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犬の家庭教師 みつの塾 代表。YIC京都ペット総合専門学校非常勤講師

犬がよそよそしくなる理由は、意外にも飼い主への信頼感だったり、はたまたストレスや体調不良だったりとさまざまです。愛犬が急によそよそしい態度を取ると、何があったのかと心配になってしまいますね。この記事では、獣医師の光野京子先生に犬が急によそよそしくなる原因についてお聞きしました。愛犬との良好な関係のヒントにしてくださいね。
目次
- 犬が急に近寄らなくなった、元気がない、様子がおかしい……その理由はさまざま
- 【理由その1】犬のストレスになることをしている
- 【理由その2】犬の体調が悪い・体調不良の見分け方
- 【理由その3】犬の成長や加齢によるもの
- 【理由その4】犬の安心感のあらわれ
- 【理由その5】犬が別のことに夢中になっている
- 犬がよそよそしくなったときに飼い主ができる対処法
- 愛犬のストレスや疲れを癒やす環境づくりを!
- 犬を迎えるなら保護犬も検討してみませんか
- まとめ
犬が急に近寄らなくなった、元気がない、様子がおかしい……その理由はさまざま
愛犬の様子がいつもと違うと、どこか具合が悪いのかな、機嫌が悪いのかなとあれこれ心配してしまいますよね。犬が急によそよそしくなる理由5つを次から解説していきます。
ちなみに、理由は一つだけとは限りません。たとえば、実家に久しぶりに帰ったときに犬がよそよそしい態度を取るのは、普段一緒に暮らしていない人がいることへの戸惑い、緊張、いつもと違う匂いがストレスになっている場合があります。また、犬が成長や加齢により落ち着いて自分のペースで行動しているだけのこともあります。あるいは、警戒しなくていい相手だと分かっているからこそ、そっけない態度をとっていることもあります。
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【理由その1】犬のストレスになることをしている
愛犬が逃げるような様子を見せるときは、「飼い主のそばにいたくない」と感じているのかもしれません。その背景には、ストレスを示すサインが隠れていることもあります。たとえば、あくびや口の周りをペロペロとなめる、体をブルブルと震わせるなどの仕草は、緊張や不安、戸惑いを和らげるために犬が行う代表的なボディランゲージです。
人間があくびをする時は、多くの場合眠い時ですが、ストレスを感じるとあくびが出ることがあります。犬の場合は人間とは反対に、眠くてあくびをするよりも心理的ストレスが含まれることが多いので、見逃さないように注意しましょう。
また、長時間の留守番によって欲求不満やストレスがたまりすねてしまったように見えることもあります。留守中のいたずらを帰ってきた飼い主に注意されたことで、しばらく離れたいと考えていたりする場合もあります。
犬は、時差を置いて注意されても理解ができません。望ましくない行動をした時、すぐに注意を行わず、時間が経ってから強く注意された場合、理由が分からず混乱します。そういったケースでは飼い主に対し、急に怒る・怖いというイメージを持ち、信頼関係が崩れ、避けるようになってしまう場合があります。
また、知らず知らずのうちに犬が嫌がることをしているケースも少なくありません。たとえば、スキンシップのつもりで強く抱きしめるなど、犬にとって過度なタッチになっていないか振り返ってみるとよいでしょう。
なかなか近づいて来てくれず、よそよそしいと感じるときは、まずは愛犬がストレスを抱える原因がないかをチェックしてみてください。
さらに、引っ越しや赤ちゃんの誕生などの環境の変化は、犬にとっても大きなストレス要因です。慣れない生活リズムや新しい匂い、周囲の人間の予定が変わることで戸惑い、結果として飼い主に対してよそよそしい態度になっているのかもしれません。
犬のストレスを解消するには一対一の時間を作って
こうした場面では、愛犬のボディランゲージをこまめに観察しつつ、できるだけ早期にストレス源を取り除いてあげることが大切です。
