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夏の暑い時期になると、他の時期と比較して愛犬がご飯をあまり食べなくなるということはないでしょうか。犬の食欲が減退してしまうのは、夏バテが原因かもしれません。食欲不振は体力低下を招き、犬の健康を損なう危険性があります。夏バテせずに暑い夏を乗り切るために犬に与えたいおすすめの食べ物を、「chicoどうぶつ診療所」所長で、犬の手づくり食の著書がある獣医師の林美彩先生にご紹介いただきます。
目次
- 犬は暑さに弱い
- 犬の夏バテのサインは?
- 犬の夏バテを防ぐには?
- 犬の夏バテ予防になる食べ物6選
- 夏バテ中の犬に与えないほうが良い食べ物は?
- 夏に犬に食べ物を与えるときに気をつけることは?
- 犬の夏バテの注意点は?
犬は暑さに弱い
犬は人間と違い全身が被毛でおおわれているだけでなく、皮膚に汗腺がないため、体質的に暑さに弱い生き物です。人間のように汗をかいて熱を発散させることができないので、体内に熱がこもりやすく、夏バテや熱中症になってしまうのです。日本では梅雨の時期から9月頃までは暑さが続きますが、この期間に犬の体調に変化が見られた場合は夏バテが疑われます。
犬の夏バテのサインは?
「これをしていたら夏バテだ」というような明らかなサインはなく判断は難しいのですが、少しずつ食欲が低下していたり、嘔吐や下痢をしていたり、倦怠感を覚えていたりするような様子が見られた場合には、夏バテをしている可能性があります。急な変化にも迅速に対応できるよう、日頃から愛犬の健康状態を把握しておきましょう。
犬の夏バテを防ぐには?
犬が夏バテしてしまう理由はさまざまですが、食事や水分の与え方を工夫すると、夏バテの予防に繫げられます。
過剰な水分摂取はNG
水分を過度に摂取すると胃酸が薄まってしまい、消化不良など胃腸系の不良を引き起こします。また、人間の熱中症と同様に、水だけを飲んでいると余計に脱水症状を引き起こしかねません。脱水症状に陥らないために、ミネラルが含まれている食事や水分を摂取してください。
食事から水分を摂って夏バテ予防
夏場はスープが多めのフードにするなどし、食事から水分を多く取り入れることがおすすめです。口周りが汚れることを嫌ってシャバシャバした水分の多い食事を嫌がる犬には、寒天やゼラチンでゼリー状にするといった工夫をしてみてください。
体を冷やす食材やビタミンB1を含む食材を食べる
薬膳の世界では、食材は「五性(熱性・温性・平性・涼性・寒性)」に分類されます。
五性
- 熱性:体を強く温める食材
- 温性:体を温める食材
- 平性:体を温めも冷やしもしない食材
- 涼性:体を冷やす食材
- 寒性:体を強く冷やす食材
涼性・寒性の食材や、ビタミンB1が豊富に含まれている食材を摂ると、夏バテ防止に繋がります。ただし、冷やしすぎても悪影響が出るので、バランスには注意しましょう。
犬の夏バテ予防になる食べ物6選
夏バテを防ぐために効果的な食材を6つご紹介します。
キュウリ
涼性。キュウリは水分を多く含んでおり、体の熱を冷ます効果があります。水分補給としておやつ代わりに与えることがおすすめですが、手軽に与えられるからといって食べすぎは危険です。キュウリは食べすぎると下痢や嘔吐につながりかねませんので、注意して与えましょう。
ズッキーニ
寒性。ズッキーニは体の熱を冷ますだけでなく、潤いも与えてくれます。夏バテだけでなく、皮膚の乾燥や肌トラブルも気になる場合は、積極的に取り入れてみてください。
冬瓜
寒性。冬瓜はビタミンCやカリウムを含んでおり、体を冷やし水分を多く摂取できる食材です。低カロリーな食材でもあるので、ダイエット食にもおすすめです。
トマト
寒性。体を冷やすだけでなく、鉄分が豊富で貧血を防ぐことができます。胃腸の働きを助けるクエン酸も含まれているため、腸のケアにもおすすめです。与える際はヘタを必ず取り除き、完熟したものを食べさせるようにしましょう。
トウモロコシ
平性。体内のエネルギー生成を促進するアスパラギン酸を豊富に含み、ミネラル補給や疲労回復効果があります。与える際は芯を必ず取り除き、茹でたものを食べさせましょう。生のまま食べると消化不良を引き起こすので注意してください。
ハトムギ
涼性。水の代謝を促して体の熱を取る効果があります。カルシウム・ミネラル・食物繊維が多く含まれており、腎臓機能を高める効果があるため、犬の健康にも一役買ってくれます。
夏バテ中の犬に与えないほうが良い食べ物は?
体を強く温める「熱性」に分類される羊肉はさけてください。また、生ものは胃腸に負担をかける他、傷みやすいので控えたほうが良いでしょう。犬の体調が優れないようであれば、水分を多く含んだウエットフードがおすすめです。
夏に犬に食べ物を与えるときに気をつけることは?
夏場は気温・湿度、犬の体調のなど変化が激しいため、食事に注意が必要です。
食中毒
犬の胃酸は人間よりも強く、基本的に食中毒が起こることは少ないでしょう。しかし、幼犬やシニア犬は胃酸の働きが弱いことが多く、胃酸の分泌量が少ないため、食中毒になる危険性がアップします。特に雑菌が繁殖しがちな生の食材や、ウエットフード、手作り食を長時間放置しないよう注意しましょう。
冷たい食べ物を与えすぎない
冷たい食べ物は胃腸の働きを弱め、下痢などを引き起こします。食欲がないからと冷たい食べ物ばかり与えるのではなく、バランスを考えて、水分量の多い食材を意識して与えてください。
犬の夏バテの注意点は?
犬が夏バテにならないためには、食事だけでなく、環境にも気を遣う必要があります。室内の温度や湿度、散歩の際は天気や時間帯などに気を配ると良いでしょう。こまめに犬の様子を見ながら、体内に熱がこもっていないか、しんどそうにしていないかなどを観察してあげてください。
一方で、室内の冷やしすぎにも注意が必要です。空調で冷えたフローリングで直に寝ているとお腹を冷やしてしまい、下痢などのトラブルを起こす可能性があります。マットを敷いたり、腹巻をしたりしてお腹を冷やさないような対策も同時に心がけましょう。