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愛犬エフ・コメとの溢れる思い出を漫画にしてSNSで公開。2020年7月に書籍『ゴールデンレトリバーのエフとコメとの楽しい暮らし』を発売。翌年には第2巻も出版。
先代犬・エフと愛犬・コメとの日常を描く『エフ漫画』の作者、efrinmanさんの想いとは?
目次
- 漫画経験ゼロのefrinmanさんが亡き愛犬を主人公に、漫画で書籍デビュー
- 念願の大型犬との暮らし。愛犬・エフが教えてくれたポジティブ思考
- 危篤状態から一転。愛犬・エフの穏やかな最期
- 溢れ出る愛犬・エフとの思い出を漫画に綴り、ブログで発信
- 愛犬との暮らしの「あるある」を忠実に描いた『エフ漫画』のルール
- 2代目犬「コメ」ちゃんを迎えるにあたっての葛藤
- 「エフが消えちゃうんじゃないか」2代目犬を迎えることへの不安
- ペットロスを経験したからこそ。誰かの癒しになる漫画を描きたい
漫画経験ゼロのefrinmanさんが亡き愛犬を主人公に、漫画で書籍デビュー
「必ず別れはやってきます。あの悲しい思いは考えただけでも耐えがたいです。でも、それ以上に、犬との生活には幸せがあるんです」
そう語るのは、コミックエッセイ『エフ漫画 ゴールデンレトリバーのエフとコメとの楽しい暮らし』(以下『エフ漫画』)作者のefrinmanさん。
efrinmanさんも、愛する初代犬エフちゃんとの別れでペットロスを経験した一人です。元々は漫画家でもイラストレーターでもありませんでした。エフちゃんを失った寂しさを紛らわせようと、思い出を振り返りながら、表現したのが“漫画”でした。
efrinmanさんのインスタグラムに投稿された漫画が反響を呼び、『エフ漫画』として書籍化も果たします。発刊後、すぐに重版がかかり、翌年には第2弾も出版。累計発行部数は7万部を超える大ヒット作品となりました。(2023年6月時点)
エフちゃんを失った深い喪失感からどのように立ち直ったのか? 『エフ漫画』が生まれるまでのエピソードをefrinmanさんに伺いました。
念願の大型犬との暮らし。愛犬・エフが教えてくれたポジティブ思考
『エフ漫画』の主人公・ゴールデンレトリバー・エフちゃんとの出会いは、efrinmanさんご夫婦が、一軒家の購入をした時のこと。憧れの大型犬に絞って、リサーチを進めていくなかで、とあるゴールデンレトリバーの飼い主のブログサイトを見つけます。そして運よくブリーダーの情報の入手にも成功し、エフちゃんと初対面を果たしました。
「見せてもらった子犬は、もうこの世のものとは思えないくらいに可愛くて……。2匹いたうち、私になついてくれた方を『この子にします!』とすぐに決めて、連れて帰ったんです」
初めての大型犬の子犬の飼育は、「育犬ノイローゼになりそうでした」と語るほど。efrinmanさんが思い描いていたほど優雅なものではありませんでしたが、次第に心を通わせていきます。
「私が一生懸命に、“できたら褒める”を繰り返していくうちに、エフも学習してくれて。真剣にちゃんと向き合えば心が通じ合えるんだ、って感動しました」
そして、efrinmanさんはエフちゃんと暮らして、「今日一日を楽しく生きる」ことの大切さにも気付きました。
犬は、いくら歳をとっても未来への不安なんてありません。今を精一杯生きているだけ。そんな憂いのない純粋無垢な犬の姿が、ネガティブ思考で心配性なefrinmanさんにはとても新鮮に映ったのです。
「心配していいことなんて一個も無いんですよね。勝手に悪い方に考えるなんて本当にもったいないこと。いつも目の前のことを真っ直ぐ楽しむエフたちを見て、心からそう思えました」
危篤状態から一転。愛犬・エフの穏やかな最期
エフちゃんを迎えたのは、efrinmanさんのお母様が亡くなってちょうど半年が経った頃。具合が悪い時、気分が落ち込んでいる時など、何も言わずに寄り添ったり、散歩に連れ出して励ましてくれたり。その存在そのものに救われたといいます。
「私にとって相棒や親友でもあり、娘のようでもあったエフ。思い返すと、成長したエフの包み込むような優しさは、母のように感じる時もありましたね」
しかしエフちゃんが12歳の時、健康診断で腎臓の数値が悪化していることが発覚します。
食事治療で約1年ほどは落ち着いて過ごせていたのですが、13歳の誕生日を迎える3日前に突然倒れてしまいました。すぐに動物病院で受診しましたが、その時、腎臓はすでに末期の症状。担当医からは「できる治療は点滴くらいしかない」と告げられ、efrinmanさんはショックを受けます。
寝たきりになり、目も開かなくなってしまったエフちゃん……。しかし、その2日後ご主人がエフちゃんの好物のバターロールを目の前に差し出したところ、おもむろに立ち上がり、ぶるぶると身体を振るわせ、むしゃむしゃとバターロールを食べ始めたのです。
それから約3ヵ月半の間、エフちゃんは驚くべき復活を見せてくれました。ご飯もよく食べて、水もたくさん飲み、外にお散歩に行ったりお出かけできるほどにまで回復。
お別れの日も自分でシートでトイレを済ませ、ベッドに横たわり眠ったように息を引き取りました。
痛みや苦しさも感じられないような、穏やかな最期。生涯を全うするエフちゃんを見て、efrinmanさんも穏やかな気持ちで、別れを告げることができたといいます。
「私はずっと『エフがいなくなったら生きていけない!』と思っていました。だけど、エフが最後の頑張りや見事な旅立ちを見せてくれたおかげで、不思議と前向きに送り出すことができたんです」