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埼玉県在住。芸術大学を卒業後、一般企業に勤めながらイラストや漫画の仕事を始める。2015年、フリーランスとなり、現在も活動中。元保護犬の愛犬・もなかと暮らす。
愛犬もなかちゃんの姿を、愛くるしく、ときにシュールに描く、飼い主さんとの日常とは?
目次
- 舌を「ペちょら」? 犬が醸し出す質感やにおい、体温、鼻息まで再現
- ひときわハイテンションだった沖縄生まれの元保護犬・もなかちゃん
- しつけ本に書いてないことばかり!予想外な出来事の連続だった子犬期
- 絵日記での発信が、愛犬への育児の不安を和らげてくれた
- 優等生じゃない愛犬の、等身大の姿を発信したい
- 夫婦の絆を強めてくれた愛犬は、“存在感のでかい同居人”
舌を「ペちょら」? 犬が醸し出す質感やにおい、体温、鼻息まで再現
愛犬との一瞬をすくいあげ、楽しくユーモアたっぷりに描いている、イラストレーター・漫画家のさかぐちまやさん。
言葉で説明すると面白さが半分も伝わらなくてもどかしい気持ちになるとき、絵を描いて発信しています。
「ワンちゃんと過ごしていると、『なんか笑っちゃう』瞬間ってありますよね。この“なんか”こそが、『見逃しがちな犬のあるある行動』のひとつなのかもしれません。そのときの表情や態度、その場の状況やテンポ感などをメモし、絵に落とし込んでいます」
「もなかは“THE犬”という犬らしい犬ではないと思っていたので、『うちの子と一緒』『あるある!』と言っていただけるのが驚きでした。どの子にも共通する瞬間があるんですね」
さかぐちさんの描くもなかちゃんの絵は、もなかちゃんの感情が細やかに表現され、犬の質感やにおい、体温、鼻息や声までも伝わってくるため、見る人の五感を刺激します。
舌なめずりをする独特の擬音「ぺちょら」にも共感の声が寄せられました。
もなかちゃんの豊かな表情も見どころの一つです。
ちょっとした線や点をうまく使って表情のバリエーションを出しています。目を細めたり、ちらっと黒目をつけたり、あごのまわりに線を入れたりすることで、絶妙な表情が生まれます。
「もともと私の絵は線が多くなく、できるだけ削れるところは削れるよう取捨選択を意識しています。だからこそ、少ない線のなかで、いかに“もなからしさ”を出せるかにこだわっています。これからも表情をよく観察して、いろいろなもなかを描いていきたいです」
そんなさかぐちさんは2023年夏に、コミックエッセイ『犬を揉む-ぺちょら…ときどき帰宅拒否-』を発売。顔を揉まれるもなかちゃんの表紙が目印のフルカラーコミックは、犬飼いさんや犬好きさんを魅了しています。
ひときわハイテンションだった沖縄生まれの元保護犬・もなかちゃん
さかぐちさんが、いくつかの譲渡会を回ったなかで出会ったのが、もなかちゃんです。もともとさかぐちさんは、実家で元保護犬の子と一緒に暮らしていました。ご主人も雑種の子犬を譲り受けた経験があり、2人とも譲渡会からワンちゃんを迎えることに違和感はありませんでした。
「たくさんの子犬のなかに、1匹だけテンションが違う子がいたんです。ほかの子は眠そうにしていたり緊張して縮こまっていたりしていたのですが、その子は『遊ぼう遊ぼう』とちょっかいを出していて。はしゃいで空回りする姿にグッときて、その場で申し込みをしました」
審査を経て、晴れてさかぐち家の一員となったのです。