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あおば動物クリニック所属

小柄な体と大きく潤んだ瞳がかわいらしいチワワは人気が高い犬種で、日本でも多くの家庭で飼われています。「いつまでも健康で長生きしてほしい」と願う飼い主にとって気になるチワワの平均寿命、注意すべき病気や死因、健康に長生きさせる秘訣などについて、獣医師の牧村さゆり先生に解説していただきました。
目次
- チワワは何歳まで生きる?平均14歳、ギネス最高齢は23歳!
- チワワがかかりやすい病気、死因となる可能性のある病気と予防法は?
- チワワの老化のサイン、老化でかかりやすくなる病気、死因となる可能性のある病気と対処法は?
- チワワの体調や健康維持のために気を付けたいことは?
- チワワの食事の注意点は?
- チワワにおすすめのフード
- まとめ
チワワは何歳まで生きる?平均14歳、ギネス最高齢は23歳!
気になるチワワの平均年齢や、犬の年齢を人間に換算すると何歳になるのかを見ていきましょう。
チワワの平均寿命は約14歳
犬の平均寿命は体が小さいほど長いとされています。チワワは小型犬の中でも特に小さな「超小型犬」にあたります。あらゆる犬種の中で最も体重が軽く、平均は2.3kg。一般的なチワワは体重1.5~3kg、体高は15~22cm程度とされていますが、他の犬種よりも個体差が大きいため、基準の範囲内に収まらない個体も少なくありません。
超小型犬であるチワワの平均寿命は、13.9歳(アニコム『家庭動物白書2023』)と比較的長め。正式な記録は残っていませんが、中には17~19歳まで生きる長生きのチワワもいるようです。ギネス最高齢として記録があるのはアメリカ・オハイオ州の23歳のチワワ、スパイクくん! 当然ですが、寿命は個体の体質や飼い方、運動量、食事などによっても左右されます。
チワワは何歳で老犬になる?
犬は人間と比べて短命で、1年で人間にとっての数年分の年を取ります。犬種や個体によって異なりますが、一般に7歳ごろから中年期、11歳ごろから本格的な老年期に突入すると言われています。
チワワは超小型犬ですが、参考までに小型犬の人間で換算した場合の年齢換算は下記が目安です。
小型犬の場合
小型犬の年齢 |
人間で換算した場合の年齢 |
小型犬の年齢 |
人間で換算した場合の年齢 |
1歳 |
13歳 |
11歳 |
62歳 |
2歳 |
24歳 |
12歳 |
66歳 |
3歳 |
28歳 |
13歳 |
70歳 |
4歳 |
33歳 |
14歳 |
74歳 |
5歳 |
38歳 |
15歳 |
78歳 |
6歳 |
42歳 |
16歳 |
82歳 |
7歳 |
46歳 |
17歳 |
86歳 |
8歳 |
50歳 |
18歳 |
90歳 |
9歳 |
54歳 |
19歳 |
96歳 |
10歳 |
58歳 |
20歳 |
102歳 |
チワワは育てやすい犬種?チワワの性格の特徴は?
チワワは飼い主に対する忠誠心が強く、愛情深い犬種です。かわいらしい容姿そのままの甘えん坊で、周りの人を虜にする魅力があります。また、好奇心旺盛で活発なだけでなく、勇敢で賢い一面も。危険を感じたときは、飼い主を守ろうと懸命に立ち向かうこともあります。
ただし、小型犬らしく臆病で警戒心が強いため、初対面の人に対しては吠えて威嚇してしまうことも。子犬の頃から、外部の刺激にある程度慣れさせる訓練をしましょう。獣医師を対象としたある調査結果では、チワワは飼い主への攻撃性が高く、服従訓練への反応が低いことが分かっています。これは初めて犬を飼う人に不向きな性質と言えるでしょう。飼い始めたときからの一貫した対応と家庭内のルールづくりをすることが重要です。
また、オスとメスで性格の違いもあるようです。オスのチワワは攻撃的で活発なところがあり、メスのチワワはオスと比べて、人懐っこい面があり、飼い主などにはよく甘えるようになります。ただ、見知らぬ人などには警戒心をあらわにする場面も少なくありません。
チワワを迎えるなら保護犬も検討してみて
もし、これからチワワをお迎えしようと考えているなら、保護犬を検討してみませんか? カインズでは、全国の保護犬・保護猫と出逢えるオンラインマッチングサービス「しっぽの出逢い」を運営しています。新しい家族との出逢いを待っているチワワに逢えるかも!