引っ越しや家族が増えるなど環境が変わると、犬は不安を感じやすくなります。慣れたグッズを使い安心できるスペースを確保し、食事や散歩時間など普段のリズムを維持しましょう。飼い主も落ち着いた態度で接し、こまめに一対一の時間を作ることも大切です。新しい匂いが増えたり、生活サイクルが変わったりしたら、ゆっくり慣らしてあげると安心感を得やすくなります。
また、様子に応じて専門家に相談することで、愛犬の負担の軽減を図り、新しい環境でも心穏やかに過ごせるようにするのもよいでしょう。
犬の気持ちに寄り添いながら適切に対処していくことで、再び飼い主との信頼関係を深められるはずですよ。
【理由その2】犬の体調が悪い・体調不良の見分け方
犬がそわそわしたりよそよそしい態度を示したりするのは、体調不良が原因の場合があります。体を丸めたり伏せたりして反応しないときや、触ろうとすると避けたがるときは、どこかに痛みや不快感があるのかもしれません。少しでも普段と違う様子を見せているのであれば、速やかにかかりつけの獣医師に相談しましょう。
次のような様子が見られる場合、体調不良と判断します。
- 食欲がない
- 散歩に行きたがらない
- 水を飲む量が極端に減る、もしくは増える
- 嘔吐や下痢
- 触れられることをとても嫌がる(痛みがある可能性)
- ぐったりして動かない
- 呼吸が苦しそう
- 震えている
- 極端に落ち着きがなくうろうろしている
- 避妊・去勢手術後(痛みやホルモンバランスの変化)
犬の体調不良は様子見せず動物病院へ
体調不良の際は、食欲や水分摂取量のほかにも、排せつ物の色や匂い、回数をよく確認しておくと早期発見に役立ちます。便に血が混じる、下痢が長引くなどの症状があれば、すぐに獣医師に相談しましょう。皮膚の状態が急に悪化してフケが増えたり、脱毛が目立ったりする場合も、体調不良のサインである可能性が考えられます。
また、動物病院を受診するか迷ったときは、「ふだんとの違いが1日以上続くか」「犬自身が明らかに辛そうな様子を見せているか」が一つの目安です。ネット上の情報などで自己判断せずに、寝床から起き上がれないほど元気がない、呼吸が荒くて苦しそうなど、いつもと違う様子に気づいたら早めに病院へ連れて行きましょう。
【理由その3】犬の成長や加齢によるもの
犬が成長して、飼い主との信頼関係も盤石なものになってくると、以前ほど大きな反応をしなくてもいいと考えるようになる場合があります。以前と同じような反応を期待して、構いすぎたり名前を呼び続けたりなどの行動は避けましょう。
子犬の時期は好奇心旺盛で飼い主に構ってほしい気持ちが強い一方、成犬になると行動範囲や自己主張も変化し、飼い主との距離感を見直すようになることがあります。さらに、7歳以上のシニア期に入ると、視力や聴力の低下によって以前ほど刺激に反応しなくなることも。
シニア犬は関節の痛みや筋力低下なども原因で、飼い主のそばまで来るのがつらい場合もあるります。寝床の位置を移動しやすい場所に置く、床に滑り止めマットを敷くなどの配慮が必要です。飼い主が『もう歳だから仕方ない』と一方的に考えるのではなく、できるケアを取り入れることで愛犬の負担を軽減し、適度なコミュニケーションを保ってあげましょう。
【理由その4】犬の安心感のあらわれ
愛犬に近づいて行ったのに、背中を向けられてよそよそしい感じを受けることがあるかもしれません。しかし、それは飼い主への信頼ゆえの行動なのです。
動物は、信頼できない相手には背中を見せないもの。背中を向けると攻撃されてもすぐ反応できないため、敵とみなしている相手からは目を離さない習性があります。つまり、背中を向けるのは飼い主を信頼していることのあらわれなのです。うなったり逃げ回ったり、尻尾を下げて大きく後ずさりをするなど明らかな嫌悪サインがない場合は、背中を向ける=リラックス・信頼の気持ちと捉えてよいでしょう。
特に、背中やお尻を飼い主の体にぴったりと付けて座る場合は、犬なりの愛情表現だと考えましょう。敵意がないことのあらわれとはいえ、飼い主としては『ちょっと寂しい』と感じることもあるかもしれません。そんなときは無理に振り向かせようとせず、静かに近づいて撫でてあげたり、声をかけたりする程度で十分です。
