ミニチュア・ブル・テリアの性格や特徴は？飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】
公開
ユニークな顔立ちが特徴的なミニチュア・ブル・テリアですが、ミニチュア・ブル・テリアを初めて飼う場合に気になるのが、どんな性格をしていて飼いやすいかどうかではないでしょうか。そこで今回は、ヤマザキ動物看護大学動物看護学科准教授、ドッググルーミングスペシャリストの福山貴昭先生に教えていただいた、ミニチュア・ブル・テリアの性格や特徴、かかりやすい病気やしつけのポイントなどについて解説していきます。
目次
- ミニチュア・ブル・テリアの歴史やルーツ、英語名は？
- ミニチュア・ブル・テリアの体高や体重は？
- ミニチュア・ブル・テリアの平均寿命は？
- ミニチュア・ブル・テリアの毛色の種類、被毛、外貌の特徴は？
- ミニチュア・ブル・テリアはどんな性格、習性？
- ミニチュア・ブル・テリアを迎える際にかかる費用は？
- ミニチュア・ブル・テリアのしつけと社会化トレーニングのポイント
- ミニチュア・ブル・テリアに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは？
- ミニチュア・ブル・テリアを飼うのに向いている人は？
- ミニチュア・ブル・テリアがかかりやすい病気と予防法は？
- ミニチュア・ブル・テリアの日常のお手入れ方法
- ミニチュア・ブル・テリアとの生活で注意すべきことは？
ミニチュア・ブル・テリアの歴史やルーツ、英語名は？
| 犬種名 | ミニチュア・ブル・テリア |
| 英語名 | Miniature Bull Terrier |
| 原産国 | イギリス |
| 分類 | 小型犬 |
| グループ | 3G：テリア |
闘犬として品種改良されたブルドックとテリア等を交配させて生まれた「ブル・テリア」の中でも、小さなものを「ミニチュア・ブル・テリア」として分けたのが始まりとされています。闘犬が廃止されてからは、家庭犬にふさわしい穏やかな性格になるように改良されました。
ミニチュア・ブル・テリアの体高や体重は？
体高：35.5cm以下
体重：約11～15kg
ミニチュア・ブル・テリアは小型犬に分類され、ミニチュアという名称がついていますが、ブル・テリアと同様に骨量も多く筋肉質な体躯を持っています。
ミニチュア・ブル・テリアの平均寿命は？
ミニチュア・ブル・テリアの平均寿命は11～14歳とされています。ミニチュア・ブル・テリアは中型犬に分類されますが、『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、小型犬の平均寿命は14.4歳のため、平均とほぼ変わらないと言えるでしょう。
犬を迎える際は、最後のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。
犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。
ミニチュア・ブル・テリアの毛色の種類、被毛、外貌の特徴は？
ホワイト、ブラック、赤みがかった褐色のレッド、金色がかった茶色に黒の差し毛の混ざったフォーン、地色とほかの色が均等に混ざったブリンドルなどがあります。ホワイトには斑模様が入ることも多く、目の周りに黒いアイパンチのあるタイプも人気です。被毛は硬く光沢のある短毛のシングルコートで、厚みはありません。
太い首や広い肩幅を持ち、筋肉質で均整が取れた体つきをしています。立ち耳に背中と水平になる尾で、卵形の頭部が特徴的です。
ミニチュア・ブル・テリアはどんな性格、習性？
飼い主に忠実で愛情深い犬種ですが、頑固さも持っています。闘犬時代の由来は残っていますので、子犬の頃からしっかりトレーニングを行い、社会性を養うことも大切です。
ミニチュア・ブル・テリアを迎える際にかかる費用は？
ミニチュア・ブル・テリアを飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。
| タイミング | 内訳 | 費用の目安 |
| 迎えるとき |
ペットショップ、ブリーダー |
約35万円～ |
| 飼い始めるとき | 畜犬登録料 | 約3,000円 |
| 生活用品（クレートやケージなど） | 約5～7万円 | |
| 1年に1回かかる費用 | 狂犬病予防接種費 | 約3,500円 |
| 混合ワクチン接種費 | 約5,000～10,000円 | |
| 毎月かかる費用 | 消耗品（フードやおやつなど） | 約5,000～10,000円 |
飼い始める際にかかる費用
ミニチュア・ブル・テリアをペットショップから迎える際の価格の目安は、約35万円からです。月齢や血統などにより、値段が上がることもあります。他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。
犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に（子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に）お住いの自治体に犬の登録（登録料は3,000円程度）を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回全て打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。
狂犬病予防接種は生後91日を過ぎた全ての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング（およそ生後110日前後）で打たせます。
犬を飼うための初期費用や毎月の支出についてもっと詳しく知りたい方はこちらもおすすめ！
＞犬を飼うのにかかる費用はどれくらい？初期費用や毎月の支出を解説【獣医師監修】
飼い続けるために必要な費用
犬を養育する上での生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200～300万円といわれています。体の大きい犬種だとグッズ代やトリミング代などが高額になるなど犬種によって大きく異なります。
なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。
犬を飼う際に生涯かかる費用についてもっと詳しく知りたい方はこちらもおすすめ！
＞迎える前に知っておこう！犬の一生にかかるお金はどれくらい？
ミニチュア・ブル・テリアを迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。
