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ふくふく動物病院院長。得意分野は皮膚病。飼い主とペットの笑顔につながる診療がモットー。キャバリアと5匹の保護ねこ、わんぱくなロップイヤーと一緒に暮らしている。

「犬好きなのによく吠えられるのはなぜ?」「犬が飼い主に吠える理由を知りたい」といった悩みを持つ人もいるのではないでしょうか。
犬が吠えるには理由があり、主に警戒心や恐怖、不安、興奮といった感情から来るとされています。
今回は、犬に吠えられる人に共通する特徴と、その理由を深掘りしながら、犬との関係を良好にするための具体的な対策を、獣医師の平松育子先生監修のもと解説していきます。
目次
- 犬に吠えられる人の特徴とその理由
- 犬が吠える心理とその原因
- 犬に吠えられないための具体的な対策
- 犬との信頼関係を築くための方法
- 犬に嫌われないために心掛けたい4つのこと
- 愛犬と一緒に遊ぼう!おすすめのグッズ
- 犬を迎えるなら保護犬とのマッチングも検討してみて
- まとめ
犬に吠えられる人の特徴とその理由
犬が吠える理由はさまざまありますが、犬にとって「危険」と感じる行動や特徴がきっかけとなることが多いようです。ここでは、犬に吠えられやすい人の特徴と理由について詳しく解説します。
急な動きや不自然な動作が犬に警戒心を抱かせる
犬は非常に敏感で周囲の動きに常に注意を払っています。そのため、急な動作や不自然な仕草をする人は、犬にとって脅威として認識されやすいのです。例えば、突然手を振り上げたり、走り出したりする行為は、犬に「攻撃の前触れ」と誤解される場合があります。また、犬に接触しようとする際に、じっと目を見つめたり無理に触ろうとしたりする行為も、恐怖心や不安を引き起こす要因となります。
特に子どもは予測しにくい動きをすることが多く、犬に吠えられる場面が少なくありません。散歩中などに子どもとすれちがう際は、飼い主やそばにいる大人はこうした予測しにくい動作に注意が必要です。
大声や特定の音が犬の興奮や不安を引き起こす
犬の聴覚は非常に鋭く、人間には気にならないような音にも強く反応します。そのため、大声で話したり叫んだりする行為は、犬にとってストレスの原因となることがあります。特に高音や甲高い声は刺激が強く、不安や興奮を引き起こしやすいといわれています。犬の近くでは大声を控え、落ち着いた声のトーンで話すように心がけると、犬の不安を軽減することができます。
また、雷やサイレン、拍手といった特定の音が、過去のトラウマを思い出させるケースもあります。こうした音に反応して吠える犬は少なくありません。環境音にも注意を払い、犬が落ち着ける環境を整えることが大切です。
匂い(香水など)や身だしなみが犬に影響を与える場合も
犬の嗅覚は人間の数千~1億倍といわれるほど優れており、匂いには非常に敏感です。そのため、強い香水の香りやタバコの煙、化学的な匂いなどは犬に不快感やストレスを与え、吠える原因になることがあります。
また、匂いだけでなく、出会った人の身だしなみに反応して警戒心から吠える犬もいます。特に、帽子やサングラスは顔の表情を隠してしまうため、犬が相手の意図を読み取れず、不安を感じる原因になることがあります。犬と接する際は、匂いの強いものを控え、顔が見える服装を心がけることで、犬に警戒されるのを避けやすくなるでしょう。
犬が警戒心を示す距離感や動作を知ろう
人間同様、犬にも自分の身を守るために他者に入ってほしくないパーソナルスペースが存在します。この距離を侵されると、犬は警戒心を抱き、吠えることがあります。見知らぬ人が急に近づく行動は、犬にとって大きなストレスとなり、防衛本能を刺激する可能性が高いといえます。
犬に近づく際は、正面から急接近するのではなく、斜めからゆっくりと近づくのがおすすめです。また、犬が警戒のサインを示している場合、無理に接触しようとするのは避けましょう。尻尾を下げたり耳を伏せたりする行動は、不安や警戒を感じているサインです。こうした犬の心理を理解し、適切な距離感を保つことで、犬に吠えられるリスクを大幅に減らすことができます。
犬が吠える心理とその原因
犬が吠えるのにはさまざまな心理的要因が絡んでいます。ここでは、犬が吠える理由を4つの観点から詳しく解説します。
