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酪農学園大学獣医学群獣医学類卒業後、動物病院勤務。小動物臨床に従事。現在は獣医鍼灸師の資格を得るために鍼灸や漢方を用いた中医学による治療を勉強中
柴犬やコーギー、フレンチ・ブルドッグ、ラブラドール・レトリーバーなどの「短毛犬」は、なめらかな毛質と筋肉質なボディラインが魅力です。長い毛をもつ犬種よりもお手入れが簡単そうに見えるかもしれませんが、毛が生え変わるサイクルが早いので、抜け毛が多い傾向にあります。また、肌が外気の影響を受けやすい分、毛を清潔に保つためのお手入れや、寒さ対策も必要です。
今回は、「短毛犬」の犬種を19種類紹介します。短い毛を美しく保つためのお手入れのポイントも解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
- 短毛犬ってどんな犬?
- ここが可愛い!短毛犬の魅力
- 小型の短毛犬
- 中型の短毛犬
- 大型の短毛犬
- 短毛と長毛がいる犬種も
- 短毛犬をお手入れするポイント
- まとめ
短毛犬ってどんな犬?
短毛犬とは、毛の長さが3cm前後までの犬のことで、正式には「短毛種」と呼ばれています。ここでは、短毛犬に共通する特徴を紹介します。
毛の生え変わりが早い
毛が短いからといって、抜け毛がないわけではありません。換毛期はありますし、生え変わるサイクルも短くなっています。短毛犬の中にも被毛が2層になっている「ダブルコート」と1層の「シングルコート」の犬種がいて、ダブルコートはとくに抜け毛の量が多いのが特徴です。ただ、長毛種と比べると抜け毛が目立ちづらく、絡まりづらいことから、比較的お手入れが楽だと言われることもあります。
寒さに弱い犬種が多い
犬の毛の長さは、原産国の気候とも相関関係が見られます。温暖なエリアにルーツを持つ犬は毛が短く、寒いエリアにルーツをもつ犬は毛が長い傾向があります。毛が短い犬は、皮膚が外気の影響を受けやすくなるため、直射日光や寒さに弱い犬種が多いことも特徴です。
ここが可愛い!短毛犬の魅力
短毛の犬にはファンが多く、SNSでも「#短毛犬」の投稿が人気を集めています。ここでは、犬好きを虜にする短毛犬の容姿の魅力を紹介します。
艷やかな毛質
短毛犬には、サラサラとした直毛の子が多いのが特徴です。直毛の犬は光沢のある艶やかな毛質をしているため、見た目も凛々しくて上品な印象になります。
筋肉質なボディ
短毛犬は、ふわふわとした毛で覆われた長毛犬と比べると、ボディラインが分かりやすくなっています。犬の均整のとれた筋肉がより際立ちますので、とくに運動が大好きな子は魅力的に見えるでしょう。
小型の短毛犬
ここからは、短毛犬として代表的な犬種を紹介します。まずは小型犬に分類される5種を取り上げていきましょう。
柴犬
日本産の犬として馴染み深い柴犬も、短毛犬です。毛色のバリエーションは赤色のほか、黒・胡麻などもあります。猟犬や番犬として活躍してきたルーツがあるため、警戒心が強い性格が特徴です。
パグ
中国原産で、鼻ぺちゃでシワの多い頭部が特徴の犬種です。毛色はシルバー・フォーン・アプリコット・ブラックなどのバリエーションがあります。性格は明るく、やや頑固な一面も見せます。
ビーグル
「小さい」という意味を持つイギリス原産のビーグルは、大きな垂れ耳と、長くがっしりとした足やしっぽが特徴の犬種です。毛色はレッド&ホワイト、レモン&ホワイトなど。野ウサギを狩る猟犬として活躍してきたことからエネルギッシュな性格をしていますが、寂しがりやの面もあります。
ボストン・テリア
アメリカ原産で、がっしりとした体格と、パンダのように境界のはっきりした毛色が特徴の犬種です。毛色はシールブリンドル&ホワイト、マホガニーブリンドル&ホワイトなどの子がいます。性格は明るく、やや興奮しやすい面もあるので、トレーニングをしっかり行うことが大切です。
ミニチュア・ピンシャー
ドイツ原産のミニチュア・ピンシャーは、まるで子鹿のような細長い手足や頭部、筋肉質なボディが特徴の犬種です。毛色のバリエーションはレッド系の単色、ブラック&タン、チョコレート&タンなどがあります。性格は好奇心旺盛で、繊細な面があるところも可愛いと人気です。
中型の短毛犬
次に、中型犬に分類される短毛犬を4種紹介します。
ウィペット
イギリス原産のウィペットは、筋肉質ですらりと伸びた足と細長い頭部が特徴の犬種です。毛色はブラック、ブルー、フォーン、レッドなどが代表的で、単色の子もいれば、ホワイトの斑がある子もいます。性格は穏やかで愛情深く、飼い主に従順なため、はじめて犬を迎える方にもおすすめの犬種です。
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
イギリス原産のコーギーは、大きな三角形の耳と大きく短い足が特徴の犬です。ダブルコートで毛量が多いため、短毛犬の中でも比較的ふわふわしたボリュームのある見た目をしています。毛色はレッド、セーブル、フォーン、ブラック&タンなどのバリエーションがあり、性格は天真爛漫で社交的です。
フレンチ・ブルドッグ
「フレブル」の愛称でも知られている、イギリス原産の犬種です。大きく丸みのある耳と、がっしりとしてシワのあるボディが特徴です。毛色はフォーン、ブリンドル、パイド、クリーム、フォーン&ホワイトなどバリエーションが豊かです。性格は明るく活発で、やや興奮しやすい面もあります。
ミニチュア・ブル・テリア
