いすみ動物病院 院長

ご飯のお供として食卓に並ぶ明太子を、愛犬に与えても大丈夫か、疑問に思う方は多いかもしれません。明太子は塩分が多く辛味成分を含むため、少量でも犬に与えてはいけない食べ物です。
もし食べてしまった、食べた可能性がある場合はすぐに動物病院を受診しましょう。「いつ」「どのくらい食べたか」「犬の様子」を伝えられると診断に役立ちます。
この記事では、犬に明太子を食べさせてはいけない理由や、食べてしまった場合の対処法などを獣医師の田中芳生先生に解説していただきました。
目次
- 犬が明太子を食べるのは絶対にダメ! タラコも同様にNG
 - もし犬が明太子を食べた場合はどうしたらいい? まずは動物病院に相談して
 - なぜ犬に明太子やタラコを与えてはいけないのか
 - 犬に明太子の加工食品や、他の魚卵を与えてもOK?
 - 犬に絶対食べさせてはいけない食べ物は?
 - 安全な犬用おやつを用意しておこう
 - まとめ
 
犬が明太子を食べるのは絶対にダメ! タラコも同様にNG

明太子は、スケトウダラの卵巣を塩漬けにし、唐辛子などの調味液で味付けした食品です。名前の由来はスケトウダラを意味する韓国語「明太(ミョンテ)」からきています。一方、タラコは唐辛子を使わずに塩漬けしたもので、辛さの有無によって名称が異なります。
つまり、明太子もタラコも基本的には同じ「魚卵の塩蔵品」です。そして、どちらも犬にとっては絶対に与えてはいけない食品です。その理由を後半で詳しく説明します。
もし犬が明太子を食べた場合はどうしたらいい? まずは動物病院に相談して

愛犬が明太子を口にしてしまった場合、まずは飼い主が落ち着くことが大切です。そのうえで以下のステップを踏みましょう。
- いつ食べたか、どのくらいの量を食べたかを確認する
 - 少量を舐めただけなら、新鮮な水を与えて様子を観察しつつ、動物病院に電話で相談する
 - 嘔吐や下痢、ぐったりしている、呼吸が荒いなど異変がある場合は、すぐに動物病院を受診する
 - 子犬、シニア犬、持病のある犬の場合は、量に関わらず早急に受診する
 
「少しだけだから大丈夫」と自己判断するのは危険です。明太子は塩漬けしたもので、塩分濃度の高い食材。人間にとっては少量でも、犬にとっては命に関わる可能性があります。迷ったら必ず獣医師に相談してください。
なぜ犬に明太子やタラコを与えてはいけないのか

犬に明太子やタラコを与えてはいけない理由は、主に以下の3つです。
1.塩分が多い
塩分は犬の健康維持に欠かせない成分の一つですが、適量を超えた摂取は腎臓や心臓に大きな負担をかけ、健康を害する恐れがあります。
環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」によると、体重5kgの犬(避妊去勢済み)の場合、1日の塩分摂取量の目安は約0.18gです。
一方で、明太子の塩分は100g当たり約5.6gと非常に多く含まれています。たった数グラムの明太子でも、犬の1日の塩分摂取量を軽く超えてしまうのです。特に体の小さな犬の場合、ほんの少し舐めただけでも塩分過多となり、危険な状態に陥る可能性があります。
塩分を過剰に摂取すると、まれに「高ナトリウム血症」を引き起こすことがあります。高ナトリウム血症になると、脳に異常が起こり意識障害や運動麻痺、けいれんなどの症状が見られることもあり、命に関わる危険な状態です。特に腎機能が低下している犬ではリスクが高く、気怠そうにしている・寝ていても反応が鈍いなどの様子が見られたら、すぐに動物病院を受診しましょう。治療には点滴などで血中ナトリウム濃度をゆっくり下げる処置が必要になる場合もあります。
2.唐辛子による強い刺激
明太子に含まれる唐辛子の辛味成分カプサイシンは、犬の胃腸に強い刺激を与え、粘膜を傷つけてしまうことがあります。その結果、下痢や嘔吐、胃腸炎などの消化器系トラブルの原因になりかねません。
また、犬は人間よりもはるかに鋭い嗅覚を持っています。そのため、香辛料の強い匂い自体がストレスになる可能性も考えられます。
3.プリン体による悪影響
明太子には、魚介類のうま味成分であるプリン体が多く含まれています。人間の場合、プリン体を過剰摂取すると、尿酸が作られて痛風や尿路結石の原因となることがあります。
犬はプリン体をアラントインという成分に分解し、体外に排出する代謝経路を持っているため、尿酸を体に溜め込みにくいとされています。しかし、ダルメシアンのように、尿素の代謝経路に特徴があり、尿酸を多く排出する犬は尿路結石のリスクが高いとされているため、プリン体の摂取には注意が必要です。
犬に明太子の加工食品や、他の魚卵を与えてもOK?

明太子はおにぎりやパン、パスタソースなどにも使われる身近な食材です。野菜のディップソースに入っていることもあります。ほかの食材と一緒に調理されることで、「味が薄くなるから大丈夫」と考えるかもしれませんが、塩分や香辛料はそのまま残っています。さらに、玉ねぎやにんにくなど、犬にとって中毒を起こす食材が混ざっている場合も多く、与えるのは絶対にNGです。
また、数の子や筋子、いくらなどの魚卵も塩分やプリン体が多く、犬には適しません。
犬に絶対食べさせてはいけない食べ物は?

人間にとって安全で美味しい食べ物でも、犬と人では体の仕組みが異なるため、犬にとっては危険な場合があります。身近な食材で、犬に与えてはいけないものをまとめた記事がありますので、ぜひ参考にしてください。
安全な犬用おやつを用意しておこう
安心してあげられる、犬用のおやつを用意しておくと便利です。タラの身を使用したものならタンパク質も豊富で安心して与えられます。
カインズオンラインショップには、栄養豊富な魚や肉入りのおやつが豊富にそろっています。ぜひチェックしてみてくださいね!
※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合がございます。
※上記商品は獣医師の監修外です。
まとめ
明太子は人間にとってはおいしい食材ですが、犬にとっては塩分過多や唐辛子の刺激、プリン体の影響など危険が多く、絶対に与えてはいけません。もし食べてしまった場合は必ず動物病院に相談し、自己判断は避けましょう。
愛犬の健康を守るためには、人間の食べ物ではなく、犬用に作られたおやつやフードを選ぶことが大切です。明太子を食卓に出すときは、愛犬が誤って口にしないよう十分に注意してください。





















