「最強の定食」の定義から考える。「色」と「方向」重視の定食
リンクをコピーしました
PR
目次/ INDEX
黒板があって落書きし放題の子ども部屋スペース。手前のヘラクレスオオカブトは、長男くんの保育園の制作展に出品した力作。
賃貸住まいの人の中には、DIYはハードルの高い、贅沢な行いだと思っている人は多いだろう。せっかくリメイクしたお部屋も、引っ越しする際には元通りに原状回復をしなければならないからだ。
だが、今回登場するsachaさんの話を聞けば、賃貸でも思うままに自由にDIYリメイクができることを確信するはずだ。なにしろ、「賃貸アパート→古い借家→お庭付き古い借家」と3軒とも賃貸住宅に移り住みながら、自由な発想でお部屋を飾ってきたというのだ。
果たして彼女は、どんな方法で「原状回復」というハードルを乗りこえたのか? じっくり話を聞いてみよう。
記念すべきDIY処女作のテレビ台。カラーボックスの上のインテリアメッシュフレームとブリキフレームつきの棚は、その後に手を加えたもの。
宮崎県で3人の子どもの子育てをしているsachaさん。DIYにハマったきっかけは、次男を妊娠しているとき、体調をくずして1カ月、医療事務の仕事を休んだことだったという。
「外出せずに家にこもっていると気が滅入るので、何か楽しい暇つぶしをしようと思って、テレビ台を作ってみることにしたんです。ビデオとかインターネットのモデムのコードを当時3歳だった長男が引っ張り出しちゃったりするので、収納が必要だなと」
カラーボックスを横倒しにして、蝶番で黒いトビラを設置。その中にコード類を収納すると、見た目すっきりのテレビ台に変身した。
「ドライバーの使い方もわからない、DIY超ド素人の私なのに『あら、できちゃった!』と驚くほど立派なテレビ台になったんです」
この「あら、できちゃった!」感に味をしめたsachaさんは、次男くんの出産後、1年間の産休の間に次々とDIY製作に手を染めることになるのだ。
結婚して10数年の間に「賃貸アパート→古い借家→お庭付き古い借家」と、忙しく引っ越しを繰り返してきたsashaさんだが、その間もせっかく覚えたDIYの楽しさを忘れることはなかった。
「最初のころは、毎日のようにどこかをいじっていたので、保育園から帰ってきた長男に『今日はお家のどこが変わったの?』と聞かれるほどでした。賃貸の家ですから、壁に穴をあけたりすることはできないけど、ちょっとした工夫ひとつで思うようにDIYすることができるんです」
例えば、つっぱり棒で立てた柱に棚を据えたり、壁紙を直接貼るのではなく、マスキングテープの上に貼ったりすれば、次に引っ越すときの原状回復はラクにできるという。
「特にマスキングテープは、どこのお家でも大活躍でしたね。もともと内装や自動車などの塗装をするときの保護用テープなので粘着性が低く、簡単に剥がすことができるんです。子どもが落書きしたって、ぜんぜん大丈夫」
2軒目に住んだ「古い借家」のリメイク例を見てみよう。ビフォア&アフターを比べてみると、sachaさんがいかにDIYリメイクを楽しんでいたかがよくわかるはず。
こちらは引っ越しして原状回復したビフォアの様子。
リメイク後のアフターの様子。
「奥の壁の黒板も、マスキングテープで固定しています。手前がリビングで、奥が子ども用スペースなんですが、部屋と部屋の間にあったフスマを取り除いて、私のDJブースを入れた棚を置きました」
子ども用スペースの照明につかわれている星形シェードも、sashaさんの自作によるもの。SNSで似たようなデザインのシェードを見かけて作ってみたとか。
「SNSは日本だけでなくて、海外の人たちのもよくチェックしています。特に海外の家のインテリアは、日本の家にない素敵なものが多く、発想をかき立てられることが多いですね」
四季の変化が豊かな日本と違い、冬の長い国などでは暖炉を置いたり、長い時間を過ごす部屋のインテリアや照明器具を洗練させてきた文化があるのだろう。
自慢のキッチン。タイル地の壁紙はもちろん、マスキングテープの上に貼っている。
