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ペット薬膳管理士、ペット栄養管理士(ペット栄養学会 会員)、APNAペット食育士1級をもつ。犬の手作りごはんの基本に関するお勉強や薬膳、お料理のレッスンを開催。
寒くなるとおなかの調子が悪くなるわんちゃんも多いのではないでしょうか。今回は胃腸などの消化器系に効能が届く食材を使って、高齢犬にもおすすめの豆乳スープをご紹介します。
鮭もかぶも消化がよく、加熱して食べると体を温める食材です。体を潤してくれる豆乳と合わせて、おなかに優しいスープにしましょう。鮭とかぶ、豆乳以外の食材は、おなかに優しい食材であれば、おうちにあるもので代用して頂いても構いません。
目次
- 【材料】お腹に優しい食材で作る愛犬用豆乳スープ
- 【作り方】お鍋に入れて煮込むだけ!愛犬用豆乳スープレシピ
- 【参考】愛犬用豆乳スープの1日当たりの給与目安量
- 【栄養】愛犬用愛犬用豆乳スープで使用した鮭・かぶ・無調整豆乳の効能
- 【とろみUP】寒い季節はフードを温かく食べやすくしてあげよう!
【材料】お腹に優しい食材で作る愛犬用豆乳スープ
<材料>
・生鮭 50g
・かぶ 30g
・乾燥黒きくらげ 1カケ
・さつまいも 30g
・にんじん 10g
・キャベツ 20g
・黄パプリカ 10g
・れんこん 10g
・無調整豆乳 50cc
・水 100cc~150cc(最後に豆乳を入れるので、通常より少し少なめに)
★塩鮭は使わず、必ず生鮭をお使い下さい。
★鮭が苦手な場合は、他の肉魚類をお使い下さい。鮭以外では、タラ、鯛、鶏肉などが消化器系に優しくおすすめです。
★さつまいもはジャガイモなどの他の芋類や白米などの穀類でも代用できます。
★大豆アレルギーがある場合は豆乳ではなくヤギミルクや牛乳などで代用してください。
★水の量はお好みで調整してください。
【作り方】お鍋に入れて煮込むだけ!愛犬用豆乳スープレシピ
事前に乾燥の黒きくらげは水に戻し、れんこんは水につけてあく抜きをしておきましょう。
れんこん、にんじん、黒きくらげは細かいみじん切り、その他の食材は5ミリ四方もしくはおうちのわんちゃんのお口に合わせたサイズにカットします。
鍋に水を入れて火にかけ、沸いてきたらキャベツと黄パプリカ以外の食材を入れます。
一番硬いさつまいもが柔らかくなるまで、弱火でコトコト煮ます。アクが出たら取り除いてください。
最後にキャベツと黄パプリカを加えて、更にしばらく煮ます。
食材にしっかり火が通ったら、火を止めて無調整豆乳を加えて軽く混ぜます。
器に盛り付けて完成です。
今回はアルファルファをトッピングしました。
【参考】愛犬用豆乳スープの1日当たりの給与目安量
今回の分量での完成量は約280g(水分含む)、カロリーは約150kcalです。体重5キロ前後の避妊去勢済み成犬の1食分として作っています(1日2回食の場合)
愛犬の体重:1日当たりの最大給与量の目安(避妊去勢済で、健康なわんちゃんの場合)
体重 | 成犬の給与量 |
高齢犬向けの給与量 |
1kg | 84g | 67g |
3kg | 191g | 153g |
5kg | 280g | 224g |
7kg | 360g | 288g |
9kg | 435g | 348g |
11kg | 506g | 405g |
13kg | 573g | 459g |
15kg | 638g | 511g |
※ここでは高齢犬とは小型犬は10歳前後~、大型犬は8歳前後~と考えます。
