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自身の経験をもとに、持ち運びに便利な、犬にも子どもにも使える抱っこ紐『gyuttone!』を開発。現在は、夫と小学生の息子、トイプードルと一緒に暮らしている。
シングルマザーの実体験から発明された、愛犬にも子どもにも使える抱っこ紐『gyuttone!(ぎゅっとね!)』とは?
目次
- 子どもにも愛犬にも使える多機能抱っこ紐『gyuttone!』を開発した大門みづきさん
- 身軽に外出が叶う。1つで何役もこなす“抱っこカバン”を制作
- 抱っこ紐の安全性のため、商品化と事業化を決意
- 15回以上の試作の末、抱っこ紐・かばん・布団の一体化に成功
- 購入者の9割がペットオーナーに。犬が教えてくれた、新たなニーズ
- 「息子の味方を増やしたい」働くママの強い決意が商品を生んだ
- 「犬や子どもが使う抱っこ紐は相性が大事」対面販売を続ける
- 『gyuttone!』が引き合わせてくれた、愛犬と息子と夫との幸せな暮らし
子どもにも愛犬にも使える多機能抱っこ紐『gyuttone!』を開発した大門みづきさん
愛犬や、小さな子どもとのお出かけは荷物が多くて大変ですよね。かつてシングルマザーだった大門みづきさんも、外出時の荷物の多さに困っていました。
「抱っこ紐は、子どもとのお出かけには必需品。だけど、使ってない時は嵩張っていやだ……」
そんなご自身の苦労をもとに、抱っこ紐のさらなる機能性を追求した商品開発に挑戦し、世界で唯一のアイテムの発明に成功します。
大門さんが生み出した、多機能な抱っこ紐『gyuttone!(ぎゅっとね!)』は、人も犬も抱っこできます。さらには、エコバッグ・オムツ替えシート・簡易式布団、ペット用のカフェマットとしても活用できるんです。
特許も取得し、2021年にはキッズデザイン賞も受賞しました。今では子ども用としてだけでなく、ワンちゃん猫ちゃんの抱っこ紐としても多くの飼い主さんからの支持を集めています。
大門さんが『gyuttone!』に込めた想いとは? 大門さんに発明の背景や家族の成長とともに変化した商品の使い方を伺いました。
身軽に外出が叶う。1つで何役もこなす“抱っこカバン”を制作
「私、コスパの良いものが好きなんです」
そう話す大門さんは、かつてシングルマザーで、小さな息子さんを育てていた頃、抱っこ紐に悩まされていました。
「抱っこ紐って、子どもとのお出かけには必需品です。でも、すごく嵩張るし、子どもの気分によっては使わない日もある。せっかく持って行ったのに使わなかったりすると、なんだかすごく悔しくて……」
いくつもの抱っこ紐を試しながら、「なんでこんなに使い勝手が悪いんだろう」と既存の抱っこ紐に不満を募らせていました。赤ちゃんの時から使える抱っこ紐は子どもの身体に合わせてサイズ調整が可能だけど、クッションが分厚くて嵩張る。だから持ち歩きには適していない。
一方、簡易的な抱っこ紐はコンパクトで持ち運びが楽だけど、サイズの微調整ができなくて結局すぐにサイズアウトしてしまうか、無理をして使うので子ども自身や親の身体を痛めることになってしまいます。
7個ほどの抱っこ紐を試したのち、もういっそのこと自分で作ってみようと決めた大門さんは、既存の抱っこ紐の問題点を洗い出し、2015年にオリジナルの抱っこ紐づくりを始めました。
こだわったのは、「持ち運びに躊躇しない、なおかつきちんと体に合わせてサイズ調整ができる抱っこ紐」でした。
なぜならば、「コンパクトな抱っこ紐」はすでにたくさん発売されているけど、結局小さく畳めたとしてもカバンの中でスペースをとることに変わりはなかったからです。
持ち歩きが楽で、サイズ調整ができる。でも、抱っこ紐としての機能しかないと、結局使っていない時にはただの荷物になり得ます。そう気がついた時、いつも持ち歩いているものが抱っこ紐を兼用してくれたら、持ち歩くのに躊躇しないんじゃないか、と思いました。
同時に、「カバンの取手に手を通して、布の部分に子どものお尻が乗れば、抱っこ紐になる」と気がつきました。そして、どんな形態の鞄であれば実現が可能なのか調べるため、図書館に行ってカバンの作り方の本を片っ端から調べたのです。
「学生時代にずっと美術をやっていたので、頭の中でイメージを膨らませるのは得意でした」
抱っこ紐の完成形がイメージできると、次はそれを実現するにはどんなパーツを作ればいいのかを考えて、試作の繰り返し。少しずつ理想の形に近づけていきました。
元々、営業職として長年働いてきた経験もある大門さん。目標を立てたら逆算して期日を設定し、道筋を立てて努力をする、ということが習慣化していたそう。自身が育児の壁で見つけた、「抱っこ紐の最適化」を目指して、新たに動き出しました。