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日本獣医生命科学大学獣医学部卒業 / 西葛西ペットクリニック勤務

犬は鳥の骨を消化できるものの、喉や消化管を傷つけるなど危険な状況になることもあり、犬に食べさせてはいけません。また、鳥の骨が喉や胃腸に刺さったり、生の骨で食中毒になったりした際の対処法を知っておきたいもの。
この記事では、犬に鳥の骨を与えてはいけない理由や誤食した場合の対処法などを、獣医師の佐藤志津佳先生に解説していただきました。
目次
- 犬に鳥の骨を食べさせるのはNG!
- 犬に手羽先など鳥の骨を与えたときの危険性は?
- 犬が誤って鳥の骨を食べてしまった時の応急処置・対処法は?
- 人間用の骨付き肉を犬が届くところに置かない
- 犬用おやつとして鳥の骨を安全に食べられるおすすめのおやつ
- まとめ
犬に鳥の骨を食べさせるのはNG!
鳥の骨にはカルシウムやマグネシウム、リンなどのミネラルや、アミノ酸やコラーゲンなどが豊富に含まれています。犬も、鳥の骨を与えられると野性の本能が刺激されるのか、とても喜ぶことが多いようです。
また、犬はオオカミを祖先に持つ動物で、肉食動物のもつ高い消化能力を受け継いでいます。胃液は強い酸性で、十分に鳥の骨を消化することができます。
ただし、骨が喉に刺さるなどの危険性もあります。さらに骨が折れたり縦割れになったりすると鋭利な形状となり、食道や胃腸を傷つける可能性がある点などから鳥の骨は与えるのがNGな食材だといえます。
犬に手羽先など鳥の骨を与えたときの危険性は?
骨付きの鳥の肉には手羽先、手羽元、もも肉などがあります。犬に鳥の骨を与えたときの危険性をまとめました。
食中毒の危険性も
鳥の骨を生で食べた場合、カンピロバクターやサルモネラ菌による食中毒の可能性があります。
特に、カンピロバクターはほかの細菌性食中毒に比べて、少ない菌数でも発症することが分かっています。いずれもニワトリの体内に生息する菌で、熱に弱いため加熱調理で死滅します。
食中毒では下痢や嘔吐、腹痛、発熱などの症状が現れます。菌が全身に回ると敗血症という重い症状になり、死に至ることもありますので注意が必要です。
加熱した鳥の骨は縦に割れやすくなる
鳥の骨は加熱によりもろくなり、縦に割れやすくなるという特徴があります。割れると細く鋭い形状になり、食道や胃腸を傷つける可能性が高くなります。また、消化しきれなかった骨のかけらが原因で、腸閉塞を起こすこともあります。
犬が誤って鳥の骨を食べてしまった時の応急処置・対処法は?
鳥の骨は犬にとって消化器官に刺さる危険性や食中毒の可能性もある食材です。リスクがあるなら控えておきたいと考えていても、うっかり口にしてしまった場合はどうしたらよいのでしょうか。
犬が鳥の骨を食べて、たとえば以下のような症状がみられたら、体内で骨が引っかかったり、食中毒を起こしたりしている可能性があります。少しでも異変を感じたら、まずは動物病院に電話し、指示を仰ぎましょう。
- 嘔吐や吐き気が続く
- 下痢、血便
- 発熱(触って熱い、呼吸が荒い、震えているなど)
- 食欲が急に落ちた
- ぐったりして元気がない
次のような症状がみられる場合は、腹膜炎や腸閉塞になっている可能性があります。特にぐったりしている、体に触れられるのを嫌がる、横になっているなど強い腹痛があるようなら緊急性が高いです。命の危険があるため、すぐに動物病院を受診してください。
診察時には「骨をどのくらい食べたか、何時ごろ食べたのか」を正確に伝え、便や嘔吐物の状態もチェックできればより詳しい診断につながります。
動物病院では、レントゲンを撮ることで骨が体内に残っているかどうかを確認できます。状態によって処置が異なりますが、内視鏡手術や開腹手術が必要な場合もあります。
動物病院を受診する際は、骨を食べた日時、骨の部位や大きさ、食べ方(噛んだか丸呑みか)、便の状態、症状などをあらかじめメモしておきましょう。詳細な情報を伝えることで、的確な診断が可能になります。下痢や血便などの異常がある場合は、便をペットシーツやビニールに包んで動物病院に持参してください。ただし、感染症が原因のこともあるため、絶対に素手で作業しないようにします。
なお、食中毒の場合は潜伏期間があります。菌の種類によって発症までの期間が異なり、数日後に症状が出ることもありますので、生で食べた場合1週間くらいは注意が必要です。
人間用の骨付き肉を犬が届くところに置かない
人間用のフライドチキンなどは、おいしそうな匂いに犬が引き寄せられる可能性があります。目を離したすきに食べてしまうこともあるため、犬が届く場所には置かないようにしましょう。人間用に味付けされたものは塩分や油分が多く、犬の体にはよくないという観点からも注意が必要です。
犬用おやつとして鳥の骨を安全に食べられるおすすめのおやつ
カインズのオンラインショップでは、犬用おやつとして鳥の骨を安全に食べられる健康的なおやつをご購入いただけます。たとえばこちらの商品はコラーゲン、ビタミンA、カルシウムがたっぷりで、骨まで食べられる柔らかさに仕上げてあります。
ペティオ 素材そのまま 骨まで食べられる手羽先 2本×5袋入 犬用おやつ
カルシウムやコラーゲンは、ドッグフードや犬用サプリメントからも補うことができます。骨型のガムなどで、安全に歯や歯ぐきを鍛えることもできます。さまざまな商品が購入できるカインズのオンラインショップをぜひチェックしてみてくださいね。
※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります。
※上記商品は獣医師の監修外です。
まとめ
鳥の骨はカルシウムやコラーゲンなどの栄養が豊富で、犬にとって魅力的な食材です。しかし、骨が喉に刺さるなどのリスクもあり、犬に与えてはいけません。
もし、どうしても鳥の骨を与えたい場合は、犬用おやつとして市販されている「骨まで食べられる」加工・調理済みの安全なフードを利用したりすることをおすすめします。愛犬の安全を第一に考えながら、健康的な食生活をサポートしていきましょう。