警戒心や恐怖から吠える
犬が吠える最も一般的な理由の1つが、警戒心や恐怖です。見知らぬ人や動物が近づいてきたとき、犬は自分や仲間を守るために吠えます。これは相手に対する威嚇や警告の意味を持つ行為です。特に、自分の縄張りと認識している場所で予期せぬ出来事が起こると、警戒心が一層高まります。
また、過去に人間や他の動物から虐待や攻撃を受けた経験がある犬は、特定の状況や対象に対してトラウマを抱き、恐怖を感じて吠えることがあります。犬の心理を理解してあげ、ストレスを軽減する環境づくりが重要です。
不安やストレスを伝えるために吠える
犬は不安やストレスを感じたとき、その感情を吠えることで表現します。例えば、飼い主が長時間家を留守にすると、分離不安を抱えた犬が吠え続けるケースがあります。引っ越しやペットホテルなど新しい環境に置かれた際に吠えるケースも、周囲に馴染めない不安感を訴えているといえるでしょう。
また、騒音や他の犬の存在など、過剰な刺激が多い状況でもストレスが蓄積し、それが吠える行動として現れる場合もあります。このような場合、犬の生活環境を見直し、ストレス要因を減らすことが吠えの解消につながります。
飼い主への要求行動として吠える
犬が吠える理由の1つに、飼い主への要求行動があります。例えば、食事や散歩を催促したり、遊びを求めたりする際に吠えるのは典型的な要求吠えです。このような行動は、飼い主が吠えたタイミングで反応することで強化されやすい特徴があります。「吠えれば願いが叶う」と学習した犬は、頻繁に吠えるようになる可能性があります。
この問題を改善するには、犬が吠えるたびに応じるのではなく、吠えをやめた瞬間に褒めたり、ご褒美を与えたりするポジティブなトレーニングを取り入れる方法がおすすめです。
犬が抱えるトラウマや生活環境が影響する場合も
犬が吠える背景には、過去のトラウマや現在の生活環境が関係していることもあります。例えば、虐待や放置といったネガティブな経験をした犬は、特定の状況に恐怖心や不安を抱きやすく、それが吠える行動につながることがあります。
また、運動不足や孤独感、さらには飼い主との信頼関係が薄い場合も、吠えの原因となります。このような場合は、運動を増やしたり、安心感を与える接し方を心がけたりすることが必要です。犬が吠える理由を理解し、その原因に応じたケアを行うことで、犬との関係がより良いものになるでしょう。
犬に吠えられないための具体的な対策
犬が吠える行動を完全に止めることは難しいといえますが、犬の心理や行動を理解し、それに合わせた接し方を工夫することで、吠えられるリスクを減らすことが可能です。ここでは、犬に吠えられないための具体的な対策を5つのポイントで解説します。
犬の警戒サイン(しっぽや耳の動き)を見逃さない
犬は吠える前に、しっぽや耳、全身の動きなどを使って警戒サインを示します。例えば、しっぽを下げたりピンと立てたり、耳を後ろに倒したりする行動は、犬が不安や緊張を感じている表れです。また、周囲を注意深く見回したり、動きを止めたりする場合も警戒のサインといえます。
こうした行動に気づいたときは、無理に近づいたり触れたりせず、一定の距離を保つことが重要です。犬がリラックスした状態になるまで待つことで、信頼を損なうことなく接することができます。
適切な距離感を保ちながら犬に接する
犬は見知らぬ人との距離感を非常に重要視します。そのため、突然近づいたり、犬の顔の近くに手を伸ばしたりすることは避けるべきです。犬に接する際は、まず犬がリラックスしているかを観察し、無理のない自然な動作で近づくよう心がけましょう。また、犬が自ら近づいてくるのを待つのも良い方法です。相手のペースを尊重することで、犬が安心感を持ちやすくなり、警戒心を和らげることができます。
散歩や日常生活の中での注意点
飼い主の役割は、犬が散歩中や日常生活で安心して過ごせる環境を整えることです。例えば、散歩中に急な動きをしたり、大声を出したりする人がいると、犬の警戒心は高まりやすくなります。飼い主自身はもちろん、散歩中にすれ違う人にも目配りして注意する必要があります。特に、他の犬やその飼い主に接触する際は、犬が落ち着いた状態であるかよく確認しながら行動しましょう。
