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chicoどうぶつ診療所所長。体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、往診・カウンセリング専門の動物病院を開設。
胴長短足で、ピンと立った耳や丸いお尻がキュートなコーギー。実は、同じコーギーでも「ペンブローク」、「カーディガン」の2種類がいるんです。今回の記事では、chicoどうぶつ診療所 所長で獣医師の林美彩先生監修のもと、2種類のコーギーの違いやそのルーツ、さらに第3のコーギーと言われる「フラッフィー」についても解説します。
目次
- コーギーの歴史やルーツは?
- コーギーはペンブロークとカーディガンの2種類
- ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
- ウェルシュ・コーギー・カーディガン
- ペンブロークとカーディガンの見分け方
- 第3のコーギー「フラッフィー」とは?
- コーギーの毛色の特色は?
- コーギーの代表的なミックス犬を紹介!
コーギーの歴史やルーツは?
ウェルシュ・コーギーの起源は非常に古く、紀元前1200年頃に中央ヨーロッパから移住したケルト民族がイギリス・ウェールズに連れ込んだ犬だと考えられています。ペンブロークシャー地方に移住したコーギーが「ペンブローク」、カーディガン地方に移住したコーギーが「カーディガン」と言われています。どちらも同じ犬種に見え、一時期は同一犬種として交配が行われていたこともありますが、実際は別犬種です。
コーギーはペンブロークとカーディガンの2種類
コーギーは、大きく分けると「ペンブローク」と「カーディガン」の2種類がいます。別犬種とはいえ、交配が進んだためペンブロークとカーディガンの性格はよく似ています。どちらの犬種も、活発で愛情豊か。賢くて訓練性能があり、社交的です。その一方で、牧畜犬としての習性も持っているため、かかとやくるぶしに噛みつく癖があったり、無駄吠えをしたりする傾向も。
また、オスは子どもっぽくやんちゃでフレンドリー、メスは自立しており、オスより落ち着いた傾向があります。ただし、ペンブロークはカーディガンほどの落ち着きはなく、やや興奮しやすいようです。
飼いやすさに関しても、基本的にはどちらも同じ。やや頑固な性格の犬種ですので、トレーニングは根気よく行うことが大事です。運動量も多いため、屋外でしっかりと運動させられる飼い主でないと飼育は難しいでしょう。
それでは、それぞれの犬種の歴史、特徴を見ていきましょう。
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
歴史
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークは、初代イングランド王・ヘンリー2世の時代から現在のイギリス王室に至るまで長く愛されてきた犬種です。エリザベス女王も、ペンブローク愛好家として知られています。ペンブロークは、もともとは牧羊犬・牧畜犬として活躍してきた歴史があります。カーディガンに比べると、ペンブロークのほうが比較的新しい犬種と言われています。
体高・体重、平均寿命
平均的な体高は、オス・メスともに約25~30cm。平均的な体重は、オスが約10~12kg、メスが約9~11kgまで成長します。平均寿命は13歳です。
外見の特徴
外見は、胴長でふっくらとした肉付きの良い体型が特徴。被毛はダブルコートと呼ばれる二重構造で、しっかりした固めの毛でできたオーバーコートと、柔らかめの毛でできたアンダーコートから成ります。毛色はレッド、セーブル、フォーン、ブラック&タンなどが挙げられます。
ウェルシュ・コーギー・カーディガン
歴史
祖先は紀元前1200年代からイギリスで暮らしていたと言われており、一説ではイングリッシュ・ターンスピット・ドッグという絶滅犬種が祖先にあたるのではないかとされています。起源ははっきりしていないようですが、カーディガンシャー地方のケルト人が飼育していたことが、名前の由来となっているようです。ペンブロークに比べると、数が少ないのが現状です。
体高・体重、平均寿命
平均的な体高は、オスが約27~32cm、メスが約25~30cm。平均的な体重はオスが約13~17kg、メスが約11~15kgまで成長します。平均寿命は12~14歳です。
外見の特徴
外見は、胴長、骨太、立派な尻尾が特徴。胴はペンブロークよりも長めで、比較的がっしりしています。被毛はダブルコートで、毛色はペンブロークよりも幅広いバリエーションがあります。
ペンブロークとカーディガンの見分け方
カーディガンのほうが胴がやや長めでがっちりしており、耳もペンブロークよりひと回り大きいという特徴があります。毛色がブリンドル(虎のような縞模様)のコーギーは、基本的にはカーディガンと言われています。
ペンブロークは断尾をしているため、尻尾の有無でも判断がつく場合がありますが、近年は動物愛護の観点から断尾をしていないペンブロークもいます。そのため、尻尾だけでは見分けがつかないこともあり、注意が必要です。
第3のコーギー「フラッフィー」とは?
