすめですが、皮がかたくて量が多いな、と思ったら半分くらい剥いて調理しましょう。
★しいたけ
春と秋に旬を迎えるきのこです。
紫外線に当たるとビタミンDに代わるエルゴステロールが多い為、1~2時間日光に当ててから調理するだけで、効率よくビタミンDを摂取できます。免疫機能を増強する働きのあるレンチナンという栄養素は、他のきのこには見られない栄養素です。また、抗腫瘍効果があるβグルカン、血中コレステロールや高血圧を抑えて血液をサラサラにするエルタデニン、老化防止のグルタミン酸など薬効が多く、生活習慣病の予防にもおすすめです。
薬膳の効能としては、元気を補い、食欲不振や食後の胃もたれなど、胃腸虚弱による症状を改善してくれます。
きのこ類は消化しづらい為、効率よく栄養を摂取するためにも、わんちゃんのごはんに使う場合は、細かくみじん切りにして与えましょう。
高齢犬も大喜びの愛犬用かぼちゃのラタトゥイユ!飼い主さんもシェア可能
今回は、この時期に影響が出やすい消化器系にフォーカスし、お腹にやさしい食材を使ったラタトゥイユをご紹介しました。お肉はもちろん、かぼちゃやトマトなど、多くのわんちゃんが好んで食べてくれる食材を使っています。
我が家の12歳の愛犬も早く食べたくて食べたくてお皿から目が離せない様子。名前を呼んでもなかなか前を向いてくれませんでした。
『体をケアしながら美味しく食べる』、これが一番ですね。ズッキーニやパプリカなどを使っても美味しいです。飼い主さんも同じメニューを召し上がる場合、わんちゃんの分を取り分けた後に、コンソメと塩などで味を調えてください。
注意
・このレシピは健康な成犬が食べることを想定して作っています。
・アレルギーがあったり投薬中の場合、食材の中には相性のよくないものもあります。かかりつけの獣医師に相談の上、与えるようにしてください。