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博士(獣医学)。専門は獣医動物行動学。evergreen pet clinic ebisu行動診療科担当。日本獣医行動研究会研修医。藤田医科大学客員講師。
どうしても愛犬を置いて外出しなければならないとき、ひとりで留守番できているか心配になりますよね。最近では、留守番中の愛犬の様子を外出先から確認できる「見守りカメラ」を利用する飼い主が増えています。この記事では、犬用の見守りカメラの選び方や使う際の注意点などについて、動物行動学を研究する獣医師の茂木千恵先生監修のもと、詳しく解説していきます。
目次
- 犬用の見守りカメラとは?
- 犬用の見守りカメラを設置するメリットとは?
- 犬用の見守りカメラを選ぶ際にチェックすべきポイントは?
- 犬用の見守りカメラを使う際に注意すべきことは?
- 犬用の見守りカメラはどこに設置すればいい?
犬用の見守りカメラとは?
犬用の見守りカメラは、室内に設置したカメラが撮影する動画をリアルタイムでスマートフォンやPCに発信し、外出先からでも室内にいる愛犬の様子を確認できるアイテムです。愛犬の体調が悪そう、ケガをしたなどのトラブルをいち早く知ることができ、すみやかに最善の対処をできるのが最大のメリット。録画機能がついている機種もあり、留守中に愛犬が何をしていたのかを時系列で詳細にたどることもできます。
価格帯の目安
犬用の見守りカメラの価格は、4,000円台から20,000円台までと種類やメーカーによってさまざまです。国内大手メーカーのものは高価な一方、海外製のものは比較的安価で、高価なものほど機能やサポートが充実している傾向があります。もちろん、最低限の機能があればよいなら、安価なものでも問題なく使えるはずです。愛犬の見守りにはどんな機能が必要かを、本記事を参考によく考えたうえで購入する製品を決めましょう。
犬用の見守りカメラを設置するメリットとは?
犬用の見守りカメラの設置は、飼い主が安心できるだけでなくさまざまなメリットがあります。主なメリットは以下の通りです。
飼い主が安心できる
仕事やなんらかの事情で愛犬を留守番させなければならないとき、不安を感じる飼い主も多いはず。ペットホテルやペットシッターなどは利用料が高額なうえ、愛犬が環境の変化に弱い場合は気軽に使いづらいこともあるでしょう。そんなときに見守りカメラがあれば、外出先からもすぐに愛犬の様子を確認できます。体調不良など万が一の事態にも気付きやすくなるため、外出先での飼い主のストレスを大きく軽減できるはずです。
留守番中の愛犬の行動を把握できる
愛犬が留守番中に部屋を散らかすなどの問題行動を起こす場合、見守りカメラがあればどんなときに問題が発生するのかを把握できます。原因がわかれば、具体的な対処法を考えることもできるでしょう。
動物病院での治療に役立つ
愛犬が体調を崩した場合、動物病院では必ず「いつからですか?」「なにかおかしなことをしていませんでしたか?」という質問をされるでしょう。そんなとき、録画機能付きの見守りカメラがあれば、いつ・どんなことがあったのかをあらかじめ確認できるため、原因を特定しやすくなります。原因がはっきりすれば、愛犬に適切な治療をいち早く受けさせることができるでしょう。
室温など室内環境のモニタリングができる
見守りカメラには、室温を確認できる機能が付いているものもあります。愛犬の様子とともに部屋の温度を確認できれば、より快適な留守番環境をつくることが可能です。万が一、エアコンが故障や停電で停止し室温があらかじめ設定した温度を超えた場合、内蔵された温度センサーが反応して、飼い主に通知する機能がついている見守りカメラも。夏場にエアコンの不具合などが起きて室温が上がってしまっても、飼い主がすぐに帰宅するなどすばやい対処できる可能性もあるでしょう。
いち早く異常に気づける
リモートで愛犬の様子を見守れることで、いつもと様子が違う、普段と違う音が聞こえるなど、外出先でも異常の兆候に気づき、いち早く対処できます。また、録画機能があれば、いつから異常が表れていたのかも把握することが可能です。
犬用の見守りカメラを選ぶ際にチェックすべきポイントは?