また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。ミニチュア・ブル・テリアは筋肉量が豊富なため、ボール遊びなどで思い切り走り回らせてあげるのもおすすめです。
犬の生体代を除く初期費用としては、5～7万円程度を見込みましょう。
毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円～10,000円ほどです。
犬を飼うための初期費用や毎月の支出についてもっと詳しく知りたい方はこちらもおすすめ！
＞犬を飼うのにかかる費用はどれくらい？初期費用や毎月の支出を解説【獣医師監修】
2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまった際に、保護された犬を飼い主の元へ返すための重要な役目を果たします。装着費用は3,000～5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。
ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、ミニチュア・ブル・テリアを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。
迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000～5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。
そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策を取るのもおすすめです。
ミニチュア・ブル・テリアのしつけと社会化トレーニングのポイント
ミニチュア・ブル・テリアは賢い犬種ですが、トレーニングには根気が必要です。興奮すると暴走しやすい性質も持っています。子犬の頃から何が駄目で、どのようにすれば良いのかをしっかりと学習させておきましょう。また、人に身をゆだねて全身を触らせるトレーニングもしておきましょう。
なお、ミニチュア・ブル・テリアは闘犬のバックグラウンドを持つ犬種のため、興奮して一旦噛み付くとなかなか離しません。噛み癖がつかないように、幼いうちから信頼関係を構築しましょう。
ミニチュア・ブル・テリアに限らず、犬は初めて見るものや知らない人と出会ったとき、恐怖心と警戒心から吠えたりおびえたりすることがあります。恐怖心や警戒心が強く現れる前の子犬の時期にトレーニングすることで、社会性を身に付けられます。
犬の社会化についてもっと詳しく知りたい方はこちらもおすすめ！
＞子犬の社会化期とは？必要な理由と期間中にやっておきたいことを解説【獣医師監修】
ミニチュア・ブル・テリアに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは？
✓散歩：30分～1時間を1日2回
✓運動量：普通
✓おすすめの遊び：ボール遊び
ミニチュア・ブル・テリアは筋肉量が豊富なため、十分な散歩を必要とします。散歩中の急な引っ張りなどを防止するためにも、飼い主の横をついて歩く訓練をしましょう。
ミニチュア・ブル・テリアを飼うのに向いている人は？
✓十分な運動をさせてあげられる環境
ミニチュア・ブル・テリアはパワフルでスタミナ豊富な犬種です。小走りを交えた散歩や、ボール遊びで走らせるなどして、毎日十分な運動をさせてあげられる人がよいでしょう。なお、ドッグランではミニチュア・ブル・テリアの利用を禁止しているところもあります。利用可能な場合でも、周りの状況をよく見て事故につながらないように気を付けましょう。
✓テリア犬種の特性を理解し、しつけができる人
テリア犬種には、頑固で自己主張が強い性質があります。そんな特性を理解して、辛抱強く付き合える人が良いでしょう。
ミニチュア・ブル・テリアがかかりやすい病気と予防法は？
ミニチュア・ブル・テリアがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。
✓先天性聴覚障害
ミニチュア・ブル・テリアは遺伝的に生まれつき聴覚障害が起きやすいといわれています。特にホワイト種に見られます。トレーニングがなかなかできない、寝ているときに大きな音がしても目を覚まさないといった行動が見られたらすぐに動物病院に連れていきましょう。聴覚以外のアイコンタクトやボディランゲージといった他の手段でコミュニケーションを取ります。
✓皮膚疾患
ミニチュア・ブル・テリアは皮膚が弱く、皮膚疾患にかかりやすい犬種です。特にホワイト種は、日光刺激による「体幹性日光皮膚炎」が多く見られます。ノミや食物に関連したアレルギーなども起こしやすいため、日頃から皮膚の状態をチェックしておきましょう。
✓僧帽弁形成不全
心臓の僧帽弁の閉鎖不全により、左心室から左心房へ血液の逆流が起こります。
✓水晶体脱臼
眼の中にある水晶体は、チン小帯で眼球内に支えられています。このチン小帯が緩くなって水晶体を支えられなくなり、水晶体が前後にずれてしまう病気です。点眼など内科的治療を行う場合と、外科的治療で水晶体摘出手術を行う方法があります。
✓膝蓋骨脱臼
膝蓋骨が脱臼してしまう疾患です。先天的に膝関節に異常がある場合や、外傷などで起こります。症状は４段階に分けられ、重症の場合外科手術による治療が行われます。
ミニチュア・ブル・テリアの日常のお手入れ方法
✓ブラッシング：1週間に1、2回
✓シャンプー：1カ月に1回程度。蒸しタオルで適宜、汚れを落としてあげるのもおすすめ。
✓トリミング：不要
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。
歯磨きは毎日～2日に1回、耳掃除や肛門腺絞り、爪切りは2週～1カ月に1回の頻度で行います。
犬のお手入れ方法についてはこちらの記事もおすすめ！
＞実はとっても重要！犬に必要な“小さなパーツのお手入れ”方法を解説！〜顔・お尻・足〜
ミニチュア・ブル・テリアとの生活で注意すべきことは？
ミニチュア・ブル・テリアと生活する上で注意すべきポイントを紹介します。
✓しつけをしっかり行おう！
ミニチュア・ブル・テリアはトレーニングを怠ると攻撃的になり、ほかの犬を傷つけたり物を壊したりすることがあります。飼い主の命令にきちんと従い、社会でトラブルを起こさないよう、しっかりとしたトレーニングが必要です。
✓マメな皮膚のチェックをしよう！
ミニチュア・ブル・テリアは皮膚炎にかかりやすいため、皮膚に赤みや脱毛があったり、痒がったりしていないか、日頃から様子をチェックしておきましょう。特に口のまわりは炎症を起こしやすいので、気を付けてお手入れしてあげましょう。加齢で鼻、足の裏、肘などが角質化しやすくなるため、必要なら保湿をしましょう。