また、犬にとってストレスとなるような場面に慣れるために日頃から対策をしておくのもおすすめです。例えば、傘や帽子などに愛犬が反応しやすい場合は、事前にこれらを見せて慣れさせておくのも良い方法です。
落ち着いた態度や明るい声で話しかける
犬は人間の感情や声のトーンに非常に敏感です。飼い主が極端に高い声を出したり興奮した様子を見せたりすると、犬を警戒させ逆に吠えるのを増長させてしまいます。
犬に話しかける際は、落ち着いた明るい声でゆっくりと話すようにしましょう。また、緊張や恐怖を感じさせないように、ゆっくりとした動作を心がけることが大切です。急な動きや威圧的な態度は、犬の興奮を引き起こす原因となるため避けましょう。飼い主や接する人が落ち着いた態度を示すことで、犬の安心感を高める効果が期待できます。
犬に不快感を与える匂いや服装を避ける
犬に接する際には、香水や強い香りのアイテムを使用しないようにしましょう。犬は嗅覚が非常に敏感で、強い匂いがストレスや不快感を引き起こすことがあります。また、服装にも配慮が必要です。全身真っ黒でサングラス、帽子で表情を隠したり、フード付きの服や揺れるアクセサリーを付けたりする行為が、犬に不安を与える可能性があります。
犬との信頼関係を築くための方法
犬に吠えられないようにするためには、犬との信頼関係を築くことが不可欠です。犬が安心感を持ち、信頼を寄せる相手には警戒心やストレスを感じにくくなるため、吠える行動も減少する傾向があります。ここでは、犬との絆を深める具体的な方法を5つの観点から紹介します。
犬が好む穏やかな態度や行動を習慣化する
犬との信頼関係を築くためには、飼い主の穏やかで一貫した態度が重要です。落ち着きのない動きや大声で注意する、叱るといった行動は犬に不安感や警戒心を抱かせてしまいます。飼い主が穏やかな声で話しかけ、犬のペースに合わせて行動すると安心感を与えることができます。
また、犬がリラックスしているタイミングでそばに寄り、優しく触れることで、「安全な存在」であると伝えられます。こうしたポジティブな経験を積み重ねると、犬との信頼関係は徐々に深まります。
犬とのコミュニケーションを深めるコツ
犬はしっぽや耳、目の動き、表情などを使って感情を伝えます。愛犬と信頼関係を築くためにはこういったしぐさが何を意味するのかよく観察し、ボディランゲージを的確に読み取る努力が大切です。愛犬の気持ちや意図を理解できるようになると、適切な対応を取ることができます。
また、優しいトーンでの声掛けや、アイコンタクトを上手に取る、愛犬が良い行動を見せた瞬間を逃さず褒めるなども絆を深めるのに有効です。特に、犬が吠える状況では、飼い主が焦らず冷静に対応し、安心感を与えましょう。
家族や相手と協力して良好な環境を作る
犬が安心して過ごせる環境を作るには、家族全員の協力が欠かせません。一貫したルールや態度で接することで、犬は混乱せず、飼い主たちを信頼できるようになります。犬を叱る方法や褒めるタイミングについても家族で話し合い共通理解を持つよう努められると良いですね。
また、来客がある際には、事前に犬の性格や注意点を周囲と共有し、接し方に配慮してもらうなど、周囲の人とも協力体制を築けると、犬にとってストレスの少ない生活環境を提供できます。
犬に安心感を与える接し方の具体例
犬との信頼関係はすぐに築けるわけではありません。心がけておくと良い、接し方の具体例を以下に紹介します。
- 犬がリラックスできる空間を整える
- 無理に触れ合おうとしない
- 犬の視界に入る際は目線を合わせすぎず、少し下を向きながら近づく
- 穏やかな声で話しかける
- 褒めるタイミングを意識する
- 犬が自ら近寄るのを待つ
生活習慣の改善やしつけも大切
愛犬の信頼を得るためには、生活習慣の改善にも目を向けましょう。散歩や遊びの時間を毎日確保できると、エネルギーを発散でき、愛犬のストレスを軽減できます。決まった時間に食事や休息を与えることも、安心して生活するためには重要です。
また、ポジティブなトレーニングによって良い行動を引き出しやすくなります。例えば、望ましい行動を見せたときに褒めることで、犬は「これをすれば飼い主が喜ぶ」と学習します。規則正しい生活習慣によって、犬との信頼関係が一層深まるでしょう。
犬に嫌われないために心掛けたい4つのこと
