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ちば愛犬動物フラワー学園所属。北里大学獣医畜産学部卒業 / 現在は専門学校に勤務しつつ、地域の動物病院にて勤務医として従事。

犬は肉食動物だと思われがちですが、実は野菜やフルーツ、穀物も消化できる肉食寄りの雑食性です。祖先であるオオカミから受け継いだ歯や胃の構造、食べ方の習性は、現代の犬にも残っています。
この記事では、獣医師の平田繭子先生監修のもと、犬の食性やオオカミとの違い、犬に適した栄養バランスについて詳しく解説します。
※商品などの紹介は、本記事の獣医師の監修外であり、編集部による情報提供です。
目次
- 犬の食性は肉食寄りの雑食
- 犬に絶対食べさせちゃいけないものはなに?
- 犬の祖先オオカミと犬の食性の違い
- 犬とオオカミは食性が違う、犬に適した栄養バランスがある
- 「食いだめ」「早食い」「丸飲み」はオオカミ時代の名残り
- オオカミから受け継いだ「食いだめ」「丸飲み」「早食い」の対策
- 犬が好む味付けや食材。食事はどんなものを準備すればいい?
- カインズで取扱い中のドッグフードを紹介!
- まとめ
犬の食性は肉食寄りの雑食
犬は生物学的には、食肉目イヌ科に分類されます。しかし“食肉目”ということは肉食動物だ、と判断するには尚早です。身体構造を注意深く観察していくと、動物性食品と植物性食品の両方を食べることができる雑食性の動物だということがわかります。
では、まず犬が持つ肉食動物としての特徴から見ていきましょう。
- 肉を噛み切るするどい犬歯がある
- 胃が大きくふくらむ
- タンパク質(肉)の消化が得意な強力な胃酸
- 唾液に炭水化物の消化を行うアミラーゼが含まれていない
次に犬が持つ雑食動物の特徴をあげていきます。
- 骨や植物の繊維を噛み潰すための臼歯(表面が平たい歯)が26本ある
(肉食動物の猫は肉を引きちぎって飲みこむため臼歯は14本) - 穀類などに含まれる炭水化物をほぼ100%消化することができる
- 植物に含まれるベータカロテンからビタミンAをつくることができる
- 消化しにくいものを食べる動物ほど腸が長くなる
雑食性の人間は体長の約12倍、犬は体長の約6倍、肉食性のオオカミや猫は体長の約4倍ある
これらの特徴から、犬は人間よりはタンパク質を多く必要とするが、植物を消化する機能も持っているため、「肉食寄りの雑食性」だといえます。
犬に絶対食べさせちゃいけないものはなに?
犬が雑食性だからといって、何でも食べていいわけではありません。
私たち人が当たり前のように食べているものでも、犬にとっては中毒を起こして重篤な症状を引き起こす食べ物があります。
犬が口にしたらとくに危険なものを下記に紹介します。もしこれらを愛犬が口にしてしまったら、すぐに動物病院へ連絡を入れて指示を仰いでください。
- ネギ類(玉ねぎ、長ねぎ、らっきょう、にら、ニンニクなど)
- ブドウ、レーズン、マスカット
- キシリトール
- チョコレート、ココアなど
- アボカド
- いちじく
- カフェイン(コーヒー、お茶類)
- アルコール(お酒)
- マカダミアナッツ
- 銀杏
- アロエ
- ホップ
- 香辛料(わさび、唐辛子、コショウなど)
犬の祖先オオカミと犬の食性の違い
犬の祖先は、約2万~4万年ほど前に生息していたハイイロオオカミの仲間だといわれています。オオカミが肉食か雑食かには諸説ありますが、犬は肉を切り裂くための列肉歯(れつにくし)を持つなど、肉食動物としての身体的な特徴をオオカミから引き継いでいます。
しかし犬はオオカミと比べて、でんぷんを分解する酵素(アミラーゼ)をオオカミより多く持つなど、炭水化物を消化するための機能が優れています。
これらのことから、オオカミと犬の食性は全く同じというわけではないことがわかります。かつては野生で暮らしていた犬ですが、1万年ほど前から人と暮らすようになり穀物なども食べるようになって、徐々に雑食性になっていったのではないか、と考える説もあります。
犬とオオカミは食性が違う、犬に適した栄養バランスがある