中型犬、大型犬、超大型犬と人間の年齢換算表は以下の記事で紹介しています。犬の年齢を人間に換算すると何歳になるか、気になる方はぜひ見てみてください。もっとチワワについて詳しく知りたい方は、以下に紹介する記事もご覧ください。テーマに沿った詳しい情報がまとめられています。

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チワワがかかりやすい病気、死因となる可能性のある病気と予防法は?
チワワにはかかりやすい病気がいくつかあります。症状や予防法について知り、心構えをしておきましょう。
水頭症
脳脊髄液が過剰に溜まり、脳が圧迫されて起こる病気です。脳の障害を受けた部位や程度、期間により、さまざまな症状が見られます。
具体的には、痙攣や行動異常などの意識障害、不全麻痺、斜視、眼球振とうなどの神経症状、筋硬直などの運動障害、視力障害などの症状が表れることがあります。
水頭症は先天性の奇形によることが多い病気です。チワワの頭はアップルヘッドといわれる独特の丸い形をしているため、水頭症が発症しやすい犬種だと言われています。早期発見、早期治療が大切になるので、異常が出たらすぐに動物病院を受診しましょう。
気管虚脱
気管が潰れて変形し、呼吸困難や酸欠によるチアノーゼや咳などが起こる病気です。様々な原因によって気管を支える軟骨や筋肉が脆弱になることにより発症し、加齢による気管の筋力低下や肥満なども発症の原因になります。
気管虚脱は特に小型犬がかかりやすい病気と言われており、チワワももちろん例外ではありません。予防のためには太らせないこと、散歩時に気管に負担がかからないようにハーネスタイプのリードを使うことが有効です。
膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼とは、後ろ脚の膝の皿がずれて脱臼する病気のこと。脚を触られることや散歩を嫌がったり、後ろ脚を不自然に上げたまま歩いたりするときは、この病気になっている恐れがあります。肥満になってしまうと後ろ脚に負担がかかりやすくなるため、適切な体重管理が大切です。
重症度によっては手術による治療を勧められることもあるでしょう。
てんかん
てんかんは、脳の異常な興奮と過度の放電が原因で、体のけいれんや意識障害などの症状を起こす病気です。脳腫瘍など脳の異常が原因で起こる「症候性てんかん」と、原因不明で起こる「特発性てんかん」があります。特発性てんかんは遺伝的な要因が強く疑われています。
症候性てんかんは、原因となる病気の治療を行いながら、抗てんかん薬を用いて発作の頻度を減らします。特発性てんかんの完治は難しいとされています。
低血糖
超小型犬や小型犬は低血糖のリスクが高いとされています。血液中のブドウ糖の量を血糖値と言いますが、低血糖は血糖値が基準値を下回っている状態を指します。一度にまとまった量のカロリーを摂取できない子犬や、感染症や嘔吐・下痢などが原因で栄養状態が悪い場合に発症のリスクが高くなります。
低血糖になると元気がなくなってぐったりし、症状が進むとふらつき、けいれん、発作、嘔吐、失禁、下痢、震えなどの症状が出てきます。異変に気付いたら、すぐに動物病院を受診しましょう。ブドウ糖を投与したり静脈注射したりといった治療を行います。
心臓病(特に僧帽弁閉鎖不全症)
超小型犬や小型犬の老犬に多くみられる症状で、心臓の左心房と左心室の間にある僧帽弁の機能が低下し、左心室から全身へ送り出されるはずの血液が一部左心房に逆流してしまう病気です。
進行すると心臓そのものの機能が低下し、疲れやすくなったり、運動をしたがらなくなったりします。重度の肺水腫やチアノーゼを起こして、治療が遅れると死に至ることも。初期症状が出にくい病気のため、定期的な検診で心臓に異常がないかチェックすることが大切です。
歯周病
犬の歯周病は、主に歯垢や歯石の中の細菌によって起こる、歯肉の炎症や歯を支える骨が破壊されていく病気です。歯茎の腫れや出血、口臭、物が食べにくくなることなどで気付きますが、症状がひどくなると歯が抜けたり、下あごの骨が骨折したりします。全身の臓器に歯周病菌が広がることで、死に至る可能性もあります。チワワは超小型犬で歯が密に並んでいるため、歯周病のリスクが高いと言われています。
犬は人間と違い口腔内がアルカリ性で、歯石や細菌が増えやすく、歯周病になりやすい傾向があります。毎日の歯磨きで歯垢をしっかり落とし、歯石をつくらないことが一番の予防になります。歯磨きペーストやデンタルガムを利用しながら、子犬の頃から歯磨きに慣れさせると、老犬期にもトラブルが少なくなります。
チワワの老化のサイン、老化でかかりやすくなる病気、死因となる可能性のある病気と対処法は?