ペンブローク、カーディガンのほかに、コーギーには実はもう1タイプいることをご存じでしょうか? 第3のコーギー「フラッフィー」は、長毛のコーギーの愛称です。通常のコーギーは優性遺伝の短毛になりますが、稀に劣性遺伝になった時にフラッフィーが生まれてくると言われています。非常に珍しいタイプと言えるでしょう。
フラッフィーの特徴は、柔らかめの被毛で、長毛のダブルコートを持っています。毛色はペンブロークと同じく、レッド&ホワイト、トライカラー、セーブル&ホワイト、フォーン&ホワイトが存在します。劣性遺伝の時にしか生まれてこないため、興味のある方はペットショップよりも、コーギー犬舎、ブリーダーに問い合わせるのがおすすめです。
コーギーの毛色の特色は?
ペンブロークとカーディガン、それぞれの毛色の特徴は次の通りです。
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの毛色
ペンブロークの場合、毛色はレッド、セーブル、フォーン、ブラック&タンに限られます。この毛色にホワイトが混ざることもあります。
レッド&ホワイト
レッドがベースの毛色で、そこに白色の被毛が加わったものがレッド&ホワイトです。
ブラック&タン
ブラック&タンは、ブラックベースの毛色で、目の上に眉毛のような茶色の毛が生えているタイプです。ブラック&タンに白色が加わると、トライカラーと呼ばれます。
セーブル&ホワイト
ベースとなる毛色はレッドに似ていますが、毛先が黒いのがセーブルです。そこに白毛が加わったものが、セーブル&ホワイトになります。
フォーン&ホワイト
レッドよりも薄く、明るい金髪のような毛色をフォーンと呼びます。そこに白毛が加わったものがフォーン&ホワイトです。
ウェルッシュ・コーギー・カーディガンの毛色
カーディガンは、ペンブロークよりも多くの毛色が認められています。ホワイトの範囲が広すぎなければ、どのカラーも認められているため、色のバリエーションが多いのが特徴のひとつです。中でもブリンドルは、ペンブロークでは認められていない毛色です。そのため、カーディガンならではの毛色の特徴であると言えます。
ブリンドル
ブリンドルは毛色の種類ではなく、被毛のパターンを表します。ベースとなる毛色に、異なる色の被毛が虎の縞模様のように入ったパターンのことを指します。
コーギーの代表的なミックス犬を紹介!
コーギーには、以下のようなミックス犬がいます。それぞれ、コーギーの特徴である胴長短足が見られることが多いようです。
ダックスフンドとのミックス「ドーギー」
エリザベス女王が飼育していたコーギーと、妹のマーガレット王女が連れてきたダックスフントの間に生まれたのが、最初の1匹となるドーギーです。生まれた子犬を女王が気に入り、その後も交配を繰り返し、ドーギーという新犬種が誕生しました。短い足と立ち耳が特徴です。
ビーグルとのミックス「ビーギー」
ビーギーは、スヌーピーのモデルにもなったと言われるビーグルとコーギーのミックス。外見は、「短足のビーグル」といった雰囲気です。特徴は、たれ耳と長い尻尾。顔や耳はビーグル似で、骨格はコーギーに似ています。
ポメラニアンとのミックス「ポメコギ」
ポメコギは、小型犬のポメラニアンとコーギーのミックス犬です。体格はポメラニアンよりも若干大きく、毛色はポメラニアンの血を引き継ぐことが多いそうです。顔は個体差があり、耳、胴の長さ、尻尾の短さはコーギー寄り、目や犬の口周りの部分を指すマズルの長さ、被毛の特徴はポメラニアン寄りのことが多いようです。
柴犬とのミックス「シバーギー」
日本犬である柴犬と短足のコーギーから生まれた、愛嬌のあるミックス犬です。ピンと立った耳、鼻筋の通った高い鼻、くりくりした目を持つシバーギーが多いようです。コーギーの特徴である短足を引き継ぎ、目元は柴犬に似ることが多いと言われています。
トイプードルとのミックス「コギプー」
トイプードルとコーギーの間に生まれたコギプーは、トイプードルの毛の抜けにくさと、胴長短足のコーギーの特徴を引き継いでいるミックス犬です。プーギーと言われることもあるようです。