さらに、犬がくつろいでいる様子なら、お腹を見せてゴロンとするなど、ほかの信頼サインを示してくれることもあります。こうした行動を見逃さないことが、愛犬とのより深い信頼関係につながっていきます。
【理由その5】犬が別のことに夢中になっている
愛犬を呼んでも飼い主の方を向かないときは、何かほかのことに夢中になっているからかもしれません。おもちゃやおやつ、外からの音や何かの匂いに集中している場合もあります。
犬は、人間では気づきにくいかすかな物音や匂いに敏感に反応します。たとえば外を歩く猫や鳥の気配を感じている、遠くで鳴っている車のクラクションに集中している、ということも珍しくありません。
そうしたときに何度も名前を呼んでも、犬がまったく振り向かないことがありますが、興味の対象が落ち着いたときに再度声をかけると、すんなり応えてくれる場合も多いです。無理に引き戻そうとせず、愛犬の集中が解けるタイミングを見計らうのもポイントです。
犬がよそよそしくなったときに飼い主ができる対処法
もし愛犬のよそよそしさが続くようであれば、犬の気質や行動学に詳しい獣医師やドッグトレーナーなどの専門家に相談するのも一つの選択肢です。家庭の事情や犬の性格によっては、プロから見たら思わぬ改善策が提案されることもあります。日常のちょっとした変化を見逃さずに記録しておくと、専門家からも適切なアドバイスを得やすくなります。
愛犬のストレスや疲れを癒やす環境づくりを!
犬が安心して過ごせる寝床を用意するだけでも、ストレスや疲れの軽減が期待できます。2023年にカインズが動物行動学の専門家と共同開発したペットベッドは、適度なクッション性と包み込まれるような設計でリラックスをサポート。家の中に複数の寝床を置いておけば、愛犬は気分や体調に合わせて好きな場所を選ぶことができ、より落ち着けるでしょう。ペットベッド・ペットクッションは季節によって素材や形を工夫しながら販売しています。
さらに、ケアグッズを取り入れるのもおすすめです。たとえばマッサージブラシなどでスキンシップを図れば、心身の疲れをほぐしつつコミュニケーションも深められます。日頃からこまめなケアを心がけ、愛犬がリラックスできる環境を整えてあげてくださいね。
グッズをお探しの際はぜひカインズオンラインショップやお近くのカインズで探して見てください。
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※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります。
※上記商品は獣医師の監修外です。
犬を迎えるなら保護犬も検討してみませんか
新たに家族を迎えたいと考えている方はカインズが運営する完全審査制のマッチングサイト「しっぽの出逢い」で、保護犬・保護猫とのご縁を探してみませんか。
サポート体制が整っているので、初めて保護犬を迎える方でも安心です。多様な背景をもつワンちゃん・ネコちゃんは、人と暮らす喜びを分かち合いながら生涯をともにできるパートナーを待っています。
あなたとの出逢いが、犬にとっても飼い主さんにとっても、温かな毎日へとつながる第一歩になるかもしれません。ぜひサイトをのぞいて、運命のパートナーとの新しい暮らしを検討してみてください。
まとめ
犬が急によそよそしくなるのには、ストレスや体調不良、加齢による変化などさまざまな理由があります。一見そっけなく見える行動も、実は「安心しているからこそ」という場合もあるため、まずは愛犬のしぐさや表情をこまめに観察し、どの理由が当てはまりそうか考えてみるとよいでしょう。
特に、食欲や水分摂取量が極端に減る、ぐったりして動かないといった体調不良のサインが見られたときは、早めに動物病院を受診して原因を突き止めることが大切です。また、環境の変化やコミュニケーションの取り方が影響している場合は、一対一の時間を増やす、複数の寝床を用意するなど、愛犬がリラックスできる対策を考えてあげましょう。
何より大切なのは、犬の気持ちに寄り添いながら柔軟に対応すること。必要に応じて専門家の力を借りながら、愛犬との信頼関係をより深めていってくださいね。