犬との良好な関係を築くには、犬に嫌われないように心掛けることが大切です。犬の特性を理解し、ストレスを軽減し、適切な時間を共有しながら安全で快適な環境を整えましょう。ここでは、犬に嫌われないために意識したい4つのポイントを解説します。
動物としての犬の特性を理解する
犬は群れで生活する本能を持ち、警戒心が強い動物です。犬は自分に危害を加える可能性があるかどうかを瞬時に判断し、行動します。そのため、飼い主は犬の心理やボディランゲージを理解することが重要です。例えば、じっと目を見つめる行為は犬にとって挑発と受け取られる場合があります。
また、急な動きや大声は犬に恐怖感を与え、吠えたり攻撃的になったりする原因となることもあります。犬の基本的な特性を知れば、無用なトラブルを回避しやすくなり、良好な関係を築く助けになります。
愛犬のストレスを減らす
犬は環境の変化や運動不足、孤独感など、さまざまな要因でストレスを感じます。このストレスを軽減するためには、日々の生活に十分な散歩や遊びの時間を取り入れる必要があります。散歩は体力を保つだけでなく、精神的な安定をももたらします。
また、知育おもちゃや噛むおもちゃを与えたり、安心して休める静かな場所を整えたりなど犬がリラックスできる時間を確保するのも重要です。犬の生活を観察し、ストレス要因を減らすことで、健全な精神状態を維持する助けとなるでしょう。
愛犬のために飼い主が十分な時間を確保する
犬と信頼関係を築くには、飼い主が十分な時間と注意を犬に向けることが求められます。忙しさを理由に犬を放置すると、寂しさや退屈が原因で問題行動が増える可能性があります。一方で、過剰に構いすぎるのも犬に依存心を強めさせ、分離不安などの問題を引き起こす場合があります。そのため、適切な距離感を保ちながら、犬とのバランスの取れた時間を共有することが大切です。
犬にとって安全で快適な環境を作る
犬が安心して生活できる環境を整えることは、犬の健康と幸せに直結します。静かで落ち着ける寝床を用意し、適切な室内温度を保ちましょう。有毒な植物や電気コード、飲み込む危険のある物など家の中から危険なものを取り除くことも忘れないようにしてください。
また、外出時には首輪が緩くないかなど安全面を確認し、犬の動きを制御できるリードの長さにして、事故や他の犬とのトラブルを防ぎましょう。こうした配慮が、犬にとって快適な生活環境を提供し、信頼関係を深める基盤となります。
愛犬と一緒に遊ぼう!おすすめのグッズ
愛犬との遊びやリラックスの時間を充実させるために、おもちゃや散歩で使えるハーネス、リード、安心できる環境づくりに使えるベッドやブランケットなどグッズの活用がおすすめです。おもちゃは犬のストレス発散や知育に役立つだけでなく、飼い主との絆を深める時間を提供します。また、快適なベッドは犬にとって安心できる居場所となり、心身の健康をサポートします。愛犬がより幸せに過ごせるよう、用途に合わせたグッズを選び、楽しい時間を共有してみてはいかがでしょうか?
※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります。
※上記商品は獣医師の監修外です。
犬を迎えるなら保護犬とのマッチングも検討してみて
新たに犬を迎えたいと考えているなら、保護犬とのマッチングを検討してみてはいかがでしょうか?
カインズが運営する「しっぽの出逢い」は、完全審査制の保護犬・保護猫マッチングサイトです。保護された犬や猫が新しい家族と出会えるよう、個々の性格や特徴に合わせた情報を提供しています。サイトでは、登録されている動物たちのプロフィールを詳しく確認できるほか、譲渡に関するサポートも充実しています。詳しくは「しっぽの出逢い」をご覧ください。
まとめ
この記事では、犬が吠える原因や心理、吠えられないための対策、信頼関係を築く方法などを詳しく解説しました。犬が吠えるときには理由があり、その背景を理解して適切に対応することが、犬との良好な関係を築く第一歩です。
犬との生活では、日常の接し方や環境作りが大切です。警戒心を煽らない穏やかな態度や、ストレスを軽減するための工夫、適切な生活リズムを心がけましょう。
犬の感情に寄り添い、一貫した接し方をすることで、犬に安心感を与え、信頼関係を深めることができます。