犬用の見守りカメラは決して安価な買い物ではないため、購入の際は慎重に吟味したいもの。失敗のないよう、次のようなチェックポイントを覚えておきましょう。
設置できる場所
見守りカメラには置くタイプと天井に取りつけるタイプがあります。サークル等の中で留守番させている場合は置くタイプの小型カメラが、広い範囲で自由に過ごさせている場合は首振り機能のついた部屋全体を映せるカメラがおすすめです。犬の行動範囲内にカメラを置くと、犬がぶつかって角度が変わるなどしてうまく撮影できないこともあります。室内のどこに設置するかをあらかじめ考えてから購入しましょう。
画質
画質が高ければ愛犬が何を食べているのか、どんな様子で寝ているのかなどを細かく把握できます。ただし、画質が高ければ高いほどカメラの価格も高額になりがちです。予算と性能の兼ね合いを考えながら、どれを購入するかを決めましょう。
撮影範囲の広さ
カメラを天井などの高い場所に設置している場合、死角ができて愛犬の様子を確認できなくなることもあります。撮影したい範囲に候補の機種が適しているか、どのくらい旋回し視野角があるのかをあらかじめチェックしておきましょう。スマートフォンのフリック操作で上下左右に操作でき、部屋全体を見渡せる機能が搭載されているカメラがおすすめです。
給餌機能があるか
あらかじめ仕込んでおいたフードを、スマートフォンの操作によって出せる機能がついた見守りカメラもあります。飼い主の外出時間が長いときなど、愛犬が空腹で落ち着かない様子が見られる場合に利用しましょう。
赤外線センサーの有無
赤外線センサーによって愛犬の音や動きを検知し、様子を自動的に録画する「動体検知録画」「音声検知録画」機能がある見守りカメラも。「必要なときだけ録画したい」というニーズがある場合に重宝します。
エアコンや照明の管理ができるか
見守りカメラの中には、外出先からスマートフォンでエアコンなどの家電を遠隔操作できる「スマートリモコン」と併用可能な製品もあります。温度センサーや湿度センサー、照度センサーがついたカメラなら部屋の温度・湿度や明るさを感知できるので、すみやかにエアコンや加湿器、照明を操作し室内の環境を整えられるでしょう。
録画可能な容量
犬用の見守りカメラの録画容量には限りがあります。できるだけ長い時間の録画を残しておきたい場合は、容量の多い製品を選びましょう。
メーカーのサポートの有無
犬用の見守りカメラのような電器製品には、初期不良や故障があることも考えられます。決して安価なアイテムではないので、できれば無料の修理などのサポートがある製品を選ぶのがおすすめです。
工事設計認証済かどうか
無線式の見守りカメラを利用する場合は、必ず「工事設計認証番号」を取得している製品を選びましょう。無認可の製品を利用すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられることがあります。認証を取得している製品かを確かめたい場合は、総務省の電波利用ホームページで技術適合番号を検索してみてください。
犬用の見守りカメラを使う際に注意すべきことは?
犬用の見守りカメラを実際に導入するときは、次のようなことに注意しましょう。
Wi-Fi環境を整える
犬用の見守りカメラはWi-Fiを利用してスマートフォンに映像を送ります。途中で映像が途切れてしまうことのないよう、自宅のWi-Fi環境を整えましょう。
セキュリティ対策を行う
見守りカメラは自宅の中の様子を詳細に見られる機器のため、万が一サイバー攻撃に遭った場合は非常に危険です。購入したらすぐに初期パスワードを変更するなどして、セキュリティ対策を徹底しましょう。
声かけ機能は愛犬を怖がらせることも
犬用の見守りカメラには、飼い主が遠隔操作で愛犬に声かけできる機能が搭載されたものもあります。しかし、こうした機能は愛犬に「誰もいないのに声が聞こえた」と感じさせ、安心感よりも不審感や不安感を与えてしまうことも。また、うろうろしているとき、吠えているときに飼い主の声が聞こえることで、そうした行動を容認された、褒められたと誤解させてしまうかもしれません。声かけ機能の使用には慎重になりましょう。
転倒防止策を講じる
見守りカメラを平置き設置すると、愛犬が近くを通ってぶつかるなどして機器が転倒してしまうこともあります。特に、給餌機能付きの見守りカメラは愛犬がフードを欲しがって飛びつく可能性が高く、倒れてしまう可能性も。帰宅するまで映像が見られなくなるだけでなく、故障や破損の恐れもあるため、倒れないような対策を講じましょう。
犬用の見守りカメラはどこに設置すればいい?
実際に犬用の見守りカメラを購入したら、家の中のどのような場所に設置すればいいのでしょうか。設置場所の選び方のポイントを紹介します。
愛犬の目線より少し高い位置
平置きで設置する場合は、愛犬が機器に飛びついたり不意に倒してしまったりすることのないよう、直接触れられないような配置を工夫しましょう。おすすめなのは、愛犬の目線より少し高く、身体の届かない位置に置くこと。あまり高すぎると、下にもぐったときに撮影できなくなるため注意してください。
普段から愛犬がよく過ごしている場所
飼い主がいない留守宅では、大抵の犬は1~2ヶ所の好みの場所でじっと寝ています。見守りカメラは、愛犬のお気に入りの場所を鮮明に捉えられる位置に設置しましょう。外出時にどこで過ごしているのか分からない場合は、何度か設置場所を変更して確認するようにしてください。ちなみに愛犬が決まった場所で休めていないことがわかった場合、犬が安心して過ごせる場所を整えることが優先です。周りが囲われた静かな狭い空間にふかふかの敷物などを敷いた犬用のハウスを作って、その周辺が視野に入るように、カメラを置くと良いでしょう。
階段など危険の多い場所
普段の居場所以外にも設置したい場合は、階段など愛犬が入り込むと危険な場所が視野に入るように置くのがおすすめです。愛犬が危険な状態になっていないか、いたずらをしていないかをリアルタイムで確認できるため、飼い主の安心につながります。