高齢のチワワは若い時ほど活発に動かなくなり、睡眠時間も増える傾向にあります。短い散歩や軽い遊びなどで、無理のない範囲で体を動かすようにしましょう。食欲も徐々に減退し、視覚や聴覚も機能が低下するほか、毛並みなどにも変化が起こります。
これらは単に老化のサインなのか、病気が原因なのかを正しく判断することが大切です。ここでは、老化でかかりやすくなる疾患について解説します。
僧帽弁閉鎖不全症
前述のとおり、超小型犬や小型犬の老犬に多くみられる症状です。早い犬では8歳ぐらいから、運動をしてもすぐ疲れる「運動不耐性」になったり、咳をしたりといった心臓病の初期症状が出てきます。進行すると心臓の機能が低下し、心不全になる可能性もあります。心臓検診を含む健康診断を定期的に受けることが、とても重要です。発症した場合は投薬や手術などで症状の進行を抑え、心臓にかかる負担を軽くします。
歯周病
前述のとおりチワワは歯周病になりやすく、歯磨きを定期的にしていない場合、ほとんどのケースで歯周病になっていると考えられます。歯周病から内臓の病気につながることもあり、甘く見てはいけません。歯周病対策には、歯磨きシートや歯ブラシを使った毎日のオーラルケアが効果的です。
白内障
加齢とともに、チワワをはじめとする多くの犬種が発症する白内障。目の中の水晶体が白く濁り、視力が低下する病気です。症状が進行すると失明することもあります。
老齢性の白内障は早期発見できれば進行を遅らせる点眼薬を使用できますが、残念ながら予防することができません。愛犬が白内障になってしまった場合は、物につまずいて転んだり、目をけがしたりしないよう、部屋はきちんと片付け、愛犬の目の高さに物を置かないようにするなど、住環境の整備に気を付けてください。
腫瘍(ガン)
ガン細胞は、通常は体内の免疫システムによって排除されます。しかし、高齢になるとガン細胞が増える一方で免疫の働きは衰えるため、排除しきれなかったガン細胞が増殖して腫瘍(ガン)になります。
ガンの治療は早期発見がとても重要です。犬は痛みや違和感を言葉で伝えられないため、飼い主が愛犬のささいな異変に気付くことが大切です。治療方法としては手術、抗がん剤、放射線療法があります。
認知症
人間と同じで、犬も高齢になると認知症になりやすくなります。夜鳴きや徘徊、名前を呼んでも反応しない、同じ方向にグルグルと回り続ける、排便排尿の粗相が多くなるなどの症状がみられます。
根本的な治療法はありませんが、早期に発見すればサプリメントや鎮静剤、抗不安薬などで治療をスタートできるため、症状の現れ方や進行を穏やかにすることが期待できます。
チワワの体調や健康維持のために気を付けたいことは?
どの犬種にも共通して言えることですが、愛犬を元気で長生きさせるためには、適度な運動と適切な食事、十分な睡眠が欠かせません。まずはこの基本をきちんと守れていることが大切です。
次に説明するような生活習慣や配慮ができているか、普段の飼い方を振り返ってみましょう。
運動・体重管理が重要!日頃のスキンシップが健康につながる
運動不足は、チワワの健康を損なう要因の一つです。チワワは小柄なため運動量が少ないと思われがちですが、小型犬の中でも活動性の高い犬種です。肥満予防やストレス解消のためにも、室内のみで飼育するのではなく、定期的に散歩に連れ出して運動量を確保してください。
適切でない量の食事も、肥満や痩せ過ぎから起こる病気のリスクを向上させます。食事量は多過ぎても少な過ぎてもいけません。愛犬の体格やライフステージに合った量を与えるようにしましょう。そのほか、添加物の多い食事も健康を損なう原因になります。
歯磨きなどのデンタルケア、ブラッシングなどの日頃のお手入れはスキンシップにもなり、愛犬の異常に気付く機会にもなります。もし、何か気になることがあったら、動物病院を受診しましょう。定期健診も怠らないようにしたいですね。
なお、喫煙習慣や柔軟剤、芳香剤の多用など、飼い主側の問題によってチワワが体調を崩すこともあります。犬の嗅覚は人間の数千倍~1億倍優れているため、人間が気にならない匂いが、愛犬にとっては大きなストレスになっているかもしれません。部屋の中を定期的にチェックしてみましょう。
チワワは骨折しやすい!段差を減らす、床材を工夫して
チワワのような超小型犬は骨が細く、骨折しやすい犬種です。ソファーから飛び降りたり、フローリングの床で滑ったり、飼い主が誤って踏んだりして骨折してしまうことがあります。
座面の高いソファーはステップを設置する、フローリングには滑り止めマットを敷くなどの配慮が必要です。可能であれば、ロータイプのソファーにする、ペット向けの滑りにくい床材に替えると安心です。
チワワは熱中症になりやすい!散歩の時間帯は季節によって変更しよう
犬は口を開けて呼吸すること(パンディング)で体温調節をします。しかし、チワワはマズルが短く気道が短いためパンティングが苦手で、熱中症になりやすいのです。さらに、チワワは体高が低い分、地面からの反射熱を受けやすくなります。熱を溜め込みやすく、高温になりがちなアスファルトやマンホールの上を直接歩くことで肉球にやけどをしてしまうことも!