料理が大好きというsachaさんは当然のことながら、キッチンのリメイクにもこだわりがある。
「楽しく料理をしたいので、つねにキッチン雑貨をチェックして、お気に入りのものを少しずつ買いそろえています。私は、使ったコンロは毎日拭きたい性格なので、使用頻度の高い調理器具は、窓枠から金具で吊すことが多いです」
こちらが原状回復後のビフォアの様子。あの素敵なキッチンがあったとは思えないほどのギャップが。
上の写真は、カラーボックスを2つつなげて作ったキッチンカウンター。
中央のすき間にはキャスター付きのワゴンがあって、調味料や子どもたちの水筒を収納している。
「その他にはグラスやボウル、干物やお米、レシピ本なども収納しています。このキッチンカウンター&隙間ワゴンの前に立つだけでお料理に必要なものに手が届くので重宝したので引越し後の現在のお家でも、このまま活躍してくれています」
と、sachaさんが言う通り、DIYで作った作品には愛着があって、引っ越しのときに壊してしまうのではなく、次のお家で再利用することも多いという。
その別の一例がこちらの写真。
「フスマがついてたんですけど、なんとなく暗い印象になるので明かりの通る横引きドアを作ったんです。今の家でも同じように明かりが欲しいところがあって、こんな風に再利用してみました」
これが現在の家で活用されている横引きドア。↓
日々の生活を楽しむために、sachaさんが大事にしているのが年の節目となるイベント。
例えば節分の日には、子どもたちと恵方巻きを作って、それをプラレールの上に載せて「回転寿司イベント」を開催するのが習わしになっている。
「子どもたちは、普段から料理作りを手伝ってくれるんですけど、この日は大はしゃぎで回転寿司を楽しんでくれています。プラレールだからすごく早く回転して、食べるのも忙しいんですけどね」
「ご飯の真ん中に 具を均等にのせてね〜」とママに教えてもらいながら、ひとりで恵方巻きを完成させた長男くん。
現在の3軒目の「お庭付き古い借家」では、クリスマス気分を盛り上げようとお部屋の片隅にアーチのテーブルを作った。
「左右の柱は、LABRICOという2×4材の柱を立てるDIYパーツを使って立てました。それに白いペンキで塗装したベニア材をネジで止めただけの簡単なものですが、子どもたちは気に入って、よくここで勉強をしています」
テーブルの脚は1本2000円のもの。節約のために手前の2本だけ購入して、奥のほうは柱に固定している。
「自分が子どもだったころは、季節のイベントにあまり興味を感じていなかったんです。でも、子どもを持って、保育園に通わせるようになると、保育士さんたちがそうしたイベントをすごく大事にされていて、部屋の飾りつけやプレゼントを作ったりする様子に感動したんです。1年の節目を意識することで、日々を大切に積み重ねていけるような気がしています」
さて、sachaさんの手によってお部屋が目まぐるしく模様替えする様子を見て、かつて「お家のどこが変わったの?」と聞いていた長男くんは最近、「将来は建築家になりたい」という夢を持つようになったという。
「リメイクするたび、子どもには『この部屋をこうしたかったからこんなものを作ったんだよ』と、意識的にリメイクの意図を説明していました。ときには『そんなに変えて、どうすんの?』と呆れられることもありましたけど、いい意味で影響を受けてくれたのかもしれませんね。これまでずっと賃貸の家に住んできましたけど、やはり私自身の夢は、いつか持ち家に住むこと。中古の家でいいから、壁全体を取っ払ってみたり、床にフローリングを張ったり、自分の理想の家を実現したいですね」
と語るsachaさん。最後に「ホームセンターの上手な使い方」を聞いてみよう。
「木材にしても金具にしても、自分の目で見たことのないものって想像できないじゃないですか。だから、私はホームセンターに行ったら、お目当ての売り場だけじゃなくて、すべての売り場の商品を隅から隅まで見ておくことにしています。自分の部屋のスペースに『こんなものを作って置けないかな』と考えたとき、ホームセンターで見た商品を思い出して素敵なアイデアが浮かぶことも多いと思いますよ」