先述したように、犬とオオカミは食性が異なると考えられています。
そのため人の祖先はサルなのだから人にはサルに近い食事が良い、とはならないように、犬の祖先がオオカミだからといって犬にとってオオカミに近い食事が良い、ということにはなりません。
犬にとって最適なタンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルなどのバランスや量があると考えるのが当然です。
“総合栄養食”のドッグフードは、「肉食寄りの雑食性」である犬の食性に合わせて、フードと水のみで犬の健康が維持できるような、犬に最適な栄養バランスで設計されています。
「食いだめ」「早食い」「丸飲み」はオオカミ時代の名残り
群れで狩りをしながら生活していたオオカミは、いつ獲物にありつけるかわかりません。そのため食べられるときにできる限りたくさん食べる「食いだめ」をします。また群れの仲間たちに、仕留めた獲物を先に食べられてしまわないように「早食い」になります。そのため、歯はよく噛むためのものではなくて、肉を引き裂いて飲みこむための構造になっていて「丸飲み」しています。
犬の歯の特性を理解すると、飼い主がゆっくり食べさせようとしても、犬は本能的に一気に食べてしまい、よく噛まずに丸飲みする傾向がよくわかります。
目の前にある食べ物を際限なく食べてしまう、食べられる機会があると一度に食べきってしまう、大きな塊のまま噛まずに丸飲みしてしまう、といった食べ方の特徴は、現代の犬にも受け継がれています。
オオカミから受け継いだ「食いだめ」「丸飲み」「早食い」の対策
犬は、自分で食事量を1回ごとにコントロールすることはあまりありません。多くの犬は、与えただけすべて食べてしまう「食いだめをする習性」があるので、犬が食べ過ぎて肥満にならないようにするためには、飼い主が給餌量を管理するしかありません。そのためには、愛犬に必要な摂取カロリーと給餌量を把握しておくことが重要です。
また「丸飲みをする習性」がある犬は、大きな食べ物や硬いものを丸飲みして、気道に詰まってしまうことが心配です。食べ物は、愛犬が安全に飲みこめる大きさにカットしてから与える習慣をつけましょう。
「早食い」対策には、早食い対策用の器を使ったり、量を減らして食事回数を増やしたりするなどの対策をしましょう。早食いは、吐き戻しや胃拡張、胃捻転のリスクが高まるため注意が必要です。
犬が好む味付けや食材。食事はどんなものを準備すればいい?
基本的には、犬には総合栄養食であるドッグフードを与えていれば問題ありません。しかしお店に行くとたくさんの種類の製品が並んでいて、どれを選ぶべきか迷う飼い主も多いでしょう。
まずは犬にどのフードを与えたらいいのか、フードの選び方や犬の食事の基本について、次の記事で学びましょう。
また犬は人間と同じ雑食性ですが、人間とは味の感じ方や好みが異なります。多くの犬は、甘みや脂の味、肉や魚のタンパク質の味を好み、酸味や苦味が苦手だといわれています。犬の味覚について知っておくと、食欲がないときなどに活かせます。次の記事で詳しく見てみてください。
カインズで取扱い中のドッグフードを紹介!
カインズではさまざまな種類のドッグフードを取り揃えています。主食となる総合栄養食や、トレーニングのごほうびになる間食(おやつ)、トッピング類などたくさんの商品から、愛犬のライフステージや体質、好みに合わせて選んであげましょう。
オンラインショップだけでなく、ぜひお近くのカインズにもお出かけください。
まとめ
犬の食性は、「肉食寄りの雑食」です。私たち人間と同じ雑食性ですが、食べられるものや好み、適した栄養バランスは大きく異なります。なかには私たちの健康にはとても良い食材が、犬にとっては害や毒になってしまうものもあります。
愛犬の健康を守るために、犬には犬に適した栄養バランスと食材があることに留意しましょう。
※売り切れや取扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります。
※上記商品は獣医師の監修外です。