暑い時期の散歩は、涼しい時間帯を選ぶようにしましょう。比較的暑さが和らいでいる夜間や日が出る前の早朝がおすすめです。夕方でも地面が熱を保っている場合があるので、触って確かめると安心ですね。
チワワの食事の注意点は?
食事は愛犬の健康のベースをつくります。チワワにとっての食事はどのような量・内容が適切か学んでおきましょう。
チワワの適切な食事量
肥満はさまざまな病気の原因となるため、チワワを飼うときには食事量に注意しましょう。1日に必要なカロリーは、愛犬の「安静時エネルギー必要量(RER)」と「1日の必要エネルギー量(DER)」という数字から割り出すことができます。
例えば、2.3kgのチワワのRERは約130カロリーであり、1歳以上の成犬であればDERは1.8とされています。つまり、1日あたり必要なカロリーは160×1.8=234カロリーとなります。なお、1日の必要エネルギー量(DER)は、健康な成犬、シニア犬、病気の犬、妊娠中の犬など、ライフステージによって異なります。
生後1か月から成犬になるまでの月齢ごとの適性体重は以下のとおりです。体重管理の目安にしてください。
<年齢別の適正体重の目安一覧※>
生後1か月…200g
生後2か月…400〜500g
生後3か月…800〜900g
生後4か月…1100〜1200g
生後5か月…1600〜1700g
生後6か月…2000〜2100g
生後7か月…2400〜2500g
生後8か月以降〜…2500g
※成犬時の体重により子犬期の適正体重が変わります。ここでは成犬時に2.5kgとなることを想定しています。
チワワの食事内容
食事に関しては、カロリーの過多や不足だけでなく、炭水化物の与えすぎにも気を付けましょう。炭水化物の取り過ぎは肥満を招きます。市販のフードなら原材料を確認し、手作りご飯の場合は炭水化物の量をしっかり計算して与えましょう。
肥満になっているかは、体重だけでなく、お腹や肋骨周辺の脂肪の付き具合で判断します。手のひらで体に触り、ウエスト部分に肉が付き過ぎていないか、肋骨部分や腰骨の硬さを感じられるかどうかを確認してください。
食事の与え方
市販のフードを食べさせている場合、基本的にはパッケージに記載されているとおりの回数で与えます。「1日2~3回」と記載されているフードが一般的です。ただし、生後5~6か月の成長期のチワワは、空腹で低血糖を起こしやすいという性質があります。お腹を空かせないよう、1日分を4~5回に分けて与えてください。
また、シニア期のチワワは、食が細くなる子も少なくありません。そんなときは一度に与える量を減らし、食事の回数を増やしてみるとよいでしょう。
チワワにおすすめのフード
カインズのオンラインショップでは、小型犬用のドッグフードを多数扱っています。高齢の犬向けや、減量をサポートする商品などバリエーションも豊富。ぜひご覧ください。
サイエンス・ダイエット 小型犬用 シニア(高齢犬用) 3kg
サイエンス・ダイエット アダルト 小型犬用 成犬用 1.5kg
サイエンス・ダイエット 減量サポート 超小粒 小型犬用 2.5kg
※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります。
※上記商品は獣医師の監修外です。
まとめ
チワワの平均寿命は13.9歳と比較的長寿ですが、老化とともにさまざまな病気にかかりやすくなります。食事の与え方や生活習慣に気を配り、元気で長生きできるようにしてあげたいですね。愛犬の様子をよく観察し、気になることがあったら早めに動物病院を受診しましょう。