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獣医師資格取得後、小動物臨床経験6年。主に犬猫の臨床に携わる。現在は子育てをしながら、愛猫と暮らしている。
犬は、実のところ人よりも薄くデリケートな皮膚をもつため、皮膚の病気やトラブルを起こしやすい動物です。そこで今回は、犬の皮膚にフケやかさぶた、できものが出たときに考えられる病気をご紹介します。愛犬の皮膚の異常にはやく気がつき、早期治療につなげましょう。
目次
- 犬の皮膚にフケやかさぶたが見られたら?
- 犬のおなかに赤みや湿疹が出た場合は?
- 犬の皮膚にできものができたときは?
犬の皮膚にフケやかさぶたが見られたら?
犬は皮膚病にかかると、全身にフケが出ることがあります。特に、「アレルギー性皮膚炎」、「マラセチア性皮膚炎」、「脂漏症(しろうしょう)」などの病気でフケが増えることが多いです。フケが多く見られるようになったら、獣医師に相談してください。
皮膚にかさぶたができたときも要注意。
皮膚がかさぶたのようにガサガサとした状態になっている場合は、糸状菌(しじょうきん)という真菌に感染して発症する「皮膚糸状菌感染症(ひふじじょうきんかんせんしょう)」や、「乾性脂漏症(かんせいしろうしょう)」などの疑いがあります。
また、「膿皮症(のうひしょう)」のかゆみで強くかいた部位や、「毛包虫(ニキビダニ)の寄生」などによりかさぶたが見られることも。脱毛が伴う場合は、「甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)」などホルモンの病気のおそれもあります。
いずれの場合も、すぐに動物病院で受診しましょう。
犬のおなかに赤みや湿疹が出た場合は?
犬のおなか全体に赤みが出たら、「食物アレルギー」や「接触性アレルギー」、「マラセチア性皮膚炎」、「膿皮症」などの可能性があります。考えられる原因はさまざまなので、悪化させないためにも動物病院で受診して原因を特定してください。
危険なのは、おなかに赤みの強い湿疹が出たり、おなか全体が腫れたりする場合です。
赤みが強い湿疹は、「膿皮症(のうひしょう)」などの皮膚炎で激しいかゆみを生じている可能性が高く、犬がかき続けてただれてしまうことも。
おなか全体が腫れるとともに、飲水量の増加や脱毛が見られる場合は、「クッシング症候群」といわれるホルモンの病気の可能性があります。また、「フィラリア症」などで腹水がたまり、おなかがふくらんで見えるケースもあります。これらの症状があらわれたら、早急な受診が必要です。
犬の皮膚にできものができたときは?
皮膚のできものも病気のサイン。
「皮膚乳頭腫(ひふにゅうとうしゅ)」、「形質細胞腫(けいしつさいぼうしゅ)」、「皮膚組織球腫(ひふそしききゅうしゅ)」、「肥満細胞腫(ひまんさいぼうしゅ)」、「扁平上皮(へんぺいじょうひ)がん」、「悪性リンパ腫」など、良性から悪性までさまざまな腫瘍の可能性が考えられます。
犬ができものの周辺を気にしてなめ続けることで、「舐性皮膚炎(しせいひふえん)」などを併発することもあります。
見た目では判断することができないため、はやめに動物病院で検査を受けましょう。
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