公開
博士(獣医学)。専門は獣医動物行動学。evergreen pet clinic ebisu行動診療科担当。日本獣医行動研究会研修医。藤田医科大学客員講師。

犬の知育玩具って、どんなもの? 犬にとってどんなメリットがあるの? うちの子は全然興味がなさそうだけど、遊ばせ方が間違っているの? そんなお悩みをお持ちの飼い主さん必見! 獣医動物行動学を専門にしている獣医師・茂木先生が「犬の知育玩具」について、解説します。ぜひこれを機に取り入れてみましょう。
目次
- 今、多くの飼い主さんが注目する犬用「知育玩具」
- 犬にとって良いことづくしの知育玩具とは?
- 愛犬に知育玩具を取り入れるきっかけとは
- 遊びが学びに変わる!犬が知育玩具で遊ぶメリット
- 愛犬に適した知育玩具の選び方!ポイントは主に5つ
- 獣医師・茂木先生がレクチャーする知育玩具の遊び方
- 獣医師が教える!知育玩具に興味を示さない犬への対策
- 知育玩具と組み合わせたい、愛犬のおやつとは?
- 愛犬の知育玩具を使う際の注意点
- 獣医師も絶賛!知育玩具が初めての犬におすすめのロープトイ
- 愛犬のごはん・おやつ時間が、楽しい頭の運動に変わる!
今、多くの飼い主さんが注目する犬用「知育玩具」
愛犬と暮らしていると、「今うちの子は退屈していないだろうか」や「もっと楽しく、一緒に過ごせる方法はないかな」といった気持ちが芽生えることはありませんか。
毎日の散歩やおもちゃ遊びはもちろん大切ですが、室内中心の暮らしが増えている現代では、いかに犬の心を満たし、頭を使った遊びで退屈を軽減するかが、大きなテーマになっているように思えます。
そんななか、注目されているのが「知育玩具」です。

動物の行動学を専門に研究している、獣医師の茂木千恵先生によれば、知育玩具で愛犬のストレスや退屈を軽減する効果が期待できるのだそう。知育玩具を使いながら犬が自分で考え、工夫し、成功体験を積み上げることで、犬の思考力や問題解決能力を自然に引き出せるからです。
ここでは、「犬の知育玩具とは何か」という基本から、そのメリット、上手な選び方、遊ばせ方のヒント、そしてカインズの知育トイを活用した具体例まで、たっぷりとご紹介します。
犬にとって良いことづくしの知育玩具とは?

「知育玩具」とは、犬が本来の狩猟本能や探求心、好奇心を満たすような仕掛けがあるおもちゃです。たとえば、ボール状の容器に犬用おやつやフードを入れたタイプ。犬が鼻や前肢を使って容器を転がすことで、おやつにありつける仕組み。

実際、こうしたおもちゃを定期的に与えることで、問題行動が減ったり、留守番のストレスが軽減したり、年齢を重ねた犬が日常に張りを取り戻したりと、さまざまなポジティブな変化が見られています。
愛犬に知育玩具を取り入れるきっかけとは

年齢や性格、生活環境によって、知育玩具を取り入れるきっかけはさまざまです。留守番が長い犬、室内時間が増えた犬、老犬になって動きがゆっくりになった犬、あるいは食事を早食いしがちな犬など。知育玩具はこれらの解決策のひとつになり得ます。

現代の多くの犬は室内生活が中心です。そのため身体的には安全で快適になったものの、頭を使う経験は不足しがちです。そこで知育玩具を活用することが、自宅にいながらにして「自然界での探索行動に近い感覚」を少し取り戻す手助けになるんです。
遊びが学びに変わる!犬が知育玩具で遊ぶメリット

知育玩具を使うことで得られるメリットは主に7つ。茂木先生は、「知育玩具は犬の生活を豊かにするためのエッセンス」だと話します。
メリット | 説明 |
思考力・問題解決能力の向上 | 課題に挑戦し、試行錯誤することで思考力を養い、問題解決能力を高める |
ストレス軽減 | 気分転換になり、心を落ち着かせる効果。お留守番時の孤独感や不安軽減にも役立つ |
エネルギー発散・心身の健康 | 体と頭を同時に使うことで、適度にエネルギーを発散になる。満足感を得て、心身ともに健康な状態を保てる |
問題行動の抑制 | 知育玩具への集中で退屈な時間が減り、過剰な興奮による吠えや物を壊すといった問題行動の発生率を下げる |
自信の向上 | 課題をクリアし成功体験を積むことで、自信がつく。犬が積極的で前向きな性格になる |
飼い主との絆強化 | 知育玩具を通じた、飼い主とのコミュニケーションが増え、信頼関係が深まる |
老犬の認知症予防 | 脳を使う機会を増やし、刺激を与えることで認知機能の低下を遅らせる |
知育玩具を使うことで、犬は遊びながら問題解決能力や集中力、思考力、学習能力、応用力を養い、記憶力や自信、独立心も育むことができます。

知育玩具は、日常生活に「考える場面」を提供することで、余計なストレスを減らし、問題行動そのものを起こしにくくする作用が期待できます。結果的に、飼い主さんは叱る機会が減り、犬との関係がよりスムーズに、そして温かいものになるはずです。

知育玩具を使うことで、犬は遊びながら問題解決能力や集中力、思考力、学習能力、応用力を養い、記憶力や自信、独立心も育むことができます。
向上する能力 |
説明 |
問題解決能力 |
知育玩具の仕組みを理解し、おやつを取り出す方法を考え、解決策を見つけ出すことで鍛えられる |
集中力 | おやつを取り出すという目標に集中して取り組むことで養われる |
学習能力 | 遊びを通して、効果的な行動や新しいスキルを学ぶ経験を積むことで向上する |
記憶力 | 成功体験を記憶し、次回に活かす。さらに応用力を同時に鍛えることもできる |
自己制御力 | 食べ物を得るため、衝動を抑え、辛抱強く行動する力が養われる |
嗅覚・触覚 | 食べ物の匂いや玩具の触感を通して、感覚を研ぎ澄まし、これらの感覚をより活用できるようになる |
独立性 | 自分の力で課題を解決する経験を通して、自立心や自己信頼感が育まれる |

また老犬の場合、徐々に集中力や認知機能が低下することがありますが、定期的に脳を使う遊びを与えると、その低下速度を緩める可能性もあると言われています。どのライフステージの犬にも、「考える機会」を提供することはプラスに働きます。