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日本獣医再生医療学会常務理事。患者様とペットの健康のために日々、動物医療に熱意を持って取り組んでいる。特技はスキーと船舶、趣味はドリフト。
人間と同じように、犬にも「犬専用」のサプリメントがあることをご存知でしょうか。近年は、食事の栄養補助のためのもの、皮膚のケアや視力の改善を目指すものなど、目的別に販売されているさまざまな犬用サプリを購入することができます。今回はそんな犬用サプリの役割や選び方のポイントと、推奨できる商品を苅谷動物病院グループ市川総合病院院長の伊藤裕行先生に解説いただきました。
目次
- 犬用サプリの役割とは?
- 犬用サプリの種類は?
- 犬用サプリを選ぶときの注意点は?
- 犬用サプリの与え方はどうすればいいの?
- 獣医師おすすめ!犬用サプリ10選
犬用サプリの役割とは?
サプリメントは、日常の食生活において不足しがちな栄養素や成分を補ったり、余分な栄養の吸収を抑えたりすることで健康に過ごせるようにする、いわゆる健康食品の一種です。
人間用も犬用も、健康食品やサプリメントには行政的な定義はありません。一般には、サプリメントは「健康食品の中でも、特定成分が濃縮された錠剤やカプセル、顆粒粉末などの製品」を指すものと認識されています。犬用サプリは、健康の維持・栄養成分の補給・疲労回復・ダイエット・病気の予防など、犬のQOL向上のために使われます。また、病気の症状緩和にサプリメントを活用する動きも広がっています。
サプリメントの分類
サプリメントは、役割や目的によって種類が異なります。大きな分類として、体に必要なビタミンやミネラル、アミノ酸、食物繊維、DHAやEPAなどを補う「ベースサプリメント」、健康維持などのために利用する「ヘルスサプリメント」、関節の周りのクッションを作るグルコサミンなど、体調の回復のために利用される「オプショナルサプリメント」の3種類があります。
犬用サプリが愛犬の健康維持に必要な理由は?
近年は高齢ペットの増加により機能性ペットフードや療法食の普及が進んでいますが、それだけでは補いきれない成分や強化すべき成分などがあるのも事実です。犬用サプリは、それらの足りない栄養素を補うために存在しています。
犬用サプリは犬が本来持つ自己修復能力・病気を治そうとする力を補助する役割を果たすこともあるため、病気の治療に追加することで状態が良くなる可能性も指摘されています。また、高齢や病気になってからでなく、若いうちからサプリメントを服用することで、より健康に長生きできるかもしれません。
犬用サプリの種類は?
犬用サプリにはさまざまな種類があります。愛犬にサプリメントを服用させたい方は、まずは代表的なものの種類と目的について知っておきましょう。
ベースアップサプリメント
体に必要なビタミンやミネラル、アミノ酸、食物繊維、DHAやEPAなどを補うサプリメント。加齢による体力や活力の低下に対して使用します。
関節系サプリメント
加齢に伴う関節の不具合・可動域の減少などが見られる関節炎があったり、外傷によって関節が傷ついたりしたときに服用するサプリメント。関節を保護するほか、歩行や運動機能向上・維持のために使用します。
CBD(カンナビジオール)
身体に本来備わっている調節機構のひとつである「エンド・カンナビノイド・システム」の働きを良くすると言われている成分。犬の問題行動などに対して使用します。
アミノ酸系サプリメント
筋力の低下を補う目的で使用します。
神経系サプリメント
椎間板疾患などの脊椎機能の維持目的で使用します。
ミルクカゼイン
行動学治療において、常同症や分離不安などの症状に対して補助的に使用します。
肝臓保護系サプリメント
肝酵素の上昇などが見られる犬に対して使用します。
吸着剤系サプリメント
腎臓病のある犬に使用します。
その他
貧血や低カリウム血症に用いるサプリメント、加齢に伴う認知機能障害などが見られたときに使うサプリメント、滋養強壮に役立つサプリメント、眼病予防に用いるサプリメント、尿や排尿の状態を良好に保ち、尿を酸性にし尿臭を軽減するサプリメント、口腔内細菌叢を整える口腔内系サプリメント、腸内環境を整える腸活系サプリメントなど、いろいろな種類が販売されています。
犬用サプリを選ぶときの注意点は?
犬用サプリは症状や目的に合ったものを選びましょう。また、次のポイントには注意が必要です。
飲み合わせや副作用
現在服用している薬や他のサプリメントとの飲み合わせに問題がないかを確認してください。また、起こり得る副作用についてもしっかり把握しておきましょう。
適切なものが配合されているか
含有成分を見て、配合成分が適切かどうかを確認しましょう。自分で判断するのが難しい場合は、かかりつけの獣医師に相談するのもひとつの方法です。また、おすすめのサプリメントを購入できる動物病院もあります。
犬用サプリの与え方はどうすればいいの?
犬用サプリにはそれぞれ用量用法が記載されているので、それを守って与えます。食前、食事と一緒に、食後といった与えるタイミングなども、それぞれのサプリメントのパッケージに記載されています。ただし、獣医師から与え方に関しての指示が出ている場合は、その指示に従いましょう。
服用してくれないときの対処法
サプリメントを服用してくれないときは、食事に混ぜて与えるか、大好きなおやつと一緒に与えるのがおすすめ。また、サプリメントや薬などを包み込む投薬用のおやつを使用するのもいいでしょう。
飼い主さんが慣れていればサプリメントを口からそのまま服用させることも可能ですが、この場合は喉や食道にサプリメントがくっついてしまうこともあります。服用させた後は、少量の水を飲ませて流し込んであげましょう。
獣医師おすすめ!犬用サプリ10選
市川総合病院院長で獣医師である伊藤裕行先生に、おすすめの犬用サプリを紹介していただきました。愛犬に服用させるサプリメントをお探しの方は、ぜひチェックしてみてくださいね。使用方法などが分からない場合は最寄りの動物病院へ尋ねてみましょう。
1.アンチノール(Vetz Petz)
「モエギイガイ」を原材料としたサプリメント。関節、皮膚・被毛、心血管、腎臓、神経・認知機能などの全身の健康を守ります。
2.マイトマックススーパー(ヘルスビジョン)
生きたまま腸に届く乳酸菌サプリメント。
3.エネアラ(DSファーマ)
世界で初めて5-ALA(5-アミノレブリン酸)を配合した犬猫用サプリメント。体内で不足しがちな5-ALAを補充することで、健康維持をサポートします。服用の際は、獣医師や動物看護師のアドバイスが必要です。
4.還元型コエンザイムQ10(カネカユアヘルスケア)
加齢と共に減少するコエンザイムQ10を効率よく補給することができます。活動量や皮膚・被毛の健康維持に役立ちます。
5.レンジアレン(エランコジャパン)
フードに混ぜることでフード中のリンを吸着し、お腹の中にあるリンをも吸着するサプリメント。食事中にリンを管理することができます。
6.ワンサポート(湧永製薬)
熟成ニンニク抽出液を配合したサプリメント。シニア期の犬の健康維持に役立ちます。
7.Mary's TalesヘンプオイルCBD(たかくら新産業)
CBD(カンナビジオール)含有のオイル。
8.AKTIVAIT(ワールドエクイップス)
脳の健康をサポートする、犬猫の栄養補助食品。(動物病院専売品)
9.アイアクト(日本全薬工業)
眼の健康をサポートする、タブレットタイプのサプリメント。
10.プロバイオ(プレミアモード株式会社)
口腔内の善玉菌を補えるサプリメント。