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ペット薬膳管理士、ペット栄養管理士(ペット栄養学会 会員)、APNAペット食育士1級をもつ。犬の手作りごはんの基本に関するお勉強や薬膳、お料理のレッスンを開催。
あっという間に師走に入り、もうすぐ新年を迎えますね。年末年始などの長い連休は、生活のリズムが普段と異なり、いつもと違う食事でおなかを壊すなど、様々な理由で体調を崩すわんちゃんも多い時季です。
暴飲暴食に気をつけて、できるだけ規則正しい生活を送らせてあげましょう。普段から食べ慣れた食材でも、ちょっぴり工夫するだけで、わんちゃんのお正月料理が作れます。今回はシンプルな食材を使ったお雑煮をご紹介します。
目次
- 【材料】食べ慣れた食材で作る愛犬用のお雑煮!
- 【作り方】15分で作れる愛犬用のお雑煮
- 【参考】愛犬用のお雑煮の1日当たりの給与目安量
- 【栄養】愛犬用のお雑煮で使用した鯛・春菊の効能
- 【お正月・お祝い事に】いつものごはんをちょっとした工夫でグレードアップ!
【材料】食べ慣れた食材で作る愛犬用のお雑煮!
<材料>
・鯛の切り身(骨は取り除く) 1枚(約100g)
・大根 50g
・にんじん 20g
・しいたけ 1ケ(約15g)
・春菊 15g
・炊いたごはん 35g
・水 適量
★普段から食べ慣れた肉・魚やお野菜などの食材でお作り下さい。魚を使う場合はあらかじめ骨をしっかり取っておくと便利です。
★鯛から美味しいお出汁がよく出るので、今回は水で作りましたが、薄めの昆布出汁や鰹出汁を使っていただいても構いません。
★炊いたごはんは、白米、玄米、雑穀米などなんでもOKです。
★春菊はシュウ酸カルシウムが少ない為、別茹でせずに使えます。体質などで気になる場合は事前にサッと別茹でしておいてください。
犬にお餅をあげる危険性
わんちゃんは、基本的に何でも丸飲みで食べます。お餅やお団子は粘りがあり、噛んでも嚙み切れずにそのまま飲み込んでしまい、詰まらせる恐れがあります。もち米や団子粉、上新粉等は体に害のある食材ではありませんが、粘りが強いお餅やお団子はわんちゃんにとって危険な食べ物になり得る為、与える必要はありません。普段から食べ慣れている白米や雑穀米等を使うことをおすすめします。
【作り方】15分で作れる愛犬用のお雑煮
鯛は半分に切り、にんじんと大根は型抜きで抜き、しいたけは切れ目を入れ、春菊は3センチほどに切ります。
型抜きがあると便利ですね。もちろん包丁で飾り切りにして頂いてもいいですし、食べやすく、みじん切りにして作って頂いても構いません。
鍋に水を入れて沸かし、春菊以外の食材を入れて煮ます。
食材に火が通ったら、春菊を入れます。
炊いたごはんをおにぎりにして、お椀に入れておきます。食べさせる時にほぐすため、おにぎりは形を整える程度に軽く握るだけで大丈夫です。
食材を盛り付け、おつゆを注いだら完成です!
食べる際には、底にあるおにぎりを崩して、スープごはんのようにして食べさせましょう。
必要があれば野菜類も細かく切ってから与えてください。また、鯛の骨はとても硬くて太いので危険です。身を手で揉みほぐして確認するなど、しっかりと骨を取り除いて下さい。
【参考】愛犬用のお雑煮の1日当たりの給与目安量
今回は作りやすい分量のレシピです。完成量は約230g(スープを除く)、カロリーは約348kcalです。
愛犬の体重:1日当たりの最大給与量の目安(避妊去勢済で、健康なわんちゃんの場合)
体重 | 成犬の給与量 |
高齢犬向けの給与量 |
1kg | 37g | 30g |
3kg | 84g | 67g |
5kg | 124g | 99g |
7kg | 159g | 127g |
9kg | 192g | 154g |
11kg | 224g | 179g |
13kg | 253g | 203g |
15kg | 282g | 226g |
※ここでは高齢犬とは小型犬は10歳前後~、大型犬は8歳前後~と考えます。
成犬の手作りごはん1食分の摂取目安量は、頭のサイズと同じくらいの器一杯ほどです。どんなレシピでも、普段のごはんの量やわんちゃんの体調などで量を調節してください。特に高齢犬は同じ体重でも個体差が激しい為、おうちの子の状況をよく見て与えましょう。
また、お正月は食べる回数や量が増えがちです。他にも わんちゃんのお節料理などを食べさせる場合には、お雑煮の量も少な目に与えましょう。
【栄養】愛犬用のお雑煮で使用した鯛・春菊の効能
★鯛
鯛は高たんぱくで低脂質の白身魚。うまみ成分が多く香りもよい為、わんちゃんの食いつきがよいお魚のひとつです。消化がよく、消化器にも優しいので高齢犬やおなかの弱い子にも与えやすく、初めて食べるお魚としても与えやすいです。
良質なたんぱく質の他、n-3系脂肪酸の一種でありDHAやEPA、肝機能を高めるタウリン、ビタミンD、ビタミンB群などを含みます。
薬膳的には、消化器系を健やかにし、体内の不要な水分を排出してくれる働きがあります。胃腸が弱い子、むくみがある子に特におすすめです。
骨が硬くて太い為、骨には十分気をつけて、しっかり取り除いてから与えます。
★春菊
春菊は冬~春が旬の緑黄色野菜のひとつです。
抗酸化作用が高いβカロテンを非常に豊富に含みます。βカロテンは体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜を健康に保ち、免疫力を高めてくれる栄養素です。その他、ビタミンB群、ビタミンE、カルシウム、鉄などが含まれ、非常に栄養価の高い野菜です。
薬膳的にはイライラを抑える効果があります。肺の粘膜を潤して肺機能を健やかにする働きもあるため、乾燥した季節にはおすすめです。その他、独特な香りにより、自律神経に作用し、胃腸を健やかにし、胃もたれや便秘にも効果があると言われています。
濃い緑の葉物野菜ですが、シュウ酸カルシウムが少ない為、別茹でする必要はありません。苦みが嫌いなわんちゃんもいるので、初めての場合はごく少量からお試しください。白米やさつまいも、かぼちゃなど甘みのあるものと一緒に与えてみましょう。
【お正月・お祝い事に】いつものごはんをちょっとした工夫でグレードアップ!
おうちのわんちゃんが普段から食べている食材を使って作ると、お正月のお祝いのひとときをわんちゃんも一緒に味わえます。切り方や器を少し変えるだけで、普段の料理もお正月らしくなります。
今回はわんちゃん用にアレンジした大根とにんじんのなます、さつまいものきんとん、カットした果物を一緒にテーブルに並べました。これだけでもお正月感が出ますね。
わんちゃんと一緒に、どうぞ素敵なお正月をお迎えください。