野菜作りをはじめて3ヶ月目の人が、野菜作りをはじめていない人に伝えたいこと
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岡山県倉敷市にある萩原工業株式会社の本社外観
近年、日本において水害が多発しており、被害の拡大を食い止めるために土のうの役割が増大している。
ところが、その土のうを作るシーンを想像していただきたい。一人が袋を押さえ、もう一人がスコップなどで土を入れる。そんな2人作業をイメージしなかっただろうか。
岡山県倉敷市の水島臨海工業地帯に本社がある萩原工業株式会社は、土のう作業を一人で行えるよう自社の技術を生かしたアイテムを発売した。土のうスタンド「たつーる」だ。この商品について、同社の合成樹脂事業部門で営業を担当している吉原和希さんはこう話す。
「土のうの充填作業はこれまで、2人で行うことが前提でした。ですが、土のう袋を立てて置けるたつーるを使用することで1人作業が可能になりました。人員削減ができ、作業効率がアップします。1個約180グラムと非常に軽量で、持ち運びしやすいのもポイントです」
このたつーる、使用するときは広げてマジックテープを止めるだけ。使用しないときは丸めてコンパクトにすることができる。場所を取らないため最近ではキャンプなどアウトドアで使われることもあるそうだ。
一人でも簡単に土のうの充填作業が行える
「バーベキューやキャンプが最近、流行っていますが、ごみ袋を取り付けられなくて困る方がいらっしゃいました。たつーるを広げて袋をセットすれば簡易的なごみ箱になって便利だという声もいただいています」
そもそもこのたつーるはどんな背景で誕生したのだろうか。開発のきっかけを吉原さんに聞いてみた。
「弊社はブルーシートや土のうの販売をずっとしてきました。そのなかで、お客さまから土のうの充填作業をもっと簡単にできないか?という声を頂戴したのです。このときは2人作業が当たり前だと思っていたため注入口を広げてみたり、土のう袋のサイズを大きくしてみたりといった細かい調整を繰り返していました」
どの方法も作業をラクにさせるものの決定打には至らない。そんなとき、開発者から「ごみ箱のイメージで作ってみてはどうか?」という声が上がったという。
「今から考えるとそこまでの大発見というわけではないのですが、当時はその線でやってみよう!と開発が大きく前に進みました。最初は鉄製の支柱を作りましたが、それだと持ち運びがしにくいということで今の形になったんです」
多種多様な用途のシートが倉敷の工場で生産されている
ごみ箱をイメージして開発したため、土のうの充填作業をラクにするだけではなく屋外におけるごみ箱代わりとなり、アウトドア愛好家などにも支持されるアイテムとなったことは先述の通り。部屋など屋内に置かれるケースもあるそうだ。
「こちらの想像以上に個人で購入いただいています。個人で災害に備える方も今、とても増えている印象です。ただ、やはりメインの購入層は土木業者の方々です。『ストレスを感じずに充填作業ができる』『リピートで買う』といった声を購入者からいただいていますね」
1962年に設立された萩原工業株式会社は、花ござのい草をポリエチレン糸で代替させる技術から始まっている。その後、ポリエチレンとポリプロピレンを主原料とした合成樹脂繊維のフラットヤーンを開発。シート一貫製造体制を構築するなど、世界に先駆けた技術で業界をリードしてきた。また、合成樹脂事業と並んでエンジニアリング事業も萩原工業を支えている。
「1965年、海外企業からフラットヤーン製造装置を購入したいという申し出がありました。技術流出に対する懸念もありましたが、当時の社長が業務の拡大を狙って申し出を受け入れたという経緯があります。以後、製造機器の製作および輸出が軸となる事業にまで成長しました」
作業効率のアップが期待できるPE防炎シート
萩原工業の中核技術は「切る」「伸ばす」「巻く」「織る」の4つ。たつーるもその中核技術を存分に生かしたアイテムとなっている。また、最近ではポリエチレンを使った防炎シートも積極的にPRしている。
「弊社の国産ブルーシート同様、こちらもフラットヤーン技術を活用した糸で製作した織物で強度が非常にすぐれています。塩ビ製の防炎シートと比較して、約40%も軽量で作業効率の大幅アップが期待できます」
工務店などをターゲットに工事現場における失火対策アイテムとして販売。養生シートとしての使用を想定している。ただし、今後は一般消費者にもブルーシートの代わりとなる素材として提案していきたいという。
「園芸やDIYの際、気軽に使っていただけるようになればいいなと考えております。今、一般消費者向けで力を入れているのが、『軽トラックシート彩り』です。軽トラックのシートは緑のイメージが強いと思いますが、青、赤、黒の3種を用意してきました。今では全てリバーシブル仕様にモデルチェンジし、5種類のラインナップに拡大。軽トラ自体の色が多様になるなか、シートの色も多様にしたいという思いがありました」
本社には商品や技術を紹介する展示コーナーも
エンドユーザーのニーズに立脚した商品を丁寧に作り込みながら、新しい技術を次々に生み出してBtoBビジネスも盤石なものにしている。現在は「レイシス」という新技術で新しい価値を創出すべく動き始めているという。
「レイシスは独自の多孔質フィルムを創り出す新しい技術です。樹脂を伸ばすと目に見えないほどの無数の細かな穴が空きます。ここに薬剤を浸み込ませ、その機能を溜め込んで放出量と放出時間を自由にコントロールすることが可能となりました。これによって長持ちする虫よけや壁に貼れるアロマ香料などの開発が期待できます」
最後に展望を聞いた。今後も発生するであろう災害に対して、様々な角度からユーザーの意識を高めたいと吉原さんは話す。
「展示会やイベント、キャンペーンなどに積極的に参加し防災や減災の認知度を高めていければと思っております。近年、災害が意識されるなかでブルーシートや土のうを販売するだけでは十分とは言えません。備えに対する知識も合わせた提案を行い、皆様の防災意識を高める活動に尽力できればと考えています」
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