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博士(獣医学)。専門は獣医動物行動学。evergreen pet clinic ebisu行動診療科担当。日本獣医行動研究会研修医。藤田医科大学客員講師。
日頃わんちゃんと生活していると、家の外でも他のわんちゃんに自然と目が行ってしまうオーナーさんも多いのではないでしょうか。愛らしい姿を見ると、つい声をかけたり、撫でてあげたりしたくなりますが、初対面のわんちゃんと接する場合は、いくつか押さえるべきポイントがあるんです。今回は、初めて会うわんちゃんと仲良くなるための“モテ技”について紹介します。モテ技を身につけて、色々なわんちゃんと仲良くなってみましょう。
目次
- わんちゃんは触られるのが大好き!だけど…
- モテ技1:見た目に気をつける
- モテ技2:においに気を配ろう
- モテ技3:警戒心を解くために斜めから近づく
- モテ技4:握りこぶしでファーストコンタクト
- モテ技5:わんちゃんの目線を意識しゆっくり優しく触る
- わんちゃんにこんな行動はNG
わんちゃんは触られるのが大好き!だけど…
まず、わんちゃんは撫でられることが大好きだと思って、初対面なのにいきなり触ろうとする人がいますが、これは要注意です。わんちゃんは撫でられるのは好きですが、それはオーナーさんなど気を許している人に対してだけで、気を許していない人には警戒をしているので、急に触ると噛まれることもあります。そうならないように、最初にその警戒を解くことが大切になるのです。
初対面のわんちゃんに警戒されないためにはどうすればいいのでしょうか? そのためにはわんちゃんに好かれるための行動や触り方などをしっかり理解する必要があります。順を追って説明していきますね。
モテ技1:見た目に気をつける
わんちゃんの視覚は人よりも鮮明ではなく、オーナーさんと見知らぬ人を間違えて、うろたえることもあります。色の判別として、赤と緑の区別が付きにくいと言われていて、反対に青い色は鮮明に見えると言われます。白と黒、青と黄色など、色のコントラストが大きい服はわんちゃんが注目しやすいと言われているので、そのあたりを意識した服装にすると喜ばれる可能性が上がります。
服装だけでなく、小物にもご注意を。目を覆うような帽子やサングラスはわんちゃんに警戒されてしまう傾向があります。初対面のわんちゃんと遊ぶときはこういうものは身につけないほうが良いでしょう。第一印象から安心感を与える服装を意識し、わんちゃんが戸惑わないようにしましょう。
モテ技2:においに気を配ろう
わんちゃんはよくにおいを嗅ぎます。わんちゃんに安心感を与える場合は、においに意識を置くことも大切です。わんちゃんが間違いなく好むのは“美味しそうなにおい”です。肉や魚、チーズなど、大好きな食材の香りはわんちゃんも嬉しくなります。
とはいえ、食材のにおいを体につけるのは難しいと思うので、初対面のわんちゃんに好かれたいときはわんちゃんが苦手なにおいに気をつけましょう。わんちゃんが苦手なにおいは、一般的に刺激臭と言われるものです。アルコールやアンモニアのように、鼻をツンとさせるにおいは好みません。さらに、香水や芳香剤などの人工的な香りも苦手です。初対面のわんちゃんと遊ぶ時には香水はつけないようにしましょう。
モテ技3:警戒心を解くために斜めから近づく
人と同じように、わんちゃんにも警戒心の強い子がいます。気をつけなければならないのは、わんちゃんへの近づき方です。真正面に立つことは動物の世界では相手に攻撃を仕掛ける前の姿勢です。正面に立ってわんちゃんを見つめることは私たちにその意図がなくても、わんちゃんは「攻撃を仕掛けられる!」と思って身構えてしまいます。
警戒心を抱かれないようにするには、斜めから近づくように意識してみましょう。半円を描くようにゆっくり近づくことで、こちらに攻撃する意思がないことを伝えます。この際、威嚇していると思われないよう、わんちゃんを凝視するのは避け、わんちゃんが好きな高い声を出しながら近づいてみましょう。
モテ技4:握りこぶしでファーストコンタクト
前述のとおり、わんちゃんはよくにおいを嗅ぎますが、それはその人に興味があるからです。わんちゃんは優れた嗅覚の持ち主として知られています。そのため、わんちゃんに安心感を与える場合は、においをしっかり嗅がせてあげましょう。特に初対面の場合、わんちゃんはにおいをかぐことで情報を収集します。
においを嗅いでくるわんちゃんには、握りこぶしを作り、ゆっくりわんちゃんの前に差し出します。手の甲を鼻先に差し出すと、わんちゃんは集中してにおいを嗅いでくれます。手のひらを見せてしまうと、怖がってしまう場合もあるので、手の甲を嗅がせるようにしましょう。
また、手を差し出す時は、目より高い位置に手を出すと、怖がってしまう子もいるので、手はわんちゃんの顎より下へ出すようにします。においを嗅いでもすぐには触らずそのまま動きを止めて、わんちゃんが手に触れてくるのを待ち、優しく声をかけてあげましょう。
モテ技5:わんちゃんの目線を意識しゆっくり優しく触る
わんちゃんに握りこぶしを差し出して、その後安心して手を舐めてくれたら、手をゆっくり開き、わんちゃんの様子を見て触りましょう。触る場合、力強く撫でてしまうと興奮してしまう場合があるので、ソフトタッチを意識し、わんちゃんが「もう少し撫でられたいな」と思う程度で切り上げるようにしましょう。
わんちゃんにこんな行動はNG
ここまでわんちゃんに好かれるための行動を紹介してきましたが、反対にわんちゃんに嫌われるNG行動もあります。初対面のわんちゃんに嫌われないように意識しておくのがおすすめですよ。
低い声を出す
わんちゃんに話しかける時は、優しく穏やかに、高めの音を意識して話してあげましょう。低い声は、わんちゃんに緊張感を与えてしまいます。無理に裏声を出す必要はありませんが、こちらが楽しそうな雰囲気を出すことが大切です。
わんちゃんの体を急に触る
人と同じように、わんちゃんも初対面の相手を観察します。どんな人なのかわからないのに、急に上から頭を撫でられると、「攻撃される」と思ってしまいます。そのため急に触るのは絶対にやめましょう。さらに、わんちゃんは目の前で小刻みに動かれるのも嫌いなので、オーバーな身振り手振りはせず落ち着いた行動を意識し、触る際は目線を低くし、わんちゃんに安心感を与えるところからスタートしましょう。また、わんちゃんに触る際は、エチケットとして必ずオーナーさんに声をかけて許可を得てから行うようにしましょう。
触られて嫌な場所を触る
鼻先や尻尾、手足の先はわんちゃんにとって触られると嫌な場所です。人がコミュニケーションを取るつもりで撫でていても、わんちゃんにとっては逆効果となってしまうので、触る場合はこれらの場所を避けましょう。逆にわんちゃんが触られて安心する場所は、首や頬、あごの下です。わんちゃん自身が目で確認できる部分を意識して触ってあげるといいでしょう。
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