今回のレシピは1食当たりのカロリーは少なめですが、標準的な運動量のわんちゃんには十分な量です。成犬の手作りごはん1食分の摂取目安量は、頭のサイズと同じくらいの器一杯ほどです。しかし、どんなレシピでも、普段のごはんの量やわんちゃんの体調などで量を調節してください。特に高齢犬は同じ体重でも個体差が激しい為、おうちの子の状況をよく見て与えましょう。
【栄養】愛犬用愛犬用豆乳スープで使用した鮭・かぶ・無調整豆乳の効能
★鮭
鮭の栄養については『鮭のちらし寿司』でもご紹介しました。
鮭は胃腸を温めて、消化機能を改善する働きや疲労回復効果があるお魚です。また、気を補い、血液の巡りをよくする働きや体の余計な水分(むくみ)などをおしっことして排出してくれる働きもあります。このような働きや消化がよいことから、おなかを壊しやすい子、虚弱体質の子、高齢犬にも安心して食べさせられます。(どんな食材でも初めて食べる場合は、あくまでも少量からお試しください。)
鮭の赤色の色素は、アスタキサンチンの色。非常に強力な抗酸化力があり、活性酸素を消去してくれます。動脈硬化や免疫力の低下、白内障、ガンなどの予防効果があると言われています。
トラウトサーモンは非常に脂質が高いので注意が必要です。わんちゃんに与える鮭は『しろさけ』がおすすめです。なお、脂がのって美味しい銀鮭も、しろさけに比べると高脂質です。
★かぶ
かぶの栄養については、『春野菜のチキンポトフ』でもご紹介しています。
かぶは、これから旬を迎え、薬膳では非常によく使われます。生で食べると体を冷やし、加熱すると体を温める性質があります。寒い時期には、加熱して与えましょう。
栄養は大根と似ていますが、大根よりも繊維質が少なく、煮るととても柔らかく甘くなって消化もよい為、高齢犬やおなかが弱い子には大根よりもかぶの方がおすすめです。おなかを温めることで内臓全体の働きをよくし、消化不良などを解消してくれる働きもあります。できれば葉がついた新鮮なものを購入して、皮ごと食べましょう。葉にはビタミンやミネラルが豊富に含まれます。
アブラナ科の食材なので、甲状腺疾患のあるわんちゃんは使用頻度や摂取量に注意してください。
★無調整豆乳
無調整豆乳の栄養については、『マンゴープリン』でもご紹介しています。
わんちゃんに使う場合は調整豆乳ではなく、必ず『無調整豆乳』を使いましょう。豆乳は大豆の加工品であり、植物性たんぱく質を含みます。また、イソフラボンやサポニン、ビタミンEなどは抗酸化作用があり、老化防止や降コレステロールを期待できます。
薬膳的には体の余計な熱を取り、肺を潤して咳や痰を鎮めてくれます。また、おしっこの出をよくしてくれる働きもあり、便秘やむくみにもよいと言われています。
豆乳は大豆アレルギーがある子には与えることはできません。また、摂りすぎには注意が必要です。今回の分量程度では問題ありませんが、日常的に水分摂取として豆乳のみを飲ませる事はおすすめしません。
【とろみUP】寒い季節はフードを温かく食べやすくしてあげよう!
寒さはわんちゃんの体、特に高齢犬には非常に堪えます。これから春までの寒い季節は、温かい手作りごはんはもちろんですが、ドライフードもぬるま湯で体温程度に温めてあげることをおすすめします。
豆乳スープは、我が家の愛犬も大好きなメニューのひとつです。サラサラスープが苦手な子には、じゃがいもやさつまいもをすりおろして入れたり、片栗粉や本葛などでとろみをつけると食べやすくなります。
今回使った食材は、薬膳的には全て胃腸や消化器系に効能が届く食材です。冬の寒さも夏の暑さも、季節の変化を乗り越えるには、まずは胃腸の健康からです。外から温めるばかりでなく、体の中からもしっかり温めてケアしましょう♪