イギリス原産の猟犬であるミニチュア・ブル・テリアは、細くややつり上がった目とがっしりとした体格が特徴です。毛色はピュアホワイト、ブリンドル、ブラックブリンドル、レッド、フォーン、トライカラーなどのバリエーションがあります。性格は基本的に穏やかで愛情深く、子どもにも優しく接します。
大型の短毛犬
迫力のある体格をした、大型犬の短毛犬を5種紹介します。
イタリアン・グレーハウンド
名前の通りイタリア原産のイタリアン・グレーハウンドは、筋肉質で細長い体つきと、愛嬌ある立ち耳が特徴です。毛色はレッド、ブルー、ブラック、フォーン、シールなどさまざまなバリエーションがありますが、基本的には単色で、ホワイトの斑がある子もいます。性格は温厚で内気な傾向にあります。
ダルメシアン
『101匹わんちゃん』でも有名なホワイト地にブチ模様の入った毛色が特徴の犬です。ルーツははっきりとしていませんが、エジプトでダルメシアンの彫刻が見つかったほど歴史の古い犬だと言われています。模様はブラックだけでなくレバーの子もいて、性格は基本的に明るく活発で、警戒心の強い側面もあります。
ドーベルマン
ドイツ原産の警備・護衛犬であり、日本でも警察犬として活躍中のドーベルマンは、筋肉質でがっしりとした体格の犬です。ピンと尖った耳がチャームポイントですが、じつはこれは断耳によるもので、本来は大きな垂れ耳を持っています。毛色はブラック&タン、ブラウン&タン、ブルーなどのバリエーションがあります。
ブルドッグ
イギリス原産で、正式名称は「イングリッシュ・ブルドッグ」と言います。闘犬としてのルーツをもつことからボディや足は太くがっしりしていて、頭部にはシワがあります。毛色はホワイト、レッド、フォーン、ファローなどの単色カラーの子もいれば、ブリンドル、パイボールド(パイド)などさまざまです。性格はおっとりしていて、愛情深い子が多くなっています。
ラブラドール・レトリーバー
ラブラドール・レトリーバーは水猟犬としてのルーツを持つカナダ原産の犬種で、大きくバランスの良い体格と、垂れ目・垂れ耳が特徴です。毛色はブラック、イエロー、チョコレートなどが代表的です。性格は優しく穏やかで、警察犬や盲導犬としても活躍しています。
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短毛と長毛がいる犬種も
同じ犬種でも毛質のバリエーションが豊富で、毛の長さもさまざまなケースもあります。そんな短毛の子も長毛の子もいる犬種を5つ紹介します。
秋田犬
秋田犬は、日本の天然記念物に指定されている国産の大型犬です。被毛はダブルコートで、基本的には短毛ですが、一部長毛の子もいます。毛色は赤、白、虎(黒と茶の斑)などのバリエーションが代表的です。性格は飼い主への忠誠心が強く、警戒心も強い一面もあります。
ジャック・ラッセル・テリア
イギリス原産で、狩猟犬として活躍したジャック・ラッセル・テリアは、毛質が3種類ある犬種です。長さ1cmほどの子はスムースコート、2.5〜5cmほどの子はラフコート、中間ほどの長さはブロークンコートと呼び分けられています。毛色はホワイト地で、ブラックやタンなどの模様が入っているのが特徴です。
ダックスフンド
ドイツ原産で、胴が長く足の短い姿が特徴の犬種です。毛質は短毛のスムース、巻き毛のワイヤー、長毛のロングの3種類で、サイズもスタンダード、ミニチュア、カニーンヘンの3種類あるため9通りの組み合わせがあります。なかでもスムースのダックスは、交配で生まれた他の2種と比べると、本来のダックスらしい性格を残していると言われています。性格はフレンドリーで辛抱強いのが特徴です。
チワワ
メキシコ原産だと考えられている超小型犬であるチワワは、大きな頭部にうるうるとした瞳が特徴の犬種です。毛質は短毛のスムースコートと長毛のロングコートの2種類があり、スムースは短くてしっとりとした毛並みをしています。毛色は豊富で、ブラック、チョコレート、クリーム、フォーン、レッドなどが代表的です。性格は勇敢ですが、警戒心も強いため吠えやすくなっています。
ワイマラナー
ドイツ原産の大型犬であるワイマラナーは、はっきりとした顔立ちと、均整の取れた体格が特徴の犬種です。毛質は基本的に短毛のスムースコートで、ロングコートの子は珍しいとされています。毛色はシルバー、ノロジカ色、マウス・グレー、シェードなどの4種類がスタンダードです。性格は聡明でありつつも活発で、甘えん坊な一面もあります。
短毛犬をお手入れするポイント
抜けた毛が残っていると皮膚病の原因となってしまうため、毛が抜けるサイクルの早い短毛犬はブラッシングを毎日行うのが理想的です。ブラシが皮膚に擦れてしまうとかえって皮膚にダメージを与えてしまいますので、優しく撫でるようにブラシを使いましょう。さらに、皮膚を清潔に保つためにも、固く絞った布で表面を拭いたり、シャンプーを定期的に行ったりするよう心がけてください。
まとめ
毛の長さが3cm前後までの「短毛種」は、「長毛種」より毛の生え変わりが早いのが特徴です。外気の影響を受けやすい面もあるので、皮膚を清潔に保てるよう、ブラッシングやシャンプーなどのケアは定期的に行いましょう。その一方で、毛玉ができづらく、抜け毛も目立ちづらくなっています。
また、チワワやダックスフンドのように短毛種と長毛種のバリエーションがある犬種もいます。大きさや性格、運動量も犬種によってさまざまなので、ペットショップやブリーダー紹介サイトなどをチェックしてお気に入りの子を見つけてみてはいかがでしょうか。